PLUTO(プルートウ)のネタバレ解説・考察まとめ

『PLUTO』とは、手塚治虫の作品「鉄腕アトム」の中のエピソード「史上最大のロボット」を原作とした浦沢直樹の漫画作品。
舞台は人間とロボットが共存する世界。世界最高水準の能力を持つ7体のロボットが、次々と何者かに破壊される事件が起きる。7体のロボットの1人・ドイツ刑事ロボットのゲジヒトは、一連の事件に深く関わっているとされる謎のロボット「プルートウ」の正体に迫っていく。

CV:小山力也

ギリシャで格闘技の選手をしていたロボット。圧倒的な強さから「闘神」というニックネームで親しまれている。
食事や娯楽を楽しむなどの「人間の真似事」はしない主義で、自らを「殺人マシーン」「機械」と呼ぶなどストイックな性格だが、第39次中央アジア紛争を経て「憎しみ」、「いたわり」といった人間的な感情を理解するようになる。

第39次中央アジア戦争の際には戦闘に参加し、大量のロボットを殺害した。

プルートウを、第39次中央アジア紛争にて自分たち世界最高水準のロボットに殺害されたロボットたちの「亡霊」であるとみなしている。
良きライバルだったブランドの敵討ちや、第39次中央アジア戦争で多くのロボットを殺害したことへの清算としてプルートウに挑み、重傷を負わせるものの隙を突かれて攻撃され、爆死する。

エプシロン

CV:宮野真守

第39次中央アジア紛争の孤児たちを引き取り、オーストラリアにて孤児院を開いて保父として暮らしているロボット。
太陽光のエネルギーを原動力および武器にしており、太陽光がある状況では無限のエネルギーを発揮することができる。しかし、平和主義的な考え方の持ち主であるため、自らの能力を戦いのために使うべきではないと考えている。

かつて第39次中央アジア紛争への参加を求められた時に、「この戦いに正義は無い」という理由で参加を拒否した。そのことが原因で世間から「臆病者」として批判され、さらには徴兵拒否したことの見せしめとして戦後処理に参加させられる。
その際に国連軍の命令により、ペルシア王国のとあるモスクの地下にあったボラー開発の際の失敗作である大量のロボットの死骸を、自らの持つ強大なエネルギーを利用して溶かしている。

ゲジヒトの死後、世界最高水準の7体のロボットのうちの唯一の生き残りとなった彼をプルートウが襲い、戦闘となる。
プルートウに重傷を負わせるものの、戦いの中でプルートウが何かに悲しんでいるということを感じ取ったためとどめの一撃を加えず、プルートウを逃がしてしまう。
しかしその後、孤児院で保護していた少年・ワシリーが、プルートウの関係者にさらわれてしまい、ワシリーを救うために再びプルートウのもとへ向かう。
再度プルートウと戦闘になるものの、プルートウの正体・サハドが持つ感情を感じ取り、プルートウことサハドに対し殺戮をやめるよう説得を試みる。
しかし、その後プルートウはボラーに操られ、サハドとしての意識を手放す。そして、ボラーに操られたプルートウにより、頭をかみちぎられて死亡してしまった。

「プルートウ」の関係者

サハド / プルートウ

サハドとしての姿

プルートウとしての姿

CV:関俊彦

プルートウの正体はアブラー博士によって作られた青年の姿のロボット・サハドで、砂漠に覆われた祖国・ペルシア王国を緑化させることを夢見る心優しい性格だった。
自分を作ったアブラー博士を「父」と呼んでいる。

植物学を学ぶためオランダのアムステルダムに留学していたが、第39次中央アジア戦争が勃発し、家族として暮らしていたロボットたちが死亡したという知らせを聞いたためにペルシア王国に帰国する。

帰国後、自身をアブラー博士だと思い込んでいるゴジに会う。その際にゴジから、サハドの人工知能をゴジが作った軍事兵器ロボット・プルートウに移し替え、プルートウとして、第39次中央アジア戦争に関わった世界最高水準の7体のロボットを殺害するよう求められた。

プルートウになってからは、高い殺傷能力のほかに、人工知能が入っていないロボットを電磁波により遠隔操作する能力や、雨を降らしたり竜巻を起こすなどの天候を操る能力を持つ。
ゴジによりプログラミングされた「怒り」や「憎しみ」の感情に支配されたことにより、かつてのサハドの人格からは程遠い残忍で獰猛な性格になってしまったが、戦闘の際に感情を見せる、枯れかかった草花に生命を吹き込むなど、サハドとしての人格の片鱗が見えることもある。

ゴジの指示のもと、世界最高水準の7体のロボットを次々と殺害していく。
最後の1体だったエプシロンの死後に復活したアトムと、エデン国立公園にて戦うが、アトムが自分の殺害を思いとどまったということに触発され、サハドとしての意識を取り戻す。
その後、アトムと協力し、地下のマグマの中にいるボラーに挑むが、アトムのみ地上に逃がし、自身はボラーと相打ちになって死亡する。

アブラー博士 / ゴジ博士

CV:山路和弘

プルートウを作り、プルートウに世界最高水準の7体のロボットの殺害を命じている、アブラーと名乗るペルシア王国の博士。
その正体は、かつて天馬博士が本物のアブラー博士の依頼で作り上げた、人間のような複雑な感情を持つことができる高度な人工知能を持つロボット・ゴジである。

より複雑な感情をもつロボットを開発しようとした天馬博士により、「60億の人格」という、地球上の人類の数に匹敵するほどの数の感情のデータをプログラミングされていたが、そのデータの多さと複雑さのため目覚めなかった。
しかし、本物のアブラー博士の遺言により、第39次中央アジア戦争により家族を亡くし、自身も死亡したアブラー博士が死の間際に感じた世界への強い憎しみという「偏った感情」が記録されたアブラー博士のメモリーチップが挿入されたことにより、目を覚ます。
その後、自分のことを記憶の持ち主であるアブラー博士だと思い込んだ。

その後プルートウを開発し、サハドの人工知能をプルートウのボディに移植して、彼に世界最高水準の7体のロボットの殺害を命じる。
一方、自分はゴジとして人工知能が抜けたロボットのボディに入り込み、それらのロボットのボディを操ることでボラー調査団のメンバー達を殺害していく。
アブラー博士が死の間際に感じた世界への強い憎しみに支配された人格であり、そのため世界に対して復讐することを企んでいる。
もともと本物のアブラー博士がダリウス14世に環境開発ロボットとして開発するよう命じられていたボラーを、世界を滅ぼす惑星改造ロボットとして完成させる。

非常に高性能なロボットであるため、他のロボットにはできない、「嘘をつく」という行為ができる。
そのため、本来はゴジであるにもかかわらず、「自分はアブラーである」と、自分自身に対しても嘘をつき、自分のことをアブラー博士だと思い込んでいた。
ゴジとしてボラー調査団のメンバーの殺害を繰り返す一方で、プルートウに世界最高水準の7体のロボットの殺害を命じるときなど、アブラー博士として行動しているときにはゴジとして行動しているときの記憶は忘れているという、二重人格的な構造になっている。

アトムの復活後、アブラー博士として自分の開発者である天馬博士と再会し、自分の正体はアブラー博士ではなくゴジであるという事実を告白され、混乱状態になって機能停止状態に陥る。
その後、アブラー博士としてのボディから、大量のゴキブリによって彼の人工知能が抜き取られ、自身が開発したロボット・ボラーのボディに挿入される。

ボラーのボディを手に入れた後、大火山活動を引き起こすことにより核の冬(人為的に氷河期が発生するという現象)を起こし、地球を滅亡させようと企む。
大火山活動を引き起こすためにエデン国立公園の地下にあるカルデラの中を進んでいく途中で、自分を止めるためにやってきたアトムとプルートウに遭遇する。その後、プルートウの特攻により破壊される。

「ゴジ」という名前は、古代ウズベクの伝説に登場する「砂の賢者・ゴジ」に由来する。砂の賢者・ゴジは、砂の中から生まれ、王様にこの世の心理をを説いた後、再び砂に戻ったという人物。

ボラー

ゴジが開発した惑星改造ロボット。プルートウよりも強大なエネルギーと、反陽子爆弾が搭載されている。

元は、砂漠に覆われたペルシア王国を緑化させることを夢見たダリウス14世の命令により、本物のアブラー博士が開発を進めていた環境改造ロボットだった。
しかし、開発の最中で何体もの失敗作のロボットが出て、それらのロボットの死骸はとあるモスクの地下に置かれていた。
ボラー調査団のメンバー達がこれらの死骸を発見し、このことがのちに第39次中央アジア戦争が勃発するきっかけとなった。

アブラー博士が第39次中央アジア戦争にて死亡し、アブラー博士の世界への憎しみにより目覚めたゴジが開発を引き継ぎ、世界を滅亡させるための惑星改造ロボットとして完成した。
憎しみそのもののロボットとして開発されているため、知性はなく、赤ん坊のような泣き声をあげることしかできない。

第39次中央アジア戦争にて、戦争によって破壊された村の中をゆっくりと横切っていく姿が目撃されている。
また、プルートウとエプシロンの戦闘のさなかに雲の中に巨大な影として現れ、プルートウの意志を操ってエプシロンを殺害させる。
ゴジの人工知能がボディに挿入された後、地球を滅亡させるため、エデン国立公園の地下にあるマグマだまりの中を突き進む。
しかし、自身を止めるためにやってきたアトムやプルートウと遭遇し、プルートウの特攻を受け、死亡する。

口からゴキブリを出す男

ゴジによって開発されたロボット。
口から大量のゴキブリを出し、そのゴキブリたちを使って相手を攻撃したり、対象を捜索したりする。

事件関係者

アレクサンダー大統領

CV:堀内賢雄

トラキア合衆国の大統領。自身のブレーンであるDr. ルーズベルトを信頼しており、重大な決断をするときには彼に頼っている。

「トラキア合衆国を最強の国家にする」という目的を持っている。
第39次中央アジア戦争前、ロボット研究開発において他国に後れを取っていたトラキア合衆国とは対照的に、強大なロボット軍事力を持っていたペルシア王国を警戒していた。ペルシア王国のロボット軍事力の強化を防ぐ目的で、国連にて「大量破壊ロボット製造禁止条約」を提唱し、承認される。
その後、「ペルシア王国は大量破壊兵器を持っている可能性がある」ということを口実にペルシア王国との間で第39次中央アジア戦争を実行する。

トラキア合衆国の脅威となりうる、ゲジヒトら世界最高水準の7体のロボットのことも警戒しており、彼らの暗殺を試みる。
第39次中央アジア戦争後、カラ・テパ刑務所に拘束されたダリウス14世と密かに連絡を取り、ペルシア王国を滅ぼした第39次中央アジア戦争に加担した世界最高水準の7体のロボットを憎む彼に対し、7体のロボットを暗殺するようそそのかした。
7体のロボットの死後、トラキア合衆国は永遠に発展すると思いあがるが、直後にエデン国立公園の地下のマグマの中に惑星改造ロボット・ボラーが仕掛けられており、トラキア合衆国どころが地球滅亡の危機であることを知り、動揺する。

プルートウによりボラーが殺害され、地球滅亡の危機を脱した後、自身の傲慢が地球の危機という一大事を招いてしまったということに気づき、意気消沈する。
その後、拘束されていた施設を脱走し、アレキサンダー大統領とDr. ルーズベルトのもとにやってきたブラウ1539により殺害されそうになるものの、アレキサンダー大統領の体温に触れ、彼に「心」を感じたブラウ1539により解放される。

ダリウス14世

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