ウォッチメン(Watchmen)のネタバレ解説・考察まとめ

『ウォッチメン』とは、映像化不可能と言われたアメリカン・コミックを、『300/スリーハンドレッド』のザック・スナイダー監督が実写映画化した作品。かつてはスーパー・ヒーローだった男が何者かに殺され、彼の仲間だったヒーロー達が真相を突き止めようとする謎解きミステリー要素の強い2009年製作の異色ヒーロー・ドラマ。日本では映倫によりR-15指定を受けた。

新聞社に届けられたロールシャッハの日誌。

キーン条例の発令以降もそれを拒絶し、おのれの信念に従ってスーパーヒーローとして覆面を被り自警活動を行っていたロールシャッハは、世の中を憂い、いつも身の回りの出来事を日誌にしたためていたが、その最終章に書かれていた言葉。
黒幕がヴェイトだと知り、彼と対決すべく南極に向かう前に書き上げたもので「俺は生き残れるか分からないが。世界の滅亡前にこの日誌を呼んでほしい。」と新聞社に送った。
「俺は妥協せずに生きてきた。闇に消えようと後悔はない」と死を覚悟しており、彼の遺言書と言ってもいい日誌だ。

あなたを授けてくれたから

コメディアンことエドワードが父であることを受け入れ、母の心情を理解するローリー。

ローリーが母サリーに、父がブレイクなのは知っていると話した時に、母が彼女に言うセリフ。
「隠していて悪かったわ。話すべきだったけど自分が恥ずかしくて」と母はうろたえ娘に謝るが、ローリーは「人生にはいろいろ奇妙なことがあるものよ。人に話せないこともあるわ。私にも経験がある」と優しく返す。そして「私は傷ついていない」とも。
すると母は「なぜ“彼を許したのか”と聞いたわね。それは、あなたを授けてくれたから」と娘の頬をなでる。ローリーは「ありがとうママ、愛してる」と言って母を抱きしめ、母も娘を抱きしめ返す。

『ウォッチメン』の見どころ

原作コミックを忠実に再現しようと努めたビジュアル

スナイダー監督は、本作の監督を引き受けるに当たり、プロデューサーに「『300/スリーハンドレッド』を撮った時と同様に、何もかも原作通りにさせて欲しい。映画向けに一切変更しないこと」と条件を出したそうで、カット割りやカメラアングルなど、原作コミックを忠実に再現しようと努めた。そのために、まずコミックをそのままストーリーボードに写し、先に出来上がっていた脚本をストーリーボードに合わせて書き直していった。
原作の画を担当したデイブ・ギボンズが製作に全面協力したこともあり、構図や色調など原作にそっくりなシーンが随所に登場する。ギボンズが撮影現場を訪問した時、原作の世界を忠実に再現したセットに感動したんだそう。
そんな原作の絵を見事なまでに再現したビジュアルが大きな見どころだ。

『ウォッチメン』の主題歌・挿入歌

映画で使用されたバラエティに富んだ楽曲

オープニング・クレジットに流れるボブ・ディランの「時代は変わる」をはじめ、映画には様々なジャンルの名曲・ヒット曲が流れ、場面にぴったりとハマっているのが見どころというか聴きどころだ。

●使用楽曲
・「廃墟の街」/マイ・ケミカル・ロマンス
・「アンフォゲッタブル」/ナット・キング・コール
・「時代は変わる」/ボブ・ディラン
・「ロックバルーンは99」/ネーナ
・「サウンド・オブ・サイレンス」/サイモン&ガーファンクル
・「ミー・アンド・ボビー・マギー」/ジャニス・ジョップリン
・「ブギーマン」/K.C.&ザ・サンシャイン・バンド
・「ユアー・マイ・スリル」/ビリー・ホリディ
・「ブルート・イゴエ&プロフェシーズ」/フィリップ・グラス・アンサンブル
・「ハレルヤ」/レナード・コーエン
・「ウィッチ・タワー(見張塔からずっと)」/ジミ・ヘンドリックス・エクスペリメント
・「ワルキューレの騎行」/リヒャルト・ ワーグナー(演奏:ブダベスト交響楽団)
・「パイレート・ジョニー」/ニーナ・シモン
・「ファースト・ウィ・テイク・マンハッタン」/レナード・コーエン

オープニング・タイトルに流れるボブ・ディランの「時代は変わる」

「時代は変わる」ボブ・ディラン

ミニッツメンやウォッチメンのメンバー達が活躍した時代背景を、ケネディ暗殺や初の月面着陸など実際に起こった事件や出来事を交えながら、アンディ・ウォーホルやデヴィッド・ボウイなど実在の人物を登場させて見せる、物語のプロローグ的なオープニング・クレジット。また、ミニッツメンのメンバー達の活躍後の各々の落ちぶれたり殺されたりする姿も描かれる、実に中身の濃いオープニングだ。

コメディアンの死の場面に流れるナット・キング・コールの「アンフォゲッタブル」

「アンフォゲッタブル」ナット・キング・コール

コメディアンが何者かに襲われ激闘を繰り広げる場面に流れる、センチメンタルで美しいメロディの歌曲。“アンフォゲッタブル=忘れられない”の歌のタイトル通り、コメディアンが、恐ろしい計画を知ってしまったが故に、どうしてもそれを“忘れさること”が出来ず、そのために無残に殺されてしまう、彼の切ない心情に寄り添うような使われかただ。

コメデァインの葬儀で流れるサイモン&ガーファンクルの「サウンド・オブ・サイレンス」

「サウンド・オブ・サイレンス」サイモン&ガーファンクル

ダニエルとローリーの愛の場面に流れるレナード・コーエンの「ハレルヤ」

「ハレルヤ」レナード・コーエン

エンディング・クレジットに流れるマイ・ケミカル・ロマンスの「廃墟の街」

「廃墟の街」マイ・ケミカル・ロマンスのミュージック・クリップ

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