スター・ウォーズ エピソード2 クローンの攻撃(SW2)のネタバレ解説・考察まとめ

『スター・ウォーズ エピソード2 クローンの攻撃』とは、2002年製作のアメリカ映画。日本公開も同じく2002年の7月。スター・ウォーズサーガ・エピソード4~6から成る「旧三部作」に続く、「新三部作」の第二作目。前作「エピソード1 ファントム・メナス」で描かれたアナキン・スカイウォーカーの幼少時から10年後、ジェダイの騎士として青年に成長したアナキンの姿を描く。

旧三部作ではダース・ベイダーの出現シーンに流れ、帝国軍を代表する音楽となっている「帝国のマーチ」が、本作のラスト間際、ズラリと並んだクローン戦隊のバックに絶妙のタイミングで流れ出すのは、「これが銀河共和国から帝国軍へと変貌していく、その幕開けか」と、旧三部作から見ているファンの胸を打つ名シーンを演出している。(動画では2分頃より)また、この壮観な戦隊の隊列を、最高議長であるパルパティーン(実はその正体は、のちに帝国軍の首領となるシスの暗黒卿ダース・シディアス)が満足そうに見つめているのも、帝国軍の幕開けとして相応しいシーンになっている。

『スター・ウォーズ エピソード2 クローンの攻撃』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

「ベタな設定」もなんのその、ジョージ・ルーカスの恋愛描写

上が「トップ・シークレット」より、パラシュートで落下しながらキスを交わす恋人同士と、その背後にこちらもパラシュートで落下してくる暖炉。下が、許されぬ愛に苦悩するアミダラとアナキンの背後で赤々と燃える暖炉。

今作は、のちに旧三部作の主役であるルーク・スカイウォーカーとレイア・オーガナの父と母になる、アナキン・スカイウォーカーとアミダラが10年振りに再会し恋に落ちる時期の物語である。劇中にも二人が恋を育むシーンが幾つか挟まれているのだが、二人で草原や花畑を走り回ったり、巨体の家畜にまたがり振り落とされて動かなくなったアナキンを心配してアミダラが駆け寄ると、アナキンはアミダラの心配を他所に笑い出すという、「危険な目にあったフリをして、実は大丈夫だよと恋人を笑わす」古典的恋愛シーンがまず登場する。そしてその後、「許されぬ恋」に悩む二人が夜中に屋内で会話をするシーンでは、背後で赤々と暖炉が燃えているのだ。この、「熱く語り合い愛し合う二人のバックで暖炉が燃えている」シチュエーションは、1984年製作のパロディ映画「トップシークレット」で、パラシュートで落下した男女が落下しながら熱く抱き合い、その背後になぜか暖炉も「同じくパラシュートで落下している」という、やっぱり恋人同士の背景には暖炉がつきものだと「笑いのネタ」にされている。本作の製作時期より20年近く前に笑いのネタにされているシチュエーションを、堂々と臆面もなく映画本編で登場させてしまうジョージ・ルーカスの「ピュアさ」というか、恋愛に対してのウブさ加減がよくわかるシーンと言える。

また、アナキンとアミダラが惑星ナブーで共に食事をするシーンで、アナキンがフォースの力を使って果物を扱うのを見てアミダラが喜ぶという微笑ましい場面があるが、ここで果物を切る前に交わされる会話はルーカスの演出ではなく、二人のアドリブによるもので、これをそのまま本編でも使用したとのこと。

前作に続いて登場、旧三部作になかった設定「R2-D2が空を飛ぶ」

「あ、R2が、飛んだ?!」と、当時劇場内は騒然となった

前作「ファントム・メナス」では、旧三部作の3作を通じて一度たりとも会話に出てこなかった、フォースの潜在力を計る「ミディ=クロリアン値」という設定が唐突に登場し、旧三部作からのファンを驚愕させた一件があったが、今作でも同様に、旧三部作からのファンをビックリさせる新設定が登場。惑星ジオノーシスのドロイド工場に侵入したアナキン・スカイウォーカーとアミダラを追って、R2-D2がC-3POと共に工場へ向った時のシーン。切り立った壁面の侵入口に佇むR2は、旧三部作では一度たりとも空を飛んだことなどなかったのに、やにわに両側の足から噴射口を出し、宙に浮かび飛行を始めるのだ。新三部作は旧三部作より設定として前の時代なのに、「R2は、未来より過去の方が『進化』している?」と、物議をかもすことになった。この後スター・ウォーズシリーズのオフィシャル設定で、この時R2に内蔵されていた噴射ノズルを製造していた会社が倒産し、故障した後に部品を調達することが出来ず修理が不可能になったので、旧三部作の時代にはR2も飛べなくなってしまっていたという、苦しい言い訳のような設定が加わることになった。

旧三部作のファン誰もが感動した、「ルークのお義父さん」のそっくりさん

左が本作に登場する「若き日のオーウェン」、演じたのはジョエル・エドガートン。右が「エピソード4」に登場するルークの養父たる「老いたオーウェン」、演じたのはフィル・ブラウン。俳優二人は全くの他人だが、親子と紹介されてもおかしくない

旧三部作の1作目「エピソード4」の冒頭で、物語の主人公であるルーク・スカイウォーカーは、惑星タトゥイーンの砂漠地帯で、農家を営むオーウェン・ラーズ夫妻の養子として育てられていた。旧三部作のプリクエル(前日譚)である新三部作の2作目に当たる今作で、そのルークの育ての親である、オーウェン夫妻の「若かりし頃」の姿が見られる。アナキンの母親が奴隷の身分を解放され嫁いだ先が、このラーズ家だったのだ。母親の行方を追ってやってきたアナキン・スカイウォーカーとアミダラを出迎えるのが、アナキンの母親の夫となったクリーグ・ラーズの息子、若き日のオーウェン・ラーズである。(オーウェン・ラーズは隣にいる女性を、妻ではなくまだ「自分の恋人だ」とアナキンに紹介している)この若き日のオーウェン・ラーズを演じた俳優が、エピソード4で「老いたオーウェン」を演じた俳優に顔つきや表情がそっくりで、ファンはスクリーンに登場したその姿を見て「これはまさしく、若き日のオーウェンだ!」と驚嘆、そして「よくぞこんなそっくりさんを見つけてきた!」と感動した。

旧三部作の前に、チラ見せ「ミレニアム・ファルコン号」

アナキンとパドメが難民に扮して乗り込んだ大型船が、アミダラの故郷ナブーの空港に着陸するシーンで、スクリーンに向かって左側に、旧三部作でハン・ソロが乗っていた宇宙船ミレニアム・ファルコン号と、ファルコンと同型の船の、計2台が停泊しているのが見える。

旧三部作の帝国軍母船、スター・デストロイヤーの元祖

劇中オビ=ワン・ケノービが乗り込む愛機「デルタ7・イーサスプライト・インターセプター」のデザインは、旧三部作で登場する、銀河帝国軍のスター・デストロイヤーのデザインが基になっている。

アンテナは、右側か左側か

劇中、通常はジャンゴ・フェットのヘルメットの右側に付いているアンテナが、彼が惑星カミーノでオビ=ワン・ケノービと戦っている時に、ヘルメットの左側に移っているのがチラリと見える、ミスシーンが存在する。

華麗なるジェダイの騎士軍団、集団戦闘シーンの裏側

本作のクライマックス、ジェダイの騎士軍団が惑星ジオノーシスの処刑場で戦いを始めるシーンのため、ジェダイの騎士一人一人に異なる剣術スタイルを作り上げる必要性があり、あらゆる格闘技や剣法のテクニックを組み合わせる方法を取った。殺陣を担当したニック・ジラードは、20人に及ぶ剣道家の道場やファイトクラブを訪ね、500人以上の剣道家に話を聞き、ジェダイ個々の戦闘に関するアイデアを練った。最後には、あまりに攻撃的だという理由で、競技会への参加が禁止されているグループを探し出して面談をしたという。

カメオ出演

・映画序盤、アミダラを暗殺しようとした刺客が逃げ込んだナイトクラブで、そこにいる客の役として、C-3PO役のアンソニー・ダニエルズ、ジャー・ジャー・ビンクス役のアーメド・ベスト、そしてジョージ・ルーカスの娘が出演している。

・オビ=ワン・ケノービが、ジェダイ聖堂の図書館で惑星カミーノの場所を調べるシーンで、そこでフォースを学ぶジェダイ候補生の役で、ジョージ・ルーカスの息子が出演している。

・アナキンが怒りに駆られてタスケン・レイダーを虐殺するシーンの後、瞑想するヨーダがクワイ=ガン・ジンの「Anakin! Anakin! No!(アナキン アナキン! やめろー!)」という叫び声を聞くというシーンがあるが、クワイ=ガン・ジンの声として前作でこの役を担当したリーアム・ニーソン本人の声が使用されている。この叫び声は、この場面のために新たに録音したのではなく、前作『エピソード1/ファントム・メナス』でクワイ=ガン・ジンが死んだ後にフォースと一体化し、フォースの中で自我を保つ修行を生前に積んでいたとう設定のもと、そのシーンの撮影をし音声も録音したものの、映画本編では使用されずに残っていたニーソンの音声素材を流用した。

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