スター・ウォーズ エピソード2 クローンの攻撃(SW2)のネタバレ解説・考察まとめ

『スター・ウォーズ エピソード2 クローンの攻撃』とは、2002年製作のアメリカ映画。日本公開も同じく2002年の7月。スター・ウォーズサーガ・エピソード4~6から成る「旧三部作」に続く、「新三部作」の第二作目。前作「エピソード1 ファントム・メナス」で描かれたアナキン・スカイウォーカーの幼少時から10年後、ジェダイの騎士として青年に成長したアナキンの姿を描く。

元はジェダイの騎士だったが、フォースの暗黒面に捕らわれ、シスの暗黒卿の配下となる。ジェダイ時代はマスター・ヨーダの弟子であり、クワイ=ガン・ジンを育てた師匠であった。今作では、銀河共和国からの独立を主張する分離主義者たちの主導者となり、分離主義に賛同した通商連合の主軍であるドロイド軍隊を更に強化するため、惑星ジオノーシスを拠点として、その地底に巨大なドロイド工場を作り、共和国政府に対抗しようとしていた。暗黒面に捕らわれたドゥークー伯爵のフォースは強大であり、アナキン・スカイウォーカーやオビ=ワン・ケノービも全く寄せ付けず、マスター・ヨーダとも五分に渡り合える力を持っている。

ダーク・シディアス(演:イアン・マクダーミド)

クローン戦争の始まりを語りあう、ドゥークー伯爵とシスの暗黒卿(向かって左側)

フォースの暗黒面に落ち、その暗黒面で発揮する力を武器とする、「シス」と呼ばれる一派の総統である。長い間このシスの系統は途絶えたものと思われていたが、歴史の裏側で政治家などに働きかけるなど密かに暗躍し、その勢力を徐々に拡大し始めていた。前作「ファントム・メナス」でも今作でも、まだ表舞台に姿は現さないが、前作での通商連合による惑星ナブー封鎖事件や、今作の分離主義者と銀河共和国の対立なども、シスの暗黒卿が密かに仕掛けたものであった。

『スター・ウォーズ エピソード2 クローンの攻撃』の名言・名セリフ/名シーン・名場面

ドロイド工場での脱出スペクタクル

迫り来るプレス機を避けようと身構えるアミダラ

映画中盤過ぎ、ドゥークー伯爵に捕らわれたオビ=ワン・ケノービを救出すべく、アナキン・スカイウォーカーとアミダラは惑星ジオノーシスへ乗り込むが、敵に発見されてしまう。ジオノーシスの地底に作られた巨大なドロイド工場に逃げ込み、フルオートメーションでドロイドを次々作り出す製作工程のラインに巻き込まれてしまう。巨大なプレス機が、製作ラインに流れてくる資材をガツンガツンと打ち付ける場面で、そのプレス機の動きを避けながら脱出を計るシーンは、迫力満点。加えて、上から下からライン上の資材を加工しようとする様々な機械をすり抜けていくシチュエーションは、人気ゲーム「スーパーマリオブラザース」の実写版を思わせ、主人公たちを襲う危機また危機にハラハラしつつ、その脱出行をゲーム感覚で楽しめるという仕掛けになっている。

ジェダイの騎士軍団による、ライトセーバーを使った大活劇

惑星ジオノーシスの処刑場でぶつかり合う、ドロイド軍隊とジェダイの勇者たち

ジェダイの騎士が用いる専用の武器「ライトセーバー」による戦闘は、ジェダイの戦闘面での特色が発揮されるシーンだけに、シリーズの中でも注目されるシーンだが、旧三部作ではジェダイが滅ぼされた後の物語だったこともあり、生き残ったジェダイ・マスターや新たなフォースの使い手ルーク・スカイウォーカーによる「単独行動」がほとんどだった。新三部作になり、前作「ファントム・メナス」でクワイ=ガン・ジンとオビ=ワン・ケノービというジェダイ師弟コンビと、フォースの暗黒面を駆使するダース・モールとの対決シーンがあり、「2体1」でライトセーバーを駆使する対決に、ファンは心を躍らせた。今作では遂にジェダイの騎士が総出でライトセーバーを振るうという、ファンが夢見た戦闘シーンが実現。送り込まれたドロイド軍隊の機銃攻撃を相手にして、ライトセーバーという「剣」で立ち向かっていくジェダイの騎士達の勇姿は、見応え十分である。

グランドマスター・ヨーダ、その実力を発揮

普段は小柄な体を埋めるようにイスに座って思慮に耽ることが多く、歩く時も杖をついてようやくといった感じだったマスター・ヨーダだが、映画終盤、敵の首謀者であり、かつては自分の弟子であったドゥークー伯爵を前に、その凄まじいフォースの力を発揮。杖をついていたのが嘘のように、ひらりひらりと宙を舞いながらライトセーバーを振り回し、ドゥークーを翻弄する。子供が抱くぬいぐるみのような背格好のヨーダが、こんなにも生き生きとしたアクションシーンを見せてくれるのは、旧三部作完結のあと中断していた新三部作の製作を、目覚しいCG技術の進歩により再開したという、その効果がよく現れている名シーンと言える。

C-3PO、見事なコメディ・リリーフ振り

人間型ドロイドC-3POは、危機に挑む主人公たちに「助かる確率は1%もありません!」などと忠告したりする、その生真面目な性格が旧三部作において一服の清涼剤となり、映画を見る者を和ませてくれていた。しかし、新三部作の1作目、前作「ファントム・メナス」ではまだ自身が製作途中だったこともあり(その配線むき出しなままの登場が、「出オチ」的な笑いを誘ってはくれたが)、そのコメディ・リリーフ(劇や映画などで、緊迫した場面などに登場し笑いを誘う役目のこと)振りは発揮出来ず仕舞いだった。しかし今作では、前作の分までと言わんばかりの、一大ドタバタ劇を披露。アナキン・スカイウォーカーとアミダラが潜入した惑星ジオノーシスの戦闘ドロイド工場で、R2-D2に急かされ半ば強制的に2人の後を追ったはいいものの、ドロイド製作工程のラインに紛れ込んでしまい、首をもがれたあげくその首は戦闘ドロイドの体へ、残った体には戦闘ドロイドの頭部を付けられてしまう。そしてそのままの状態で、ドロイド軍隊と共にジェダイの騎士軍団との対決に向かわされるハメに。最初は「なんてことだ」と狼狽していたC-3POの頭部が、激しい戦闘の影響か体本体の影響か、柄にも無く興奮して「Die! Jedi, Die!(死ね、ジェダイ、死ね!)」と叫び、すぐさま「あら、私はなんてことを」と反省するシーンは、爆笑ものである。

「史上最強のジェダイになってみせる」

母親が苦しみもがく夢に毎晩のようにうなされ、その母親を救いに来たものの間に合わず、唯一にして最愛の肉親を失ってしまったアナキン・スカイウォーカー。気を落とすアナキンに、アミダラは「出来ないこともあるわ、全能ではないもの」と慰めるが、アナキンは「いつか、そうなる。史上最強のジェダイになってみせる」と答える。母親を拉致し死に至らしめたタスケン・レイダーの一族を怒りに燃え皆殺しにし、それでも母親は救えたはずだと悔やむアナキン。「怒りに、己の感情に身を任せてはいけない」というジェダイの教えに背き、尚も「史上最強」を目指す。アナキンが、フォースの暗黒面に取り込まれるきっかけとなる、スター・ウォーズサーガの中でも重要なシーンである。

またこの場面は、旧三部作の2作目「エピソード5」で、マスター・ヨーダの教えを受けていたルーク・スカイウォーカーが、ハン・ソロとレイアの危機を察し助けに行こうとするものの、お前はまだ修行が終わっていない、行くべきではないとヨーダにたしなめられるシーンと呼応している。もし助けに行って、「間に合わなかった」ら、ジェダイの修行を終えていないルークは、きっと「怒りに捕らわれる」に違いない。そして、フォースの暗黒面に誘いこまれてしまうかもしれない。若き日の、母を救えなかったアナキンのように。ヨーダはそれを知っていたからこそ、ルークを諌めたのだ。旧三部作の一場面が脳裏に蘇るという意味でも、この場面は名シーンであり名セリフであると言える。

「あなたと再会して、毎日少しずつ死んでいたから」

10年振りに再会した、アナキン・スカイウォーカーとアミダラは、アミダラの故郷・惑星ナブーで二人きりで過ごすうち、お互いに恋愛感情を抱くようになる。しかし、個人の欲望を禁じる(それゆえ結婚も禁じている)掟を持つジェダイの騎士と、分裂の危機が迫る銀河共和国の議員という立場上、この想いは封印するべきだと話し合う。しかし、惑星ジオノーシスでドゥークー伯爵に捕らえられ、共に処刑場へと連行される間際、アミダラはそれまで抑えていた気持ちをアナキンに告げる。この激しい想いを封じておくのは死んでいるのと同じことだったと、アミダラの想いがアナキンの心を更に揺さぶる。どれだけアミダラがアナキンの事を想っているのかわかる名セリフ。この後に続くアミダラの、「I'm turely, deeply,love you」(あなたを本当に、心の底から、愛しているわ)という告白もまた、シンプルな英語ながら、想いがストレートに伝わる名セリフである。

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