地獄先生ぬ~べ~(漫画・アニメ)のネタバレ解説・考察まとめ

『地獄先生ぬ~べ~』とは、真倉翔と岡野剛によるアクションコメディー漫画、及びそれを原作とするアニメ作品である。鬼の力を左手に宿す霊能力教師・ぬ~べ~こと鵺野鳴介が、生徒を守る為に妖怪や悪霊と戦うのが主軸。オカルト、ギャグ、お色気、友情、成長、恋愛、バトル、都市伝説、教養など多彩なジャンルを取り入れており、幅広い読者層の支持を得た。週刊少年ジャンプに1993年から1999年まで連載。JC全31巻。1996年から1997年にテレビアニメ化された。続編に『地獄先生ぬ~べ~NEO』がある。

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進級、そしてクラス替えを控えた郷子のセリフ。5年3組での経験は色々なことがあったが郷子にとっては実りの多い一年だった。ぬ~べ~の九州への転勤やクラス替えで皆が離れ離れになることを拒んだ郷子は、桜と名乗る少女に「校庭にある花の咲かない桜の木に名前を彫ると、もう一度同じ学年をやり直せる」と言わ教えられた。
他のクラスメイトが「6年生になれば新しい友達も増えるし、修学旅行にも行ける」とクラス替えに対して前向きなのを知った郷子は、試しで名前を彫ると桜に吸い込まれてぬ~べ~が初めて赴任してきた日に戻っていた。一部の違いはあれど美樹はトラブルメーカー、克也は不良、まことは甘えん坊と今の郷子が知る姿とは違っており、妖怪との戦闘でピンチに陥ったぬ~べ~を助けることに尻込みする。郷子は、先の少女・桜から「ずっとここで同じ一年を繰り返そう」と言われるがあの頃と同じ気持ちで一年をやり直すことは無理だと悟る。
一方、他のメンバーはこの桜の木が「送らずの桜」と呼ばれる童守小七不思議の一つで、ぬ~べ~も助けようがないことを知る。木の近くに血が落ちており、郷子の名が彫られていた。ぬ~べ~が経を唱えると幹の中から木の根に拘束された郷子が見つかる。魂が拘束されており、無理に引き剥がすと郷子が死んでしまう。中に入るしかないと、広たちは自分たちの名を彫りつけて木の中に入った。少し遅れて桜に入ったぬ~べ~共々、魂だけの世界で念ずる。5年3組で過ごした日々は、皆素晴らしい思い出となっていた。桜はかつて童守小にいた児童で、仲の良かったクラスメイト、担任と共に思い出作りの遠足に行く途中で事故死した霊だった。居心地のいい時間を失うのが怖くて、この空間に閉じこもっていた」と言い、桜はクラスメイトと共に成仏をし、郷子たちは解放される。

「お前たちを世界で一番愛しているから、俺から卒業してほしいんだ」(鵺野鳴介)

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九州への転勤が決まったぬ~べ~が生徒たちから「自分たちを置いていくのか」と言われた時のセリフ。生徒がぬ~べ~を慕っているからこそ引き留め、ぬ~べ~はそんな教え子たちの成長を認め、さらなる成長の為に別れを受け入れて自分たちの道を歩んでほしいと言うのだった。

『地獄先生ぬ~べ~』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

読み切り版のタイトルは『ぬ~ぼ~』だった

『ぬ~べ~』は、連載前に掲載された読み切り版がある。そのタイトルは『地獄先生ぬ~ぼ~』であった。読者の人気を得て連載化が決まったが、森永製菓に「ぬ~ぼ~」なる菓子があった。『ぬ~ぼ~』がアニメ化をした際、森永製菓のライバル会社がスポンサーになる可能性への考慮から『ぬ~べ~』に変更になった経緯を持つ。

当時の流行を取り入れて話の幅を広げる手法を採用

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プリクラのシールに魂を16分割された広。これにより、シールが広の分身のようになって貼られている場所から物が見え、シールが破れる度に苦しみを味わうこととなった。一つでもシールが残っていれば魂を元に戻すことができる為最後の一枚を探すが、それは広によって郷子のプリクラ台帳に貼られていた。

『ぬ~べ~』の魅力はオカルト、バトル、成長、お色気と多岐にわたるジャンルである。ホビー系統のジャンルもまた、作品に彩を添えている。プリクラや育成ゲームなど、連載当時はやっていたものを取り上げ、妖怪や怪奇現象などを絡ませることで独自の展開を産んだ。

「トラウマメーカー」になる程の描写やリアルな噂のインパクト

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夢に現れ複雑な迷路を示すブキミちゃん(右)。彼女に襲われても助かるよう、道順を覚えたという読者は多い。

『ぬ~べ~』の魅力の一つが、後に「トラウマになった」と呼ばれるシーンやエピソードである。少年漫画らしい熱いバトル、教育、成長を描く一方、ぬ~べ~たちが戦う妖怪や悪霊の中には子供たちを容赦なく襲い、取り憑き、時に死の寸前にまで追い込む。物語初期にはモブキャラクターが惨殺される描写も多かった。血や臓物が出るグロテスクな描写の他、妖怪や悪霊の造形、設定が強いインパクトを与え、読者のトラウマとなった。
こうしたトラウマ要素は、何もビジュアルだけのものにとどまらない。ブキミちゃんやメリーさんといったリアリティのある噂話は「本当にいるかもしれない」「実際に自分も害に遭うかもしれない」との不安を抱かせるに十分なものだった。

「人の心が妖怪を創り出す」という概念から得られる教訓

罪悪感が目となって現れる妖怪・百目鬼(どどめき)。

『ぬ~べ~』における妖怪・霊は従来のオカルト作品とは一線を画す存在として描かれる。児童が妖怪や霊に取り憑かれるのは自業自得、もしくは偶然の事故であることが多い。進んで人間を襲う妖怪や霊(不良少年の悪霊や濡れ女子)もいるが、それを単なる悪者としては描いていない。『ぬ~べ~』においては、ぬ~べ~や5年3組児童の日常がまずあり、そこに妖怪や霊が介入してくる。大部分がその妖怪の特性として取り憑くだけであり、中には哀しい出自を持つ者もいる。人間だけではなく、妖怪や霊にも事情や日常があることを示しているのだ。

一番の特徴として、「心が妖怪を創り出す」との理念がある。これは妖怪や悪霊が幻覚というのではなく、心持次第で妖怪に取り憑かれることもあるとの意味である。噂話が好きな美樹は、皆の秘密を見聞きし、暴露する妖怪・影愚痴に取り憑かれ、盗癖を持つ少女・篠崎愛は「誰かに見られているかもしれない」との後ろめたい気持ちが目となって現れる百目鬼に取り憑かれた。これは、「誰でも心持ち次第で妖怪に付け入られる」とのメッセージ・教訓と言える。

番外編『妖怪絵師・鳥山石燕』

江戸時代に実在した絵師・鳥山石燕(とりやま せきえん)が登場する番外編が存在する。原作第221話『妖怪絵師・鳥山石燕』である(*)。石燕にぬ~べ~、石燕が寺子屋で教える子供たちに5年3組の児童が配されており、『ぬ~べ~』の世界観を巧妙に江戸時代に移している。石燕の教え子からの愛称は「せきべ~」。『ぬ~べ~』での広に当たる市太郎は、石燕の弟子となり後に喜多川歌麿と名を変える。
作中では、絵師として名が通っていた石燕がサインを頼まれ『ジャンプ』の看板作品『ドラゴンボール』の主人公・孫悟空の絵を描くお遊び的な描写も存在する(『ドラゴンボール』の作者は鳥山明。つまり「鳥山」繋がり)。
石燕の武器は鬼の髪の毛から作った「鬼の筆」で、悪霊や妖怪を絵として封印することができる。

史実の石燕は『画図百鬼夜行』などの妖怪画で知られる。現代漫画などの創作物で描かれる妖怪のデザインは、石燕の絵を基にしている。作中では、ぬ~べ~が石燕の著書を基に妖怪について調べる描写がある。

*ジャンプコミックス第17巻収録。

『地獄先生ぬ~べ~』の主題歌・挿入歌など

OP(オープニング):FEEL SO BAD『バリバリ最強NO.1』

地獄先生ぬ~べ~ OP バリバリ最強NO1

えどまち
えどまち
@edono78

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