『地獄先生ぬーべー』における、妖怪のオリジナル要素
90年代にジャンプで掲載されていた、オカルトとコメディとエッチ(少年誌でギリギリ掲載できるレベル)が融合した漫画、『地獄先生ぬーべー』。妖怪や伝承の類には諸説あるものですが、「これはオリジナル設定なんじゃないのか」と思ったものが結構ありましたので。
「ぬーべー」こと鵺野鳴介
童守小学校の教員。常に金欠状態ですが、生徒思いで時に熱い先生です。左手には強力な「鬼」が封じられており、「鬼の手」の呼ばれるそれで、凶悪な妖怪や悪霊を退治したり、時に哀しい霊を成仏させたりもするのです。鬼の手だけでなく経文を読むなど、あらゆる霊能術に長けています。
一反もめん
『ゲゲゲの鬼太郎』ではおなじみの仲間ですが、『ぬーべー』では悪役でした。
顔つきはほぼ同じですが、やることが下衆い!ふわふわと舞う綺麗な布のふりをし、「着てみようかな…」という気持ちにさせるのです。で、脱衣した女性の体に巻き付いて精気を吸い取るという、いろんな意味であくどい妖怪になってました。
作中、一反もめんを巻いている時は爽快な気分になるんですが、いざ脱いでしまうと、どっと疲れます。触っているだけでも元気になる、と一種の中毒症状となり、最終的には骨になって崩れ去ってしまうのです。『鬼太郎』ではお国訛りで話したりと愛嬌もあるんですが、『ぬーべ―』では口こそあっても一言もしゃべりませんでした。
くだん
作中では「オスとメスがいて、人間からは生まれない」ということになってました。ほぼ同時期動物から生まれて、メスが不吉な予言をし、オスがその予言を回避する方法を教えてくれるんですが、どちらもすぐに死んでしまうとのこと。
「お前は水で死ぬ」という予言をされたのは、おとなしくて優しい女の子。本人には「当たらないから」と明るく言いますが、的中率は100%。クラスメイトにだけそのことを告げ、水に近づけないようにしつつダウジングを使ってオスのくだんが生まれる場所を探すのですが…。
どっちも怖い顔つき。でも悪い妖怪ってわけじゃないんです。オスのくだん誕生に立ち会い、予言から逃れる方法を聞くことができましたが、その内容(先祖が水神の土地に失礼をしたので、その水神を祀る神社にお供え物をする)からするに、「人間に対する警告(思い上がらないこと)」と「やり直すチャンス(供物を捧げるだけでなく、誠心誠意謝る)」を表しているのかもしれません。
カマイタチ
元々は強めの風が吹いた後で、「切れたのに血が出ない」という自然現象であるカマイタチですが、昔は妖怪の仕業とされていたようです。昔から不可解なことは妖怪のせいにされてたんです。三匹で一組の妖怪で、一匹目が風を起こし、二匹目が斬って、三匹目が薬を塗るという役割。
で、ぬーべーでは薬を塗る係りの子を担当生徒(男子)の一人が「かわいいから」と保護。薬を塗る係りがいなくなったカマイタチは、血の臭いを覚えたかのように人間を切り刻む所業に出ます。「見えない」人間からは、急に血だらけになって倒れる怪奇現象として新聞沙汰となり、ぬーべーも深手を負ってしまうのでした。
しかし、薬係のおかげで大事には至らず。この子が仲間のもとに帰った途端、急に仲間もおとなしくなりました。実は好き好んで人間を襲っていたわけではないんです。襲っていた二匹は夫婦。薬係はその子供で、我が子を探す為に過激な行動にも出たわけです。
インキュバス、サキュバス
眠っている人間の所に現れて…という妖怪というか悪魔のような存在(夢魔ともいう)なんですが、作中では女性型のサキュバスが人間の男性と結婚。子供が生まれました。で、「ウチの子をあなたのクラスで…」となりました。母親似でかわいらしいし、クラスメイトは妖怪慣れしています。「害がないなら」と皆受け入れ態勢は万全です。しかし、ある一点が争いのもとに。
「子供の間だけなら性別を自由に変えられる」「そろそろ性別決定の時期」というこの夢魔の子に、男子も女子も「自分たちの方がいい!」と教え込むのですが…両方の「嫌な部分」「醜い部分」を知ってしまうのでした。
不良に絡まれている所をクラスメイトの広に救われて男になると決めますが、身体は女性化。
思春期のドキドキ、初恋が性別の決定打でした(男の子を好きになったので、女の子になった)。
ろくろ首
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