ウルトラマン80(エイティ)のネタバレ解説・考察まとめ

1980年(昭和55年)4月2日から1981年(昭和56年)3月25日までの間にTBS系で放送。
『ウルトラマン80』の製作はTBS・円谷プロダクション。全50話が放送された。
M78星雲・光の国より地球へやってきたウルトラマン80=矢的猛が、人間の負の感情・マイナスエネルギーが怪獣を生み出すということに気付き、新任教師となり根本を断つ日々と、UGM隊員として活躍する日々を描いた物語。

空中で1回転しながら急降下し、足先を発光させてキックを決める。
ウルトラマン80のキック攻撃で最強の破壊力を持つとされている。

その他の必殺技

・八つ裂き光輪(ウルトラスラッシュ)
・ウルトラレイランス
・ウルトラスパイラルビーム
・ウルトラアイスポット
・タイマーショット
・ウルトラショット(ウルトラストレートフラッシュ)
・ウルトラVバリヤー(ウルトラクロスガード)
・テレポーテーション(ウルトラテレポーテーティング)
・ウルトラ400文キック
・ウルトラチョップ etc.

代表的な怪獣・宇宙人たち

硫酸怪獣 ホー

第3話「泣くな初恋怪獣」に登場。

身長:50メートル
体重:2万トン
出身地:異次元

桜ヶ丘中学1年の少年が誕生させた怪獣。
失恋した悲しみと怒りによってマイナスエネルギーの霧が発生。
翌日、恋人を奪われた姿を見て感情が高まり、心にマイナスエネルギーが宿る。
その日の夜、再びマイナスエネルギーの霧が現われ、ホーの誕生を誘発。
苦しみと共に心に宿ったマイナスエネルギーが増大、巨大化かつ実体化し、ホーが誕生する。

常に悲しげな声で泣く。
硫酸の涙を撒き散らし何でも溶かしてしまう。
口からは熱線を吐き、尻尾からは毒ガスを噴く。

サクシウム光線が効かず倒れないが、続けざまに放たれたバックルビームにより消滅をする。

再生怪獣 サラマンドラ

第14話「テレポーテーション! パリから来た男」に登場。

身長:58メートル
体重:5万トン
出身地:ヨーロッパ

頭の中で念じるだけで瞬時に好きな場所に移動するテレポーテーション能力を持つ、食肉性の凶暴な怪獣。
頭部の3本の角からは電撃状の破壊光線を放つことが可能。
普段は人目のつかない場所に隠れて瞑想をしている。
目からテレポート光輪(テレポート光線)を放ち、食料となる人間に催眠術をかけ自分のテリトリーに連れ去る。

ウルトラマン80は、テレポート光輪を反射させ、怪獣を異次元に移動させる。
最期はウルトラダブルアローで頭部の角と肩を破壊、サクシウム光線で倒す。

合体怪獣 プラズマ

第49話「80最大のピンチ! 変身! 女ウルトラマン」に登場。

身長:60メートル
体重:3万トン
出身地:奧多摩・仁王山

奥多摩の仁王山に潜伏。
マイナズマと共に怪電波を発し、怪獣が14体いるように思わせ、UGMを撹乱。
怪気流や崖崩れを起こし、UGMの調査を妨害。
UGMの威嚇攻撃を受けてもじっと地底に潜み、自分の位置を知らせないようにする。

肉食で口が3つあり、その食欲は凄まじく、一度に牛30頭を平らげてしまう。

胸の2本の角から白色光線を出して攻撃。
頭の角から紫色のプラス電撃光線を発してマイナズマと合体、何倍もの力を引き出すことが可能。

ウルトラマン80は、サクシウム光線を弾き返され、マイナズマとのタッグ攻撃で窮地に追い込まれる。
ユリアンが助けに来たことにより形勢逆転。
ウルトラマン80とユリアンの合体技ダブルパワーで倒す。

合体怪獣 マイナズマ

第49話「80最大のピンチ! 変身! 女ウルトラマン」に登場。

身長:58メートル
体重:4万トン
出身地:奧多摩・仁王山

プラズマの弟分的な怪獣。
プラズマが発する電波に呼び寄せられて現れ、尻尾の一撃で矢的猛の左腕に重傷を負わせる。
頭の2本の角から青色の光線を出して攻撃。
マイナス電撃光線を発してプラズマと合体、無類の強さを発揮。

ウルトラマン80は、合体怪獣2体の連携攻撃に追い詰められる。
サクシウム光線やバックルビームも効かない。
ユリアンが助けに来たことにより体勢を立て直し、ウルトラマン80とユリアンの合体技ダブルパワーにより倒す。

『ウルトラマン80』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話など

「教師」という設定について

1975年に放送された『ウルトラマンレオ』終了をもってウルトラシリーズは一時中断していた。

1979年、シリーズ初のアニメーション作品『ザ☆ウルトラマン』に続き、満を持して実写新作である本作が製作。
実写作品としては5年ぶりで、80という名は「1980年代の新たなウルトラマン」が由来。
「新しいウルトラマン」としての新機軸として、主人公が中学校の教師となり、学校が日常の舞台とされた。

企画書では児童の殺人や自殺といった暗い世相に言及。
「“生命の尊さ”、“愛の美しさ”、“勇気の誇らしさ”を啓蒙し、“ウルトラ文化”と呼ばれる子供文化を作り上げていきたい」とし、その手段として「ウルトラマン=先生というドラマ設定とした」と記されている。

こうして、当時の子供たちを取り巻く不穏な世相を象徴する形で、「地球人の憎しみ、悲しみなどの邪悪な心(マイナスエネルギー)が怪獣を生み出す」という設定を導入。
ウルトラマン80は、怪獣と直接戦うだけではなく、「怪獣を生み出す人間の邪悪な心を正すため、教師として子供たちの教育に取り組む」というドラマ作りが行われた。

主人公が学校教師である点については。
当時流行したTBS系列のテレビドラマ『3年B組金八先生』や、日本テレビ系列のテレビドラマ『熱中時代』などと共通しているが、上記コンセプトについては、『ウルトラマンレオ』終了時にはすでに存在していた。

本作の企画は、TBSの赤坂の寮で週に1回会議が行われて進められた。
テーマは「いま、ウルトラマンを復活させる意義は何か」というもの。
円谷プロ側は「従来のスタイルでやりたい」と希望。
これに対し、TBS側でも「安全策をとるべきである」という意見もあった。
しかし、プロデューサーの「80年代のウルトラマンが以前のものと同じでいいはずがない」という意見により、「教師設定」が導入。
TBS側によって、円谷プロ系でない外部の新しい監督や脚本家が集められ、「新しいウルトラマンをどうするか」との論議が、放映開始後も熱く戦わされたという。

メイン監督には、大映で昭和期の「ガメラシリーズ」全作を担当された湯浅憲明監督が。
「主人公を単に防衛チームの隊員ではなく、教師にした」という設定には賛否両論あったようだが、湯浅監督は、安易に当時の「先生物」のブームに便乗したわけではなく、プロデューサーの「80年代のウルトラマンが以前のものと同じでいいはずがない」「なぜいま、ウルトラマンを作らなければならないか」という問いかけに応じたものであり、「万能」のウルトラマンに「先生」という肩書を加えて、「昼間、授業中に怪獣が出たらどうするのか」といった葛藤から生まれるドラマに主眼を置いたものだったとしている。

学園ドラマの設定を導入したことは、生徒が学園生活で出会う様々な問題と、怪獣の発生を絡めた佳作を複数送り出した。
しかし、放映時間30分では、いじめや不登校、異性交遊などの当時の教育問題と、怪獣を並立して描くことに限度があるうえ、当時実在していた学校施設を借りてのロケ撮影の日程(主に日曜日)を組むことが制作スケジュール上の制限となってしまっていた。

そんな中で、「学園物」設定を主張していたプロデューサーが放映途中でラジオ部に異動。
これを受け、TBS編成局は「やはり昔のスタイルでいこう」と円谷プロ側に伝えてきた。

こうして、第13話以降は「学園物」の設定とともに矢的猛の「学校教師」としての設定は切り捨てられ、UGMを舞台として隊員たちの活動を描く従来のウルトラシリーズのドラマに路線変更された。

設定上、第13話以降も矢的猛は教師を続けていたのかについては劇中で語られておらず、後年、湯浅監督は「ウルトラマンの力に対する制限は、結局、円谷プロ側が許さなかった」、「中途半端になって、後悔の多い作品になった」と述懐している。

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