二ッ星の料理人（映画）のネタバレ解説・考察まとめ

仲間と共に

トニーとエレーヌの元に戻ると、実は昨夜調査員だと思って対応した客はただのサラリーマンだったことを知らされる。あまりの喜びにアダムは感謝の意を込めて、トニーに熱いキスをした。気恥ずかしくなったトニーは、仕事があるふりをしてその場を立ち去る。その後アダムはエレーヌに今後やっていく自信がないと自分の気持ちを吐露した。エレーヌはトニーやマックスなど大切な仲間がいることを告げ、アダムにお互いに支え合っていこうと励ます。「私たちは家族よ」とエレーヌはアダムの孤独な心に訴えかけた。アダムは厨房のみんなを信頼し、またレストランのシェフとして腕を振るい始める。厨房には温かな笑顔があふれるようになっていた。そんな折、今度こそ本物のミシュランの調査員が現れる。緊張した面持ちでそれを伝えるトニーに、アダムは「普段通りにやるだけ。力を合わせて」と淡々と答えた。アダムは厨房に声をかけ、いつもと変わらずに料理をする。彼はもう一人で戦う孤独なシェフではない。仲間と共に笑い合いながら、愛情のこもった料理を作るシェフになっていた。

『二ッ星の料理人』の登場人物・キャラクター

主要人物

アダム・ジョーンズ（演：ブラッドリー・クーパー）

吹き替え：東地宏樹

横暴で自分勝手だが、天才的な腕をもつ料理人。
不幸な生い立ちで母親はおらず、親戚をたらい回しにされる幼少時代を送った。
有名シェフ・ジャンリュックの店で修業し、一目置かれるが、酒とドラッグに溺れ店を潰してしまう。
その後酒とドラッグを断ち、トニーの協力を得て「アダム・ジョーンズ・ランガム」を開店させる。
非常にキレやすい性格で、厨房では絶対君主として君臨しながら完璧な料理を追求しようとする。
三ツ星の獲得にこだわるあまり頑なに自分のやり方を変えようとせず、周囲と軋轢を起こしてばかりした。
しかしトニーやエレーヌからの愛情や、ロッシルド医師の冷静なアドバイスを受けて、段々人として変容していく。
そして人との繋がりを大事にする温かなレストランを作り上げた。

エレーヌ（演：シエナ・ミラー）

吹き替え：園崎未恵

もともとロンドン市内のレストランで副料理長をしていたが、腕を見込まれアダムの店に引き抜かれたシェフ。
高級志向で、安い店で食事は取らない主義など料理に対して自分なりの考えを持つ。
開店当初はアダムと衝突していたが、ソーシエ（ソース係）としてメキメキ腕を上げていく。
そしてアダムの料理への情熱に触れ、段々と彼に好意を抱き始める。
シングルマザーとして1人娘リリーを育てる母の視点から、料理にとって一番大事なことは人との繋がりであることをアダムに伝える。
アダムが三ツ星獲得に絶望した後も、彼に寄り添い「ランガム」の発展を支えた。

「アダム・ジョーンズ・ランガム」で働く人々

トニー（演：ダニエル・ブリュール）

吹き替え：内田夕夜

通称リトル・トニー。
パリではアダムと一緒にジャンリュックの店に勤め、良き仲間であった。
しかしアダムの酒とドラッグの問題で、店は閉店に追い込まれた。
その後ロンドンで、自身の父が立てたホテルのレストランの給仕長として店を取り仕切る。
アダムの強引な誘いで「アダム・ジョーンズ・ランガム」の改装費を出資した。
実はアダムに恋心を抱くゲイであり、心の悩みをロッシルド医師に相談している。
アダムの再起のために常に彼に寄り添い、親身になって彼の復活を支えた。

ミシェル（演：オマール・シー）

吹き替え：竹内栄治

パリ時代にジャンリュックの店で一緒に働いていたアダムの同僚。
先にジャンリュックの店を辞めて独立したミシェルを妬んで、アダムは彼のレストランにネズミを放った。
そのせいでミシェルのレストランは失敗に追い込まれる。
しかしアダムとの再会時には、過去は水に流して仲直りした。
そしてアダムの店で副料理長として働き始め、アダムの補佐をしながら腕を振るう。
しかしミシュラン調査員と思われた客の料理に唐辛子を仕込み、三ッ星獲得の妨害行為を行った。
パリ時代の復讐を果たし、ミシェルは颯爽と「ランガム」を去った。

マックス（演：リッカルド・スカマルチョ）

吹き替え：斎藤寛仁

アダムのパリ時代の同僚。
カッとなりやすい性格で、傷害罪で刑務所に服役していた。
出所後、アダムにスカウトされて「アダム・ジョーンズ・ランガム」で働く。
前科はあるが、アダムが信頼する腕のいいシェルである。

デヴィッド（演：サム・キーリー）

吹き替え：金城大和

アダムのことを尊敬する若手料理人。
ロンドンで住む場所のないアダムを自分のアパートに泊めた。
そして「ランガム」で一緒に働き始める。
頼りない風情だが、アダムに厳しく鍛えられるうちに段々と腕を上げていく。