宮崎駿が声優を使わない理由とは?「娼婦の声」発言の真意を徹底解説!

日本アニメ界の巨匠宮崎駿は、自分の作品に本職の声優を使いたがらないことで知られている。「声優の声は娼婦の声」と発言したという話もあり、これに対しては批判する意見も少なくない。なぜ宮崎は声優を使わないのか、その理由を紹介していく。

「声優の声は娼婦の声」発言の真意

『紅の豚』のオーディションの際、「近頃の女性声優は娼婦の声しか出せない…」と宮崎駿が発言したと言われている。この言葉は、「娼婦のように演技力も何もなく、ただ可愛くて人好きするような声を出しているだけ」の女性声優を揶揄したもの。
ネットではよく言われていることだが、宮崎駿はプロの声優をあまり使わない。

「娼婦の声」発言は建前

宮崎の本音は、アニメーションというだけで映画と同列に扱ってもらえないという不満があるのではないか。
宮崎アニメが大成功し、興行成績日本一を取った年でさえ、実写映画より下に扱われ、賞さえもらえず、アニメの監督は映画監督の下という扱いに頭にきた。
アニメの地位を上げ、自分自身の地位をも上げるために、自分のアニメに芸能人を使うことを考えた。

海外メディアへの発言

宮崎は海外メディアからのインタビューで「日本の女性声優はコケティッシュな声の持ち主しかいないし、男性的な視点が欠けている。我々は全く必要としていない」と述べていた。また、「アニメとかじゃなく、映画を作っていると思ってます」自らの作品作りに対する想いを語っている。

昔の声優の扱いは副業的なものだった

アニメーション映画の声の配役に、舞台や映画などの俳優を起用することは変わったことではない。かつては歌手や映画演劇、タレント志望者の副業として、あるいは多くの仕事の1つで、アニメ専門の声優の存在の方が珍しいことであった。

対談・インタビューから発言の真意を考える

糸井重里との対談

宮崎「声優さんの声を色々きいてみたんですけど、なんか、あったかくてね、子供の事を全面的に理解している父親になりすぎちゃう。昔、『パパは何でも知っている』ってTV番組あったでしょ、30そこそこの親父がそんなになるはずない。自分が父親の体験者でしょ。実際の父親の実態っていうのは“パパは何でもしっている”じゃない」
糸井「その存在感の無さみたいなところでいえば、逆にぼくらはアニメっていうのはああじゃないといけないのかなっていうふうに思っていた。芝居もそうだけど、過剰でないと伝わらないでしょ。現実に子供に接しているときは、もっとそっけない。その辺で思っている事と違う事を要求された。むしろ『パパは何でも知っている』なら真似できる。」

糸井との対談から感じたのは、宮崎は「不完全なリアリティ」を求めていたのではないかということである。

竹内順子が受けた声優の仕事についてのインタビュー

『NARUTO』の主人公・うずまきナルトなどの声を演じた声優、竹内順子。彼女が受けた声優の仕事についてのインタビューで「例えば、振り返るときに『んっ』って言って後ろを向いたり、そんな人間いないよって初めは思ったんですよ。でもアニメはそれも1つの様式美で、お客さんに対して音として指定する解りやすいサインだと思ってやるようになったんですけど、普段出してない音だったので、最初は意味がわからなかったです。『こ、これは!?』の最初の『こ』はなんだよ とか、悪者の最初の台詞はなんで『ハハハ』から始まるんだろうとか、いろんなところが引っかかってはいたんですよ」と語っている。
彼女の言葉から、声の演技の難しさや苦労が伝わってくる。

ジブリ作品の主役

懐かしのジブリ作品の主役を演じたのはプロの声優

懐かしのジブリ作品はプロの声優が主役を務めていた。

『風の谷のナウシカ』(84)島本須美
『天空の城ラピュタ』(86)田中真弓、横沢啓子
『となりのトトロ』(88)日高のり子、坂本千夏
『魔女の宅急便』(89)高山みなみ
『紅の豚』(92)森山周一郎

『もののけ姫』以降は主役に俳優を抜擢するように

『もののけ姫』以降は、主役に俳優を抜擢することが多くなっていった。

『もののけ姫』(97)石田ゆり子、田中裕子、美輪明宏
『千と千尋の神隠し』(01)夏木マリ、沢口靖子、神木隆之介、菅原文太
『猫の恩返し』(02)池脇千鶴、山田孝之
『ハウルの動く城』(04)木村拓哉
『崖の上のポニョ』(08)山口智子、長嶋一茂、天海祐希、所ジョージ
『借りぐらしのアリエッティ』(10)志田未来、大竹しのぶ、竹下景子、藤原竜也、樹木希林
『風立ちぬ』(13)庵野秀明、瀧本美織、西島秀俊、西村雅彦、竹下景子

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