ブリジット・ジョーンズの日記 きれそうなわたしの12か月(映画)のネタバレ解説・考察まとめ

『ブリジット・ジョーンズの日記 きれそうなわたしの12か月』とは2004年に公開されたロマンティック・コメディ映画。前作『ブリジットジョーンズの日記』(2001)の続編としてイギリスとアメリカに共同制作され、またもや大ヒット映画となる。相変わらずドジでぽっちゃり女子のブリジットと、堅物だけど真面目で温かいマークは、恋人として蜜月の日々を送っていた。しかしお互いの育ちや環境の違いで衝突したり、美人な同僚に嫉妬したり、と波乱万丈なブリジットの恋模様がキュートなコメディタッチで描かれている。

マークがブリジットとお揃いで着ていた「アグリー・クリスマス・セーター」

前作にて、ブリジットがパーティーでお見合いをした時、マークは「アグリー・クリスマス・セーター」を着ていた。
「アグリー・クリスマス・セーター」とはクリスマスに着る、派手な色合いの悪趣味なセーターのことである。
欧米ではクリスマスに母親や祖母がこのようなセーターを贈ることがあり、ブラックジョーク好きなイギリス人の中で流行したセーターだ。
前作では母親から贈られた悪趣味なセーターを致し方なく着ていたマークだったが、今作ではブリジットとお揃いで嬉しそうに着用している。
ジョークさえも恋愛の種としてしまう、2人のアツアツぶりがこのセーターにも表れている。

上流中産階級のつるピカおやじ

法律協会の晩餐会で、「貧しいことは自分のせい」と考え、慈善活動に反対する男性がいた。貧しい人は不幸に見舞われた可哀そうな人と考えているブリジットは、その意見に真っ向から反対する。そしてブリジットは咄嗟に「まるで上流中産階級のつるピカおやじみたい」な考え方だと揶揄してしまう。周囲は頭が禿げ上がった上流中産階級の男性ばかりで、ブリジットは一気にひんしゅくを買ってしまった。またもや場をわきまえないという大失態を犯してしまったブリジットだったが、その素直で真っすぐな性格が世界中の人に愛された所以でもある。

イートン校

1440年に英国にて創設された伝統あるパブリックスクール。マナー教育が徹底された男子全寮制であることや、制服が黒の燕尾服といったような独自の伝統が受け継がれている。イギリスの歴代の伯爵から政界人まで、そうそうたる著名人がこの学校を卒業している名門校でもある。そしてダーシー家の男子も5代に渡ってこの学校に入学している。このことからダーシー家もかなり伝統と格式がある家柄であるということがわかる。

マジックマッシュルーム

タイに撮影旅行に来たブリジットは、旅慣れたジェドという青年と知り合う。
ジェドが連れて行ってくれたレストランのオムレツを褒めると、なんとそれはマジックマッシュルーム入りであった。
自分には効果はないと言い張ったブリジットだったが、完全にハイになってしまい、洋服のまま海に入ったり、砂浜で寝転んだりと奇行を繰り返す。
ぶっ飛んでもキュートなブリジットのおバカな様子がより一層笑いを誘う。

『ブリジット・ジョーンズの日記 きれそうなわたしの12か月』の名‌言・‌名‌セ‌リ‌フ‌/‌名‌シー‌ン・‌名‌場‌面

マーク「なんともやっかいなことだけど、君を愛している」

「愛してる」と告白したマーク(左)に部屋のキーを渡すブリジット(右)

晩餐会で明らかに浮いてしまったブリジットとマークは、初めて大ケンカをしてしまう。お互いに住んでる世界が違うことが浮き彫りになってしまったが、それでもマークはありのままのブリジットを受け入れ、「なんともやっかいなことだけど、君を愛している」と告白する。ブリジットは大感激し、すぐさまマークと仲直りする。マークの誠実さと実直さに感激し、胸がキュンとするシーンだ。

ブリジット「目下2人の男と同時進行で関係中。ベンとジェリーだ」

アイスを片手に布団にくるまるブリジット

レベッカとの浮気を疑ってマークとケンカした後、ブリジットは5週間彼と音信不通だった。落ち込んだブリジットの部屋は散らかり放題で、布団にくるまり、アイスを手にしながら、だらしない生活を送っていた。そしてブリジットは「目下2人の男と同時進行で関係中。ベンとジェリーだ」と日記に書く。ベンとジェリーとはアイスクリーム会社「ベン&ジェリーズ」のこと。最悪の精神状態の中でも、ユーモアを忘れないブリジットらしいセリフだ。

ブリジットの大失態

スカイダイビングで肥溜めに着地したブリジット(左)

前作同様、今作でもブリジットは数々のドジっぷりを披露している。スカイダイビングの取材では、着地に失敗し、豚の肥溜めの中にダイブして、フンまみれになってしまう。ゲレンデではスキーで大暴走を繰り広げ、スキー大会に乱入する。マークとケンカした後、コートを引っかけて家を飛び出そうとするが、実はそのコートはマークのもので、ブリジットはまたもや赤っ恥をかく。ブリジットは数々の痛い失敗を繰り返すが、それがなぜか深刻にならずクスッとした笑いを誘う。そしてキュートで真っすぐなブリジットに心がほっこりとする場面が満載である。

『ブリジット・ジョーンズの日記 きれそうなわたしの12か月』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

スタントなしのスキー撮影

スキー旅行の撮影は、オーストリアのスキーリゾート地で行われた。ブリジット役のレニーは、それなりに滑れたようだが、後ろ向きやかなりの猛スピードで滑るシーンがあるため、監督はスタントを立てることを提案する。しかしレニーはスタントを断り、危険なスキーシーンに自らチャレンジした。結果見事なシーンが撮影でき、監督はレニーのことを「体当たりのコメディ役者」と評している。

原作では登場しないダニエル

実はヘレン・フィールディングの原作では、2作目ではダニエルは登場しないのである。しかし監督のビーバン・キドロンのたっての希望で、映画には登場することになった。タイの売春街で撮影が行われ、その魅惑的な雰囲気がダニエルの性格を際立て、映画をより一層盛り上げている。またタイでの撮影はさまざまな困難があったそうだ。ダニエルとブリジットが食事をするシーンで、高床式のレストランが登場するが、このレストランも撮影のためにクルーがイチから作り上げたと言う。このヒット作の裏側には制作陣の並々ならぬ創意工夫や努力があった。

マークとダニエルまたもや大乱闘

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