デスパレートな妻たち(ドラマ)のネタバレ解説・考察まとめ

『デスパレートな妻たち』とは2004年から2012年までの8年間アメリカで放送されていたサスペンスコメディドラマ。全8シーズン放送された。郊外の閑静な住宅街のウィステリア通りが舞台となって平凡な主婦が様々な事件を巻き起こす。サスペンス、ミステリー、ロマンス、コメディといった様々な要素を取り入れてある。隣人であり友達でもある主婦が裏切りあいながらも友情で事件や人生を乗り越えていく様子は視聴者から反響を呼んだ。アルゼンチン、エクアドル、コロンビアではリメイク版も存在するほどの人気を博している。

『デスパレートな妻たち』の概要

『デスパレートな妻たち』とは2004年から2012年にかけてアメリカのABCで放送されていたサスペンスコメディドラマで全8シーズンで180話。シーズン1のアメリカでの平均視聴者数は約2370万人で、シーズン1最終話は3000万人以上が視聴した大人気番組である。シーズン1よりアワード番組の裏でも高視聴率を稼ぎ続けたため「The Awards Show Killers」の異名を取った。
日本では2005年9月からNHK-BS2で放送され始めて、その後は様々なコンテンツから配信された。その人気からアルゼンチン、エクアドル、コロンビアではリメイク版も放送された。
2005年にエミー賞で主演女優3人が同時に候補にあがり、その内リネット役のフェリシティ・ハフマンがシーズン1で受賞している。ゴールデングローブ賞ではスーザン役のテリー・ハッチャーが受賞。

フェアビュー市にある閑静な住宅街のウィステリア通りで、この町の住人のメアリー・ヤング・アリス(以下メアリー)が銃で自殺してしまうところから物語は始まる。自殺する理由など無いように見えたメアリーがなぜ自ら命を絶ったのかを調べる仲良しだった主婦が様々な事件に巻き込まれていく。
夫婦関係であったり、自分のキャリア、子供との関係、恋愛に苦悩するリアルな女性の姿が描かれている。メアリーの死の謎が解決した後も旦那の裏切りや子供との決別や隣人の死など次々に巻き起こる問題に一致団結して立ち向かう姿が世の女性の反響を受け大人気となる所以となっている。
また、サスペンス要素とコメディ等普通のドラマであれば混在しない様々なテーマを織り交ぜてよりリアルに人生を表現していることも年代問わず人気の所以ともいえる。

『デスパレートな妻たち』のあらすじ・ストーリー

物語の始まり

イーディ(写真左)、リネット(写真左から2番目)、ブリー(写真中央)、ガブリエル(写真右から2番目)、スーザン(写真右)

物語の舞台となるフェアビュー市の住宅街ウェステリア通りには、絵本作家で好奇心旺盛なスーザン・メイヤーと元トップモデルで欲の強いガブリエル・ソリス。元キャリアウーマンにして4人の子供を巧みに育てるリネット・スカーボと、お嬢様気質でカリスマ主婦のブリー・バンデ・カンプという4人の主婦が住んでいる。彼女たちは日々夫婦関係や家族との関係、またある時は不倫相手との関係を模索しながら、良き妻・良き母親になるために日々奮闘していた。そんなある日、彼女たちの友人のメアリー・アリス・ヤングが自殺してしまう。その突然の死は4人が自分たちの今を見返すきっかけになると共に、彼女たちは何故メアリーが自ら命を絶ったのかを探ることになったのだ。すると、メアリーは偽名で本名をアンジェラ・フォレストと言い、子供が出来なかった夫妻は子供をお金で買った過去があった。そしてその子供を売ったディアドラという女と揉め、夫のポールはディアドラを刺し殺してしまった。そしてメアリーとポール・ヤングの子供のザックは実はフェアビューに引っ越してきたマイク・デルフィーノと元恋人のディアドラの子供だったということが判明する。
ブリーの夫レックスは心臓にペースメーカーを入れる手術をする。ブリーへの愛が冷めていたレックスだったが献身的なブリーの姿を見て改心し始める。ブリーはレックスに嫉妬させるために薬剤師のジョージと遊びに出かけるようになる。するとジョージは本気でブリーのことを好きになりアプローチしてくるようになる。ブリーはレックスに怒りはあったもののまだ好きな気持ちがあったためジョージのことを拒む。すると突然レックスが心臓発作で亡くなってしまう。傷心のブリーはその原因がジョージがブリーに渡していたレックスの薬にあることを知り激怒する。その後ジョージに毒を盛り殺害する。

新しい隣人とそれぞれの生活

オーソン(写真左)、オーソンの母(写真右)

主人公の4人はそれぞれの生活に邁進していた。ブリーは夫レックスの死後、何人かの男性と交際をしてみるがなかなかうまくいかず、男性たちに振り回されてしまう。スーザンは、夫のマイクと離婚した後、新しい恋を探しに奔走。リネットは夫トムの失業を機に自身の仕事に復帰する。ガブリエルは結婚していながらも庭師と不倫していたが、夫との子供を妊娠したことで従順な妻になることを決意し、母になる準備をしていた。その頃ウェストリア通りではまた新たな事件が起きた。少し前にここへ引っ越してきたピアニストのベティ・アップルホワイト。しかし、彼女は自分の家の地下で殺人を犯した息子を監禁していたのだった。その後その監禁されていた息子が同級生の女の子を殺したことが分かりベティはまた引っ越した。
その後マイクはスーザンにプロポーズをしにいく途中に車にひかれて6か月昏睡状態になってしまう。さらにリネットの夫のトムはイタリアン料理店を出し家計は火の車状態になってしまう。ガブリエルは浮気が原因で別居、離婚協議が進み、その最中にブリーはオーソンと婚約する。しかしその婚約パーティをしていると、オーソンの昔の恋人のキャロリンという女性が家を訪れた。
そしてオーソンが元妻のアルマを殺したと告げる。ブリーはオーソンへ真実を問い詰める。するとアルマと愛のない結婚をしたオーソンはモニークという女性と不倫関係に陥る。するとオーソンの母のグロリアが息子の不倫を隠蔽しようとモニークを殺してしまう。それを見たオーソンは母の犯罪隠蔽に協力して一緒に遺体を埋めた過去があることを告げる。ブリーはショックを受けオーソンとの離婚を考えるようになる。

新しい生活と新たな事件

イーディ(写真左)、ガブリエル(写真左から2番目)、スーザン(写真中央)、リネット(写真右から2番目)、ブリー(写真右)

スーザンはマイクと結婚し、リネットはガンと戦いながらトムの隠し子を引き取るという辛い生活をしていた。ブリーは学生で妊娠した娘のことを隠蔽するため自分が妊娠したことにして友人にも協力を求めた。ガブリエルはカルロスと離婚して市長のビクターと結婚したがカルロスと不倫関係となった。
以前ウィステリア通りに住んでいたキャサリンと夫アダムと娘のディランが引っ越してきた。ある日マイクが運転していると自分の息子のMJと同じ年の女の子とお母さんをひいて殺してしまった。
その父であるデイブが以前ウィステリア通りに住んでいたイーディと結婚して引っ越ししてきた。もちろん被害者であることを伏せてマイクとスーザンに近づくディブ。執拗にマイク一家に近づいて復讐の機会を待っていた。そして自分との結婚を利用してディブがマイク一家に復讐しようとしていることにイーディも気付く。
デイブがスーザンとMJを連れ出して殺害しようとしていることにマイクが気付き間一髪のところで2人は助かる。その後デイブは精神病院に入院して事件は収束する。
ブリーはスーザンの元旦那のカールと恋人関係になる。スーザンの反対されると思い誰にも話さずに関係を続けてきたが、離婚したオーソンがブリーの目の前に現れて復縁を迫る。
ある日、ウィステリア通りでお祭りがありみんなが広場に集まっていた。そこでブリーがカールと付き合っていることを知ったオーソンとカールは口論になる。人目を避けて建物の中にいた2人だったがそこに小型飛行機が突っ込んでしまう。カールは亡くなりオーソンは生き残ったが下半身不随となり、ブリーは罪悪感からオーソンを自分の家で介護しながら面倒を見ることとなる。

子供たちの危機

セリア(写真左)、カルロス(写真左から2番目)、ガブリエル(写真右から2番目)、ホワニータ(写真右)

スーザンの娘であるジュリーが庭で何者かに首を絞められ重体となる。その犯人捜しの過程でジュリーの男性関係が明るみに出て犯人捜しは難航する。新しく引っ越してきたダニーが犯人かと思われたが、ダニーの父のニックとジュリーは1度関係を持ったことがあった。そして再会してジュリーに復縁を迫っていた。事件の真相は、カフェのエミリーを殺害したエディがスーザンに恋をした。そしてスーザンを殺害しようとして、間違えてジュリーを襲ってしまったという結果だった。
ガブリエルの娘のホアニータは赤ちゃんのときに病院で取り違えられた子で本当の子供ではないことが発覚する。取り違えられたもう1つの家族と会い、ガブリエルは自分そっくりの本当の子供のグレースと初めて会うこととなった。そして色々な物を与え可愛がっていたことによってホワニータとの仲が悪くなってしまう。そしてグレースの物を処分するとホワニータに約束したが、その人形とグレースを重ね合わせてしまい精神的に不安定になる。だがこのままではダメだと思いホワニータとの絆を取り戻すためにガブリエルは奮闘し家族の絆を深めた。
そこにガブリエルに虐待をしていた義父のアレハンドロが現れて、ガブリエルは恐怖で動けず震えていた。そこに夫のカルロスが現れアレハンドロを殴り死なせてしまう。そこに友人達が集まりどうにか隠蔽しようと試みる。みんなで遺体を山に埋め、この秘密は墓場まで持っていく約束をする。しかし常に罪悪感をまとうことになってしまい、友情に亀裂が入る。特にスーザンは自分の中に抱えきれなくなり警察に話そうと提案するも他のみんなに拒否されて怒りを露わにする。その怒りを絵にぶつけてその絵が美術館に飾られてしまうことによって警察が4人を疑い出すこととなる。
一方マイクは友人のベンをかばい闇金業者に追われていることをスーザンに告白する。警察にパトロールしてもらおうにも動いてくれず、不安な日々を送っていた。そしてついにマイクが家の前で闇金業者に銃で撃たれて死んでしまう。泣き崩れるスーザンにバラバラになりかけていた友人達が再度集まり励ましあう。

それぞれの結末

スーザン(写真左)、ブリー(写真左から2番目)、ガブリエル(写真右から2番目)、リネット(写真右)

ブリーへの逆恨みで遺体隠しの証拠を探し4人を逮捕しようと奔走していたブリーの元恋人で刑事のチャック。みな追い込まれて行き詰ったときに事故で亡くなってしまう。しかしそれはオーソンが計画的にひき殺したのだった。ブリーに献身的に世話をしてもらったお礼としてしたことだった。そしてカルロスのアレハンドロ殺しは町の住人で病気のマクラスキーの嘘の自供によって終結する。高齢で病気ということもありマクラスキーも刑務所に入ることなく今まで通り過ごすこととなった。
マイクを失ったスーザンはウィステリア通りの家を売り払い、未婚の母となったジュリーの子育てをするために都会へと引っ越す。ジュリーに「ママはもう再婚しないの?」と聞かれた際にスーザンは「私には思い出があるからどんなに辛くても生きていける」と言い町を去った。
ブリーは弁護士のトリップと再婚して保守派の婦人団体で地方政治に奮闘した後に州議会議員となる。子供とは疎遠だが専業主婦だったブリーが社会で奮闘している姿が描かれている。
リネットはウェステリア通りにいたキャサリンからビジネスに誘われ食品会社のNY支社で手腕を発揮する。セントラルパークをを見下ろすペントハウスを購入した後、今度は6人の孫の世話に奮闘する。夫のトムも恋人を作ったがリネットと復縁して幸せな生活をしている。
ガブリエルはファッションスタイリストとして成功し、自分の通販番組まで立ち上げカルロスとカリフォルニアの豪邸で喧嘩しながら幸せに暮らす。カルロスの目が不自由となってからは、モデルしか社会経験のなかったガブリエルが今度はカルロスを支えていくことになる。
様々な経験や時間を共にした4人だったがみんなウィステリア通りを離れて新しい生活を始めるところで物語は終了する。

『デスパレートな妻たち』の登場人物・キャラクター

主人公

スーザン・メイヤー(演:テリー・ハッチャー)

吹き替え:萬田久子
絵本作家で前夫カール・メイヤーと離婚後は娘のジュリーと二人暮らし。そそっかしく料理が壊滅的に下手。天然キャラで、よくトラブルを招く。また、お節介焼きで好奇心旺盛なため作中で探偵的ポジションに立つことが多い。離婚後も前夫の浮気の痛手が癒えず苦しんでいたが、近所にマイクが引っ越してきてから恋心を取り戻し、恋愛関係に。一旦はイギリス人イアンと婚約するも、紆余曲折を経てマイクと結婚。シーズン7では経済的事情でウィステリア通りを離れることになってしまう。最終シーズンでは孫が出来る。

リネット・スカーボ(演:フェリシティ・ハフマン)

hiroa3
hiroa3
@hiroa3

Related Articles関連記事

君が生きた証(Rudderless)のネタバレ解説・考察まとめ

君が生きた証(Rudderless)のネタバレ解説・考察まとめ

『君が生きた証(Rudderless)』は2014年にアメリカで製作された音楽映画である。『ファーゴ』などで知られるベテラン俳優ウィリアム・H・メイシーの初監督作品である。優秀な広告マンだったサムは、大学生の息子ジョシュを銃乱射事件で失ってしまう。悲しみからすさんだ生活をしていたサムはジョシュが残した歌があることを知り、ライブバーで飛び入り参加し、歌を披露する。そこで出会った青年クエンティンとバンドを結成することになるが、サムには大きな秘密があった。

Read Article

バイオハザード:ウェルカム・トゥ・ラクーンシティ(映画)のネタバレ解説・考察まとめ

バイオハザード:ウェルカム・トゥ・ラクーンシティ(映画)のネタバレ解説・考察まとめ

『バイオハザード:ウェルカム・トゥ・ラクーンシティ』とは、カプコンが発売したホラーサバイバルゲーム『バイオハザード』を原作とした実写映画である。この映画はゲームシリーズ『バイオハザード』と『バイオハザード2』をリブートした作品となっており、ゲームでお馴染みのクレア、クリス、レオン、ジル、ウェスカーなどのキャラクターやゾンビなどのクリーチャーも数多く登場している。作品を手掛けるのはホラー・スリラー映画監督であるヨハネス・ロバーツである。

Read Article

13デイズ(映画)のネタバレ解説・考察まとめ

13デイズ(映画)のネタバレ解説・考察まとめ

『13デイズ』とは、2000年にアメリカで制作された政治映画である。アメリカの隣国キューバにソ連が核ミサイルを配備していることがわかり、核戦争の危険が一気に高まった。未曽有の危機に直面したケネディ大統領は軍事行動ではなく、海上封鎖の実施を決断する。アメリカと世界を、核戦争の瀬戸際にまで追いつめたキューバ危機の発生から回避までが緊迫感あふれるストーリー展開で描かれていく。主要キャストはブルース・グリーンウッド、スティーヴン・カルプ。ロジャー・ドナルドソンが監督を務めた。

Read Article

誤訳が多い?字幕翻訳家・戸田奈津子に対する怒りの数々をまとめてみた

誤訳が多い?字幕翻訳家・戸田奈津子に対する怒りの数々をまとめてみた

日本を代表する翻訳家として知られる戸田奈津子。これまで数々の映画の字幕翻訳を手がけ、私たちもそれを当たり前のように視聴してきました。ところが、実際には彼女の翻訳が間違いだらけだとして問題になっているようで、様々な議論が交わされています。この記事では、そんな戸田奈津子の誤訳に寄せられた声についてまとめました。叩くのは簡単だけど、語学って本当に難しいんです。文句ばかり言うんだったら、いっそのことご自分で訳されてはいかがでしょうか。あぁもちろん、細かなニュアンスも完璧に、誰からも批判されないヤツをね!

Read Article

目次 - Contents