トラウマになる?『るるるの歌』シリーズまとめ

子供番組と銘打ちながらも「トラウマ与えたいんですか?」と聞きたくなるようなアニメーション付きソング、『るるるの歌』。子供じゃなくても普通に怖い、なのに癖になる声、歌詞、そしてアニメと世界観。何か病みつきになる世界をご紹介。

『るるるの歌』とは

動き揃ってるのも怖い…。ストーリーの時系列は4、2、1、3です。

『シャキーン!』という早朝子供番組の中で放送されていた曲です。印象としては『みんなの歌』系統。しかしその破壊力たるや相当です。(『みんなの歌』にもトラウマ系の曲はありますが)歌詞は名詞或いは動詞ですが、必ず「る」で終わるのが特徴。番外編のおしぼりアートを含め全5編。
他4編は「狼男」がテーマになってます。といって、「狼男が人を襲う」とかそんな話でもありません。曲の始まりや合い間合い間に画面を半分に区切り、「るるる~」と揺れながら歌う、登場人物。歌詞の内容がその後の展開の伏線だったりするわけですが、「怖い」「トラウマ」と評判です。

1作目・『オオカミおとこ編』(もしくは無印)

現代に生きる狼男が主人公。ごく普通に人里に暮らし、ごく普通に会社勤めもしています。が、どうも変身体質はいきなり開花した模様。しかも体質が暴走。満月のみならず丸いものを見ただけで変身するようになってしまうのです。創作物でもよくある設定ですが、大概「丸いものでも変身」はギャグテイストなのに対し、こちらはシリアス気味。朝食の目玉焼きは勿論、職場のプレゼンで円グラフを見ても変身してしまいます。
苦肉の策で変身しまいとする姿が痛々しいです。そしてラストのある意味突き放された感。で、「怖い」のにミョーに引き付けるこの作品、続編が作られました。

2作目・『おとこオオカミ編』

満月、丸いもので人間になってしまうオオカミが主人公。群れを追われて以降人間として暮らすことになります。何の予備知識もなしで見たらラストで愕然とするんじゃないでしょうか。

3作目・『未来編』

エコメッセージというNHKっぽいかな、という要素あり。しかしそこは『るるるの歌』。単に「自然は大事なんだよ」というだけでなく、超極端な「自然が失われた未来」を描いてくれてます。「『こわれる』という表現が的を得ている」といった趣旨のご意見を目にしたことが。確かに、怖いけどその分届くものがありますね。

4作目・『はじまり編』

「おとこオオカミ」が何故「おとこオオカミ」になったのかを描くストーリー。ちょこっとメルヘンな要素がなくもないのに、そこはかとなく流れるホラー的要素。「『るるる』だしなあ」という気持ちも恐怖心をあおっているのかもしれません。

番外編・『おしぼり総集編』

怖いっちゃ怖い。

『シャキーン』内のコーナー、「おしぼり」を使った人形等で作るアニメーションシリーズの「総集編」を『るるるの歌』の曲に合わせて製作、発表したもの。ちゃんと揺れてます。こちらは「かわいい」「コミカル」と比較的好評。

まとめ

主人公、気持ちは分かる。だが落ち着け。

作家星新一氏はヒッチコック映画『鳥』という映画が何故「怖い」のか、エッセイの中で語っていました。「鳥が大群で襲ってくるからじゃない。何故襲ってくるか分からないから怖いんだ」つまり、「自分の持つ常識等から外れると恐怖を感じる」と言った主旨のことです。(星新一『気まぐれ星のメモ』)劇中の狼男は『未来編』で未来人の様子に慄いていました。それも恐らく「何故そうなるか」理由が分からなかったため。
『るるるの歌』にしたってそうです。狼男だから怖いんじゃないんです。その特異な演出、変わっているとはいえ「子供向け」とは思えないような不気味な絵、コーラス、演出が子供のみならず大人に対し恐怖心を持たせているのは間違いないかと。

2作目以降「めぐる めぐる」増えましたね。

しかしまた見たくなるものまた事実。ニコニコ動画でも「これ怖かったんだ」などとコメントしつつ見ている方も大勢います。怖いもの見たさ、というよりもコミカルなのに怖い、怖いのにコミカルという両極端な面白みが絶妙にマッチしていて、そこには「狼男」たちの持つ悲哀も絡んでいる。怖さで引きつけられつつ、誰にも理解されないという悲哀にある種惹かれて、今尚「愛されてる」んでしょうね、多分。

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