イナズマイレブン（イナイレ）のネタバレ解説・考察まとめ

『イナズマイレブン』の概要

『イナズマイレブン』は2007年の「LEVEL 5 VISION 2007」で発表されたのち、2008年に発売されたニンテンドーDS用「収集・育成サッカーRPG」である。本作の発売後はアニメや漫画、映画、CDドラマなどが展開される人気メディアミックス作品となった。ゲーム作品としては本作の続編となる複数タイトルが制作・発売され、外国語版ソフトも販売されている。2024年には、シリーズ15作目となる『イナズマイレブン 英雄たちのヴィクトリーロード』のベータテスト体験版がリリースされた。

本作は『イナズマイレブンシリーズ』第1作であり、主人公で雷門中サッカー部キャプテンの円堂守を操作し、部員の勧誘やサッカーの練習、試合などを行いながらサッカーの全国大会であるフットボールフロンティア優勝を目指すというストーリーである。劇中の要所で差し込まれているアニメーションは同名のアニメ作品も手掛けるオー・エル・エムによるものであり、主題歌も同名アニメ作品の主題歌担当のT-Pistonzとtwe'lv（トゥエルブ）が担当している。努力家で熱血型のキャプテン円堂守を中心に展開される、サッカーを通じた青春・友情物語であり、男性からの人気は勿論、個性豊かなキャラクター達には女性ファンも多く、幅広い層から支持を得ている。2026年には、本ソフトのリメイク版である、『イナズマイレブンRE』が発売される。

本作のキャッチコピーは 「これが超次元サッカーだ！」であり、普通のサッカーではあり得ない荒唐無稽な必殺技が最たる特徴となっている。試合パートではタッチペンを使用した操作を行い、感覚的にプレイできるため子供を中心に支持を得た。サッカーだけではなくRPGとしての要素も兼ね備えており、フィールド移動、レベル、装備といった概念も存在する。また、登場する選手は1000人以上にも及び、収集した選手の中からプレイヤー好みのチームを作って通信対戦やトレードを行うことも可能である。

『イナズマイレブン』のあらすじ・ストーリー

プロローグ

雷門中学サッカー部は廃部になる寸前で、部員たちもやる気がない状態だった。しかし雷門中学サッカー部のキャプテンであり主人公の円堂守は一人で練習を始める。それを陸上部員から馬鹿にされた円堂は走り込みに行こうとすると、有名なストライカーの豪炎寺修也と出会う。

その後円堂はサッカー部顧問の冬海（ふゆかい）から強豪校帝国学園との試合を1週間後に組まれたことを知らされる。さらに帝国学園に勝利しなければ雷門中サッカー部は廃部になることが決定していた。現状では雷門中サッカー部員は7名しかおらず、試合をするため円堂にあと4名の部員を集めるミッションが課された。

第一章 「帝国がきた！」

帝国学園との試合に備え、円堂は豪炎寺を勧誘するためにマネージャーの木野秋と一緒に豪炎寺の足取りを追うが、不良に絡まれてしまう。そこに豪炎寺が現れ、円堂と秋を助ける。円堂はすかさず豪炎寺をサッカー部に勧誘するが誘いを断られてしまう。

その翌日に豪炎寺は転校生として雷門中に入学してくるが、雷門中理事長の娘である雷門夏未は「豪炎寺はとある事情によりサッカーを辞めてしまった」と円堂に言い聞かせる。夏未はさらに円堂に対し、豪炎寺の勧誘は後回しにして他の部員候補探しを優先するよう助言した。その後円堂の勧誘により円堂の親友である風丸一郎太（かぜまるいちろうた）、マックスこと松野空介（まつのくうすけ）、影野仁（かげのじん）、メガネこと目金欠流（めがねかける）の4名が雷門中サッカー部に入部した。

帝国との試合当日を迎え、雷門中サッカー部は完膚なきまで叩きのめされる。圧倒的実力差にメガネが逃げ出してしまったが、円堂は最後まで勝利を諦めなかった。円堂の様子を見た豪炎寺は触発されメガネの代わりに試合に出る決心をし、円堂は祖父で故人の大介のノートに記されていた内容をトリガーにキーパー技「ゴッドハンド」を習得した。帝国学園のキャプテンである鬼道有人はこうした雷門中の動きを見透かしており、円堂や豪炎寺に興味を示して雷門中から撤退するよう指示する。

第二章 「夢への発進！」

雷門中サッカー部は帝国学園が引き揚げたことで廃部を免れ、尾刈斗（おかると）中学との練習試合を組まれる。豪炎寺は相変わらずサッカー部に入るつもりはない様子だが、雷門中サッカー部員の一人である染岡竜吾は豪炎寺に対してライバル意識を持ち、やる気を出す。また、新たにマネージャーとして新聞部の音無春奈もサッカー部に仲間入りする。春奈の情報によれば、尾刈斗中との試合では怪奇現象が起こっているという。

雷門中サッカー部は尾刈斗中との試合に備えて練習し、その過程で染岡は伝説のサッカーチームと呼ばれた「イナズマイレブン」の一人である会田力の指導によりシュート技「ドラゴンクラッシュ」を習得する。尾刈斗中との試合当日には豪炎寺が仮入部し、雷門中サッカー部は試合に臨む。尾刈斗中は試合中に金縛りを発動させるが、豪炎寺が尾刈斗中の術の仕掛けが催眠術だったことに気づき、これが雷門中勝利への大きな足掛かりとなった。さらに染岡は豪炎寺の活躍に触発され、チームプレイのノウハウを感覚的に体得する。豪炎寺、染岡の活躍により雷門中は勝利を収め、豪炎寺は正式に雷門中サッカー部に入部した。

試合の直後、冬海は何者かに雷門中が尾刈斗中に勝利したことを報告し、不穏な動きを見せる。

第三章 「雷門にうずまく陰謀」

少年サッカーの全国大会「フットボールフロンティア」の地区予選の時期となり、雷門中サッカー部はこれに出場することになる。また、アメリカからの帰国子女で秋の幼馴染である土門飛鳥（どもんあすか）は雷門中に転校してサッカー部に入った。しかし土門はマネージャーや部員たちに探りを入れるかのような態度を示し、警戒心を持たれる。土門は帝国学園からのスパイで、総帥を名乗る人物から送り込まれたのだった。

一方円堂はフットボールフロンティア予選で当たる学校の情報収集しているとイナズマイレブンの必殺技のひとつ「イナズマおとし」の伝授書の一部を見つける。伝授書復元の際に河川敷に行った円堂は、40年前のフットボールフロンティア決勝戦当日にイナズマイレブンが突如姿を消した「イナズマイレブン事件」を追う刑事の鬼瓦源五郎と接触する。鬼瓦は「サッカー部の円堂」という名乗りを聞いて興味深げな様子で去って行った。

その頃雷門中サッカー部の一員である壁山は部室におり、正体不明の人物同士の「豪炎寺の妹である豪炎寺夕香が入院中で、夕香を利用して豪炎寺を潰す」という話題に聞き耳を立てていた。壁山は豪炎寺に危害を加えられていることを知り、円堂と一緒に豪炎寺の救出に向かう。豪炎寺を囲んでいた人物たちを退けた壁山と円堂は豪炎寺を追って夕香の病室へ向かうと、1年前に夕香が事故に遭って以来、今に至るまで意識を失っていることを聞かされた。当時の豪炎寺は木戸川清修中学サッカー部のエースとしてフットボールフロンティア決勝戦に出場することになっていたが、自分がサッカーをしていたことで夕香が事故に遭ったのだと自責の念に駆られていたのである。

この後雷門中はフットボールフロンティア予選の初戦を突破し、試合を見ていた夏未がマネージャーとして加わり2回戦に進む。以前より不穏な動きを見せていた冬海は何者かと結託し、豪炎寺に危害を加えていた人物らと絡んでいたことを仄めかした。

第四章 「試練の穴を攻略せよ！」

フットボールフロンティア予選2回戦は御影専農中学と当たり、雷門中が勝利する。御影専農中サッカー部は洗脳実験の被検体として洗脳装置を装着させられ、洗脳には帝国学園が関与していたことが発覚した。

第五章 「メイド喫茶にご用心！？」

冬海に呼ばれた円堂たちは秋葉名戸（しゅうようめいと）学園がフットボールフロンティア準決勝の対戦相手であると知らされる。雷門中サッカー部一同は情報収集のため試合前日にメイド喫茶で秋葉名戸サッカー部の監督と接触した。この時に秋葉名戸サッカー部の監督は策略を仕掛けており、翌日の試合で円堂と豪炎寺以外の部員は本調子を出せなくなってしまう。しかし策に嵌められなかった円堂と豪炎寺の活躍により、雷門中は予選決勝まで勝ち残った。

翌日、新聞に雷門中サッカー部が秋葉名戸に大敗を喫したという虚偽の記事が書かれていたことが判明する。これは秋葉名戸サッカー部がハッキングにより情報操作を行ったことによるもので、円堂たちは秋葉名戸サッカー部がアジトにしているというコンピュータールームに乗り込んでハッキングデータを入手する。円堂は鬼瓦と再会し、「秋葉名戸のような卑怯な手により、ある人物は貶められたため円堂も用心するように」との忠告を受けた。

第六章 「決戦！帝国学園」

フットボールフロンティア予選の決勝戦は帝国学園との試合であり、冬海が雷門中サッカー部に手配されたバスに爆弾を仕掛けていた。さらに土門も春奈が書いた情報ノートを盗み、2人が帝国学園と内通している様子をあからさまにする。しかし土門は豪炎寺を筆頭に部員数名から帝国学園の内通者であることを見抜かれ、ノートを春奈に返して冬海がバスに爆弾を仕掛けていたことを打ち明けた。冬海は雷門中サッカー部を事故に巻き込ませることで帝国学園の不戦勝に仕立てようとしたが、土門の裏切りによって失敗に終わる。その後逃げ去ってしまうが土門は自身の行いの反省のため冬海を追い、円堂たちに春奈のノートを見るように話した。春奈のノートには「帝国学園は手段を選ばない集団であり、すでに帝国学園を率いる総帥の影山零治に情報を流してしまった」と白状する内容の手紙が挟まれていた。

冬海が逃げたことで雷門中理事長である雷門総一郎から新たな監督候補として、かつてのイナズマイレブンのキャプテンを務めていた響木正剛が推薦される。しかし響木は監督になることを拒否し、代わりの人物として会田が候補に挙がった。ところが会田も監督になることを拒否し「土門を救うためにも帝国学園との試合は棄権するべき」だと進言した。その時円堂に土門が帝国学園の遣いに連行されたとの目撃情報が寄せられ、円堂は急ぎ土門を助けに向かう。土門は冬海を筆頭に大人複数人で詰められていたが、円堂やサッカー部のメンバーにより蹴散らされ事なきを得た。その様子を見ていた響木は円堂大介の姿を円堂に重ね、心を動かされたことで響木が雷門中の新たな監督になった。

帝国学園と試合するため帝国学園に向かった雷門中サッカー部一同だったが、鬼道は「影山がコートの天井に鉄骨を仕掛け、雷門中サッカー部の頭上に落下させようとさせている」という旨を円堂らに話し、雷門中サッカー部一同の命を守った。この瞬間を押さえた鬼瓦は影山を逮捕する。なお雷門中は帝国学園に勝利し、フットボールフロンティアの出場権を得た。

第七章 「よみがえれ！伝説の男たち」

雷門中サッカー部は響木の提案により、かつてのイナズマイレブンのメンバーから稽古をつけてもらう。響木は雷門中サッカー部をフットボールフロンティア初戦突破させると同時に、雷門中サッカー部をイナズマイレブンの後継者として影山に対抗するための戦力に仕上げようと企んでいたのである。しかし元祖イナズマイレブンのうち3人が影山を恐れて姿を現さず、円堂たちはその3人に直接稽古を頼み込んだ。

イナズマイレブンにより稽古を付けられた雷門中サッカー部は新たな必殺技を習得し、フットボールフロンティア初戦に挑む。試合前半に雷門総一郎が事故に遭って大怪我を追ったという旨の連絡があり、夏未が試合から抜け出してしまう。雷門中サッカー部は試合に勝利し、試合後は至急病院に向かった。その後、雷門中サッカー部一同に「帝国学園が世宇子（ぜうす）中学との試合で完敗し、初戦敗退した」という速報が入る。

第八章 「無限の壁を越えろ！」

雷門総一郎が病院に搬送された後、夏未は総一郎から託された書類を持って自室へ向かう。そこには警察を名乗る何者かが待ち伏せしており、総一郎の書類を奪い去ってしまった。書類泥棒を捕まえたのは雷門中転入生となった鬼道で、新たなサッカー部員として響木に部室に連れられてくる。鬼道は世宇子中との試合を経験しており、「世宇子中メンバーは全員、人を超えた神のような能力をしている」と語った。さらに影山が世宇子中を率いていることが明らかになり、鬼道は世宇子中の強さには裏があると忠告する。

また、総一郎の書類とは夏未への手紙と40年前のイナズマイレブンについての調査結果だった。調査結果によるとイナズマイレブン事件には影山が関与していることが発覚し、円堂大介の死も影山により事故に見せかけられていたという。そしてイナズマイレブンが姿を消して以来の40年間は影山が帝国学園に籍を置いて悪事を働き続けており、夕香が事故に遭ったのも帝国学園の勝利のため影山が仕組んだ策略だった。

さらに響木から影山の過去について明かされる。影山は40年前のイナズマイレブンのメンバーであり、当時のフットボールフロンティア決勝戦当日に起こった事故は帝国学園＝影山に仕組まれたものだった。このことが発覚したため響木と円堂大介は帝国学園に乗り込むと、帝国学園のフットボールフロンティア優勝を条件に影山が帝国学園ナンバー2の地位を得ていたことがわかったという。その後、影山は帝国学園の理事長に就任し、円堂大介を殺害した。これをきっかけにイナズマイレブンは解散、当時の雷門中サッカー部は廃部になったのである。

その後日、雷門中サッカー部はフットボールフロンティア準決勝に進んだが、その頃影山は雷門中サッカー部にぶつける戦力の研究を完成させていた。

第九章 「オレは一人じゃない」

豪炎寺はかつて在籍していた中学で、フットボールフロンティア準決勝の相手でもある木戸川清修中のサッカー部員に冷やかされていた。そこに円堂が居合わせたが、豪炎寺を庇ったことで標的にされてしまい必殺技で倒されてしまう。さらにその周りにいた雷門中サッカー部員も木戸川清修の必殺技を目の当たりにし、自信を無くしてしまう。そこで響木はイナズマイレブンによる個別特訓を考案し、雷門中サッカー部員は個々の戦力を高めた。その後に行われたフットボールフロンティア準決勝で雷門は木戸川清修を破る。

試合後、鬼瓦は帝国学園から調達してきたという50年前のサッカー新聞を雷門中サッカー部に見せる。そこには影山の父親がサッカー日本代表選手から外された旨が記載されており、当時の全日本サッカー監督のコメントに「勝つことが全て」という言葉が残されていた。影山の父親はこの言葉を真に受け、影山に悪影響を与えたのだった。