妖怪ウォッチ シャドウサイド（第2章）のネタバレ解説・考察まとめ

『妖怪ウォッチ シャドウサイド』の概要

『妖怪ウォッチ シャドウサイド』とは2018年4月13日から2019年3月29日まで放送された、レベルファイブが手掛けるゲームソフト『妖怪ウォッチ』シリーズを原作としたアニメ作品である。全49話。2017年12月16日に公開された『映画 妖怪ウォッチシャドウサイド鬼王の復活』の後に起こった出来事が描かれている。Nintendo Switch用ゲームソフト『妖怪ウォッチ4（ぼくらは同じ空を見上げている/++）』では、共通する世界観の中独自の物語が登場し話題となった。低年齢層向けアニメと思われていた『妖怪ウォッチ』シリーズのイメージを一新。ターゲットにしていた小学校男子からはゲームや玩具販売も好評だった。基本的に1話完結型の物語。漫画版は月刊コロコロコミックで2018年5月号から2019年5月号まで掲載され、全2巻発売されている。

『妖怪ウォッチ』シリーズの主人公・ケータの息子天野ケースケ（あまのけーすけ）は、姉の天野ナツメ（あまのなつめ）、ナツメの同級生である月浪トウマ（つきなみとうま）、有星アキノリ（ありほしあきのり）とともに妖怪探偵団を結成し、妖怪が引き起こしたと考えられる怪奇事件を解決していく姿を描くホラーファンタジー。従来の『妖怪ウォッチ』シリーズよりも、ホラー的演出や妖怪同士の激しい戦いが強調して描かれている。

『妖怪ウォッチ シャドウサイド』のあらすじ・ストーリー

妖怪探偵団の活躍

舞台は、『妖怪ウォッチ』の主人公ケータが活躍した世界から30年後。ケータの息子である天野ケースケは、姉の天野ナツメの帰りが遅いことに不信感を抱いていた。ある日ナツメの後をつけたケースケ。ケースケはナツメが妖怪探偵団を結成し、2人の男子と街で起こる不可解な出来事を解決していることを知る。
1人目は、妖怪の王族や幻獣が宿る妖聖剣（ようせいけん）を使い幻魔への憑依変化ができ、幻魔と呼ばれる上位の妖怪を召喚する能力のある妖怪ウォッチオーガの使い手である月浪トウマ。月浪トウマは、五右衛門・お松・義経・弁慶4体の幻魔に憑依変化できる。2人目は、先祖代々占いを生業とし妖怪を倒す力を持つ妖空術（ようくうじゅつ）の使い手・有星アキノリである。アキノリは、朱雀から授かった妖怪ウォッチアニマスと幻獣ディスクを使い、幻獣が呼び出し戦うことが可能。
妖怪は通常の姿であるライトサイドと、闇の力を使い戦闘力に特化したシャドウサイドという2つの姿を持っていた。ナツメらは「妖怪ウォッチエルダ」でともだち妖怪を呼び出し、シャドウサイドになった妖怪を通常の姿に戻す活動をしていた。当初は妖怪探偵団に疑問を持ち妖怪やUFOを信じないケースケだったが、ナツメの妖怪ウォッチエルダを身に着けたことで、妖怪が見えるように。ケースケも妖怪探偵団のメンバーに参加し、街の平和を守ることになった。妖怪執事ウィスパーやともだち妖怪のジバニャン、コマさん、ミッチーらと協力しながら、事件を解決していく。また事件を解決するために妖聖剣が必要なため、場所を突き止め回収していく。

怪しい転校生2人

ナツメとトウマの通う中学校には、2人の転校生がいる。1人目は、酒呑ハルヤ（さかみはるや）。ミステリアスな雰囲気を醸し出す酒呑ハルヤの正体は、実は鬼族の妖怪・酒呑童子（しゅてんどうじ）。人間界に転生した姫を探し、姫の力を復活に必要とされる5本の妖聖剣を集めていた。妖聖剣の中には、トウマが幻魔への憑依変化するために所有しているものもあった。酒呑童子は、部下とともにトウマの持つ不動明王（ふどうみょうおう）が宿るフドウ雷鳴剣（らいめいけん）を奪うなど、たびたび妖怪探偵団の邪魔をしていた。部下の洞潔（どうけつ）はナツメのクラスの担任・島之内巌流（しまのうちがんりゅう）として人間界で暮らしている。

2人目は姫乃アヤメ。姫乃アヤメは、十万年に一人の美少女で妖怪が関係する事件に巻き込まれたことがきっかけで妖怪探偵団に参加する。姫乃アヤメが転校してきたタイミングで姫が復活すると咲く鬼桜（おにざくら）が咲く。酒呑ハルヤは、姫乃アヤメこそが自分が探していた姫だと思い付きまとうようになる。しかし妖怪が見えるうえ妖怪を倒す妖空術が使える姫乃アヤメの正体は、姫ではなく伝説の霊媒師の子孫だった。さらに霊媒師がかつて封印した女郎蜘蛛（じょろうぐも）が何らかの要因で封印が解けて復活し、子孫である姫乃アヤメを呪っていた。女郎蜘蛛はアキノリとアヤメのデート中にアヤメを完全に操り、デートで訪れていた元町タワーを糸でぐるぐる巻きにして乗っ取ってしまう。トウマはフドウ雷鳴剣をつかって戦うも、不動明王は女郎蜘蛛との戦いで妖力の大半を奪われて子供のような雰囲気の不動明王ボーイに変わってしまう。トウマは女郎蜘蛛を倒すために、海をも断ち割ると言われているゲンブ法典斧（ほうてんふ）の入手のために剣が眠る宝剣殿に潜入。ゲンブ法典斧に宿る玄武と対戦し、味方にすることに成功。トウマはゲンブ法典斧を構え、剣武魔神・玄武に憑依変化する。ジバニャンをはじめとするともだち妖怪と協力し、女郎蜘蛛を撃破。酒呑ハルヤも姫の正体が姫乃アヤメでないことに気が付き、再び姫を探し始める。

ナツメの覚醒

姫が見つからず焦りを感じた酒呑ハルヤが、トウマが持つ妖聖剣のフドウ雷鳴剣やスザク蒼天斬、ゲンブ法典斧を奪うことを決意。ケースケを人質に取り、妖怪探偵団を追い詰める。戦いの最中、シャドウサイドの妖怪たちに力を与えていた謎の存在・空亡（そらなき）の分身が登場。空亡は、善良な妖怪をシャドウサイドに変える力を持って妖怪探偵団を苦しめていた。空亡の分身は、酒呑ハルヤをひねり倒してしまう。続いてトウマやアキノリも弾き飛ばし、ナツメに襲い掛かる。そのときナツメが覚醒。髪や爪が伸び、目が赤く染まり、額からは角が出て、口調と雰囲気も鬼女に変わってしまう。空亡の分身を覚醒したナツメが倒してしまう。実は酒呑ハルヤらが探していた妖魔王（ようまおう）の姫だった朱夏（しゅか）の生まれ変わりは、ナツメだった。ナツメは覚醒し、朱夏の力の1部が使えるようになっていた。戦闘後元の姿に戻ったナツメは、酒呑ハルヤから妖魔界と人間界を支配を持ちかけられるも断るのだった。

姫を狙う空亡

ナツメを狙う空亡ウイルスの動きが活発化していることに気が付く妖怪探偵団ら。ハルヤ一派も朱夏のためナツメらに協力を申し出る。空亡ウイルスに襲われるナツメをかばい、洞潔が空亡ウイルスに感染。空亡ウイルスに操られた洞潔をハルヤが倒し、洞潔は命を落とした。
一方そのころ妖魔界では、空亡について調査していたエンマ大王とぬらりひょんがいた。妖魔界はエンマ大王が治めるかなり前、朱夏ら鬼族が治めていた。妖魔界でエンマ大王とぬらりひょんが、かつて朱夏の城があった場所を調査し、空亡と朱夏の間に何があったのか突き止める。空亡はかつて朱夏の父親の妖魔王の護衛をしていた鬼族の空天（くうてん）だった。空天は朱夏とも親密な関係になるが、空天が朱夏を利用して妖魔界を支配しようとしているという疑惑があがる。裏切られたと思った朱夏は、空天を処刑。その怨念が、空亡や空亡の影響を受けてしまう黒いもやもやとした形の空亡ウイルスになっていたのだった。エンマ大王らは、この話を妖怪探偵団らに伝える。

空亡ウイルスが大量発生

ナツメが鬼族の姫・朱夏に完全に覚醒させ、空亡を倒そうと考えた妖怪探偵団。トウマとハルヤは『映画 妖怪ウォッチシャドウサイド鬼王の復活』で手に入れたフドウ雷鳴剣、妖怪探偵団が封印を解いたスザク蒼天斬、女郎蜘蛛の一件で手に入れたゲンブ法典斧、洞潔がもともと持っていたアシュラ豪炎丸（ごうえんまる）に次ぐ、5本目の妖聖剣を手に入れるため、最後の妖聖剣ビャッコ大霊槍がある霊剣林に赴く。一方人間界では空亡ウィルスが大量発生。フドウ雷鳴剣を取り返す際や空亡ウィルスの存在を教えるなどナツメらの味方をしていたエンマ大王の後継者であるカイラが、空亡ウィルスに感染。ナツメらに襲い掛かるも、エンマ大王が助けに入る。カイラと戦い、勝利するエンマ大王。トウマとハルヤが5本の妖聖剣を持って戻ってくるものの、ナツメは朱夏に覚醒できない。エンマ大王によると、完全に覚醒するには生まれ変わるときにあった思い「スピリット」を思い出す必要があるとのこと。さらに妖聖剣が揃えば朱夏が蘇るという話は嘘で、本当は空亡の力が覚醒するというものだった。エンマ大王は空亡の影響を受け、乱れ始めた妖魔界をただすために、妖魔界に戻る。人間界では闇の力を取り込んだ空亡ウィルスが、正気を失った妖怪の成れの果て真魔（しんま）となり黒龍のような姿に変貌していく。覚醒できずに焦るナツメをトウマとアキノリが支える。そのとき3人にフラッシュバックが起きた。実はトウマは朱夏の守護をしていた玄冬（げんとう）、アキノリは白秋（はくしゅう）だったと発覚。3人は、前世から繋がっていたのだった。ナツメはケースケに妖怪ウォッチエルダを託し、3人で空亡を止めようとするも失敗。ナツメは、空亡に捕まってしまう。

真実

空亡ウィルスに取り込まれてしまったナツメ。空亡はパワーアップし、街を破壊するビームを繰り出す。ケースケはナツメ救出に、ジバニャンをはじめとするともだち妖怪を呼び出し、空亡の分身と戦うも苦戦する。トウマは妖怪ウォッチオーガで呼び出せる、分析能力を持つ妖怪・義経の力で空亡の弱点を分析。右手のコア、左手のコア、頭部のコアを同時に攻撃するも、空亡の力が強く完全に倒せない。一方ナツメは、空亡の内部で朱夏の城の幻を見る。空亡は朱夏に何か思い出してほしい様子。ナツメは空亡のことを思い出す。朱夏と空天は、かなり親密だった。しかし、空天の裏切りにより、朱夏は精神に大きなダメージを受けたまま亡くなってしまう。そして自分のスピリットが世界を空亡から守ることだと自覚、ナツメは生前の朱夏の能力、人格に完全に覚醒する。ところが空亡の執念からか、鬼族の姫の力で何度攻撃しても不死鳥のように蘇ってくる。苦戦する朱夏だったが、不動明王が雷鳴鉄槌切りを空亡に食らわせる。そのときナツメ、トウマ、アキノリは、過去に飛ぶ。そして空天が朱夏を裏切るという情報は嘘で、空天が力をつけることを恐れた鬼族に朱夏らは騙されていたことがわかったのだ。空天に謝罪し、共に成仏する朱夏ら。エンマ大王の活躍により、妖魔界も無事だった。皆は普通の日常を取り戻す。

『妖怪ウォッチ シャドウサイド』の登場人物・キャラクター

主要人物

天野 ナツメ / 朱夏（あまの ナツメ / しゅか）

CV：悠木碧
本作の主人公、さくら第2中学校2年B組の13歳。父親は『妖怪ウオッチ』シリーズ主人公のケータ、母親は同じシリーズに登場したケータのクラスメートのフミちゃん。正義感が強く、ツッコミ役に回る優等生。妖怪ウォッチエルダの持ち主で、妖怪探偵団の一員。前世は、妖魔界を統べていた鬼族の姫朱夏。

天野 ケースケ（あまの ケースケ）

CV：戸松遥
もう1人の主人公。ナツメの弟で、ケータの息子。妖怪は信じていないが、怖がり。さくら元町第一小学校に通っている11歳。姉の妖怪ウォッチエルダを身に着けて、ともだち妖怪を呼び出すこともある。妖怪ウォッチエルダの影響か、妖怪が見えるようになる。