宇宙の騎士テッカマンブレード(タツノコプロ)のネタバレ解説・考察まとめ

『宇宙の騎士テッカマンブレード』とはタツノコプロが1992年に制作したSFアニメである。宇宙進出を果たした未来世界において、突如宇宙から襲来した侵略者ラダムと、仮面の超人・テッカマンブレードとの、人類の存亡をかけた壮絶な死闘が描かれる。原作『宇宙の騎士テッカマン』では描かれなかった、肉親と戦い葛藤する要素を取り入れており、主人公・Dボゥイが、肉体的・精神的に極限まで追い詰められ全てを失いながらも、敵に改造された兄弟・友人と死闘を繰り広げるという、非常にハードな展開が特徴である。

相羽家の長男・ケンゴがテッカマンとなった姿。身体精神ともに成熟しリーダーシップを備えた人物であったことから、司令型としてラダムテッカマンの首魁となった。ラダム宇宙船と一体化しており、宇宙船中枢から動かず、主に他のテッカマンに指令を下していた。他のテッカマンに比べて2倍程度の体躯を持つが、実際にはケンゴ自身の身体の上に、上半身が二人羽織のように覆い被さっている。そのため、腹部の装甲を展開すると、ケンゴの素顔が露出する。ラダム本体も2体寄生しているなど、複雑な構成のため他のテッカマンのように人間の姿に戻れない。最終決戦時には、完全に宇宙船と一体化し、テッカマンブレードが遙かに見上げるほどの巨大な姿に変貌した。4本の腕からは自在にボルテッカを放ち、強力な触手を無数に操る。飛びかかったブレードは簡単に返り討ちに遭い、間に入ったペガスが瞬時に八つ裂きにされるなど、次元の違う圧倒的な戦闘力を見せつけた。しかしその強大さが呼び水となったのか、ブレードはブラスター化のさらにその先に進化し、全ての攻撃を跳ね返すと、究極のボルテッカを放つ。オメガは宇宙船ごと消滅し、ラダムの野望は潰えることになったのだった。武装は以下の通り。

テックランサー:テックフルートの固有名を持ち、先端に翼のような刃が飛び出た錫杖型の近接武器。しかし作中格闘戦に使用されることも、フルートの名に反して楽器として使われることもなった。
ハンドボルテッカ:巨大な腕部から照射するボルテッカ。通常のボルテッカと同等の威力をもち、さらに連射が可能。相手が消滅するまで無尽蔵のフェルミオンを叩きこむ。肩部からもボルテッカを放つ。
ダミーテッカマン:迫りくるブレードの前に出現した、アックス・ランス・ソードの土人形。ゴダードやフォン、モロトフのことを想起させ、攻撃を躊躇させる目的だったらしく、作中描写を見る限り攻撃能力はない。全ての記憶を失ったブレードは何のためらいも無くなぎ払っていた。
テレポート:その巨体からは想像できないが、圧倒的な機動性で、瞬時にブレードの背後を取っていた。
触手:ハンドボルテッカと並ぶ、オメガの主力武器。最初にブレードを捕らえたときはテックランサーに切り裂かれていたが、打突においてその真価を発揮する。一撃でテッカマンの装甲を打ち砕くその威力の前に、ブレードは手も足も出ずにズタボロにされ、ペガスは簡単に解体された。

ブラスターテッカマン

テッカマンは知的生物をベースとした生体兵器であり、進化の余地を残していた。成功率50%の賭けを乗り越え、進化した姿がブラスターテッカマンである。ブラスター化への進化は常人を超える凄まじい精神力と体力を要求され、資質を兼ね備えていたとしても、成功が確約されたわけでは無い。クリスタルフィールド内で一定時間エネルギーを浴び続けるという方法で、進化が促進される。テッカマンブレードの場合はクリスタルの破損、肉体が病変といった、不利を抱えての挑戦であり、その成功確率は50%とされていた。テッカマンエビルが挑戦した際の成功率は不明。作中ではブラスター化を果たしたのは、ブレードとエビルの2体だけである。ブラスター化を果たしたテッカマンだが、最初にテックセットした姿は通常と変わらない。しかし、任意で二段階変身が可能であり、各部装甲を突き破ってあらたな装甲が展開され、ブラスターテッカマンとしての姿を現す。テックランサーから放つ光波で廃墟群をふきとばす、地球を数分で周回する、並のボルテッカをバリアで簡単に防ぐなど、通常のテッカマンを遙かに超えた戦闘力を誇り、他のテッカマンはその凄まじい戦闘力に反撃すらままならない。しかし、無敵の力を手に入れた代償として、その身体には何らかの異常が現れる。Dボゥイは徐々に記憶を失っていく健忘症を発症し、テッカマンエビル=シンヤは吐血し立つことすら困難になっていた。

ブラスターテッカマンブレード

ブラスターテッカマンブレード

テッカマンブレードがブラスター化した姿。1回り分厚い装甲を備え、背部に伸びた帯状のウイングと大型化したスラスターが特徴。並のボルテッカをバリアで無効化する。巨大なテックランサーからは、一振りでボルテッカに匹敵するフェルミオンの光波を放つ。地球を周回するほどのスピードで飛び回るなど、常軌を逸した性能を見せた。その圧倒的な戦闘力でテッカマンランスを翻弄した上に超ボルテッカで消滅させた。しかし、その脳では急激な若年性健忘症が進行していた。常に仲間に呼ばれていた「Dボゥイ」というニックネームすら忘れ、肝心のテックセットのしかたすら忘れる。しかしラダムへの怒りと憎しみだけは精神の根底に残り、ついに自我を失った状態でテッカマンオメガごと、ラダム宇宙船を消滅させるに至る。ちなみにこの時は、オメガの強大な戦闘力に呼応するように、ブラスター化のその先に進化したような描写がされていた。莫大なフェルミオンをまとい、もはや装甲自体が無用になったのか、ブラスターテッカマンブレードの姿と、全裸の状態が交互に描かれていた。そして究極のボルテッカがラダム宇宙船を包み込み、衝撃波とともに木っ端みじんにした。武装は以下の通り。

テックランサー:専用の近接武器。矛先が二段重ねになったエビルのテックランサーに似た形状になった。一振りでボルテッカ並みのフェルミオン光波を放つ。その威力は廃墟の一群を吹き飛ばしていた。その反面、分離機能などは無くなっている。
クラッシュ・イントルード:通常のブレードも使うフェルミオンをまとった突撃形態だが、ブラスター化によってその威力は跳ね上がっており、ラダム獣の近くを通っただけで消滅させるほどになる。
超ボルテッカ:ブラスターテッカマンブレード最大の武器。両肩のアーマーと両前腕アーマーが展開して、1箇所につき3つのボルテッカ発射口が現れる。そこから放たれたボルテッカは、ラダム獣や敵テッカマンを簡単に蒸発させ、地形を変えてしまうほどの威力を持つ。PSYボルテッカほどでは無いが発射後に射線をねじ曲げて敵に誘導することも可能。発射する前に溜めモーションが入るが、付近にいたラダム獣はその余波だけで押し潰されてしまう。その様子を見たノアルとバルザックは一目散に退避したが、戦闘が終わった後はソルテッカマンの装甲はボロボロになっていた。ちなみに作中で「超ボルテッカ」とは呼ばれず、一貫して「ボルテッカ」と叫んで発射していた。

ブラスターテッカマンエビル

ブラスターテッカマンエビル

テッカマンブレードが得た圧倒的な力に対抗するために、テッカマンエビルがブラスター化した姿。能力的にはブラスターテッカマンブレードと同等であり、さらにシンヤが発する勝利への気迫と執念によってその戦闘力が高められている。ブラスターテッカマンブレードとは違い、装甲の変化は主に上半身に集中している。これはエビル自体が十全にフォーマットされた完成体のテッカマンであるため、ブラスター化によって強化される箇所も限定的であったと考えられる。背部に巨大なスラスターと尾が出現し、大型化した肩部は上下に開閉してスラスターが露出する。ブレードとの壮絶な死闘の末、誇るようにブラスターテッカマンとしての姿を晒すエビルは、地球を周回しながらブレードと矛を交え、ついに超ボルテッカ同士の撃ち合いにもつれこむ。相打ちかと思われた直後、裂帛の気合いで爆風をくぐり抜け、ブレードの心臓を貫かんと突貫するエビル。しかし最後の瞬間にブラスター化の代償を支払うことになり、ついにエビルは倒れた。武装は以下の通り。

テックランサー:先端が鋭利な刃になったが、束付近にトゲが増えた形状になった。ブラスターテッカマンブレードと同じ性能を持つと思われる。
バリア:手のひらをかざした先に赤いバリアを展開し、廃墟を一撃で灰燼と化すブレードの攻撃を無反動で防いでいた。
超ボルテッカ:通常のボルテッカを遙かに超えた威力を持つブラスターテッカマンエビル最大の武器。ブラスターテッカマンブレードと全くの互角であり、ぶつかり合った2つの超ボルテッカは大爆発を起こして相殺された。作中はっきりとは描かれていないが、胸部の左右計6つにくわえ、その下に出現した目のような部位からも発射していると思われる。

ラダム

ここで述べる「ラダム」とは、宇宙から飛来した宇宙生命体としてのラダムと、その尖兵であるラダム獣のことである。ラダムの尖兵として登場するテッカマンも、その実体はラダムに捕らえられて洗脳された被害者であるため、別枠で紹介している。ちなみにDボゥイがその名を口にするまで、地球側ではその名称及び正体は一切不明であり、単に「宇宙生命体」「エイリアン」と呼ばれていた。テッカマンと化した人間を介して会話が成立しているように錯覚してしまうが、実際のラダム自体とは、感覚も思考方法も全く異なるため、そもそも意思疎通は不可能。

ラダム(本体)

エビルの体内から這い出したラダム本体

死が避けられなくなったテッカマンエビルの体内から出現するまで、その正体が一切不明だった。侵略者ラダムの真の姿。今際の際に語ったシンヤによると、「脳髄だけが高度に進化した知的生命体」とのこと。ラダム獣の幼生に似た外殻を持ち、かん高い鳴き声を発する。無目的にうろつくその姿に知性は感じられないが、そもそも外界を知覚する感覚器すら持ち合わせていない可能性が高い。ラダムテッカマンの体内にはもれなくこのラダム本体が寄生し、強力に支配している。ラダム宇宙船の船内にはオメガが「ラダムの民」と呼ぶラダム本体が無数にひしめいている区画があり、地球に用意された非戦闘型テッカマンに寄生するために待機していた。

ラダム獣

ラダム獣

緑色の体表と蜘蛛のような姿をした巨大な怪物。ラダムの侵略兵器。通常、単にラダム獣と呼ぶ場合はこちらを指す。強靱な外皮は人類の兵器を全く受け付けず、鋭い爪は兵器や施設の外壁を簡単に引き裂く、口吻部から吐き出す触手は人体を引き裂く威力を発揮するなど、人類には強大すぎる敵。占拠したオービタルリングの中で大量に育成されており、体を丸めた大気圏突入形態で地球に降下する。そして人類側の抵抗を排除した後はその形態を変化させ、「ラダム樹」と呼ばれる植物形態になる。ラダムの重要な戦略物資でもあり、「人類の抵抗を徹底的に排除し、その意思をくじいて従順な家畜と化す」「ラダム樹となり地球をラダムの母性と同じ環境にプラネットフォーミングする」「取り込んだ人間を非戦闘型テッカマンにフォーマットして、ラダムの民に提供する」と、侵略の全体に欠かせない存在である。

飛行ラダム獣

飛行ラダム獣

「成層圏の悪魔」と称される、飛行能力を獲得したラダム獣。巨大なコウモリのような姿をしており、大気圏内外を問わない飛行能力をもち、戦闘能力も通常のラダム獣に匹敵する。口吻部から粘液を吐き、敵の動きを封じる。成層圏に巨大な巣を設営し、前線基地としている。ここから飛び立った飛行ラダム獣によって、連合軍が打上げた艦艇はすべて撃墜された。その他、発電所からエネルギーを奪取し、ラダム獣育成の滋養とする場面も見られた。テッカマンブレードですら、初戦で飛行ラダム獣の機動性に苦戦し、初の撤退を余儀なくされた。

騎乗ラダム獣

騎乗ラダム獣

主にラダムテッカマンが移動用に使用する飛行ラダム獣。通常の飛行ラダム獣とは姿が異なり、紫色の体躯に翼を持たず、赤い1つ目を持つ。作中では単体で出現することは無い。攻撃能力は無いが、ペガスと互角のドッグファイトを繰り広げる程度の強靱さを持つ。なお作中において名称が不明であったため、「騎乗ラダム獣」は仮称である。

巨大ラダム獣

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