宇宙の騎士テッカマンブレード(タツノコプロ)のネタバレ解説・考察まとめ

『宇宙の騎士テッカマンブレード』とはタツノコプロが1992年に制作したSFアニメである。宇宙進出を果たした未来世界において、突如宇宙から襲来した侵略者ラダムと、仮面の超人・テッカマンブレードとの、人類の存亡をかけた壮絶な死闘が描かれる。原作『宇宙の騎士テッカマン』では描かれなかった、肉親と戦い葛藤する要素を取り入れており、主人公・Dボゥイが、肉体的・精神的に極限まで追い詰められ全てを失いながらも、敵に改造された兄弟・友人と死闘を繰り広げるという、非常にハードな展開が特徴である。

相羽ケンゴ(あいば けんご)

CV:若本規夫
相羽家の長男。22歳。テッカマンオメガの正体。アルゴス号の土星調査船団では父孝三の助手兼サブリーダーとして活躍していた優秀な人物。そのためか、ラダムテッカマンの統率役や、宇宙船との一体化し制御する役目までこなす、最強のテッカマンとして生まれ変わる。初登場にはすでにラダム宇宙船との一体化を果たしており、月の裏側に不時着した船内中枢にて、司令塔としてその場を動かずに配下のテッカマンに指示を与えていた。テッカマンとなってからは人間体に戻ることはなく、テッカマン形態の腹部装甲が展開し、人間であった頃の面相を覗かせる。最終決戦時は、宇宙船と一体化しきった巨大な姿を現し、その圧倒的な力でテッカマンブレードを翻弄した。完全な戦闘マシーンと化したブレードを軽く蹴散らし、テッカマンの装甲を、触手による攻撃で引き裂く。割って入ったペガスを即座にバラバラにするなど、次元の違う戦闘力を見せた。しかし覚醒しブラスター化したブレードの放つ、フェルミオンの光柱に触れることもできず、放たれた極大の超ボルテッカによって宇宙船ごと消滅していった。

人間であった頃は、年の離れた弟たちにとって1番近い大人であり、頼れる存在だった。タカヤ達がラダムに襲われている時に、ミユキが真っ先に助けを求めたのは、コールドスリープから未だ目覚めないケンゴだった。おなじアルゴス号に登場していたフォンは長年交際していた恋人で、土星への出航前に婚約指輪を渡している。家族の提案で、土星の周回軌道上での宇宙結婚式を予定していたが、結局果たされなかった。

フリッツ・フォン・ブラウン

フリッツ・フォン・ブラウン

CV:飛田展男
アルゴス号乗組員。27歳。最初にテッカマンブレードの前に立ち塞がったラダムテッカマン、テッカマンダガーの正体。Dボゥイ=テッカマンブレードに対して異様な劣等感と憎悪を持ち、裏切り者と呼ぶ。地球圏に帰還し、オービタルリング上にてラダム獣と戦闘を開始したブレードに対し、奇襲を仕掛けて大気圏に突き落とす。その後も何度となくブレードと刃を交えるが、テッカマンとしての戦闘能力に勝るブレードに対して分が悪かった。それでも、ラダム獣を盾にする、民間人を装いおびき出す、ラダム宇宙船から持ち出した妨害装置でテックセット不能に追い込むなど、持てる全てをつかってブレードを追い込んだ。特にブレードのクリスタルを破壊して1度はテッカマンとして再起不能に追い込み、勝利は確実かと思われた。しかし、テックセット出来ない生身のDボゥイをなぶり殺しにしようと時間をかけた結果、完成したペガスとの合流を許してしまったことで、その命運は尽きた。最後は復活したブレードにコスモボウガンによる全力射撃を浴びせるが通用せず、ボルテッカによって消滅した。Dボゥイ=タカヤにとっては人生で初めて犯した殺人行為であり、フリッツとは深い親交はなかったが、罪を背負った自分に慄然としていた。

ラダムに取り込まれる前は、20代後半の、物静かそうな青年であった。ケンゴとフォンの結婚が決まった時は、穏やかな笑顔で拍手を送っていた。

ゴダード

ゴダード

CV:島香裕
アルゴス号の乗組員。テッカマンアックスの正体。相羽孝三博士の助手であり、電子工学の専門家。かつ格闘技全般に通じ、実力はプロ級。Dボゥイいわく「その道に進んだ方がお似合い」らしい。Dボゥイはシンヤと共に、彼から格闘技の手ほどきを受けた。テッカマンとなってからは、元の豪放磊落な性格が極端になり、愉快そうに人間を殺戮していく狂気じみた人格を得る。テッカマンオメガに「人間を殺しすぎるな」と釘を刺されるほどであった。ラダムの本能とは別に、親友・孝三の息子であるシンヤの身を心配していた。そのため彼が、タカヤのことになると冷静さを欠き、足下をすくわれることを恐れていた。自分がDボゥイを実力でねじ伏せるか、それがかなわない場合は、みずから始末するつもりで戦いを挑む。弟子であるDボゥイの動きを見切り、テッカマンブレードを終始圧倒し、幾度となく追い詰めたが、捨て身の手刀を打ち込まれてついに敗北を悟る。ボルテッカで自爆するが、道連れにしようとしたブレードには逃げられる。

人間だったころは相羽家と家族ぐるみの付き合いがあり、双子の兄弟をタカヤ坊・シンヤ坊と呼び可愛がっていた。孝三と兄弟を伴い、ガイド役として登山する場面もある。

フォン・リー

フォン・リー

CV:横尾まり
アルゴス号乗組員であり、テッカマンソードの正体。アジア系の美女。人間の頃は相羽ケンゴの婚約者であり、ラダムに取り込まれた後もケンゴを誰よりも愛する。しかしその愛情が狂気的に増幅され、人間はおろか他のテッカマンすら、ケンゴを守るための捨て駒としか思わなくなっている。テッカマンエビルを上位存在として様付けで呼ぶが、テッカマンオメガ=ケンゴに指示されていないと言い放ち平然と命令を無視する。眠りにつくオメガから全権を委任され、シンヤの面倒を頼まれていたにもかかわらず、ブラスター化を手引きしてテッカマンブレードへの当て馬にした。オメガの命令に背いてでも彼を守り、叱責も受け流す様子は、歯止めのきかなくなったケンゴへの愛情の裏返しである。記憶の混乱するDボゥイを見て、とっさに懐柔策にでるなど、狡猾な面もある。最終決戦時は、月を目指して飛び立ったブルーアース号を迎撃する。バルザックのソルテッカマンが撃ち込む対テッカマンの切り札、干渉スペクトル砲によって追い詰められる。しかし最後の力を振り絞り、ボルテッカでブルーアース号を撃墜した。その後バルザックが捨て身のゼロ距離射撃を敢行すると、死の間際までケンゴへの想いを胸に散っていった。

徹夜勉強で居眠りするフォンに、ケンゴがガウンを着せる回想が描かれ、彼とは学生時代から交際があった模様。土星へ出発する直前、ケンゴから大粒の誕生石をつかった豪華な婚約指輪を送られ、アルゴス号クルーに祝福されていた。土星圏に到着した暁に、宇宙で結婚式を挙げる予定だったが、結局その夢は果たされることなく生涯を終えた。

モロトフ

モロトフ

CV:小杉十郎太
アルゴス号クルー。テッカマンランスの正体。鋭い眼光と赤いコートが特徴。テッカマンエビルの配下という扱いではあるが、自分の能力に絶対の自信を持ち、エビルすらライバル視する。ラダム化によりその秘めていた功名心を暴走させられている。テッカマンとしての能力もエビルに匹敵すると評されており、そのことが彼の成り上がりたい衝動を後押ししているようだ。エビルより優秀であることを証明するため、命令を無視して、ブラスター化処理の最中であったテッカマンブレードを襲撃する。基地の人員が総出で迎え撃つが、人間を「蟻ども」とさげすみ、いたぶるように殺戮していった。人間達が犠牲になって、ブラスター化完了直前まで時間を稼ぐが、ついに目覚めないブレードの前にたつ。しかしバーナード軍曹が放った宇宙信号弾で視界を塞がれ、ブラスターテッカマン完成を許してしまう。先ほどまで無敵を誇っていたのが嘘のように、ブラスターテッカマンブレードに翻弄されると、取り乱しながら至近距離のボルテッカを直撃させて勝利を確信する。しかし全く無傷のブレードに逆に超ボルテッカを浴びて、跡形もなく消滅していった。

人間であった頃は、少なくとも表面上は紳士的な青年であり、フォンの結婚式が決まった時には、他のクルーと共に穏やかな笑顔で拍手していた。

地球連合軍

コルベット

コルベット

CV:大滝進矢
地球連合軍の准将。会議ばかりで実行性のない無能な軍首脳の中ではタカ派であり、戦時下とはいえ37歳という若さで准将に上り詰めている。戦果や手柄のためなら手段を選ばず、テッカマン重用を迫ってスペースナイツ基地に威嚇射撃をするなど、強引で強権的な手腕が目立つ。フリーマンから盗用したデータを元にソルテッカマンを完成させ、たった1機のソルテッカマンを中心に反攻作戦を立案するが、テッカマンエビルにはまるで敵わず、惨敗の憂き目に遭っている。その後、フェルミオン兵器の威力に心酔した彼は、狂気のままに超巨大なフェルミオンミサイルを完成させる。オービタルリングのラダム獣を一掃しての勝利を信じて疑わないコルベットは、軌道エレベーター崩壊の余波で数億人が犠牲になるとして反対する部下を、射殺するに至る。月にラダムがいるという情報を持ってきたブレードの説得を嘲笑しながら、英雄になる妄想に囚われて発射ボタンを押してしまう。やむなくブレードがボルテッカでミサイルを打ち落とすと、落ちてきた巨大なフェルミオンに押しつぶされて基地ごと消滅する。

暴挙の果てに自滅した彼ではあるが、最初から兵士や市民の命を軽視してフェルミオンミサイルかかった肝いりの作戦にもかかわらず、兵士の生還率を考えてスペースナイツに陽動を依頼する。市街地を守るために、暴走するテッカマンブレードに対して禁じ手の反応弾(核兵器の1種)を使用するなど、軍人としての矜持は捨てていなかった。しかし、無責任に足を引っ張る周囲の将官からの圧力の中、強大なラダムによる攻勢の前に劣勢に立たされつつ、常に戦果を求められる状況が続き、ついに精神に変調をきたしたようである。

バーナード・オトゥール

バーナード・オトゥール

CV:池田勝
連合軍兵士。フルネームは。荒くれ者揃いの特殊部隊を酒と女で景気づけ、率いる歴戦の軍曹。右目には傷跡が走る隻眼。半年前に失敗した高速宇宙艇奪回作戦に再び挑んでいた。しかし、その最中に立ち往生していたところを、救助に来たDボゥイと出会う。作戦続行をはばむDボゥイを酒呑み勝負に巻き込み、酔い潰れた彼を強引に作戦に引き込んだ。辿り着いた目的地で戦友の遺体に語りかけ、何があっても生き残り、仲間を守れ、とDボゥイに戦場の掟をアドバイスする。この言葉は後々までDボゥイの胸に残った。テッカマンアックスとの決戦時に再び登場し、その危機を救う。フリーマンからの伝言を携えており、基地に帰還するように促した。ブラスター化に挑戦中で身動きのとれないDボゥイを、テッカマンソードの急襲から命がけで守る。捨て身の目くらましで稼いだわずかな時間が、ブラスターテッカマン完成につながった。最後はフリーマンに介抱されながら、酒瓶を一口あおり、最後までDボゥイの身を案じて息を引き取った。

ペガスがときおり歌う「ダニー・ボーイ」はバーナードが教えた。レビンは即座に初期化しようとしていたが、Dボゥイは残してほしいと頼んでいた。

バルザック・アシモフ

バルザック・アシモフ。左が初期(第17話)右が後期(第33話)

CV:堀内賢雄
連合軍少佐。25歳。のちにソルテッカマン1号機の装着者になる。諜報員としてスペースナイツに侵入。従軍カメラマンを装う。コルベット准将の指令でテッカマンのデータを盗み出そうと暗躍していた。フリーマンから手渡されたテッカマンの研究データを手に軍に帰還すると、親友マルローと共に、地球製テッカマン・ソルテッカマンを完成させる。マルローの死を前に、どこまでも出世して権力を握ることを誓う。そしてテッカマンとして活躍するDボゥイを邪魔者と憎みののしる。野心を賭けたオービタルリング奪還作戦に中心戦力として参加するが、ソルテッカマンのフェルミオン砲はテッカマンエビルに全く通じず、惨敗し行方不明になる。生き延びた先でリルルとその弟が営む小さな農家に拾われ、スペースナイツと偶然再会するまで農夫として汗を流していた。夕日に輝く小麦畑に感涙し、リルル達を守りながら生涯農夫として生きていこうと決心していたが、一方で親友マルローを死に至らしめたラダムに一矢報いたい衝動を抱えていた。リルルの懇願で、再び戦場に戻る決意をしたバルザックは、半壊したソルテッカマン1号機に乗り込んだ。フェルミオン砲とレーザーガンの連射でテッカマンアックスをひるませ、テッカマンブレードに反撃の糸口を与える。アックス撤退後、密かに備蓄していたフェルミオンを交渉材料にスペースナイツに同行を申し出る。Dボゥイはその瞳に、自分と同じ悲しみを見て、快く同行を認める。スペースナイツに合流後はソルテッカマン1号機改を駆り、ブレードの戦いを支援する。最終決戦時、ソルテッカマン2号機をノアルから借り受け、テッカマンソードを迎え撃つ。装備された干渉スペクトル砲を命中させたが、1発では撃破に至らず、捨て身のゼロ距離射撃を敢行。ソードと共に大気圏へ落ちていった。戦後、彼の功績をたたえた連合軍は、「バルザック勲章」を新設した。

リルルのもとを離れた時、彼女のお腹にはすでにふたりの子供が宿っていたらしい描写がある。同じニヒルな金髪キャラ、ついでにソルテッカマン要員と、キャラがかぶっているノアルとの差別化の事情か、後半は極端に色黒になり、アゴの形まで変わっている。

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