宇宙の騎士テッカマンブレード(タツノコプロ)のネタバレ解説・考察まとめ

『宇宙の騎士テッカマンブレード』とはタツノコプロが1992年に制作したSFアニメである。宇宙進出を果たした未来世界において、突如宇宙から襲来した侵略者ラダムと、仮面の超人・テッカマンブレードとの、人類の存亡をかけた壮絶な死闘が描かれる。原作『宇宙の騎士テッカマン』では描かれなかった、肉親と戦い葛藤する要素を取り入れており、主人公・Dボゥイが、肉体的・精神的に極限まで追い詰められ全てを失いながらも、敵に改造された兄弟・友人と死闘を繰り広げるという、非常にハードな展開が特徴である。

Dボゥイ/ブレード「へっ、俺はデンジャラス・ボーイだ」

「へっ、俺はデンジャラス・ボーイだ」とハル(左)の末期の頼みを聞き入れ、形見を受け取るブレード(右)

第9話。カル博士の頼みを引き受けたときに発したセリフ。フリーマンから聞いたままの「デンジャラス・ボーイ」と呼び続けていたカルが「危険な仕事だぞ」と絞り出した言葉に、「へっ、俺はデンジャラス・ボーイだ」とあえて軽口を叩く。カル博士は最後に形見を託して事切れる。その亡骸を、船が爆散するまで守っていたことから、Dボゥイはその姿に、父の面影を重ねていた様子。それだけに、その死を数字で語る連合軍に、は嫌悪を募らせる。

バーナード「まず生き残ること。生きて帰って、仲間の命を守り続けること。それが戦場の掟だ」

バーナードが戦場の掟を語り終えてほほ笑むシーン

第10話。戦死者ひとりひとりに語りかけるバーナード軍曹を見守っていたテッカマンブレードに、「お偉いさんがなんと言おうと戦うのは俺たち兵士だ。死んじまったら元も子もねえ。まず生き残ること。生きて帰って、仲間の命を守り続けること。それが戦場の掟だ」と諭す。この言葉は後々までDボゥイの胸に残る。その後軍人に対する偏見はなりをひそめた。

シンヤ/エビル「俺たちは双子だ。元々ひとつだったモノがふたつに分かれたんだ。どちらか勝った方が生き残ればいい……生き残ればなあ!」

エビルが「俺たちは双子だ。元々ひとつだったモノがふたつに分かれたんだ」と言うシーン。途中まではとても穏やかな口調なのがかえって恐ろしい

第13話。エビルが初対決の時に言い放ったセリフ。とまどいながらも闘志をぶつけ始めたテッカマンブレード。鍔背リ合いをしながらテッカマンエビルは愉快そうに「同じ母の胎内で一緒に過ごした者同士が争う……まるで自分と戦ってるみたいじゃないか、兄さん」とこぼす。取り落としたブレードのテックランサーを踏みにじりながら「俺たちは双子だ。元々ひとつだったモノがふたつに分かれたんだ。どちらか勝った方が生き残ればいい……生き残ればなあ!」と叫ぶ。ラダムと化したエビル=シンヤの行動原理は全てこのセリフに現れている。

アキ「あなたの30分をわたしにちょうだい!」

「あなたの30分をわたしにちょうだい!」というアキ(左)の言葉に、思わず彼女を抱き寄せるDボウイ(右)

第20話。度重なる心労によってPTSDを発症し、躁鬱に陥ったDボゥイに対し、アキが訴えたセリフ。テッカマンになって仲間を傷つけることを極度に恐れるDボゥイ。この時彼に対する好意を自覚したアキが、「あなたの30分をわたしにちょうだい!例えあなたが悪魔になって、あなたに殺されるその瞬間でも、わたしはあなたを信じる。だから、だからあなたの持つ30分を、わたしに、わたしにちょうだい!」と涙ながらに訴える。そんなアキを抱きしめたDボゥイはメンタルを回復し、テッカマンブレードとしての戦いを再開した。女性に受け入れられる経験を得て立ち直る様子は、Dボゥイが今までいかに孤独に耐えて戦ってきたのかを感じさせる。

孝三「さらばだタカヤ。この名前も今日から忘れるんだ。お前が倒すのは兄でも弟でもない、侵略者ラダムなのだ」

脱出ポッドの射出レバーに手をかけながら息子タカヤに非情な使命を託す孝三

第24話。回想の中でラダム宇宙船から相羽孝三が息子タカヤを脱出させる際に言い聞かせたセリフ。テックシステムから排除され、余命幾ばくも無い孝三はタカヤを救い出し、脱出ポッドに押し込めると使命を託す。「お前の使命とは、やつらに肉体を乗っ取られたシンヤやミユキをお前の手で倒すことだ」と言い聞かせる。「さらばだタカヤ。この名前も今日から忘れるんだ。お前が倒すのは兄でも弟でもない、侵略者ラダムなのだ」と言い残し、射出レバーを引く。子煩悩であった孝三にとっては断腸の思いであったに違いない。この遺言通り、Dボゥイは名前も捨ててラダムとの戦いに臨む。

ミユキ/レイピア「あなたたちに殺させはしない。お兄ちゃん……」

最初で最後のボルテッカを放ち、その身と引き換えに愛する兄タカヤを守り切ったミユキ

第26話。体内のボルテッカを暴走させた際に、こぼした最後の言葉。瀕死の体にむち打ってテックセットしたミユキ=テッカマンレイピアは、戦闘力に勝るテッカマンエビル達敵テッカマン4体に果敢に挑むも、あえなく組み伏せられる。磔にされ、兄や信頼していた大人達に切り刻まれるも、心中は兄タカヤを守りたい一心だ。そしてエビル達がテッカマンブレードの接近を感じて一瞬の隙を見せた瞬間、「あなたたちに殺させはしない。お兄ちゃん……」と言い残して、ボルテッカの光の中に消えていった。射出口を持たないレイピアにとっては、ボルテッカは自爆装置そのものである。その地形を変えるほどの異常な威力が、ミユキが胸に秘めた兄への愛を感じさせる。

Dボゥイ「あいつ、俺と同じ眼をしていたんだ」

やけに物わかりがいいDボゥイ(左)にノアル(右)が疑問を投げかけるシーン

第33話。バルザックの同行を快く受け入れたDボゥイの様子をいぶかしんだノアルの問いかけに返したセリフ。スペースナイツに強引に加入しようとするのを、ノアルは「うさん臭い」と拒絶する。しかし以前その罵声によって精神を病んだことすらあるDボゥイが、自ら握手を求めて「助かるよ」と歓迎する。理由を尋ねたノアルに、「あいつ、俺と同じ眼をしていたんだ」とこぼす。夢も親友の命も蹂躙され、ラダムへの怒りと憎しみを抱えるバルザックに、己を重ねたDボゥイの心情が表れている。

アンジェラ「わたしも、あんたの思い出になるよ。忘れるんじゃないよ、その怒りを……!」

ラダムへの怒りと憎しみを忘れないよう言い残し、ニードル弾を打ち抜くアンジェラ。亡き夫にそばに行くと呼びかけながら爆死した

第43話。オービタルリング奪還作戦に同行した亡きバーナード軍曹の妻、アンジェラの遺言。テッカマンブレードやソルテッカマンが強敵・ラダムマザーの前に組み伏せられ、仲間の兵士達も次々と倒れる。Dボゥイの危機を救うべく、突撃してラダムマザーに肉薄するアンジェラだったが、触手攻撃によってあえなく串刺しにされてしまう。記憶を無くしていくことに怯えていたDボゥイに、「わたしも、あんたの思い出になるよ。忘れるんじゃないよ、その怒りを……!」と、自分の死を新たに刻みつけ、ラダムへの怒りの炎を絶やさぬように諭すと、不発だったニードル弾を打ち抜き、爆風を至近距離から浴びて死んでいった。この言葉通りに、最終決戦において記憶も人格も無くしたDボゥイは、ラダムへの怒りと憎しみのみで戦いを続行する。

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