Return of the Obra Dinn(ゲーム)のネタバレ解説・考察まとめ

『Return of the Obra Dinn』とは、ルーカス・ポープの監督による謎解きアドベンチャーゲームである。白と黒のみの1ビットで表現されるグラフィックが特徴的だ。
舞台は19世紀初頭、5年間消息を絶っていた「オブラ・ディン号」が船員ゼロで帰港。保険調査官である主人公は、損害査定書の作成のため同船に派遣され、奇妙な懐中時計を使って乗客、乗員60人の死因や推定現在地を割り出す。懐中時計の特別な力で、主人公は死者の最期の場面を確認し、これを基に船上で起きた真実を紐解く。

船からの逃走を試みている乗員たちに甲板員ラーズ・リンデが近づき、自分も船に乗せるよう迫る。しかし、逃げようとしていた甲板員に、第I章の事故について兄を殺したと因縁をつけられ、ラーズはそのまま殴り殺されてしまう。

クラーケン襲来

数人が逃走を図っている間に、オブラ・ディン号にはクラーケンが忍び寄る。クラーケンの最初の犠牲者は画家のエドワード・スプラット。船首にて、クラーケンの触手がエドワードの体に巻き付けられ、そのまま体を潰され死亡している。この瞬間、まだ他の船員たちはクラーケンの存在に気づいていない。

砲列甲板の崩壊

クラーケンの襲来に気づいた船員たちは、激戦を展開している。大砲で応戦する中、クラーケンの触手が船内に侵入。船員の1人が火のついた大砲と共に触手に巻き付かれてしまう。またこのとき、掌砲長も触手に捕まっており、掌砲長は火のついた大砲の口へと押しつけられる。掌砲長は「導火線を消せ!」と必死に叫ぶも時既に遅く、大砲は発射されてしまい、掌砲長と共に彼を助けようとした船員も同時に死亡している。船内で発射された大砲は、衝撃で別の大砲に衝突。そのとき船が大きく傾き、固定を失った大砲は1人の船員めがけて倒れる。船員は大砲と壁に挟まれ圧死する。

破滅と妻の死

船上でも船員たちは必死に戦っている。剣や銃で攻撃するも、クラーケンにはかすり傷だ。1人は爆発に巻き込まれ、1人は2本の触手で体を引きちぎられた。海に落ちていく船員も数名おり、船は見るも無惨な状況である。そんな中、船長に会いたくて船上に出てきてしまった船長の妻は、クラーケンの触手が握る帆桁で殴打されてしまう。帆桁は、マストの横向きの棒のことである。

第VIII章 取引

この章は、船上での調査時点では明らかにされず、最初は伏せられている章である。主人公の保険調査官は調査の1年後、手記の著者ヘンリー・エバンズの代理人から手紙が届いた後に本章で何が起こったのか知ることになる。

貝殻の美しさ

第V章にて船尾倉庫にフォルモサ王族の箱と人魚たちと閉じ込められた1人の司厨手。彼が箱を開けると、中は銀色の液体で満たされており、そこに手を入れたために腕を焼かれてしまう。液体の中から取りだした貝殻を手に、その美しさに感動しながらも彼は静かに亡くなる。この死因は、第IV章で死亡するフォルモサの老人シア・イトベンと同じである。司厨手自身は液体を水銀だと認識していたように見えるが、水銀と反応して発火する物質は見つかっておらず、液体が水銀ではないか、貝殻が未知の物質か、真相は不明である。

船長の怒りの矛先

怒り狂った船長が船尾倉庫内にやってきた。船長は人魚に対して、巨大なカニやクラーケンを呼んだのは人魚だろうと怒っているようだ。人魚たちは抵抗するも生け簀の中であり、2匹の人魚が殺されてしまう。なぜか3匹目の人魚には手をつけず、船長は船尾倉庫を後にする。

「これで母港に帰れる」

船長が去った後、三等航海士が船員を数名連れて船尾倉庫にやってきた。人魚を引き揚げる航海士だが、最初に人魚が暴れトゲが刺さってしまう。「お前を逃がしに来た」と言われた後おとなしくなった人魚が船員に運ばれるなか、トゲの刺さった航海士は船が帰還できることに安堵しながら息を引き取る。船長は怒りながらクラーケンを鎮めるよう発言しており、3匹目の人魚が襲われなかった理由として、船長の要求に従ったと考えられ、これが「取引」であると窺われる。また、三等航海士は最後に「これでオブラ・ディン号は母港へ帰れる」と発言しており、これを海に帰される交換条件だと思った人魚がオブラ・ディン号を帰還させたと考えられる。保険調査を進めているとき、左舷側の海の少し遠くで貝殻の光を確認することができ、そこに人魚がいるとわかる。

探求欲の犠牲者

船医が船尾倉庫のドアを開けようとカギの場所を聞くも、カギは既になく落胆する。そこで船医はペットのサルにロープをくくり、ドアの格子からサルを倉庫内に入れてからサルを射殺する。サルの死因として、手記に「人の探求欲の犠牲となった」と書かれることから、サルが殺されたのはこの第VIII章を知るためであったと考えられる。主人公が調査に用いる懐中時計はもともと船医のものであり、この時計でサルの死体を経由して船尾倉庫内での出来事を追ったようだ。

第IX章 脱出

船長への不信感

第VII章でのクラーケンとの戦いの末、左腕を失った甲板長が担ぎ込まれ椅子に座らせられている。助手が死亡したことを知り落胆した後、船長がクラーケンを「追い払った」と言ったことに対して「あの手の呪いは自然に解けはしない」と言い残し、甲板長はそのまま死亡する。船長がクラーケンを追い払ったとだけ言ったことがこのシーンからわかるが、これは船長が怪物たちの出現に関わっていると捉えられかねない。

呪われた船からの脱出

生き残った乗客や船医は救命ボートで船から逃げだそうとしている。そこに1人の船員が行かせまいと襲撃、脱出の準備を進めていた司厨手との剣と剣での戦闘となった。司厨手は襲撃者に心臓を刺され死亡する。次に襲撃者はボートに向かう。ところが、乗客の1人が襲撃者に向け銃を発射し、襲撃者も死亡した。救命ボートで脱出した4人は、この後無事にモロッコにたどり着く。

対立

船内でも、また別の事件が起こっている。船長への不信感を募らせた掌砲手の反乱計画を、士官候補生が盗み聞きしてしまう。怒った掌砲手は士官候補生にナイフを突き立てるが、止めに入った航海士ともみ合いの末に持っていた銃が暴発して頭が吹っ飛ばされてしまった。この銃声を聞き、他の船員たちも階段を降りてくる。1人の船員が銃を持って立っている航海士を見つけると、「何をした!」と言った直後にこん棒で航海士の頭を殴った。航海士はそのまま死亡する。また、ナイフを突き立てられた士官候補生は這ってなんとか近くの自室にたどり着く。別の航海士が介抱するも、死んだ同僚の母へ伝言を頼んで息絶える。

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