Return of the Obra Dinn(ゲーム)のネタバレ解説・考察まとめ
『Return of the Obra Dinn』とは、ルーカス・ポープの監督による謎解きアドベンチャーゲームである。白と黒のみの1ビットで表現されるグラフィックが特徴的だ。
舞台は19世紀初頭、5年間消息を絶っていた「オブラ・ディン号」が船員ゼロで帰港。保険調査官である主人公は、損害査定書の作成のため同船に派遣され、奇妙な懐中時計を使って乗客、乗員60人の死因や推定現在地を割り出す。懐中時計の特別な力で、主人公は死者の最期の場面を確認し、これを基に船上で起きた真実を紐解く。
貝殻の不思議な力
船員が敗死していく中、フォルモサの老人イトベンが主リムを助けるために貝殻を箱の液体に突っ込むと、箱(もしくは貝殻)から発生したビームのようなものが人魚たちに直撃し、気絶する。しかし、既にリムは人魚の攻撃で首元に致命傷を追っており、イトベンが声をかけるも息を引き取ってしまう。イトベンの攻撃については謎が多く、液体は何なのか、なぜビームのようなものは発生したのかなどについて様々な憶測が飛び交っている。
性悪な航海士
フォルモサ王族の老人シア・イトベンも攻撃の代償に右腕を燃やし、死亡する。唯一生き残った航海士ニコルズは、気絶した人魚たちをボートに積み入れている。さらに、人魚たちを積み込むために船員たちの死体を海に捨てており、つくづく性悪である。
人魚襲撃の理由
生き残ったニコルズは、盗んだ宝、王族の死体、気絶した人魚たちと共にオブラ・ディン号に戻ってきた。しかし、「撃つな!降伏する!」という言葉も虚しく、ニコルズはフォルモサの衛兵タン・チョウに銃で撃たれて死亡する。
このシーンでボートに乗っている3匹の人魚に注目すると、2匹は貝殻を持っているが、1匹は貝殻を持っていないことが確認できる。フォルモサ王族が所持していた貝殻は、もともと貝殻を持っていない人魚のものだったと窺われる。そう考えると、フォルモサ王族が魔物の出現を懸念していたことや、人魚が実際に襲来してきた理由付けになる。
第V章 呪われた獲物
人魚と貝殻を本国へ
二等航海士ニコルズの持ち帰った人魚が船に荷揚げされている。それと同時に、甲板では船長によりフォルモサ人タン・チョウへ、人魚やフォルモサ王族が持っていた箱について尋問が行われる。突然、人魚が目を覚ましトゲを発射、タン・チョウとその後ろの甲板員に突き刺さる。
タン・チョウは尋問の際、「貝殻を守らねば…!我々は皆死ぬ!」という発言をしているが、実際は第VIII章にて貝殻を人魚に返したことで大難は収まる。タン・チョウは貝殻や箱、魔物についてはあまり聞かされておらず、とにかく貝殻を守らなければいけないということしかわかっていなかったと考えられる。
また、この後に船は進路を変え、当初向かっていた喜望峰ではなく、イギリスに戻ろうとしている。船長たちは、人魚をイギリスに持ち帰ることに決定したようだ。
不注意
人魚を布で巻き、4人がかりで倉庫へ運び入れている。そこに事情を知らない料理人が興味津々で近づき、人魚の持つ貝殻を見つけてしまう。料理人が貝殻に触れようとすると、人魚が暴れて料理人は人魚の尾により殴殺される。また、人魚が暴れたことで担ぎ手の4人はバランスを崩し、そのまま階段から転げ落ちた。1人の甲板員が担架の棒と下の階に置いてあった樽の間に頭を挟み、そのまま死亡してしまう。
呪いの始まり
「不注意」からの繋がりなく、1人の甲板員が司厨手のフィリップ・ダールに足を剣で切断されている。
船長は声を荒げ、それに対しフィリップは人魚を海に帰すよう訴えた。しかし船長はそれを聞かず、人魚と共にフィリップを船尾倉庫へ拘禁するよう指示を出す。
その間、片足を失った甲板員は船医たちの措置も虚しく死亡する。
ここでフィリップが何をしたのか、なぜ甲板員を襲ったのかは語られていない。
第VIII章を除く全ての章の乗客乗員の安否確認の後に見ることができる損益査定書によると、フィリップは「職務不履行」と記載されている。これにより、「職務不履行」とは「人魚をイギリスに持ち帰る」という船の意向に従わず、人魚を殺そうとしたことを指しているのではないかと考えられる。船長らの決定を変えることができず、ならば人魚を海に逃がすのではなく殺してしまおうと考えたフィリップ。しかしそれを甲板員1人に見つかってしまい、フィリップはその甲板員を切りつけてしまったのだ。
第VI章 海の兵たち
不穏な空気
人魚を積み、イギリスへの帰路についたオブラ・ディン号は突然の嵐に襲われる。嵐が来る前にマストを畳まなければと、檣楼員たちは帆柱の上で作業をしていた。突然、稲妻が走り、索具を渡っていた檣楼員にそれが直撃する。
このシーンは、誰が檣楼員であるかを特定できるゲームの進行のための情報源となっている。
新たな怪物の襲来
嵐と共に、巨大なカニに乗って黒い布のようなものを被った怪物が2体現れ、オブラ・ディン号に乗り込んできた。この怪物は下の甲板へと進む。船員たちは必死に攻撃を仕掛けるも歯が立たず、次々と船員が犠牲になっていく。「早く燃やせ!」という指示を聞いた士官候補生チャールズがランタンを怪物に投げつけている。
勇敢な士官候補生
ランタンの炎で燃えている怪物は、ついに倒れるも必死にあがいている。そこにチャールズは決死の覚悟で抱きつき、もう1人の士官候補生は剣で怪物を刺す。チャールズは怪物を道連れに死亡する。一方で、もう1匹の怪物はまだ船内を進んでいる。
敵討ち
まだ生き残っている怪物はついに貨物甲板へ達するも、そこに銃を持った船匠が決死の覚悟で立ち向かった。船匠は爪で首元を刺されているにもかかわらず、最後の力を振り絞って銃を発射し怪物を撃退。船匠もまた死亡する。この船匠は、本章で死亡した助手の敵討ちに成功した。ちなみに、この怪物はどうやら人魚がいる船尾倉庫に向かっていたようだ。そのため、人魚がこの2匹のカニに乗る怪物を呼び寄せていたと考えられる。
第VII章 破滅
濡れ衣
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目次 - Contents
- 『Return of the Obra Dinn』の概要
- 『Return of the Obra Dinn』のあらすじ・ストーリー
- 現在(調査前)
- 第I章 崩れた積荷
- 第II章 死に至る病
- 原因不明の肺病
- 牛の食肉処理
- 第III章 殺人
- 口封じ
- 船上裁判
- 宝の強奪
- 第IV章 出現
- 人魚の襲撃
- 貝殻の不思議な力
- 性悪な航海士
- 人魚襲撃の理由
- 第V章 呪われた獲物
- 人魚と貝殻を本国へ
- 不注意
- 呪いの始まり
- 第VI章 海の兵たち
- 不穏な空気
- 新たな怪物の襲来
- 勇敢な士官候補生
- 敵討ち
- 第VII章 破滅
- 濡れ衣
- クラーケン襲来
- 砲列甲板の崩壊
- 破滅と妻の死
- 第VIII章 取引
- 貝殻の美しさ
- 船長の怒りの矛先
- 「これで母港に帰れる」
- 探求欲の犠牲者
- 第IX章 脱出
- 船長への不信感
- 呪われた船からの脱出
- 対立
- 第X章 終幕
- 最後の反乱
- 一騎打ち
- 貝殻を狙って
- オブラ・ディン号の最期
- 現在(調査後)
- 『Return of the Obra Dinn』のゲームシステム
- 『Return of the Obra Dinn』の登場人物・キャラクター
- 調査時(1807年)の登場人物
- 調査官(プレイヤー)
- ボートを漕ぐ男
- 家政婦
- 職員
- ロバート・ウィッテレル
- ウィリアム・ホスカット
- エドワード・ニコルズ
- マーティン・ペロット
- ジョン・デービーズ
- アルフレッド・クレスティル
- チャールズ・マイナー
- ヘンリー・エバンズ
- ジェームズ・ウォレス
- ウィンストン・スミス
- マーカス・ギブズ
- トーマス・セフトン
- エーミル・オファレル
- クリスチャン・ウォルフ
- オーラス・ヴィアテル
- ダンカン・マッケイ
- フィンリー・ドルトン
- エドワード・スプラット
- 乗客
- アビゲイル・ホスカット・ウィッテレル
- ヌーツィオ・パスクア
- エミリー・ジャクソン
- ジェーン・バード嬢
- リム・ブンラン
- シア・イトベン
- タン・チョウ
- ラウ・ホクセン
- 司厨手(しちゅうしゅ)
- ズンギ・サーティ
- フィリップ・ダール
- ポール・モス
- サミュエル・ギャリガン
- ロデリック・アンダーセン
- デービー・ジェームズ
- 士官候補生
- ピーター・ミルロイ
- トーマス・ランケ
- チャールズ・ハーシュティク
- 檣楼員(しょうろういん)
- オミッド・グール
- ティモシー・ブーテメント
- リ・ハン
- ジャン・ジエ
- ホン・リ
- リー・ウェイ
- ニコラス・ボッテリル
- マバ
- ルイス・ウォーカー
- レオニード・ボルコフ
- 甲板員
- アラルクス・ニキシン
- アレクセイ・トポロフ
- ネイサン・ピーターズ
- ラーズ・リンデ
- ジョン・ネープルズ
- レンフレッド・ラージューブ
- アブラハム・アクバル
- ウィリアム・ワシム
- ソロマン・サイド
- ハマドウ・ディオム
- ヘンリー・ブレナン
- アレクサンダー・ブース
- パトリック・オヘーガン
- ジョージ・シャーリー
- サミュエル・ピーターズ
- 怪物
- 人魚
- カニの怪物(Crab-riders)
- クラーケン
- その他
- 身元不明の密航者
- サル
- 牛
- 『Return of the Obra Dinn』のアイテム
- 残留思念
- 懐中時計
- 手記
- 『Return of the Obra Dinn』の用語
- 船内
- 主甲板
- 砲列甲板
- 最下甲板
- 貨物甲板
- その他
- フォルモサ
- 索具
- 『Return of the Obra Dinn』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- 変化する本棚内の装飾
- 1ビットゲームを現代的に
- 当初はより高かった難易度
- ルーカスは日本在住