矢巾秀（ハイキュー!!）の徹底解説・考察まとめ

上述のコートを下げられた京谷に対して憤りをぶつけた後、矢巾がチームのために京谷の協力を希った時のセリフ。
単純に自分の冷熱入り混じる心中を京谷1人にぶつけ非難するだけでなく、「得点も失点もチームのものだろ」と京谷のワンマンプレーを改めさせ、「頼むから力かしてくれよ」と、コートに入って貢献できる京谷にチームとして働くように説得している。
コートの外側から京谷の働きに期待するしかない矢巾のこの言葉は、上述の熱い思いと一緒に京谷にいくらか響いたようであり、京谷はワンマンプレーを改めただけでなく、2人のコンビネーションプレーへと繋がった。

「もっと頑張れ…！」

自身が打ち破れた烏野高校が、全国大会で優勝候補の稲荷崎高校と当たりマッチポイントを奪われた際の、矢巾の熱意を乗せ烏野高校を叱咤激励し勝利を祈るセリフ。
稲荷崎がマッチポイントとなった際、気合を入れ直し円陣を組む烏野の声かけも、ほぼ稲荷崎の応援の声でかき消され、まさに“絶望”という状況に追い込まれる。この時、中継で試合を観戦していた矢巾ら青葉城西高校や白鳥沢などの強豪校は、烏野が心身の消耗や相手の強さに挫けたり、「既に頑張ってる」と甘んじたりすることを許さず、「自分たちを破ったんだからもっと勝て」と気持ちを乗せ祈っていた。この、こめかみに青筋を立て「もっと頑張れ」と口に出して言う矢巾の、悔しさを噛み締め熱の入った応援に、胸を打たれた読者も多かった。

矢巾秀の裏話・トリビア・小ネタ／エピソード・逸話

原作漫画とアニメで顔つきの違う「烏野高校マネ谷地仁花をナンパする」シーン

春高予選で烏野高校と当たった際、ウォーミングアップ中に烏野高校に参入した1年生マネージャー谷地仁花（やちひとか）を「かわいい系」と目をつけ、矢巾が声をかけようとした。しかし、両者の間に乱入した高速ボールを素手で受け止める烏野3年生マネージャー清水潔子（しみずきよこ）と烏野WS田中にしっかりとガードされ、矢巾が谷地に声をかけることは叶わなかった。
このシーンは原作漫画では、よくあるコメディシーンとして、普段通りの作画で1コマ描かれた程度であったが、アニメでは矢巾の顔つきが彫りの深い劇画タッチに描かれており、心なしか声色もイケメン紳士風に表現され、さらにコメディー要素を増した。

名前の由来は「矢巾温泉」

『ハイキュー!!』に登場するキャラクターの苗字は独特な読み方をする者も多いが、これは地名などを由来とするためである。
矢巾は、岩手県紫波郡矢巾町にある温泉地「矢巾温泉」を由来として設定された苗字である。
矢巾の所属する青葉城西高校は、及川や京谷を除きほかの選手も皆、岩手県にある温泉地から名づけされている。

原作漫画とアニメとで着色の異なる髪色

矢巾は原作初期から登場するキャラクターでありながら、白黒で描かれる漫画では白抜きの着色であり「薄い色合い」という設定以外は長らく不明であった。アニメ1期での登場で、髪色が薄茶色に着色されたが、後に発売された漫画15巻で髪の色が灰色に着色された。これにより、多くの読者が「アニメと漫画で着色が変わった」と動揺した。その後アニメの髪色が変更されることはなく、「アニメは薄茶色」「漫画は灰色」とメディア作品によって着色の異なるキャラクターとなった。
ただし、グッズにおいては着色の変更が行われており、「ハイキュー!!バボカ!!」（『ハイキュー!!』を原作とするトレーディングカードゲーム）では薄茶色から灰色に変更された模様。