『PSYREN』(サイレン)とは、岩代俊明による漫画作品。2008年から2010年にかけて『週刊少年ジャンプ』で連載され、全16巻のコミックスが刊行された。2025年末には、翌2026年のテレビアニメ化が発表されて話題となった。ひょんなことから赤いテレホンカードを拾い、荒廃した未来と現代を行き来する謎のゲームに巻き込まれることになった少年・夜科アゲハが、幼馴染や他の参加者たちと共にゲームを進め、世界の崩壊を防ごうと奮闘する姿を描く。
『PSYREN』(サイレン)の概要
『PSYREN』(サイレン)とは、岩代俊明による漫画作品。2008年から2010年にかけて『週刊少年ジャンプ』で連載され、コミックスは全16巻が刊行された。2010年にはジャンプ専門情報番組『サキよみ ジャンBANG!』で豪華声優陣を迎えたボイスコミックが放送され、同年2月からVOMIC公式サイトにて配信された。また、連載終了後の2010年と2011年には『PSYREN −サイレン− another call』と銘打った小説版がそれぞれ1冊ずつ発売されている。
超能力とデスゲームなどの要素を掛け合わせたファンタジーバトル漫画の一種となっている本作だが、未来で崩壊した世界の謎に迫るというストーリーや、多数の登場人物たちの繰り広げる人間ドラマなどの要素があることから、『週刊少年ジャンプ』誌上での公式なジャンルは「サスペンス」に分類された。
作品のタイトルロゴ、および本作品のキーアイテムである赤いテレホンカードにおいては「PSYЯEN」と、Rが左右反転した形で表記されている。また、テレホンカードというアイテムとの関連もあってか、連載話数の単位は「CALL.(コール)~」の形で表記された。
ある日、赤いテレホンカードを拾ったことで荒廃した未来と現代を行き来する謎のゲーム「PSYREN(サイレン)」に巻き込まれた主人公、夜科アゲハ(よしなアゲハ)が、幼馴染の雨宮桜子(あまみやさくらこ)や他の参加者たちと共にゲームを進めながら、未来が荒廃した理由を突き止め、世界を崩壊に導いた組織に立ち向かう姿を描いている。
『PSYREN』(サイレン)のあらすじ・ストーリー
不思議なテレホンカードと雨宮の失踪
高校生の夜科アゲハ(よしなアゲハ) は、ある日いじめっ子を倒して1万円を稼いだ帰り道、近くの公衆電話が勝手に鳴っているのを見つけた。興味本位でその電話を取ると、受話器からは自分の声しか聞こえず、不思議に思って通話を終える。すると、「PSYREN」と刻まれた赤いテレホンカードを見つける。一連の出来事に興味を引かれたアゲハは学校のオカルト部でテレホンカードについて尋ね、真相を解明した者に5億円の報酬が約束されているという都市伝説「秘密結社PSYREN」の存在を知ることになる。
その後、友人の雨宮桜子(あまみやさくらこ)の財布を見つけたアゲハは、その財布に自分と同じテレホンカードが入っているのを見つける。疑問に思いつつも財布を返そうとしたところ、雨宮は消え入りそうな声で「助けて」と言い残して逃げ去っていった。
翌日、雨宮は行方不明となり、アゲハは彼女を探す決意を固める。テレホンカードに書かれた番号に電話をかけると、公衆電話を通じて長い質問を受け、最後に「サイレン世界に行きたいか」と問いかけられた。
肯定したアゲハは、何が何だかわからないままサイレン世界へと転送される。そこは禁人種(タブー)という怪物がはびこり、建造物も廃墟と化した荒れ果てた世界だった。電話の相手である謎の声の主、ネメシスQは参加者にミッションを与えていると話し、このミッションに失敗すれば永遠にこの世界に囚われるというルールをアゲハに告げる。
サイレン世界の真実
サイレン世界に初めて来たアゲハは、そこかしこに建てられた塔(タワー)には近づかない、テレホンカードをなくさない、カードの残高が0になる前にゲームを終える、サイレン世界のことを外部に喋らない、という、この世界における4つのルールを申し渡される。こうして、サイレン世界を巡り、自分と同じく赤いテレホンカードでサイレン世界に来た人々と出会ったアゲハだが、禁人種(タブー)によって彼らは次々に殺害されていった。そんな中、アゲハはようやく探し人である雨宮と再会。協力して禁人種を倒した彼らは、命からがらサイレン世界を脱出することができた。
脱出後、サイレン世界に行ったことでアゲハは超能力であるPSI(サイ)が使えるようになり、また、雨宮からサイレン世界が「文明が崩壊した未来の地球」であることを知らされる。未来の世界崩壊の原因を突き止めることを決意したアゲハ達は、現代とサイレン世界を行き来して調査を行うようになる。
やがて、未来における世界滅亡の原因が、謎の隕石であるウロボロスと、超能力者で結成された組織「W.I.S.E」(ワイズ)の陰謀であることを突き止めた。アゲハや桜子、そしてサイレン世界で出会った仲間達は歴史を変えるため、W.I.S.Eに戦いを挑むことになる。
『PSYREN』(サイレン)の登場人物・キャラクター
サイレンドリフト(ゲーム参加者)
夜科 アゲハ(よしな アゲハ)
CV:櫻井孝宏(ボイスコミック版)
本作の主人公。愛知県にある白瀧(しらたき)町に住み、白瀧高校1年C組に通う男子生徒。身長168センチメートル。天文学者でNASLの主任を務める単身赴任中の父・朱鳥(あすか)と、社会人の姉・フブキとの3人家族で、母親とは小学生時代に死別している。自身の人生に焦りを感じながら鬱々と日々を過ごしていたところ、ひょんなことから赤いテレホンカードを入手する。同じく赤いテレホンカードを所持していた友人の雨宮が失踪したことで、彼女を探すためにゲームへの参加を決意し、サイレンドリフトとなった。
サイレン世界でも恐怖を感じている様子がなく、敵の殺害にも躊躇がないことを、祭からは危ぶまれているが、この反面、絶望的な状況に追い込まれるほど高い危機判断力を発揮する点については評価されている。W.I.S.Eからは「黒いバースト使いの少年」と呼ばれている。
W.I.S.Eとの最終決戦の後、PSIを使いすぎたことが原因で半年間昏睡状態に陥ったが、テレパシーによるサイレン世界の人々の呼びかけによって目を覚ました。最終回では雨宮と共に夢喰島へ向かい、グリゴリ07号のことを救出している。
10年後の未来ではエルモアの依頼を受け、雨宮とともに世界を回ってサイキッカーの子供を保護している。
PSIの力に反応し、吸収・膨張する性質を持つ「暴王の月(メルゼズ・ドア)」というPSI能力を持つ。この暴王の月を小型化し、高速度で標的を貫く「暴王の流星(メルゼズ・ランス)」、円盤状に変形させたボウリング球サイズの暴王の月で、接近してきた敵やPSI攻撃を自動的に補足し切り刻む「暴王の月・円盤Ver」、アゲハを中心に複数の暴王の月を回転させて身を守る「暴王の渦(メルゼズ・ボルテクス)」や、暴王の渦を分解して周囲を無差別に攻撃する「攻撃モード “裂弾”(スプラッシュ)」などの応用技も編み出している。物語終盤、実父である朱鳥の指導でノヴァを習得し、W.I.S.Eとの最終決戦では自身の肉体と暴王の月を融合することで驚異的な力を発揮した。
雨宮に想いを寄せており、彼女からも強い信頼を得ている。
雨宮 桜子(あまみや さくらこ)
CV:堀江由衣(ボイスコミック版)
本作のヒロイン。白瀧高校1年C組の女子生徒で、アゲハとは小学校時代からの幼馴染。眼鏡をかけた端整な顔立ちの少女だが、決して他人と馴れ合わず、冷たい物言いをするため、周囲からは「氷の女王」と揶揄されて避けられている。家庭の問題から家出した際に赤いテレホンカードを拾ってしまい、サイレンドリフトとなった。本来は優しく明るい性格の女の子だったが、サイレン世界での戦いにおいて多くのサイレンドリフトの死を見てきたことから疲弊し、心を閉ざすようになっていった。さらに碓氷から受けたトランス攻撃によって進行性の記憶喪失を患っており、それと同時に今まで封じ込めていた負の人格であるアビスが顔を見せ始めるようになって苦悩する。しかし、ノヴァ習得の修行中に自身の負の一面とも正面から向き合い、アビスを受け入れることを決意する。W.I.S.Eとの最終決戦後には、昏睡状態に陥ったアゲハを看病し続けた。
得意なPSIはライズとトランス。ライズで身体能力を強化した上での武器を使った格闘を得意とするほか、有線トランスや長距離テレパシー、幻覚を見せる神経爆弾(マインド・ボム)に、それを応用した「M・J 凶気の鎌(マインド・ジャック インサニティサイズ)」など、多様な技を扱うことができる。5回目のゲーム直前にエルモアから妖刀・心鬼紅骨(しんきべにほね)を授かり、以後はこれを武器として用いるようになった。所有者の心の内側を映し出す力を持る心鬼紅骨を用いてアビスとの対話を行い、さらにはアビスを具現化させることができるようになっている。ノヴァ状態では、トランスの煙で周囲を包み込んで相手の心を読み、それに合わせてアビスが動くという連携攻撃を駆使して戦った。
アビス
雨宮の心の奥底に潜んでいる、彼女の負の一面を映し出した姿。「本能と衝動の領域」におり、黒い肌をした雨宮の姿で描写される。アゲハを慕い、その他の人間はどうでもいいと思っている。雨宮の意識が遠のいた時には主人格に取って代わり、この時に一時的に肌が黒くなる。非常に攻撃的な性格をしているが、「アゲハに嫌われたくない」という理由で殺人は犯さないと決めている様子。雨宮の時とは異なり、トランスよりバーストを用いた攻撃を得意としている。悪魔の尻尾のような形のバーストを操作して周囲を攻撃する。
小説版では、心鬼紅骨なしでも実体化できるようになっており、アゲハと雨宮のデートに乱入して邪魔している。性格もかなり明るくなり、本能と衝動の領域も、廃墟からバリアフリー対策がされた住み易い部屋に模様替えされていた。
朝河 飛龍(あさが ひりゅう)
画像左が飛龍
通称は「ヒリュー」。地久和(ちくわ)高校に通う1年生の男子生徒。身長187cmと大柄で屈強な肉体と腕力を持つことから、地元では「ドラゴン」という通り名で有名な人物。サイレン世界と関わって行方不明になった後輩の辰央を探すため、自身もテレホンカードを使ってサイレンドリフトとなった。アゲハや雨宮とは小学校の時、半年間だけ同じ学校に通っていたことがある。当時は身長が低く気弱ないじめられっ子で、アゲハからは牛乳を無理矢理飲まされるなどして遊ばれていた。
サイレン世界の大気に感染したことでPSIの力に目覚め、アゲハと共に雨宮と祭からPSIの指導を受ける。ドラゴンのような翼や尾を具現化する能力を開発。その後はシャイナとの戦闘において上空4000メートルに転送され、PSI能力を駆使して辛うじて生き延びるも負傷、しかしこの時、落下するところを偶然目撃した辰央と再会を果たして救助された。5回目のゲームで窮地に陥っていたアゲハ達を救うために、辰央や日下部とともに現れ、空を覆っている膜を破壊してジュナスたちを撤退させるなど奮闘。10年後の未来では小学校の教師になっている。
望月 朧(もちづき おぼろ)
アゲハの姉のフブキにとっては推しである、21歳の男性アイドル俳優。落ち着きのある大人なイメージで売っているが、実際はやや幼稚な面が目立ち、スリルを好むなど真逆の性格をしている。赤いテレホンカードを拾ってサイレンドリフトとなり、それをテレビで公表した際にエルモアと知り合った。
退屈を極度に嫌う性分から、「人生を楽しむ」ということをモットーにしており、そのためには自身が危険な目に遭うことも、他者を利用することも厭わない。サイレンドリフトになることを受け入れたのもそのためである。そうした自分の性質についてはハッキリと自覚しており、表向きは常識人を装ってアゲハ達に積極的に協力するが、祭にはその本性を見抜かれ、危惧されている。2回目のゲーム終盤にキュアの力が覚醒。4回目のゲームで、シャイナから致命傷を受けた状態でイルミナス・フォージ実験場跡に飛ばされ、その際にキュアを応用して禁人種の身体と融合し、操作するという「生命融和(ハーモニウス)」の力に目覚めて窮地を脱する。この「生命融和」は自分の身体を創り変えて大量のイルミナを組み込み、力を底上げすることも可能。キュアも扱えるが応急処置程度の能力で、自分自身を治療することはできない。
その後は偶然スカージのオドと出会い、彼を殺害して成り変わってW.I.S.Eに潜入する。
10年後の未来では俳優を辞め、画家や事業家などさまざまな職業に就いて成功を収めたのち、飽きてまた別の職に就く、そしてまた大成功して職を変える、ということを繰り返している。
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目次 - Contents
- 『PSYREN』(サイレン)の概要
- 『PSYREN』(サイレン)のあらすじ・ストーリー
- 不思議なテレホンカードと雨宮の失踪
- サイレン世界の真実
- 『PSYREN』(サイレン)の登場人物・キャラクター
- サイレンドリフト(ゲーム参加者)
- 夜科 アゲハ(よしな アゲハ)
- 雨宮 桜子(あまみや さくらこ)
- アビス
- 朝河 飛龍(あさが ひりゅう)
- 望月 朧(もちづき おぼろ)
- 霧崎 兜(きりさき かぶと)
- ヨヨ
- アゲハたちの協力者
- 八雲 祭(やぐも まつり)
- 天樹院 エルモア(てんじゅいん エルモア)
- 天樹院 ヴァン(てんじゅいん ヴァン)
- 天樹院 カイル(てんじゅいん カイル)
- 天樹院 フレデリカ(てんじゅいん フレデリカ)
- 天樹院 マリー(てんじゅいん マリー)
- 天樹院 シャオ(てんじゅいん シャオ)
- イアン
- 雹堂 影虎(ひょうどう かげとら)
- 東雲 嵐(しののめ らん)
- 夢路 晴彦(ゆめじ はるひこ)
- 真名 辰央(まな たつお)
- 日下部 雄介(くさかべ ゆうすけ)
- 夜科 朱鳥(よしな あすか)
- W.I.S.Eの関係者
- 天戯 弥勒(あまぎ みろく)/グリゴリ06号
- ミスラ
- グラナ/グリゴリ01号
- ジュナス/グリゴリ05号
- ウラヌス/グリゴリ03号
- シャイナ
- ヴィーゴ/鬼瀬 鋭二(きせ えいじ)
- カプリコ/八星 理子(はちぼし りこ)
- ドルキ
- 遊坂 葵(ゆさか あおい)
- デルボロ
- オド
- アッシュ
- ネッカ
- バーリィ
- ネオ天草の関係者
- 碓氷(うすい)
- 三宅(みやけ)
- 億号(おくごう)
- 太河(たいが)
- 脳獣(ブレインビースト)
- その他
- グリゴリ07号
- ネメシスQ
- ダメQ
- 夜科 フブキ(よしな フブキ)
- 霧崎 塔二(きりさき とうじ)
- 坂口(さかぐち)
- ヒロキ
- 倉木まどか(くらき まどか)
- 奥村(おくむら)
- 三好(みよし)
- 東雲 千架(しののめ ちか)
- 武智 祐介(たけち ゆうすけ)
- 犬居 清忠(いぬい きよただ)
- 犬居 三郎(いぬい さぶろう)
- 射場 公一(いば こういち)
- 『PSYREN』(サイレン)の用語
- サイレン(ゲーム)関連
- サイレン(ゲーム)
- サイレン世界
- サイレン世界の施設
- 天樹の根(てんじゅのね)
- ネオ天草(ネオあまくさ)
- 夢喰島(むくろじま)
- グリゴリ
- W.I.S.E(ワイズ)関連
- W.I.S.E(ワイズ)
- 禁人種(タヴー)
- ウロボロス
- クァトネヴァス
- PSI(サイ)関連
- PSI(サイ)
- BURST(バースト)
- TRANCE(トランス)
- RISE(ライズ)
- CURE(キュア)
- 有線トランス(ゆうせんトランス)
- バーストストリーム
- 幻視(ヴィジョンズ)
- プログラム
- 空間操作(ゾーン)系PSI
- A・P(アンチ・サイキック)
- ノヴァ
- 『PSYREN』(サイレン)の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- 夜科アゲハ「警告はした」
- 『PSYREN』(サイレン)の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- 作中で雨宮が読んでいる本に存在する元ネタ
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