智代アフター 〜It's a Wonderful Life〜(Key)のネタバレ解説・考察まとめ
『智代アフター 〜It's a Wonderful Life〜』とは、株式会社ビジュアルアーツのゲームブランド、keyによって制作された恋愛アドベンチャーゲーム。前作『CLANNAD』のスピンオフ作品であり、主人公の岡崎朋也とヒロインのひとりである坂上智代の後日談である。どんな困難が待ち受けようとも強く生き続け、永遠の愛を自ら証明する智代の姿が、多くの人の心を動かす作品となっている。
『智代アフター 〜It's a Wonderful Life〜』の概要
『智代アフター 〜It's a Wonderful Life〜』とは、株式会社ビジュアルアーツのゲームブランド、keyによって制作された恋愛アドベンチャーゲームである。“Kanon”や“AIR”などと続き、Keyとして第5作目の作品である。オリジナルであるWindows版(R18)が2005年11月に発売され、その後全年齢対象版のメモリアルエディションが2010年4月に発売された。それからもプロトタイプからPS2版、PSP版、Xbox360版、PS3版が続々と発売され、その後もAndroid版のリリースとNintendo Swich版が発売された。企画やシナリオを担当した麻枝准は“泣きゲー”の元祖を作り上げたとされており、多くの人の心を掴み涙なしでクリアできないストーリーは、毎回大反響を呼んでいる。
前作となる『CLANNAD』のスピンオフ作品として発売された今作は、ヒロインのひとりである坂上智代にスポットを当てている。
社会人となり、ひとり暮らしを始めた朋也。そこで智代と甘く楽しい毎日を送っていた。しかしそこに、智代の弟である「鷹文」が乱入するようになり、さらに母親に育児放棄された「とも」、鷹文の元交際相手である「河南子」が転がり込んでくる。5人で過ごす最初で最後の夏休みに、人生の宝物を見つけるストーリーになっている。
元は麻枝が趣味で書いた作品であり、同人作品として発売する予定であった。そのため、麻枝の世界観が強く出た作品となり、そのストーリー展開に賛否両論が分かれてしまう結果となった。
また、本編の特別な選択肢を選ぶことによって、作中に出てくるタクティカルRPG『DUNGEONS & TAKAFUMIS』を実際にプレイすることができる(Android版は未配信)。クリアには本編と同じくらいのプレイ時間を要するとされており、おまけのゲームとしては規模が大きく、かなり作りこまれた内容に仕上がっている。
『智代アフター 〜It's a Wonderful Life〜』のあらすじ・ストーリー
雪が降る中想いが通じ合った2人。就職をした朋也(ともや)はアパートでひとり暮らしを始め、そこで朋也と智代(ともよ)は蜜月の日々を送っていた。しかし、智代の弟である『鷹文(たかふみ)』がアパートにやってくる日が続く。そんな鷹文がある日『とも』という少女をアパートに連れてくる。ともは智代と鷹文の父親の隠し子で、複雑な家庭事情を抱えていた。更に鷹文の元カノである『河南子(かなこ)』も家出をして、朋也のアパートに転がり込んでくる。そんな5人が過ごす夏休みを描いたストーリー展開となっている。
ひとり暮らしを始めた朋也
社会人になりひとり暮らしを始めた朋也のアパートで、手料理を振る舞う智代。智代はまだ学生のため2人で夕飯を食べるのは週末だけだが、それだけでも朋也は幸せを感じていた。こうして智代と朋也は蜜月の日々を過ごすも、智代の弟である鷹文によって雰囲気が壊される日がしばしば続く。朋也と鷹文はとても仲が良く、朋也のアパートに入り浸っていた。アパートの片隅にパソコンを置いた鷹文は、世界中の人たちとの交流やプログラミングを楽しんでいた。
育児放棄された少女
突然、鷹文が朋也のアパートに『とも』という名前の女の子を連れてくる。それは自分たちの父親の隠し子だという。複雑な家庭事情を抱えていることを知り、朋也のアパートで面倒を見ることになる。とももそれを受け入れ楽しい毎日を送り、智代もともを溺愛していた。そんなある日、ともが幼稚園から失踪したという連絡を受ける。冷静さを失い、一心不乱にともを捜索する智代だが、ともは以前母親と住んでいたアパートの階段に座り込んでいた。迎えに来たのが母親ではなかったため、もう自分の家には帰れないという現実を知ってしまったともは泣き出してしまう。そんなともを見て智代は、これから自分がともを守ると宣言するのであった。
鷹文と河南子の関係
朋也は仕事帰りに『河南子』という女の子と知り合う。母親の再婚相手に納得できず家出してきたと言い、朋也のアパートに転がり込むことになる。いつも通り遊びに来た鷹文は河南子を見て一瞬で表情が曇り、「ここは自分の居場所だから、過去に縁を切ったお前はここから帰れ。」と言ってしまうのである。2人は交際をしていたが、別れてしまった過去があった。
「未来のことなんてわからない」と永遠の愛を否定する河南子。惹かれあったことを「一時の感情でしかない」と主張し続けた。しかし、その口の悪さは鷹文に救いを求めている様子に見えた。
2人の過去を知るために、朋也は鷹文に話を聞く。鷹文の恩師である陸上部の顧問が、河南子の父親であった。陸上部の仲間と河南子に出会い、交流を深めていったことで、鷹文は生きる意味を知る。そうした中で鷹文は河南子に惹かれていき、河南子も鷹文に惹かれていった。2人が両思いであることを察知した仲間の応援で、鷹文は河南子に告白することができ、2人は両想いとなる。
しかしその後、鷹文は自分の家族を守るために身を投げたのである。それは、勉強、運動、仲間、生きる意味すべて教えてくれた恩師を裏切る形となった。家に招いてもらえなくなり、「そんなやつに河南子はやれない。」と言われてしまうのである。それが恩師の最期の言葉となってしまった。恩師から許しの言葉を待っていた鷹文だが、聞くことはできなかった。それから鷹文は、恩師に許しを請い、走り続ける夢を繰り返し見るようになり、苦しくて目が覚める日が続く。それは呪いの夢であった。鷹文は、「もう終わってることで、河南子はもう好きじゃない。」と朋也に話した。
そんな様子の鷹文に、「もう夢の中で怯えなくていい、私が許す、休みな、お疲れ様。」と河南子は告げる。許しを得た鷹文は河南子の胸で泣いた。夢の中で走り続けた鷹文は、河南子の言葉で走り終えることができた。「次は自分が生きる意味を教えていく番だ。」と決意を新たにしたのであった。
ともが母親と再会
失踪したともの母親から手紙が届き、それを頼りに母親の住んでいる村を突き止める。そこを終の棲家として選んだともの母親は、余命が残りわずかであった。それでも子供と母親は一緒に暮らすべきだと主張する朋也と、これ以上ともの心を傷つけたくないと主張する智代は意見が食い違ってしまう。そんな智代をよそに、この村で子供が暮らすためには学校が必要だ、と建設を始める朋也だが、資材置き場で足を滑らせ頭に怪我を負ってしまう。その状況を救ったのは河南子であった。怪我を負った朋也を助け、村民たちと共に学校の建設を再開する。河南子の一生懸命で無邪気な姿は、生きる希望を失っていた村民たちに光を届けた。その様子を見た智代も、学校の建設を認めざるを得なくなっていた。
程なくしてともが村にやってくる。ともは余命が残りわずかの母親と一緒に暮らすことを選んだ。智代はともに「一緒に強くなろう」と言い、花冠をプレゼントするのであった。ともはそれを受け取り、母親のもとに走り出していった。
朋也の記憶喪失
智代は朋也のアパートに足蹴く通う生活が変わらず続いていた。ある日、ともの母親が急変したという電話が入り見舞いに行こうとするも、道中朋也が頭痛を訴え倒れてしまう。目を覚ますとそこは病院で、中学以降の記憶がない状態であった。
付き添う智代を見て「誰だ」と言う朋也に落ち着いて状況を説明し、退院後は記憶を取り戻すきっかけになれば、と自宅や学校、町を案内して回る智代。その献身的な智代の姿に、朋也は心惹かれていった。そして、退院してから1週間が経とうとしていたその日、朋也は智代に「好きだ」と告白をする。
そこで智代は、頭痛を訴え倒れてから3年が経過している事と、その後も記憶は1週間しか保持できない状態である事を朋也に伝える。朋也は一定周期で頭痛を訴え、倒れ、また記憶をなくす状態を繰り返していた。病院で目覚めた朋也に自己紹介をし、縁のある場所を案内して回る1週間を3年間続けていたのである。智代はその間、心が折れそうになりながらも朋也を支え続けていた。
この3年間で初めて「好きだ」という言葉を聞いた智代は、未来への希望を見出し、記憶を取り戻す可能性は高いが生存率は高くない、という極めて危険な手術を受ける決断をする。
エピローグ
智代が打つタイピング画面が映し出される。
自分は人生の宝物を見つけることができた、それによって世界は輝いて見えた。宝物を見つけることができたら、次は宝物を探している人たちの手助けをしてあげてほしい。もう迷うことはないはずだ、それは生きる意味となっているはずだから。宝物がどのようなものか、どのようにしたら手に入るのかは誰にもわからないが、いつか必ず見つかる。だから、今が苦しくつらい毎日でも、宝物が見つかるまで進んでほしい。もしこの画面の向こうのあなたが、道の途中でひとりきりになってしまったとしても大丈夫だ、あなたはひとりきりじゃない、私がここにいる。いつまでも共にゆくから安心してほしい。
このようにネットを介して語り掛け、物語は完結する。
『智代アフター 〜It's a Wonderful Life〜』のゲームシステム
アドベンチャーゲーム
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目次 - Contents
- 『智代アフター 〜It's a Wonderful Life〜』の概要
- 『智代アフター 〜It's a Wonderful Life〜』のあらすじ・ストーリー
- ひとり暮らしを始めた朋也
- 育児放棄された少女
- 鷹文と河南子の関係
- ともが母親と再会
- 朋也の記憶喪失
- エピローグ
- 『智代アフター 〜It's a Wonderful Life〜』のゲームシステム
- アドベンチャーゲーム
- タクティカルRPG
- 『智代アフター 〜It's a Wonderful Life〜』の登場人物・キャラクター
- 本編登場人物
- 岡崎 朋也(おかざき ともや)
- 坂上 智代(さかがみ ともよ)
- 坂上 鷹文(さかがみ たかふみ)
- 河南子(かなこ)
- 三島 とも(みしま とも)
- 三島 侑子(みしま ゆうこ)
- 岡崎 直幸(おかざき なおゆき)
- 管理人
- 春原 陽平(すのはら ようへい)
- DUNGEONS & TAKAFUMIS 登場人物
- 朋也
- 智代
- 河南子
- とも
- 鷹文オリジナル
- 鷹文054番
- 鷹文068番
- 鷹文071番
- 鷹文075番
- 鷹文081番
- 鷹文090番
- 鷹文077番
- 『智代アフター 〜It's a Wonderful Life〜』のアイテム
- クマの着ぐるみ
- 花冠
- 『智代アフター 〜It's a Wonderful Life〜』の用語
- 森のパンダさん
- 雁皮紙
- 脳血種
- 『智代アフター 〜It's a Wonderful Life〜』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- 坂上 智代「とものつらいこと、全部終わったから…」
- 河南子「あたしたちのことはどうでもいい、先輩のことくらい思い出せよ!」
- とも「ともがパパって呼べるの、パパだけだから」
- 『智代アフター 〜It's a Wonderful Life〜』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- 麻枝准が趣味で書いた作品
- 発売当初はワゴンセールで叩き売り
- CLANNADに関係はないという注意書き
- 『智代アフター 〜It's a Wonderful Life〜』の主題歌・挿入歌
- OP(オープニング):Lia 「Light colors」
- ED(エンディング):Lia 「Life is like a Melody」
- イメージソング:Lia 「hope -look up when i walk-」