リトルバスターズ!(リトバス)のネタバレ解説・考察まとめ

『リトルバスターズ!』とは、2007年7月にビジュアルアーツの美少女ゲームブランドKeyにより発売された恋愛アドベンチャーゲームである。
主人公の直枝理樹は、旧友の棗恭介、井ノ原真人、宮沢謙吾、そして恭介の妹である鈴とともに、全寮制の学校に通っていた。ある日、理樹は恭介に「昔みたいに何かしよう」と提案を持ちかける。それに対し恭介は野球チームの結成を宣言。理樹の同級生達を巻き込み、その輪は大きくなっていく。彼女らとの交流を通じ、「世界の秘密」を知る青春アドベンチャーゲーム。
『リトルバスターズ!』の概要
『リトルバスターズ!』(リトバス)とは、2007年7月に株式会社ビジュアルアーツの美少女ゲームブランドKeyより発売された恋愛アドベンチャーゲームである。
2008年にはシナリオ・CGの加筆・追加、攻略対象ヒロインの追加のほか、性描写を盛り込み、18禁作品として『リトルバスターズ!エクスタシー』を発売。また、PlayStation 2、PlayStation Portable、PlayStation Vita、Playstation 3、Nintendo Switch等のコンシューマー向けに移植され発売された。各ハードへの移植版は『リトルバスターズ!エクスタシー』を元にしているが、性描写のシーンは割愛されている。
シナリオは同ブランドの美少女ゲームである『Canon』や『Air』、『CLANNAD』のシナリオを担当した麻枝准を筆頭に、都乃河勇人、城桐央、樫田レオが担当。キャラクター、CGデザインについては『Canon』、『Air』等のKeyブランド作品での原画を担当していた樋上いたるを中心に、Na-Gaが担当している。都乃河についてはKeyブランド内のシナリオライターとしては本作からの参加であり、ゲーム次回作の『Rewrite』においては、メインライターの麻枝が引退を表明していたこともありメインライターを務めている。
主題歌は『Little Busters!』。また、それぞれエンディング曲として、『Alicemagic』、『雨のち晴れ』、『Song for friends』、『Little Busters! -Little Jumper Ver.-』、が、劇中歌として『遥か彼方』が収録されている。歌手はいずれもRita。
さらに、エクスタシー版の追加エンディング曲として『Saya’s Song』が追加された。歌手は『Air』の『鳥の詩』や、『CLANNAD』の『ちいさな手のひら』を歌っていたLiaが担当している。
『Canon』『Air』『CLANNAD』と、「人と人との心のつながり」を描いてきたKeyであるが、本作においてもそのスタンスは変わっていない。本作のテーマは「友情」である。
学生生活における日常の描写が豊富に行われているほか、『Refrain』シナリオにおいては美少女ゲームとしては異例と言える男性キャラクターへフォーカスをしたシナリオが描かれている。
『リトルバスターズ!』のあらすじ・ストーリー
共通シナリオ
幼少の頃、主人公の直枝理樹(なおえ りき)は、両親を突然の事故で亡くし塞ぎ込んでいた。また、その時の精神的なショックからナルコレプシーと呼ばれる、突然強烈な睡魔に襲われ眠り込んでしまう病を患い、日常生活を送ることすらままならない日々を過ごしていた。
そんなある時、理樹の前に「正義の味方・リトルバスターズ」を名乗る4人の少年が現れる。リーダーの棗恭介(なつめ きょうすけ)に手を引かれ、リトルバスターズの一員として様々な遊びや冒険に連れ出される理樹。彼らと過ごしているうちに、理樹は少しずつ立ち直りみんなの前でも笑えるようになっていく。
リーダーの棗恭介、筋肉バカで根はやさしい井ノ原真人(いのはら まさと)、剣道一筋でクールな宮沢謙吾(みやざわ けんご)、そして恭介の妹で猫好きな人見知り、棗鈴(なつめ りん)。いつも騒がしく楽しいリトルバスターズの面々の中で、理樹は「こんな日常がずっと続けばいいのに」と願っていた。
数年後、高校生になった理樹は全寮制の高校に入学していた。
高校2年生の5月14日、「恭介が帰ってきた」という寮生の声で理樹は目を覚ます。理樹は、学生寮の同室で、かつてのリトルバスターズのメンバーである井ノ原真人が部屋を出ていこうとしているのに気づいた。真人は、就職活動に出ていた恭介が帰ってきたので、宮沢謙吾との決着をつけにいくという。恭介が外出している間、喧嘩をしないというルールになっていたのだ。
恭介が帰ってきたので、謙吾との決着をつけるべく真人は食堂へ向かう。真人はライバルである謙吾と、バトルを始める。
幼馴染同士の喧嘩を止めようとするも、非力な理樹ではどうすることもできず、帰ってきたばかりの恭介に喧嘩の仲裁を頼む。そこで恭介は、”素手での攻撃は禁止し、お互いに武器を使用する”、”使用できる武器は、喧嘩の野次馬に集まったほかの生徒が投げ入れたもののみ使用できる”というルールを決定し、そのルールで喧嘩の決着をつけるように言い放った。興を削がれた謙吾はその場を後にし、ネコを武器に謙吾との勝負に挑もうとしていた真人は謙吾を挑発する。そこにネコをいじめる奴は許さない、と乱入してきた鈴と真人が決闘。
恭介の定めたルールに則り、両者ともに投げ入れられた武器を使用して戦う。真人はうなぎパイを武器に鈴と決闘するが、三節棍を持った鈴に成すすべもなく敗北。
その様子を眺めていた理樹は、幼い頃からの日常が続いていることに満足していた。
いつものようにリトルバスターズのメンバーで騒いでいた時、理樹がおもむろに「昔のようにみんなで何かをしたい」と提案する。
恭介が足元の野球ボールを拾い、「野球チームを作ろう」と宣言。チーム名を「リトルバスターズ」とし、理樹たちの通う学園の野球部との試合を目標にトレーニングを始めることになる。
しかし、野球をするには9人の人数が必要。リトルバスターズのメンバー5人では野球の試合を開催することはできない。また、謙吾は部活動の剣道で忙しいという理由で、リトルバスターズには不参加を表明してしまう。
そこで恭介は、理樹と鈴を野球チームのメンバー集めの役に任命。理樹と鈴は、おのおの同級生達からリトルバスターズに参加してくれるチームメンバーの招集に奔走する。
しかしながら、鈴は生来からの極度の人見知りであり、メンバー集めをするにも困難を極める。そこで理樹が中心となってメンバー集めを行い、鈴とメンバーたちを交流させることで鈴の人見知りを治すことに。
一方で、理樹と鈴は、鈴が大量に飼っている猫のうちの1匹であるレノンに、謎の白い紙が結び付けられていることに気づく。その白い紙には、「世界の秘密を知りたければ、これから出す様々な指令をクリアしろ」という内容が記されていた。
誰かの悪戯かと理樹と鈴は訝しく思うものの、指令の内容はさしあたり難しいものではない。理樹と鈴は、興味半分で紙に記された指令を、メンバー集めと併せてこなしていく。
屋上でお菓子を食べていたクラスメイト、神北小毬(かみきた こまり)。
理樹のクラスによく遊びに来る、騒がし役の女の子、三枝葉留佳(さいぐさ はるか)。
ロシアと日本のクォーターで、宇宙に憧れる小柄な女子、能美クドリャフカ(のうみ-)。
数学の時間は中庭で絵を描いている、天才にして姉御肌の来ヶ谷唯湖(くるがや ゆいこ)。
いつも木陰で本を読んでいる物静かなクラスメイト、西園美魚(にしぞの みお)。
理樹と鈴は彼女たちを新たなメンバーに加えることに成功し、理樹たちの野球チーム「リトルバスターズ」が出来上がっていく。また、今までバスターズの3人しか友達がいなかった鈴も、新たに加わった5人のメンバーたちとの交流を通して成長していく。
また、鈴は「世界の秘密」を解き明かす指令の中で、食堂の手伝いをしたりする等、様々な人と積極的に交流するようになっていった。
そして、野球部との試合の日。メンバーが1人足らず、センターなしで挑むことになった。
(2週目以降は、下記の経緯から謙吾がメンバーに参加し、ルール通り9人で試合を行うことができる。
弓道の道に才覚を持ち、将来を嘱望されていた古式みゆきという女子生徒。だが、彼女は病気で右目の視力を失い、弓道の道を閉ざされてしまう。
同じく武道の心得があり、才能も持っていた謙吾が古式のメンタルケアを兼ねて話相手になっていたものの、古式の心が回復することはない。
弓道以外に自分の生きる道を見つけられず、絶望した古式は学校の屋上から投身自殺を図ってしまう。そこに駆け付けた謙吾が、飛び降りる古式を追いかけて飛び降りる。
空中で謙吾に抱きかかえられた古式は一命をとりとめたものの、救助に向かった謙吾は左腕を骨折してしまう。腕の怪我のため、剣道部に参加できなくなった謙吾は、リトルバスターズに参加。
右腕だけでバットを振り、ホームランを出す剛腕にメンバーの皆は湧きたったのだった。)
勝利することはできなかったものの、図らずも善戦したリトルバスターズ。(メンバーのパラメータが成長していれば、勝利することも可能)
今までと変わらない、騒がしく楽しい日々を過ごす理樹。「この日常がずっと続く」、そう思う理樹だった。
個別シナリオ
小毬ルート
野球の試合が終わった後、理樹は小毬から「兄」についての相談を受ける。
兄の存在を忘れていた彼女は、理樹に「存在しないはずの兄の夢をよく見る」という相談をする。彼女が大切に持っていた手作りの絵本にも、作者として彼女の兄の名前が書かれていた。
不思議に思った彼女は両親にも「兄」の存在を尋ねるが、彼女に兄などいないという言葉を受けて困惑する。しかし、小毬は存在しないはずの「兄」のことがずっと気になっていた。
ある時、理樹は小毬と共にボランティアに行った老人介護施設にて、「神北小次郎」という一人の老年男性と出会う。ボランティア活動を通して、理樹は小次郎と関係を深めていくことになるが、小次郎は「小毬とわしを絶対に会わせるな」と理樹に忠告する。理樹は、名字が同じである小毬と小次郎の間に何らかの関係があることを察しながらも、小次郎の言う通りに小毬を小次郎に近づけることはしなかった。
ある日、理樹は小毬と共に出かけた帰り道で、水の溢れる側溝で溺れた猫の死骸を見つける。その猫の死骸を見た小毬は唐突に半狂乱となり、嗚咽を上げて泣き出した。
その後、小毬の様子はどんどんとおかしくなっていき、理樹を存在しないはずの「兄」と認識するようになる。
理樹は小次郎が何か事情を知っているのではないかと思い、彼を尋ねることに。そこで小次郎から、「小毬は動物の死骸や血を見ると動転し、精神に異常を来す」という話を聞く。かつて小次郎が喀血した際にも同様の症状が起こったということだった。そのため、老い先短い自身の死に触れてしまえば、小毬の精神に異常を及ぼすことを恐れた小次郎は、小毬を自身に近づけないようにしていた。
小毬にその症状が現れるようになったのは、小毬の兄である「拓也」が、小毬の前で血を吐き死んでしまった時からだという。兄の死がトラウマとなり、小毬は兄の存在をなかったことにした。それから、死そのものや死につながるものを見た時にトラウマが引き起こされ、精神を安定させるため小毬にとって身近な親しい者を「兄」と認識し、精神のバランスを取るようになってしまった。
また、小次郎は「自身の妻も、小毬と同じ症状を持っていた」という。小次郎は妻にとって「兄」の代わりになろうと生きてきたが、結局救えぬまま先立たれてしまったことを強く後悔していた。
「暫く時間が空けば、元の小毬に戻る」と言う小次郎だったが、理樹はそれでは根本的な解決にならないと彼女を兄の死によるトラウマから救い出すことを決意する。
小毬が忘れてしまった兄の死と向き合えるよう、理樹は小毬の兄と同じように童話を創作し絵本を自作する。
そして彼女にその絵本を渡し、「小毬は兄の死と向き合わなければならない」「兄がいなくなっても、これからは自分が傍にいる」と小毬を説得。
理樹の言葉によって、小毬は兄の死と向き合い、トラウマを乗り越えた。
来ヶ谷ルート
野球の試合が終わった後も来ヶ谷との関係性は変わらす、理樹は数学の授業を抜け出して、来ヶ谷に数学を教わっていた。
ある日、理樹が登校した際に、自身の下駄箱にある上履きの中に、いくつかの画鋲が入れられていることに気づく。
そこに、偶然来ヶ谷が通りかかる。理樹は以前、彼女の上履きに対して画鋲を入れるような嫌がらせがあったことを思い出し、来ヶ谷に尋ねる。
眉目秀麗にして、成績優秀・スポーツ万能。非の打ち所がない来ヶ谷であったが、それゆえに周囲から疎まれることも多い。しかし、彼女が主犯格たちの弱みを握ったことで、現在はそういった行為はぱったりと止んだという。
来ヶ谷と別れ、教室で画鋲について思いを巡らせる理樹。こういうことをしそうなのは、以前来ヶ谷に対して嫌がらせを行っていた連中しか思い浮かばない。
しかしながら、理樹には彼女らから恨みを買うようなことをした覚えはなかった。
理樹は恭介、真人、謙吾に相談を持ち掛ける。標的はあくまで来ヶ谷で、その周囲の人間を攻撃の対象にしていること、そして理樹以外のバスターズメンバーにも危害が及ぶ可能性があることを恭介が指摘する。
来ヶ谷の周囲の人間を攻撃することで、来ヶ谷から人が離れていけば、結果的にそれが来ヶ谷への攻撃になるということだ。また、それを踏まえると小毬、クドリャフカも攻撃の対象になり得ると恭介は危惧していた。
そのうえで、理樹は来ヶ谷がバスターズメンバーに居づらくならないよう、来ヶ谷には相談せず自身のみで解決を図ることにする。
理樹への嫌がらせがエスカレートする中、謙吾はやはり来ヶ谷に相談するように言う。謙吾は「来ヶ谷は周囲からの嫌がらせで感情を揺さぶられるような人間には見えない」と言い、「理樹のしようとしていることは、来ヶ谷にとってただの徒労に過ぎないかもしれない」とも言う。
日々理樹への嫌がらせがエスカレートしていく中、理樹のぼろぼろになった教科書が来ヶ谷の目に入る。来ヶ谷は深くは追及しなかったが、すでにバレるのは時間の問題と理樹は懸念する。
このまま知られるくらいなら直接嫌がらせをしてくる相手と話をしようと理樹は決心した。
理樹はクラスメイトの一人であり、嫌がらせの犯行グループである杉並に声をかけ、放課後話をつけることに。しかしながら、当の杉並は「理樹への嫌がらせは知らない」という。
そこに、犯行グループの主犯格である高宮と勝沢が現れる。追及する理樹に対し、白を切り続ける二人だったが、唐突にスピーカーから犯行時の音声が大音量で流れ出す。
その後現れた来ヶ谷。一方で、開き直り来ヶ谷へ噛みつく二人。来ヶ谷が二人に頭を下げない限り、周囲の人間を傷つけると言い放つ。
その言葉に来ヶ谷は激昂し、教室のドアを蹴りで破壊する。怒る来ヶ谷に恐怖し、主犯の二人は逃げ出した。

理樹の告白を受け入れる来ヶ谷
来ヶ谷の超然とした立ち居振る舞いに、理樹は魅せられ恋心を抱く。理樹は来ヶ谷に振り向いてもらおうと、バスターズの男子メンバーに相談を持ち掛ける。
バスターズの男子メンバーと共に、作戦会議で様々な作戦を立てて来ヶ谷へアプローチをかけるが、鈍感な来ヶ谷にはほとんど効果がなく失敗に終わる。
結局直接告白することにした理樹だったが、来ヶ谷の答えはNOだった。
彼女は、「誰の気持ちにも応えることはできない」と理樹の告白を拒絶する。しかし、理樹は来ヶ谷の答えに対し変わらずにアプローチを続ける。
そうした理樹のアプローチに対し、少しずつ人の恋心を理解し始める来ヶ谷。恋心を理解し、自身が人の感情を受け入れることが出来ると思った来ヶ谷は、理樹の告白を受け入れた。
しばらくは、二人で仲睦まじい恋人生活を送っていた理樹と来ヶ谷だったが、ある時から二人の周囲で奇妙な出来事が起こり始める。
周囲の人間が理樹と来ヶ谷が付き合っていることを忘れていったのだ。それだけでなく、6月にも関わらず雪が降るという異常気象まで発生し始める。
何かがおかしいと思った理樹がその原因を調べていくうちに、理樹は6月20日を何度も繰り返しループしていることに気づいた。
理樹は、世界がおかしくなった原因について来ヶ谷なら何かわかるだろうと相談を持ち掛ける。しかし、来ヶ谷からは「これはすでに決まっていたことだ」という答えしか返ってこない。
次第に、異変は理樹と来ヶ谷自身にも表れるようになる。お互いに付き合っている事実が徐々に思い出せなくなっていってしまう。変わらず繰り返される6月20日の中で、お互いを完全に忘れてしまうまで、理樹と来ヶ谷は恋人としての時間を過ごす。
そして、理樹と来ヶ谷の関係も、最終的には何もかもがなかったことになってしまった。
それから、6月20日のループを抜けた後。来ヶ谷は、名前も思い出せない誰かをずっと待ち続けるのであった。
『Refrain』ルート攻略後は、エンディング分岐が発生する。
ルート攻略後の選択肢で「来ヶ谷のことを覚えている」を選択した場合、理樹と来ヶ谷がお互いが恋人同士で会ったことを思い出し、再会するエンディングへ分岐する。
葉留佳ルート
野球の試合が終わった後も、何かと理樹のクラスに現れては大騒ぎしていた葉留佳。
自販機を壊してみたり、風紀委員の腕章に強力磁石を仕込んでみたりなど、彼女の起こす様々なトラブルに巻き込まれていくうち、理樹は葉留佳と交流を深めていく。
ある時、理樹は授業に遅刻した罰ということで、廊下でバケツを持って立っている葉留佳を発見する。寮生活なのに授業に遅刻するのは何故か理樹が尋ねたところ、自宅に帰っているのだという。
実家に帰っているのかと尋ねる理樹に対して、葉留佳は「実家のようなもの」といった曖昧な答えをする。
理樹は深くは触れず、遅刻の原因がわかっているのであれば改善するべきだと言い、自身の寮室へ案内する。
そこでルームメイトの真人が使っている大量の目覚まし時計のうち、いくつかを葉留佳に選んでもらってプレゼントした。
その流れで、理樹は葉留佳に「自分の部屋を見てみないか」と言われ、葉留佳の自宅へ足を運ぶ。葉留佳の部屋で談笑をしているうち、葉留佳の両親が自宅へ帰ってきた。
目に見えて狼狽する葉留佳。部屋に現れたのは葉留佳の母親だった。
せっかく来たのだからと、理樹に夕食を食べていくよう勧める葉留佳の母親だったが、心なしか葉留佳の表情は固く、普段の元気で明るい様子は見られない。
食事の席では、あまりに表面的で上っ面だけの会話に、理樹は一般的な家族はかけ離れたどこかぎこちない印象を受けた。
またある日、理樹は相変わらず風紀委員から逃げ回っている葉留佳を見つける。いつものように会話をする理樹と葉留佳に、一人の女生徒が割って入ってきた。
風紀委員長の二木佳奈多。お互いに敵意の籠った会話をする葉留佳と佳奈多だったが、佳奈多が理樹に放った「葉留佳とは関わるな」という言葉に、葉留佳は動揺し、そのまま走り去っていく。
その後、整備委員の活動として、中庭の椅子を修繕する葉留佳と理樹。
そこに現れたのは、またしても風紀委員の二木佳奈多だった。理樹と葉留佳が修繕した椅子は、元々廃棄予定の物だったという。
葉留佳のやったことは無駄な事だと吐き捨て、葉留佳に向けて悪しざまに言葉をぶつける佳奈多。さらに風紀委員を集め、葉留佳の目の前で修繕されたばかりのベンチを木槌で破壊した。
あまりの仕打ちに激昂する理樹だったが、縋りつく葉留佳に制される。その様子を見た佳奈多は、理樹に向かって「そんな厄介者といるのはやめろ」と重ねて警告した。
佳奈多に憎悪を剝き出しにする葉留佳と、葉留佳を追い詰めるような佳奈多の言動。
理樹は、厄介者の葉留佳を疎む佳奈多が葉留佳に辛辣に当たる理由はわかるが、葉留佳が佳奈多を目の敵にする理由がわからない。
そんな時、学校中の教室の黒板に葉留佳への罵詈雑言が書き殴られ、葉留佳を中傷する内容のビラがばらまかれた。
ビラは、「三枝晶」という男が傷害事件を起こしたという過去の新聞記事だった。
葉留佳は、三枝晶は「もうひとりの父親」であると言い、自身には父親が二人いることを理樹に明かした。
かつて名家だった三枝家が血筋を途絶えさせないよう、自身の母親に二人の男をあてがったのだと言う。そのうちの一人が、そうした異常な環境に耐えきれず事件を起こした。
また、葉留佳の母親は2人の男の子を同時に身籠り、出産した。そのうちの一人が葉留佳であり、もう一人が佳奈多である。
三枝の家では優秀だった佳奈多と比較され、葉留佳は三枝家の親族に虐待されて過ごしてきた。出来の悪い葉留佳は犯罪者の子だと言われ、学校にも通えなかったという。
今の葉留佳の「実家」は、三枝の家から追放された際に引き取られた場所だと言う彼女。ようやく自由になったのに、学校でも三枝の家のような目で見られるのは嫌だと彼女は泣いた。
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理樹に掴みかかり、今まで受けてきた三枝の家での仕打ちを語る葉留佳
しかし、彼女の思いとは裏腹に葉留佳は、学校内で噂の当人として奇異の目で見られる。
ビラをばら撒いた犯人は佳奈多に違いないという葉留佳。そして彼女は、自身が出来損ないの子供でないことを証明するため、理樹に協力してほしいと申し出る。
葉留佳の「実家」の両親に、話を聞く理樹と葉留佳。しかし、彼らはそれは教えられない、と言う。
また、傷害事件を起こした「三枝晶」が出所してこの街に住んでいることを知った彼らは、晶にも話を聞こうとする。
しかし晶は、佳奈多と二人で来たら教えてやると言い、葉留佳を追い返す。葉留佳は佳奈多を晶のところへ連れて行こうとするが、当然佳奈多は応じない。
周囲の人間が、自分の出生についてひた隠しにする様子を見て、徐々に精神が不安定になっていく葉留佳。
そんな葉留佳の様子を見て、理樹は「どうして自分がどちらの子か知りたいのか」と聞く。さらに、「佳奈多を貶めることは、決して問題の解決にはならない」と葉留佳を諭す。
そして葉留佳は、理樹の説得に諭され、「佳奈多を貶めたいわけじゃない。自分がどうやって生まれてきたのかを知りたい」と話す。
自分たちの出生について、詳しい話を知っているのは両親を除けば佳奈多だけ。理樹は葉留佳に、佳奈多に協力をお願いするべきだと言う。
そして葉留佳は改めて、佳奈多へ自分の出生について教えてくれるよう説得する。
佳奈多は「話すことは何もない」と言い、「どうしても聞きたければ土下座でもしてみろ」と言い放つ。
葉留佳は反発するだろうと思った佳奈多だったが、その言葉通りに地面に額をつける葉留佳の姿を見て動揺する。
そして葉留佳の、「もう逃げられない。初めて自分で向き合おうと思った」という言葉を聞き、二人の出生について語り始める。
幼少期の佳奈多は、葉留佳に勝ち続けることと引き換えに不自由のない生活を送っていた。
佳奈多は常に優秀であれと言われ続け、何かあれば三枝の叔父たちに皮のベルトで鞭打ちにされることもあったという。
葉留佳を守りたかった佳奈多だったが、「どうしてもというならお前が葉留佳になれ」「何ならお前か葉留佳、どちらかを間引こうか」という親族たちの言葉をぶつけられる。
葉留佳を守るためには、嫌でも自分が優秀であり続けなければならない。しかし、それは佳奈多と比較され、出来損ないの烙印を押された葉留佳への虐待にも繋がってしまった。
そうして過ごすうちに、二人の仲は決定的に壊れてしまった。
葉留佳は佳奈多の言葉を聞き、佳奈多を抱きしめる。
「自分だけが辛いと思っていた」「お姉ちゃんも辛かったんだね」という葉留佳の言葉で、二人はようやく和解する。
そして、二人でもう一人の父親である晶へ、葉留佳の出生の秘密を聞きに行く。
そこで葉留佳は、晶の口から二人とも望まれて生まれてきたこと、そして母親も二人を愛していることを知る。
そして、どちらがどちらの子なのか。血でも持っていけばすぐにわかると言う晶。
しかし葉留佳は、「自分で自分を愛せるようになったこと、誰かを憎まなくても良いと知ったこと――これが一番知りたかったことだから、もうどちらの子か知らなくても良い」と言った。
そして、母親と二人の父親、葉留佳、佳奈多の5人で、奪われた家族の時間を取り戻したのだった。
クドリャフカルート
野球部との試合が終わった後、理樹たちには実力テストが近づいてきていた。
レポート型の試験ではなく、日本の時間内に記述を行う試験が苦手なクドリャフカ(以下、クド)。
実力テストを受けない選択肢もあるが、その場合は期末考査のみで成績が決まってしまう。そうなると、時間制の試験が苦手なクドにとってはより厳しくなる。
長い逡巡の末、実力テストを受けることにしたクド。クドの苦手な英語を教えるべく、理樹とクドは家庭科部の部室で勉強会を開催する。
勉強会の際の雑談で、クドがテヴア共和国の生まれであり、テヴアと日本の国籍を持つ二重国籍者であること、南方の生まれであることを知る。
彼女の外国人らしい容姿や経歴に反して、日本文化に詳しく得意料理も日本料理というクド。クドが苦手な英語に取り組む等外国人らしくあろうとするのは、自身の外見と内面のギャップに悩んでいるのでは、と理樹は思った。
次の日、クドは英語の授業での英文朗読がうまくいかず落ち込んでしまう。その後の食事中、現れた上級生たちに彼女の外国人らしくない振る舞いをからかわれ、より深く落ち込むクド。
それどころか、自身の英語の赤点回避が、クラスメイトたちの賭けの対象にまでされていることを知ってしまう。そしてクドは、自分は良いが理樹が笑いものになるのは嫌だと言う。
クドのことについて、真人に相談する理樹。真人との会話の中で、理樹はクドから向けられている好意の大きさを自覚し、よりクドを意識するようになる。
無事に実力テストも終了した翌日、理樹とクドは二人でデートをすることに。ヴェルカやストレルカ達との遊び等で、二人は楽しく時間を過ごす。
そしてクドとのデートの終わり、理樹はクドからの告白を受ける。
クドを意識していた理樹もそれを受け入れて、二人は恋人同士になった。
クドとの会話や、クドの故国でのおまじないを通して、クドのことをより知っていく理樹。
ある日の朝食時、食堂でテレビのニュース番組に釘付けになっているクドを見つけた理樹。ニュースではテヴア共和国のロケット打ち上げに新型実験炉を搭載するという報道が連日なされていた。
ロケットの宇宙飛行士・打ち上げ計画の立案者として、会見で説明を行う女性。理樹はその女性の名前のテロップに、「ストルガツカヤ」という文字を見つける。
理樹はクドと同じ名前の女性について、彼女に尋ねた。クドは、その女性こそ彼女の母親だと言う。
クドは母親のようになりたいという一方、ニュースを見て理由もわからない不安に襲われ続けているという。
理樹はクドの不安を取り除くようにクドと触れ合う。そして、母親と電話してみてはどうか、と言う。
忙しい中でも自分のために電話をしてくれた母親と、理樹との触れ合いの中で、クドはその不安を忘れつつあった。
そんなある日、理樹とクドは学食のテレビで、テヴア共和国のロケット打ち上げが失敗し、その結果として未曾有の大災害が発生したというニュースを目撃する。
テヴア共和国では大暴動が発生し、その結果ロケット打ち上げ計画の立案者としてクドの母親が全責任を取らされることになってしまう。
大きなショックを受けるクドは、母を助けるべく祖国へ帰るべきか思い悩む。その様子を見た理樹は、今行かないと後悔するとクドを後押しし、クドも理樹の言葉を受けて帰国することを決意した。
帰国の際、クドは理樹に一つの段ボール箱を渡す。段ボールの中には、クドの宇宙についての本や、軍隊のドッグタグ、溶けた機械の部品が入っていた。

テヴア共和国にて、地下牢に幽閉されるクドリャフカ
クドが帰国したテヴア共和国では暴動がさらに激化しており、空爆が起こるなど、さながら内戦の様相を呈するほどにまで国内情勢が悪化していた。
テヴア共和国に帰国したクドだったが、責任者の娘であるということから、情勢が悪化し暴徒と化した人々に「神に捧げる人柱」として地下牢へ監禁されてしまう。
クドがテヴア共和国へ帰国して当初は彼女と連絡が取れていた理樹。しかし、テヴアの内情もあり徐々に連絡が取れなくなっていく。
そして、クドからの助けてというSOSの電話があってから、一切の連絡が取れなくなってしまった。
その日から、理樹はクドの夢を見るようになる。計画立案者の娘ということで、ロケット打ち上げ計画の反対派に捕縛されるクドの様子や、地下牢に監禁され、日に日に衰弱していくクドの夢である。
衰弱していくクドの様子を見て、自分にも何かできないかと、夢の中でクドの力になりたいと強く願う理樹。その時、理樹の声がクドに届く。
理樹の声に応えるクドだったが、クドは「これは贖罪で、自分が願ったこと」「何もかもがちぐはぐな自分が、ようやく世界を動かす歯車になれた」と理樹に答える。
現実世界では理樹への想いを優先し、故郷へ帰らなかったこと。そして、母の死を修学旅行の直前に知ったこと。
テヴア共和国での事故が起こった時に故国へ帰らなかった未練への、その贖罪だったと語るクド。
そして理樹に渡した溶けた部品は、事故で墜落したロケットの残骸の一部だったという。
虚構世界のことを認識していない理樹には何のことかわからない。しかし、それでも理樹はクドに語り掛け続ける。
そしてクドの「帰りたい」という想いに呼応し、理樹の持っていたロケットの部品がクドの手元に現れる。そして理樹の言うまま、そのロケットの部品を床に叩きつけるクド。
クドを縛っていた鎖が砕け散り、クドは地下牢から解放される。そしてクドは明るくなった空の下で、理樹の元に帰ろうと決意した。
その後、テヴア共和国では徐々に暴動が沈静化し、災害・暴動からの復興が始まっていた。
理樹は街頭のテレビニュースで、テヴア共和国の生存者が希望国への送還を実施されるという知らせを聞く。
ちょうど時を同じくして、クドからのメールを受け取る理樹。
急いで校門へ向かうと、そこにはテヴア共和国から帰ってきたクドの姿があった。
ようやく再会することが出来た二人は、お互いに抱きしめあって喜びを見せるのだった。
美魚ルート
野球が終わった後も、バスターズメンバーとして活動を続ける理樹たち。その中に、美魚の姿もあった。
ある日の昼休み、中庭で理樹と美魚が食事をしていると、恭介が現れ一枚のチラシを手渡す。それは、学園文芸部主催の短歌コンテストの案内だった。
リトルバスターズが文武両道なところを見せてやりたいと息巻く恭介。そして、短歌コンテストの代表として参加してみないかと、美魚を誘いに来たのだった。
理樹にどう思うか尋ねる美魚。理樹はより美魚のことを知りたいと思い、美魚と一緒に短歌コンテストへ参加することにする。
短歌コンテストに向けて、理樹と美魚は何か良いインスピレーションが浮かばないかと河川敷へ出かける。そこで、美魚から幼少期に仲の良かった子がいたこと、今はもういないが、いずれ近いうちに会えるだろうという話を聞いた理樹。
そして美魚が学校を休んだ日。理樹は遅刻の常習犯であるクラスメイトから、「西園を外で見かけた」という発言を聞く。
その日の放課後に美魚にそのことを尋ねるが、美魚は体調が悪く夕方までずっと寝ていた、という。そして美魚に似ている人がいるのだろう、と結論づけた。
美魚は理樹と出かけて得たインスピレーションをもとに、短歌コンテストの作品を書き上げた。
短歌コンテストに作品を提出した後、理樹と美魚は二人で出かけることに。お互いのことを話すうち、美魚が理樹に「行きたい場所がある」と告げる。
その場所は海だった。美魚は、「終わりが始まる場所」と言う。理樹は、美魚がどこかに消えてしまうのではないかという錯覚を覚えたのだった。
そして、美魚は「最後に一緒に居られてよかった」と、理樹にまるでもう居なくなってしまうかのような言葉をかける。
動揺する理樹に対して、美魚は自分の存在感がどんどん薄れていること、もう一人の自分が現れたことから、何かが起こると思っているのだろうと理樹に告げる。
そして美魚と瓜二つの少女が現れる。西園美鳥と名乗るその少女は、美魚の日傘を奪い、美魚に影がないことを理樹に示した。
その後理樹は、持病のナルコレプシーを発症。そのまま睡魔に落ちていった。
美魚と出かけた日の夜中。理樹は寮の自室で目を覚ます。
ルームメイトの真人いわく、「西園がここまで運んできてくれた」という。美魚に感謝する理樹だったが、その日の夕方以降に起こったことを一切覚えていなかった。
その後、日常生活の中でも、理樹は美魚の存在を気にすることがなくなった。何かしら違和感を覚えながらも、理樹は今まで通りの日常を過ごしていると思っていた。
そんなある時、ひょんなことから理樹は、美魚から借りた文庫本を手に取る。
そして、その中にあった「若山牧水歌集」の巻頭詩、「白鳥は 哀しからずや 空の青 うみのあをにも 染まずただよふ」という詩を見つける。美魚が好きだと言っていたその詩を見て、美魚のことを思い出す理樹。
教室で真人や謙吾にも、理樹が忘れていた間の美魚のことを尋ねるが、「この何日間か、西園はいつも通りだった」という答えが返ってくる。
そこに教室に入ってきた西園。彼女は美魚ではなく、美鳥だった。
しかしながら、理樹以外の周囲の人間は、美鳥を美魚と認識しており、美鳥であることに気づいているのは理樹だけだった。
美鳥も、「今は自分が”西園美魚”だ」「理樹もいずれ自分を美魚と認識するようになる」と言う。
そんなことはない、自分は美魚のことを覚えていると断言する理樹だったが、美鳥からの揺さぶりを受け続けるうちに、美魚のことを、小さなことから段々と思い出せなくなってしまう。
美魚を記憶していることがだんだん辛くなってきた理樹だったが、ある日短歌コンテストの作品が展示されている教室の前を通りかかる。
そこで、美魚の書いた短歌を見つける理樹。それは理樹にしかわからない、理樹への想いを詠った詩だった。
それを見て、理樹は確かに美魚は存在していたことを確信する。
変わらず理樹を揺さぶろうとする美鳥。それに対し、自分が好きなのは自分が知っている西園美魚だ、と理樹は拒絶する。
それを聞いた美鳥は、それを言う相手は自分じゃなくて美魚だ、と答え、美魚に会っても後悔するだけだ、とも答えた。そのうえで美鳥は、美魚をお願いと理樹に頼むのだった。

幼少期の美魚と、鏡の中から現れた美鳥
そして、理樹は美鳥の言葉をもとに、美魚と最後に会った場所である海を訪れる。
そこで美魚と再会した理樹。理樹は美魚に戻ってくるよう説得するが、美魚は拒絶する。
美魚は「自分は白鳥になりたかった。誰でもない”わたし”になりたかった」と言い、理樹に自分を忘れるようお願いする。
なんとか答えを先延ばしにしようと、理樹は美鳥について美魚に尋ねる。そして、美魚は美鳥が生まれた経緯を理樹に話すのだった。
かつての美魚は、本の中の登場人物になるごっこ遊びが好きだった。登場人物になりきることで、西園美魚ではない「わたし」になることが出来たからだ。
美魚は、それが妄想だと分かったうえでその世界に浸ることを好んでいた。ある日、白雪姫ごっこをしていた美魚は、魔法の鏡に問いかける。
いつもは美魚が魔法の鏡の役割をする。だが、自分ではない誰かが、美魚の問いかけに答えた。それが美鳥だった。
想像の世界から生まれた美鳥の存在は、美魚に夢と現実がつながった喜びを実感させた。友達のいなかった美魚にとって、美鳥はかけがえのない存在となったのである。
しかし、美魚が小学校高学年の頃。美魚は両親に連れられて、児童精神科を受診する。投薬治療やカウンセリングを受けていく度、美魚と美鳥が会う日々は少なくなっていく。
そのうちに、美魚自身も、美鳥がいない日々が当たり前のようになっていった。
ある日、国語の授業で若山牧水の詩に触れた美魚は、唐突に美鳥のことを思い出す。そして、詩の通りに、一羽の白鳥が飛び立つ音を聞いた。
その時に影を失くした美魚。そして美魚は、美鳥が自分を忘れてしまった美魚を恨んでおり、忘れられない存在として、自身と入れ替わろうとしているのだ、と言う。そうして、自身と美鳥が入れ替わることで、美魚は海と空のはざまで誰でもない「わたし」になろうとした。
孤独であることで、唯一永遠の自己を手に入れられると言う美魚。理樹はそれを否定する。
しかし、美魚は「自分が残れば、美鳥は消える。私たちの願いは表裏で一致している」と言い、そのまま白鳥の姿となり羽ばたいて行ってしまう。
電話で美鳥の喝破を受けた理樹は、空の青、海の青の無限に溶け込んだ美魚を連れ戻すべく、海へ身を投じる。
美魚を探して、海を泳ぎ続ける理樹。理樹の体力が限界を迎えた時、ひとつの白い点となった美魚の手を掴むことができた。
海に沈んでいく中、理樹は美鳥と美魚の会話を垣間見る。美鳥は、美魚とひとつになることでずっと一緒にいられると美魚に語り掛ける。
そして美鳥は美魚に、これから他の誰でもない「西園美魚」になると言う。大切な人が傍にいて、初めて自分になると美魚に語り掛ける。
そして美魚が満たされたことで、美鳥も満たされたと言い、美魚に影を返し二人は一つになった。
美鳥の最後の力で、海から引き揚げられた理樹。そうして美魚を取り戻した理樹は、美魚と共に今まで通りの日常に戻っていくのだった。
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目次 - Contents
- 『リトルバスターズ!』の概要
- 『リトルバスターズ!』のあらすじ・ストーリー
- 共通シナリオ
- 個別シナリオ
- 小毬ルート
- 来ヶ谷ルート
- 葉留佳ルート
- クドリャフカルート
- 美魚ルート
- Refrain
- 鈴ルート
- Refrainシナリオ
- Episode:真人
- Episode:謙吾
- Episode:恭介
- Episode:Little busters
- Episode:鈴
- Episode:理樹
- エンディング
- 『エクスタシー』版追加ヒロインルート
- 佐々美ルート
- 佳奈多ルート
- 沙耶ルート
- 『リトルバスターズ!』のゲームシステム
- 野球ゲーム
- バトルランキング
- 射撃ゲーム
- 学園迷宮探索
- 『リトルバスターズ!』の登場人物・キャラクター
- リトルバスターズのメンバー
- 直枝 理樹(なおえ りき)
- 棗 恭介(なつめ きょうすけ)
- 井ノ原 真人(いのはら まさと)
- 宮沢 謙吾(みやざわ けんご)
- 棗 鈴(なつめ りん)
- 攻略ヒロイン
- 神北 小毬(かみきた こまり)
- 来ヶ谷 唯湖(くるがや ゆいこ)
- 三枝 葉留佳(さいぐさ はるか)
- 能美 クドリャフカ(のうみ クドリャフカ)
- 西園 美魚(にしぞの みお)
- 『エクスタシー』(EX)追加ヒロイン
- 笹瀬川 佐々美(ささせがわ ささみ)
- 二木 佳奈多(ふたき かなた)
- 朱鷺戸 沙耶(ときど さや)
- その他のキャラクター
- 古式 みゆき(こしき みゆき)
- あーちゃん先輩
- ドルジ
- 杉並 睦実(すぎなみ むつみ)
- 渡辺 咲子(わたなべ さきこ)、川越 令(かわごえ れい)、中村 由香里(なかむら ゆかり)
- 高宮(たかみや)、勝沢(かつさわ)
- 伊藤(いとう)
- 相川(あいかわ)
- 遠藤(えんどう)
- 神北 小次郎(かみきた こじろう)
- 三枝 晶(さいぐさ しょう)
- チェルヌシカ
- イワン
- 時風 瞬(ときかぜ しゅん)
- 『リトルバスターズ!』のアイテム
- マッスルエクササイザー
- 学園革命スクレボ
- モンペチ
- 『リトルバスターズ!』の用語
- リトルバスターズ
- 「世界の秘密」
- 虚構世界
- ナルコレプシー
- 『リトルバスターズ!』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- 脚本担当の麻枝のお気に入りキャラクターは朱鷺戸沙耶
- 『ナツメブラザーズ!』と『ナツメブラザーズ!(21)』
- 沙耶の生死
- 『リトルバスターズ!』の主題歌・挿入歌
- OP(オープニング):Rita『Little Busters!』
- OP(オープニング):Rita『Little Busters! -Ecstasy Ver.-』(『EX』版、『CE』版)
- ED(エンディング):Rita『Song for friends』(来ヶ谷ルート1、Refrain1)
- ED(エンディング):Rita『Alicemagic』(小毬ルート、葉留佳ルート、来ヶ谷ルート2)
- ED(エンディング):Rita『雨のち晴れ』(クドリャフカルート、美魚ルート)
- ED(エンディング):Rita『Little Busters! -Little Jumper Ver.-』(Refrain)
- ED(エンディング):Rita『Alicemagic -Rockstar Ver.-』(佳奈多ルート、佐々美ルート)
- ED(エンディング):Lia『Saya's Song』(沙耶ルート)
- 挿入歌:Rita『遥か彼方』