Kanon(カノン)のネタバレ解説・考察まとめ

『Kanon』(カノン)とは、1999年にKeyから発売された恋愛アドベンチャーゲーム。感動的なストーリーを特徴とした「泣きゲー」の代表格として名高く、小説、マンガ、アニメと様々なメディアミックスを果たしている。
高校生の相沢祐一は、7年ぶりに従姉妹の水瀬名雪が暮らす北国の街を訪れる。子供の頃は毎年のように遊びに来ていたこの街での記憶をなぜか忘れていた祐一は、月宮あゆを始めとする同年代の少女たちと出会い、やがて恋仲となっていく。そんな彼らを待ち受けていたのは、残酷な運命と天使が呼ぶ奇跡だった。

『Kanon』の概要

『Kanon』(カノン)とは、1999年にKeyから発売された恋愛アドベンチャーゲーム。感動的なストーリーを特徴とした、いわゆる「泣きゲー」の代表格にして金字塔として名高い。
キャラクターデザインは樋上いたる、ライターは久弥直樹と麻枝准が務め、R18のPC版が最初に発売された後にPCの全年齢版、Dreamcast版、PlayStation 2版、Nintendo Switch版が次々と発売されていった。

小説、マンガ、アニメと様々なメディアミックスを果たしており、特にアニメ版はそれぞれに原作を最初から描いたものが2作品が作られるなど、本作の高い人気を裏付けるものとなっている。
ヒロインのみならずサブキャラクターの評価も高く、中にはメインヒロインに匹敵する人気を得た者もいる。「楽しく魅力的な日常」、「悲劇と感動による落差の演出」など、演出や表現手法の面でもサブカルチャー全体に大きな影響を与えた。

高校生の相沢祐一(あいざわ ゆういち)は、両親の海外赴任を機に叔母の家で暮らすこととなり、7年ぶりに従姉妹の水瀬名雪(みずせ なゆき)が暮らす北国の街を訪れる。子供の頃は毎年のようにこの街に遊びに来ていた祐一だったが、なぜか今は当時の記憶のほとんどを忘れてしまっていた。
転校先の学校での生活にも慣れた頃、祐一はタイ焼きの食い逃げ騒動で追われていた月宮あゆ(つきみや あゆ)という少女と出会う。やがて祐一はこの街で知り合った同年代の少女たちと恋仲となっていくが、そんな彼らを残酷な運命と天使が呼ぶ奇跡が待ち受けていた。

『Kanon』のあらすじ・ストーリー

北の町の日常

アニメ版より。主人公の祐一(左)と、ヒロインの1人である名雪(右)。

高校2年生の相沢祐一(あいざわ ゆういち)は、両親の海外赴任を機に叔母の水瀬秋子(みなせ あきこ)の家で暮らすこととなり、7年ぶりに従姉妹の水瀬名雪(みずせ なゆき)が暮らす北国の街を訪れる。子供の頃は毎年のようにこの街に遊びに来ていた祐一だったが、なぜか今は当時の記憶のほとんどを忘れてしまっていた。
名雪の友人の美坂香里(みさか かおり)や北川潤(きたがわ じゅん)との交流を重ね、次第に転校先の学校での生活にも慣れた頃、祐一はタイ焼きの食い逃げ騒動で追われていた月宮あゆ(つきみや あゆ)という少女と出会う。あゆは祐一と同年代に見えたがいつも私服姿で、いつも天使の羽がついてリュックサックを背負っている変わった少女だった。

寝起きが悪い名雪の面倒を見たり、学校で香里や北川と下らない話で盛り上がったり、あゆと一緒に買い食いしたりと、7年ぶりに訪れた街で楽しい日々を過ごす祐一。次第に彼は街への愛着を強くしていくが、「どうして自分はこんなに楽しい街の記憶を忘れていたのか、名雪からの手紙にもこれまで返事を書こうとしてこなかったのか」との疑念に首を傾げるようにもなっていった。

個別ルート

水瀬名雪ルート

名雪と一緒に過ごす内に、祐一は彼女の優しさや純粋さに惹かれていく。しかし同時に「名雪はこんなにいいヤツなのに、どうして自分は7年前から彼女やこの街と向き合おうとしてこなかったのか」について悩み始める。
やがて朧げながら彼が思い出したのは、「7年前に、この街で仲良くなった“名雪ではない女の子"が事故に遭い、昏睡状態になったまま目覚めなくなった」という痛ましい事実と、自分がその悲劇から目を背けようとする余りにこの街との関わりを無意識に断ってきたという事実だった。記憶を取り戻した祐一は、その痛みを抱えたまま名雪と共に生きていきたいと望み、彼女もこれを受け入れたことで2人は恋人となる。

しかし2人が交際を始めた直後、秋子が事故で生きるか死ぬかの重体となってしまう。名雪はこれにショックを受け、「ずっと2人で生きてきたのに、祐一とのことも喜んでくれると思っていたのに、お母さんが死んでしまったら私も笑えなくなる」と生きる気力を失ってしまう。なんとか名雪を元気づけたい祐一は、香里や北川の力も借りて奮闘するが、その努力はことごとく空回りする。
万策尽きた祐一が自分の無力を嘆いていると、彼の前にあゆが現れる。「その子は祐一が一番大切にしたい女の子なのか」と不思議なことを訪ねてきたあゆは、一度だけ奇跡を起こすと宣言し、祐一に名雪に自分の本音を打ち明けるよう勧める。これに従い、祐一は「名雪が秋子さん無しでは生きていけないように、自分も名雪無しでは生きていく意味が無い」との言葉を伝え、彼女に再び生きる気力を取り戻させる。

秋子は九死に一生を得て無事に回復し、名雪が笑顔を取り戻したことを香里や北川も喜ぶ。祐一は自分の下に帰ってきてくれた笑顔の名雪と共に、雪降る街で過ごす楽しくて幸せな日常を噛み締めていくのだった。

川澄舞ルート

川澄舞(かわすみ まい)は、祐一が通う高校の上級生で、夜な夜な剣を持って学校に入り込んでは正体不明の見えない怪物と戦っていた。怪物との戦いで毎日傷だらけになっている舞は、学校では不良の類と見なされていた。
そんな舞と知り合った祐一は、物珍しさから彼女の怪物退治に付き合い、次第に親しくなっていく。怪物の存在を認めない生徒会の面々と衝突することもあったが、舞の友人で有力者の娘の倉田佐祐理(くらた さゆり)のサポートなどもあってこれを切り抜けていく。

やがて祐一は、怪物の正体が「舞の超能力が暴走したもの」であることを知る。病気の母を救いたい一心で超能力を得た舞は、これを金儲けに利用しようとする大人たちによって悲惨な子供時代を過ごし、次第に心を閉ざしていった。しかし自身の超能力で「いずれ自分の力になってくれる少年」がいることを予知した幼い頃の舞は、自分からその少年(=祐一)を探して交流するようになる。しかし7年前に祐一が街を去ったことで会うこともできなくなり、「こんな力があるから」と己の超能力を嫌い、自分から切り離してしまった。これが後に「怪物」となり、舞の中に戻ろうとして暴れるようになったのだった。
もともと自分の一部である怪物を倒すたび、舞自身も傷ついていた。全ての怪物を倒した舞は、祐一の前で力尽きるも、過去の記憶を取り戻した祐一の「これからも舞と一緒にいたい」との想いが奇跡を起こす。過去へと戻った祐一が、怪物を倒し切る前の舞に全ての事実を伝えたことで舞は怪物こと“かつての自分の一部”を受け入れる。祐一と舞が正式に付き合い始めたことを知った佐祐理は大喜びし、3人はその後も交流を重ねていく。

美坂栞ルート

ある日祐一が街で出会った小柄な少女は、自身を美坂栞(みさか しおり)と名乗る。「香里に妹がいたのか」と驚く祐一だったが、後に学校で香里に確認すると「自分に妹はいない」と言い張る。しかし栞の方は香里は自身の姉だと語り、いつか彼女と仲直りしたいと主張する。不思議に思いながらも、祐一は体が弱い栞のことを放っておけずに彼女との交流を重ねていく。
やがて祐一は、栞が重い病に侵されていること、次の誕生日を迎えられる可能性はかなり低いこと、「仲の良かった妹の死」という現実に耐えられずに香里が彼女の存在を無いものとして扱っていることを知る。栞と香里が自分が想像していたよりも遥かに重い現実に直面していることを知って驚く祐一だったが、「せめて栞に悔いのない人生を歩んでほしい」と全面的に彼女に協力するようになる。

自分に協力してくれる祐一のことを、栞も深く信頼するようになり、「もっとこの人と一緒にいたい」と願うようになる。2人の努力は実を結び、栞は16歳の誕生日を迎え、「絶対に会いたくない」と拒んでいた香里とも対面と一応の和解を果たす。しかしここでついに栞は力尽き、改めて病院に担ぎ込まれる。
栞と共に過ごす中で彼女を深く愛するようになっていた祐一がこれを嘆く中、栞も含めて交流を続けてきたあゆが現れる。今の祐一にとって栞こそがもっとも大切な女の子であることを知ったあゆは、「奇跡を起こす」と言っていずこかへと去っていく。その直後、栞の容体は奇跡的に回復。退院した栞と共に過ごす日常の幸せを、祐一は深く噛み締めるのだった。

沢渡真琴ルート

ある日祐一は、街で沢渡真琴(さわたり まこと)という少女から「恨みを晴らしてやる」との因縁をつけられる。なんのことだかさっぱり分からない祐一だったが、真琴はやることなすことトンチンカンな上に過去の記憶が無いらしく、これに同情した名雪と秋子の配慮で水瀬家で暮らすこととなる。「過去の記憶が無いのに何を恨んでいるんだ」と呆れる祐一だったが、真琴のイタズラじみた復讐を返り討ちにしていく中で、次第に素直で単純な彼女を気に入り、家族の一員として受け入れていく。
そんな中、真琴の姿を見た下級生の天野美汐(あまの みしお)は、祐一に「あなたはこれから途方もない悲しみに襲われる」との言葉を伝える。美汐の言った通り真琴は風邪のような症状で寝込んだ後に急激に体調を悪化させ、祐一たちと共に過ごした記憶どころか自我さえも失い始める。

真琴の正体は、7年前に祐一が助けた子狐だった。怪我が治るまで自分を保護してくれた祐一に感謝した子狐は、いつか彼に恩返しすることを夢見ていたが、祐一が街を訪れなくなったことで「捨てられた、裏切られた」と思い込んでしまう。今になってついに祐一と再会した子狐は、人に化けて彼に近づいたものの、未熟な術で無理をしたために己の心も命も失おうとしていたのだった。美汐もまた、かつて恩返ししようとした狐を死なせてしまったことがあり、祐一が同じ目に遭うことを懸念していたのだ。
もはや真琴を助ける術がないことを知った祐一は、水瀬家の面々と共に彼女との最後の思い出を作る。やがて「ずっと一緒にいよう」と心からの思いを告げる祐一の腕の中で、真琴は静かに息を引き取る。後に美汐から「奇跡が起きるとしたら何を願うか」と尋ねられた祐一は、「そんなの決まっている」と言葉を返すのだった。

月宮あゆルート

あゆと共に過ごす内に、祐一は7年前にこの街で起きた悲劇の記憶を少しずつ取り戻していく。それは「自分は7年前にあゆと出会い、友達になったが、彼女が事故で昏睡状態になったショックで街での記憶の全てを閉ざした」という事実だった。
ならば今のあゆは何者なのか、どうして自分と初めて出会ったような態度を取るのか、不思議に思いながらも彼女と交流していく祐一。そんな中、祐一は“本物のあゆ”がまだ昏睡状態にあること、彼女が「かつて祐一からプレゼントされた天使の人形」を探していることを知る。

祐一に真実を知られたあゆは、自分がこのまま目覚めないかもしれないことから、「自分のことを忘れてほしい」と伝えて姿を消す。今度こそあゆを助けたいと願った祐一は、名雪たちにも手伝ってもらいながら天使の人形を探し出し、「あゆに会いたい」と願う。
その祈りが天に通じたか、あゆは昏睡状態から覚醒。無事に退院し、祐一とも再会する。7年の時を経て、2人はようやく同じ時の中を歩み始めるのだった。

『Kanon』の登場人物・キャラクター

主人公

相沢祐一(あいざわ ゆういち)

アニメ版の祐一。

CV:私市淳(テレビアニメ第1作・ドラマCD版) / 杉田智和(テレビアニメ第2作・PSP版・Switch版) / 安田美和(テレビアニメ版・幼少時代)

本作の主人公で、高校2年生の少年。皮肉屋なところがあり、ヒロインたちからは「意地悪」と称されることもあるが、基本的には一途で優しい性格。
物語の舞台となる街には、子供の頃から毎年のように遊びに来ていたが、7年前に「友達になったあゆが事故に遭って昏睡状態になる」という悲劇を経験し、その記憶を無意識に封印していた。7年ぶりに訪れた街で、様々な少女たちと出会い、奇跡を巡る物語に巻き込まれていく。

メインヒロイン

月宮あゆ(つきみや あゆ)

BOTAnNABE
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@BOTAnNABE

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