魔人探偵脳噛ネウロ(松井優征)のネタバレ解説・考察まとめ

『魔人探偵脳噛ネウロ(まじんたんていのうがみねうろ)』とは、2005年2月から2009年4月まで週刊少年ジャンプで連載された漫画作品であり、それを原作とするアニメ作品。“謎”と呼ばれるエネルギーを主食とする魔人・脳噛ネウロ(のうがみねうろ)と、平凡な女子高生・桂木弥子(かつらぎやこ)が探偵として様々な事件を解決していく。ストーリーを通して弥子の成長や、魔人の視点を通しての「人間の可能性」を描いていく。謎解きよりもその独特な画風や強烈なキャラクターが一部のファンにカルト的人気を博している。

魔界探偵事務所

ネウロが弥子を探偵として活動させるための拠点。”謎”の気配を感じ設置を決定した事務所。元はチンピラが経営する金貸し屋であったが、そこで昔起きた事件を弥子が解決することを条件に事務所と弥子を担保に交渉した。事件は解決したが納得のいかないチンピラからの襲撃を受けたため、ネウロが本気を出し強奪した。都内に位置し駅やコンビニも近いという俗的な立地条件もネウロが設置を決めた理由。元々その金融会社で働いていた吾代を「使えそうな下僕」としてストックする。壁には女性と思われる死体が埋まっており、髪の毛だけが生き返る。
電人HAL事件では重機のハンマーによる襲撃を受けボロボロになるも、その後知り合った家具デザイナーにネウロが無償で直させた。

赤い箱

怪盗Xが美術品を盗んだ現場から人間を1人連れ去り、液状になるまでドロドロにしたものを詰めた箱。ガラスの重さを除くと内容物の重さは失踪した人間と全く同じ重さになる。ガラス製のため外から見れば血の赤しか見えないことが名前の由来である。世間から見れば目的不明の行動に見え、Xを「猟奇殺人犯」にする大きな要素。実際の目的は「観察」であり、「自分の正体(なかみ)」がわからないXが他人を見比べるためである。箱自体はシックスの名前からくる6面体を由来としており、知らないうちにシックスの模倣をしていることがわかる。

電子ドラッグ

篚口を洗脳する電子ドラッグ。

春川英輔が自身の目的のため開発した。見た者の脳に影響を与え、「子供がアニメを見ていてぶっ倒れること」と似ている。視聴すると脳内麻薬が通常よりも多量に出てトランス状態になることと、2度3度視聴したくなる中毒性から「電子ドラッグ」と篚口に名付けられる。人間なら誰しもが持つ欲求や怒りなどを無理やり引き出し、犯罪行為に走らせることができる。犯行時は洗脳状態のため罪の意識などは芽生えず、記憶も曖昧になる。最初に世間に出回った何度も視聴することで洗脳を深めていくバージョン1を、洗脳された篚口がバージョン2にアップグレードする。即効性が高く単純な命令のみで洗脳可能なため、道ゆく人を一瞬で数多く洗脳することを可能にした。

新しい血族

人間からさらに進化した存在を指し、シックスが認めたものだけが一族として名乗れる。シックスの求める水準を満たすものは「100人」としている。しかし実際は人間の新種はそうたくさん生まれることがなく、シックスのみが純粋な「新しい血族」と言える存在。

五本指

シックスを筆頭にした「新しい血族」の中でも、定向進化の能力が高い者を選抜したもの。小指から順に重要度が増し、DR、テラ、ヴァイジャヤ、葛西、ジェニュインの順に位置づけられる。

『魔人探偵脳噛ネウロ』の名言・名セリフ/名シーン・名場面

弥子「犯人は、お前だ」

探偵もののセリフとしては一見ベタに見えるセリフが、この「犯人は、お前だ。」である。本作ではネウロの魔力操作によって腕を操られた弥子が犯人を差し示し言い放っている。犯人に向かって指を向けこのセリフを言うことで、犯人の敗北、つまり“謎”のエネルギーの放出のきっかけになる。その命中率はほぼ100%だが、一度だけXによって能力を強化された手下に避けられたことがある。
第1話以降必ず弥子が犯人を追い詰める時に言うセリフであり、探偵としての決め台詞にもなっている。初めこそ弥子には戸惑いもあったが、ストーリーが進むにつれ探偵として自信を持ち始める。物語後半にかけて確信を持って犯人を指差す弥子からは、キャラクターの成長が見れるため、読者にとっても印象に残る。
唯一最後の戦いとなるシックスに向かっては、ネウロ自身がこのセリフを言っている。

ネウロ「期待外れだヤコよ。貴様の日付はいつになったら変わるのだ?」

「髪切り美容師」が登場するエピソードでネウロが弥子に言い放ったセリフが「期待外れだヤコよ。貴様の日付はいつになったら変わるのだ」である。日頃ネウロの力に頼ってばかりで足元を見られて悔しい弥子が、「一人で事件解決する」と息巻き捜査する。あかねちゃんの力を借りつつも、なんとか犯人と接触した弥子だが、犯人の策略にハマり拘束されてしまう。結局ネウロが助けに現れことなきを得る結果となった。
ネウロは人間の可能性を信じ、良質な謎を作れる人間全体に期待している。しかしいつまでもネウロの助けを必要とし、自立しない弥子に向けて失望してしまい、このセリフを言う。『進化する=日付が変わる』と関連づけた言葉で、弥子の背景に0時数分前の時計が描写されている。このシーン以降、「弥子の進化が求められる」ことを表すシーンでは、同じ時計が背景に現れるようになる。
普段は弥子に対して「うじむし」や「ぼろ雑巾」などの暴言を吐くことが多いネウロ。しかしこの言葉は、そうした暴言に比べればかなりソフトな言い回しである。そのためネウロの失望感がより具体的に表現された。作中では弥子の心を一段と重くして、読者の印象にも深く残るセリフとなった。
また、電人HALのエピソードのクライマックスでは、弥子がHALの最終パスワードを確信するシーンがある。その背景には、これまで日付の変わらなかった時計が「0時00分」を指しており、『日付が変わる=進化した』ことを表現していた。

電人HALの最期

HALが最期を迎える瞬間に、刹那がずっとそばにいたことに気づく

作中でも屈指の名シーンとして取り上げられる。
ネウロに”謎”を喰われ無力化したHALが、最期に自分を消すプログラムを弥子に起動させる。そしてプログラムの消去が始まり、そのカウントダウンを示す数値バーが表示される。HALが目的を果たせず消えていくものと思っていたところで、バーがある数値を指すことに気が付く。それはHALの目的である刹那を表す数字の単位、「0.000000000000000001」というものだった。ずっと遠くにいると思っていた刹那であるが、本当はHALのすぐそばにいることに気づかされる。そしてHALは充足感とともに消えていくのである。
HALが最後まで「刹那と会う」目的を果たせられないと思っていた読者は、この最後の仕掛けに驚かされる。弥子同様にHALの目的が中盤は分からず読者は戸惑ってしまう。そして終盤にかけて判明した目的には、HALの個人的感情が強く出ているため、共感した読者も多かった。そのため最期に目的を果たし刹那の腕に抱かれ消えていくHALに、読者は感動させられてしまう。普段パソコンなどを使う場面も多いため、数値バーの仕掛けには驚かされた読書も多かった。
作者も「連載がここで終わってもいいようにしていた」というほど、かなり力を入れていたエピソードである。

『魔人探偵脳噛ネウロ』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

作者がイケメン

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