となりのトトロ(ジブリ映画)のネタバレ解説・考察まとめ
『となりのトトロ』とは、1988年に公開したスタジオジブリ制作のアニメ映画。昭和30年代、緑豊かな農村に引っ越してきた草壁さつき、メイの姉妹は奇妙な生き物トトロと出会う。ネコバスも含め、子供の時にしか会えない彼らとの交流、そして少しの成長を描いたもの。爽やかな自然の描写と、それに相反する多くの暗い都市伝説を持つ作品でもある。原作、脚本、監督は宮崎駿。
『となりのトトロ』の概要
『となりのトトロ』とは、1988年に公開したスタジオジブリ制作のアニメ映画です。宮崎駿監督のジブリアニメとしては、『天空の城ラピュタ』に次ぐ2作目に当たります。
舞台が昭和30年代の日本と地味目であることなどから、興行収入では『風の谷のナウシカ』(厳密にはジブリ作品ではありません)や『ラピュタ』に及びませんでした。しかし、「日本映画ベストテン」で1位を獲得するなど国内の映画関連の賞を受賞、翌1989年に『金曜ロードショー』で放送されるや20%超えを記録。さらに翌年にはトトロのぬいぐるみを視聴者プレゼントに採用したところ、応募総数は200万を超えるほどの人気を獲得します。
『おもひでぽろぽろ』以降のジブリ作品では冒頭にトトロの絵が挿入されるようになりました。さつきら草壁一家が暮らす草壁家も2005年に『愛・地球博』で建築。今にも倒れそうな柱なども完全再現されています。
最初は一人の予定でした
当初のイメージボードでは、雨の中傘を持つ少女とトトロが描かれています。しかし、少女は一人だけで、メイとさつきを足したような印象。これはどのタイミングでトトロと主人公を会わせるかについて、二つの場面が浮かんでしまい、「じゃ、いっそ二人にしちゃおう」となったようです。
同時上映作品『火垂るの墓』
この作品、実は単体ではなく『火垂るの墓』と同時上映でした。「オバケに墓!?ダメダメそんなの」と好印象は持たれなかったものの、上映は実現。しかし、片やかわいいオバケとの交流を描いた、楽しげな物語。片や空襲シーンもあれば死体も出る戦中、戦後が舞台で、子供が衰弱して死んでいく様をシビアに描く作品。方向性の異なる両作品の温度差は当然激しく、しかも『トトロ』と『火垂るの墓』と、どちらが先に上映されるか特に決まっていなかったため、『トトロ』を先に見た後で『火垂るの墓』を見たグループの中には、あまりの内容の落差に泣き出す子も出たそうです。
『となりのトトロ』のあらすじ・ストーリー
自然の豊かな農村に越して来た草壁一家。父のタツオ、長女のさつき、次女のメイ。そして七国山病院で入院中の母、靖子。姉は学校、父は自宅仕事の最中一人で遊んでいたメイは、半透明な奇妙な生物を目撃します。追って行った先には、しめ縄の巻かれた大きなクスノキ。先の生物を探している中、見つけたドングリを拾おうとして洞に落ちたメイは、そこでさらに大きな生物と遭遇。眠っていたその生物に「トトロ」と名をつけるのでした。いつの間にか眠っていたメイは、父や姉もトトロに会わせようとするのですが、どうやっても見つからず。「メイが会ったのはきっと森の主。いつも会えるわけじゃない」と言われて、帰路に着きます。
その後、雨の日に父の帰りが遅いからと傘を持ってバス停で待つさつきもトトロと遭遇。父の傘を貸すことで少し交流出来た、と喜ぶのですが、トトロの待っていたらしい、猫のようなバスのような生物を見て驚愕。トトロは傘の礼として、木の実のたくさん詰まった包みを渡し、「ネコバス」に乗って去っていきました。やがて夏休みが始まると、母の仮退院の話が出ますが、体調不良を理由に延期。楽しみにしていただけにショックは大きく、それが原因で姉妹は衝突。メイは自分でとったトウモロコシを母に届けるため、ひとりで病院に向かいます。それは4歳の子にとってはあまりに無謀な行為。案の定迷子になります。村の大人たちも巻き込んでの捜索が行われる中、さつきはトトロの場所へと向かうのでした。
『となりのトトロ』の登場人物・キャラクター
草壁さつき
小学校6年生。入院している母の代わりに家事をこなし、妹の面倒を見て、時にいさめるしっかり者。カンタに傘を借りた(カンタが強引に貸した)時は家まで返しに行き、カンタの親相手に丁寧な礼の挨拶もできます。一方で子供らしさもあり、メイからトトロのことを聞いた時会いたがっていました。対面できたのは雨の中、父親の帰りを待つバス停。トトロにもらったお礼の木の実を地面に植えて芽が生え、大木に育つ、トトロにしがみついて空を飛ぶ夢を見るなどします。明るく聞き分けがいいものの、それだけに不安や我慢を押し殺しがちな面もあります。
母の仮退院が体調不良により延期になった際、不安が爆発して聞き分けのないメイを叱りつけます。母の入院に関しては、元々「風邪みたいなもので、少し調子が悪いだけ」という説明を受けており、入院時よりも体調が悪いのなら、母が死んでしまうかもしれないと泣き出しました。メイが行方不明になった時、「病院に行ったかもしれない」と、足が血豆だらけになっても走り回り、人々から目撃情報を募りますが、万策尽きてトトロの元へ向かおうとします。うまくトトロの世界へ通じる道に繋がり、ネコバスに乗ってメイとの再会を果たしました。当初は4年生の予定だったのが、あまりにしっかりしていたため6年生になったとのこと。名前の由来は五月の異名、「五月」から。
草壁メイ
出典: girlschannel.net
さつきの妹。4歳。トトロと初めて接触、名前を付けます。親を慕い、想う気持ちは姉と同じですが、幼さもあって感情表現等は自由奔放。母の退院を心待ちにしており、「明日には帰って来るかな」と口癖のように言っていました。家の管理人であるおばあちゃんの畑で取れたトウモロコシをあげるんだと張り切っていた矢先に退院延期の報せを聞き、「嫌だ!」を駄々をこねたことで姉と喧嘩。しかし泣いている姉を見て、決心したように七国山病院に向かいます。さつき曰く「すぐ迷子になる」そうで、事実発見された時にはどことも知れない地蔵の近くでうずくまっていました。名前の由来は五月の英語名、「May」から。
お父さん(草壁タツオ)
さつき、メイの父。優しいものの、昼食の弁当を作らねばならない日に寝坊をするなど、少し抜けている部分も見受けられます。考古学を教える為に東京の大学で非常勤講師を務めたり、自宅で翻訳などの仕事をすることもあり、その執筆風景から後述の都市伝説を生み出すきっかけにもなりました。声の担当はコピーライターの糸井重里氏。
お母さん(草壁靖子)
出典: www.youtube.com
七国山病院に入院中。新しい家がお化け屋敷かもしれないと聞いても、「オバケ大好きよ」と言い、さつきの髪をとかすなど優しいお母さんです。子供たち、特にさつきに無理をさせているとの思いがあり、ラストで夫に「退院したら、あの子たちにワガママ言わせてあげなきゃ」と意気込んでいました。退院延期は、ただの風邪だったのを病院が勝手に騒いだ、とのこと。
おばあちゃん
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