荒垣真次郎（ペルソナ3）の徹底解説・考察まとめ

「こんな俺の命でも、奪えばお前は、俺と同じ重みを背負う事になる」

荒垣が、自分に復讐しに来た天田に向けて口にした言葉。
荒垣が過去に起こしたペルソナ能力の暴走により、母を亡くした天田。母の仇を討つ為、ある夜、天田は荒垣を母が死んだ場所に呼び出す。しかし天田が自分を恨んでいる事を察していた荒垣は、天田に殺される覚悟で彼の呼び出しに応じる。そうして向かったその先で、自分に刃を向けてきた天田にむかって荒垣が投げかけた言葉がこのセリフである。

間違いとは言え、人を殺してしまった経験を持つ荒垣。それ故に「命を奪う」という行為が、どれだけ重く苦しい事であるかを彼は知っている。これはそんな彼の経験を基に生まれたセリフだといえる。また荒垣は、天田を見守る為に特別課外活動部（S.E.E.S.）に戻ってきている。その事を踏まえて鑑みると、このセリフからは自分を殺した後の天田の事を慮る荒垣の心情も垣間見る事ができるといえるだろう。

「…これで、いい…」

荒垣が息を引き取ろうとしたその間際、真田に向かって言った最期の言葉。

荒垣への復讐を果たそうとした天田。しかし突然現れたストレガのリーダー、タカヤによってそれは壊されてしまう。タカヤの銃撃から天田をかばった荒垣は、天田の代わりにタカヤの銃に撃ち抜かれてしまう。真田達特別課外活動部（S.E.E.S.）の面々がやってきた時にはもう息も絶え絶えの状態だった。
そうして駆けつけてきた仲間達と無事だった天田を前に、荒垣は笑みを浮かべながらこのセリフを言い残して亡くなる。

死ぬ事でようやく自分が起こした過去の過ちに対する報いが出来た事、さらにその報いの為に天田の手を汚さずに済んだ事に対する荒垣の安堵が垣間見れる最期の言葉だといえる。その悲しすぎる顛末に、多くのプレイヤーを涙の渦につきとす事になった荒垣のセリフである。

「ったく…こんな黒コゲにされたら、食材がかわいそうだろ…」

『ペルソナ3 ポータブル』にて追加された荒垣のコミュニティ「月」にて、聞く事ができる荒垣のセリフ。
PS2版『ペルソナ3』のリメイク作にあたる『ペルソナ3 ポータブル』では、PS2版の時には存在しなかった「女主人公」を選んでプレイする事が可能になっている。その際、PS2版にはなかった荒垣真次郎のコミュニティが生まれる。このコミュニティとは主人公が周囲の人々と交流を図る事で解放されるシステムである。このコミュニティのランクをあげる事で、ペルソナに新たな技を授けられたり、新しいペルソナ作成時に得られる経験値の量が増えたりといった好影響が生まれる仕組みになっている。

このコミュニティでは、本編を通してだけでは知れなかった各キャラクターの一面を知る事ができる。もちろん荒垣も例外ではなく、コミュニティを通して様々な一面をP3主人公（女）に見せてくれる。このセリフはその中の1つ、荒垣の「料理が得意」という一面について触れたイベントでのセリフとなっている。
風花が失敗した料理を見て「食材がかわいそう」という言葉選びをするあたり、荒垣がただの「料理ができる人間」ではなく、「料理が好きな人間」である事が察せられるセリフだといえるだろう。

なお、このセリフが聞けるイベントにて、荒垣は風花に料理を教える事になる。普段は特別課外活動部（S.E.E.S.）の面々と距離を置きがちな荒垣だが、料理が出来ずに困っている風花を見捨てずに最後まで付き合ってしまうあたりに、彼の人の良さが感じられるイベントである。