キタロー／ハム子／P3主人公（ペルソナ3）とは【徹底解説・考察まとめ】

P3主人公の概要

P3主人公とは、株式会社アトラスのジュブナイルRPGシリーズ『ペルソナ』の3作目の主人公である。ゲーム内においての彼の名前はプレイヤーが決める為、ゲーム内での決まった名前は存在しない。ただしコミカライズ版では「有里湊（ありさと みなと）」、映画版では「結城理（ゆうき まこと）」、舞台版では「汐見朔也（しおみ さくや）」の名が与えられている。映画版の名が公開されて以降は、『ペルソナ3』に関わる続編シリーズが出る度に全て主人公名は「結城理」で統一がされている。とはいってもあくまでデフォルト名というだけなので、好きな名前に変更することも可能な模様。

愛称は「キタロー」。ファンの間で広まった愛称だったが、ネットやテレビなどで放送された公式番組内でも度々その名で呼ばれている為、半公式化した愛称となっている。由来はP3主人公の髪型が『ゲゲゲの鬼太郎』の「鬼太郎」に近しいものである事と、ベルベットルームの支配人であるイゴールの声優が、鬼太郎の父「目玉おやじ」を担当する田の中勇であった事、さらにはクリア時の展開が奇跡敵に「幽霊」である鬼太郎とマッチするものとなった為、この愛称がついたとされている。

幼い頃、とある研究所が起こした爆発事件に巻き込まれてしまい、その際に両親を失う。以来親戚の間を転々としてきた。2009年4月、東京都巌戸台港区の「私立月光館学園高等部」に転入する為、学生寮である「巌戸台分寮（いわどだいぶんりょう）」にやってくる。そこで彼は不思議な少年ファルロスと出会い、何かの契約書らしきものにサインをさせられる。後にこれが、ペルソナを生み出すのに必要な不思議な青い部屋「ベルベットルーム」の使用権であった事が判明。この契約書にサインをしたことで彼の中にあった「ペルソナ」が目を覚ます事になる。

後日、異形の怪物「シャドウ」が巌戸台分寮を襲う事件が発生。シャドウは深夜0時になると現れる隠された時間帯「影時間」にのみ出現する怪物であり、彼らと渡り合えるのはペルソナを使える「ペルソナ使い」だけだった。巌戸台分寮はそんなペルソナ使いの高校生達を集めた学生寮であり、実の名を「特別課外活動部（S.E.E.S.）」といった。そんなことなど知らなかったP3主人公は、特別課外活動部の一員である岳羽ゆかりに助けられる形でシャドウから逃げる。しかし屋上に追い詰められ、逃げ場を失ってしまう。

その時、P3主人公のペルソナ使いとしての能力が覚醒。P3主人公はペルソナ「オルフェウス」を召喚し、シャドウと対峙する。だが突然その力が暴走し、オルフェウスを食い破る形でその中から全く違う姿のペルソナが現れる。それでもシャドウを撃退すること自体は成功。結果としてP3主人公は「ペルソナ使い」として特別課外活動部に加入することになる。現場リーダーの任を任される形で、他のメンバー達と共にシャドウ討伐を行っていく事になる。

なお、『ペルソナ3』のPSP版 リメイク『ペルソナ3 ザ・ポータブル』（P3P）では、女性版の主人公（公式名：P3主人公（女）、愛称「ハム子」）が追加されている。基本的な設定に変わりはないが、女主人公という事もあってか、P3主人公時にはあたりがキツかったキャラクターの態度が柔らかくなったり、『ペルソナ3』から追加されたサブシナリオ要素「コミュニティ」を担当するキャラクターが大幅に変わったりとする。

P3主人公のプロフィール・人物像

性別：男
生年月日 1992年?月5日
学年：高校2年生
学校：私立月光館学園高等部
愛称：キタロー
CV：石田彰
演者（舞台）：蒼井翔太

プレイヤー操作で動くキャラの為に決まった性格は存在しない。ただしキャラクターデザインを担当した副島成記曰く、「（後に発売された『ペルソナ4』の主人公と比べると）内向的で無口な男の子で、他人とは目を合わさないイメージ」「都会的でクールな感じ」といったキャラクターである事が語られている。またP3主人公は常にイヤフォンを首からさげているデザインがされており、これについても「外部とのやりとりをなるべく消極的にしたい壁の象徴」といった事が語られている。表情の機微も少なく、登場人物達から「鉄仮面」「クールでドライ」といった評価を受けていたりもする。あまり他者を寄せ付けないタイプの人間としてのキャラクター作りがされている模様。

細身で猫背で常に気だるげな雰囲気を醸し出した少年となっているが、実は運動神経が良かったり、1食で7人前までなら食べられる大食らいだったり、プレイヤー自身の選択肢によっては複数人の不良をボコボコにして泣かせたりなど、驚きの一面を持っている。また幼い頃に両親を亡くし、一人暮らし期間もそれなりにあったことからか料理もできるらしい。『ペルソナ3』の公式設定集『ペルソナ倶楽部P3』内に掲載されたショートストーリーでは、特別課外活動部一料理上手な荒垣真次郎からも合格判定を貰う程の腕前を見せていたりする。

また本作『ペルソナ3』から『ペルソナ』シリーズに追加された新要素として「コミュニティ」と「人間パラメータ」と呼ばれるものがある。「コミュニティ」は特別課外活動部や、そのほか周囲の人々と友好関係を築く事で発生するシステムであり、ペルソナを作成する時に大きな影響を及ぼしてくるものとなっている。「人間パラメータ」はそれらの「コミュニティ」のランクをMAXにする為に必要な「P3主人公自身の魅力」をあげるシステムとなっている。この「人間パラメータ」はシリーズ毎に内容に差がつけられており、P3主人公の「人間パラメータ」は「学力」、「魅力」、「勇気」の3つとなっている。
なお女性キャラクター達との間に発生するコミュニティを進めると、強制的に恋人関係になってしまう模様。1人のキャラクターと恋人になっても他の女性キャラクターと関係を持つ事は可能で、最大で5股が可能となっている。

P3主人公の能力：ワイルド

『ペルソナ3』以降の『ペルソナ』シリーズの主人公には、必ず「複数のペルソナ」をつける能力が備わっている。この能力のことを『ペルソナ』シリーズ内では「ワイルド」と呼んでおり、P3主人公は初代「ワイルド」のペルソナ使いとしてファンの間では認知されている。

ワイルドである彼らは、最大で12までペルソナの所持をする事ができる。この所持枠数は、初期の頃は数少なく、レベルによって徐々に増えていくシステムが取られている。なお『ペルソナ3』は周回引き継ぎプレイが可能なゲームの為、1周目で全ての枠を開放すれば、2周目以降は12の枠数を保ったままプレイを続ける事が可能となっている。

使えるペルソナは、その時の主人公自身のレベルまでのものだけ。主人公がLv.5であるなら、使える・作れるペルソナもLv.5まで、といった形である。
使用できるペルソナ自体の能力に関する条件は存在しない。どのようなアルカナ属性・攻撃技・回復技等を持つペルソナでも使用は可能。枠が埋まり新しいペルソナが持てなくなった場合は、ペルソナに関する様々な事を行える青い部屋「ベルベットルーム」にて、新しいペルソナ作成の素材にすることで所持枠を空ける事ができる。一度手に入れたペルソナはベルベットルームの「ペルソナ全書」に登録が行われる為、素材として使ってしまっても「ペルソナ全書」を通して再度召喚する事ができるようになっている。

また「ベルベットルーム」も『ペルソナ3』以降は、主人公のみに見える部屋となっている。見ようによっては、これも主人公だけの能力といえる。

P3主人公のペルソナ能力

オルフェウス

『ペルソナ』シリーズの主人公達には、「ワイルド」の能力で手にするペルソナとは別に、ペルソナ使いとして覚醒した際に手にする「主人公自身のペルソナ」というものが存在する。それらは各作品の雰囲気・題材にあわせて名前や外見が作成されている。

「オルフェウス」はP3主人公が一番最初に手に入れる初期ペルソナ。
対応アルカナは「愚者」。モデルはギリシャ神話に出てくる幽玄の奏者を自称する英雄「オルフェウス」。死者を蘇らせようとしたという伝承が存在する。琴座のモチーフとも詩人であり、その伝承を汲んでか背中に竪琴を背負うデザインがなされている。白い髪はP3主人公に似た髪型となっている。赤いスカーフが巻かれた首から下の青い胴体はロボットのような姿になっており、これは「首を残して死亡した」というギリシャ神話のオルフェウスの伝承になぞらえているという説と、P3主人公が幼い頃に出会った『ペルソナ3』のキーキャラクター「アイギス」の姿を象ったものではないかという2つの説が存在する。真実は不明。

なお、PSP版のリメイク作品である『P3P』にて追加されたP3主人公（女）を選択した場合は、髪型が茶髪のセミロングに、竪琴の形がハートの形に、胴体の色はベージュへと、「女の子」を意識したデザインに変化している。

属性技、補助をまんべんなく覚えられるペルソナとなっているが、耐性持ちの属性はなしの電撃属性と闇属性の弱点持ちと、ペルソナ自体のステータスがあまりよくないものとなっている。『ペルソナ』シリーズの主人公達の初期ペルソナの中でも最弱のペルソナではないか、とファンの間では言われている。

突撃

物理属性の攻撃技。
オルフェウスが初期から持っている技。
HP（ヒットポイント）を7%消費することで使える。敵1体に小ダメージを与えることができる。

アギ

火炎属性の攻撃技。
オルフェウスがレベル2になった時に習得が可能なスキル。
必要SP（スキルポイント）は3。敵1体に小ダメージを与えることができる。

タルンダ

補助系スキル。
オルフェウスがレベル6になった時に習得が可能なスキル。
必要SP（スキルポイント）は6。 一定の間、敵1体の攻撃力を下げることができる。

タナトス

P3主人公が持つペルソナの1つ。対応アルカナは「死神」。
元ネタはギリシャ神話における死神、または「死」そのものの化身であるといわれている「タナトス」だ。

初めてP3主人公がペルソナ召喚をした際、力が暴走し、オルフェウスを食い破る形でオルフェウスの中から別のペルソナが姿を現す。このタナトスは、そのP3主人公が持つもう1つのペルソナに酷似する姿を持つペルソナとなっている。
タナトスが作中に姿を現すのは、影時間のみに現れる不思議な少年ファルロスとの間に生まれた「死神」のコミュニティのランクをMAXにした時。各コミュニティにはランクをMAXにする事で作成条件が解放されるペルソナが存在しており、タナトスもその内の1つだった事がここで明らかにされる事となる。実はファルロスの正体はP3主人公の中に封印されている『ペルソナ3』のラスボス「デス」の人間としての姿であり、この「デス」こそが、オルフェウスを食い破って出てきたペルソナの正体となっている。タナトスの姿がデスに近しい姿をしているのは、正体がデスであるファルロスとのコミュニティランクがMAXになった結果生まれた存在だからなのではないか、といわれている。

亡者の嘆き

バステ（ステータス異常／バッドステータス）系スキル。
タナトスが初期から持っている技。
必要SPは15。状態異常「恐怖」が付与されている者を即死させることができる。

五月雨斬り