ポカホンタス(ディズニー映画)のネタバレ解説・考察まとめ
『ポカホンタス』とは1995年に公開されたディズニーアニメ映画33番目の作品。ディズニー映画史上、初めて実在の人物を扱った歴史的映画である。映画中盤の挿入歌「カラー・オブ・ザ・ウィンド(Colors of the Wind)」はアカデミー賞で受賞するほど評判が高い。舞台は17世紀初頭のアメリカ、インディアンのポカホンタスが植民地開拓するためにアメリカ大陸に上陸したジョン・スミスに出会い、お互いに恋に落ちる。人種の壁を越えたロマンスは、ディズニーでは異例ともいえる作品だ。
ポカホンタスとジョン・スミスが分かり合うシーン
この曲はポカホンタスとジョン・スミスが出会い、ジョン・スミスがポカホンタスらインディアンに対して理解するきっかけとなる場面で流れる。そして、野蛮だと言われるインディアンに対してポカホンタスがジョン・スミスに疑問を投げかける場面でもある。
下記は歌詞の一部抜粋である。この部分は、野蛮だと罵ることよりも相手を知ることの方が得るものは多くあること、異人種間での相互理解の重要性を示す、グローバル社会にとって響くメッセージが込められている。
‘You think the only people who are people
Are the people who look and think like you
But if you walk the footsteps of a stranger
You'll learn things you never knew you never knew ‘
訳すと、
「人間とは、あなたと同じ考えを持ち、見た目も似た人びとだけを指すと思っているでしょう?
でも、他人(異人種)の立場になってみると、今まで絶対に知りえなかったことを知ることになるのよ」
ポカホンタス「やめてお父様! 憎しみからは何も生まれないわ!」
出典: www.facebook.com
このセリフはパウアタン族の首長であるポカホンタスの父親が、処刑執行としてジョン・スミスをこん棒で殴ろうとした瞬間、ポカホンタスがジョン・スミスをかばい、彼女の父親に叫んだセリフ。憎しみにより殺しが起こるよりも、異人種同士のポカホンタスやジョン・スミスのように理解し、尊敬しあうことで生まれる喜びや愛を知ったポカホンタスだからこそ言えたセリフだろう。このセリフによって、憎しみで人を殺すことに罪悪感も抱いていなかった両者は目が覚める。
ジョン・スミス「何が起きても、僕はいつも君の側にいるよ。永遠にね」
出典: www.facebook.com
ジョン・スミスが傷の治療のためにイギリスに帰国しなければならず、ポカホンタスと離れ離れになるときに彼女にかけた言葉。ポカホンタスと出会ったことで異民族への偏見を捨て、自然を慈しむ心を学んだジョン・スミス。彼ら二人の世界を築いたことで、離れても二人で分かち合ったことは変わらない、同じ自然に暮らす者同士二人はいつも一緒であるというメッセージが込められている。
『ポカホンタス』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
ジョン・スミスの本当の人物像
『ポカホンタス』は実在した人物をもとに製作されているが、多くの部分で脚色されている。ジョン・スミスのキャラクターもその一つ。映画では、彼はポカホンタスと出会うことでインディアンに理解を示し、インディアンを守った英雄のように描かれている。しかし、実際は多くのイギリス人に新大陸(アメリカ)を開拓することを促し、アメリカ大陸に向かわせたことで「インディアン戦争」の引き金を作った人物とされている。また、ジョン・スミスは開拓に協力的だったポウハタン族についてネガティブな逸話を流した。
ポカホンタスとの交流は実際あったようだ。彼はポカホンタスに二度も救われたという記述をしており、そのためポカホンタスは「白人を救った“良いインディアン”」の象徴として現在でもアメリカの歴史に残されている。しかし、この記述はインディアンの社会システムに反したものであり、こうしたポカホンタスの人物像は疑問が残されたままである。
加えて、インディアン団体は、ポカホンタスがジョン・スミス或いは白人男性に恋をしたという事実はないと見解を示している。むしろ、ポカホンタスはジョン・スミスに対して嫌悪感を抱いていた。彼女は彼のことを「噓つき!」と呼んでいたという。
史実との違いと批判
上記のジョン・スミスの実際の人物像に加え、映画では史実といくつか食い違う描写があり、インディアンをはじめポウハタン族は批判的な姿勢である。
映画でのポカホンタスの肩紐ドレスは、どちらかというと同じインディアンのラコタ族の着衣に似ているため、本来のポウハタン族とは異なっている。また、映画でのポカホンタスの外見はインディアンというよりも黒人をモデルにしたという疑惑もある。これらはインディアンのステレオタイプを表象したものであり、偽りのインディアン像を提供しているとして、映画の史実に対する正確性や敬意に批判的な意見があるのも確かである。
『ポカホンタス』の主題歌・挿入歌
挿入歌:The Virginia Company(ヴァージニア・カンパニー)
映画冒頭、新世界アメリカに金が埋まっていると噂を聞きつけた多くのイギリス人男性らが、新世界への探検へ志願し、船に乗り込もうとする場面で流れる曲。当時のイギリス人は富を得て、新しい地で家族と優雅に暮らすという夢を持ち、新大陸へと渡航して行った。そんな彼らの希望を詰め込んだ曲である。
挿入歌:Steady As The Beating Drum(絶えまないリズムのように)
映画のオープニング曲。インディアンの暮らしの描写と共に流れるこの曲は、インディアンたちがいかに伝統を守り、自然と共存して生きてきたかが分かる。
挿入歌:ポカホンタス(歌:ジュディ・クーン/土居裕子)「Just Around The Riverbend(川の向こうで)」
ポカホンタスが大自然の中で動き回りながら流れる曲。タイトル通り、「結婚」という退屈な選択に嫌気をさしながら、彼女は川の向こうには何かがあると期待し、もっと素晴らしい未来が待っていると表現している。
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目次 - Contents
- 『ポカホンタス』の概要
- 『ポカホンタス』のあらすじ・ストーリー
- はじまり
- ジョン・スミスとの出会い
- 人種を超えての恋
- それぞれの道
- 『ポカホンタス』の登場人物・キャラクター
- 主要人物
- ポカホンタス
- ジョン・スミス
- 新大陸
- ミーコ
- フリット
- 柳の木のおばあさん
- 風の声
- チーフ・パウアタン首長
- ココアム
- ケカタ
- ナコマ
- イギリスからの開拓者
- ジョン・ラトクリフ総督
- パーシー
- ウィギンズ
- トーマス
- ロン
- ベン
- 『ポカホンタス』の用語
- 新大陸
- インディアン
- ポウハタン族
- 『ポカホンタス』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- ポカホンタスとジョン・スミスが分かり合うシーン
- ポカホンタス「やめてお父様! 憎しみからは何も生まれないわ!」
- ジョン・スミス「何が起きても、僕はいつも君の側にいるよ。永遠にね」
- 『ポカホンタス』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- ジョン・スミスの本当の人物像
- 史実との違いと批判
- 『ポカホンタス』の主題歌・挿入歌
- 挿入歌:The Virginia Company(ヴァージニア・カンパニー)
- 挿入歌:Steady As The Beating Drum(絶えまないリズムのように)
- 挿入歌:ポカホンタス(歌:ジュディ・クーン/土居裕子)「Just Around The Riverbend(川の向こうで)」
- 挿入歌:リンダ・ハント/京田尚子「Listen With Your Heart(心の耳で聞いてごらん)」
- 挿入歌:Mine,Mine,Mine(マイン、マイン、マイン)
- 挿入歌:ポカホンタス(歌:ジュディ・クーン/土居裕子)&メル・ギブソン/立花敏弘「 Colors Of The Wind(カラー・オブ・ザ・ウィンド)」
- 挿入歌:Savages(サベジス)
- 挿入歌:If I Never Knew You(もしあなたのことをしらなければ)