ゆるめるモ!(You'll Melt More!)の徹底解説まとめ

ゆるめるも!(You'll Melt More!)とは、フリーライターの田家大知がももいろクローバーの「ピンキージョーンズ」に触発されて、「辛い時は逃げてもいいんだよ」をテーマとして自ら街頭でスカウトして集めてきたメンバーで結成された女性アイドル・グループ。名前の由来は「(窮屈な世の中を)ゆるめる」というメッセージと「You'll melt more!(あなたをもっとトロけさせたい)」という2つの意味が込められている。

出演者の一人、柄本時生氏と。

10月25日:怪獣倶楽部~空想特撮青春記~ (Blu-ray)

怪獣倶楽部~空想特撮青春記~
名義:テレビ・ドラマ
参加メンバー:あの
発売日:2017年10月25日
レーベル:バップ
規格:Blu-ray

あのが出演した、2017年6月に深夜ドラマ「ドラマイズム」の作品として放送されていた全4話の連続ドラマのBlu-ray作品。

概要は「怪獣倶楽部~空想特撮青春記~」DVDを参照のこと。

11月29日:YOUTOPIA 通常盤

YOUTOPIA 通常盤
名義:ゆるめるモ!
参加メンバー:けちょん、しふぉん、ようなぴ、あの
発売日:2017年11月29日
レーベル:You'll Records
規格:アルバム

収録曲
01. 歩くの遅い犬
02. 逃げない!!
03. ミュージック 3、4 分で終わっちまうよね
04. モイモイ
05. しんぼりくむ れすぽんす する
06. You とピアザ
07. サマーボカン(Remastered)
08. やる
09. うんめー
10. あ!世界は広いすごい
11. ごろごろ物思い
12. ナイトハイキング(Remastered)
13. 永遠の瞬間
14. must 正
15. 天竺

2015年11月11日リリースの「YOU ARE THE WORLD」以来、約2年ぶりにリリースされたサード・アルバム。通常盤と初回限定盤の2種類が同時リリースされており、それぞれ異なったジャケットになっている。本作は通常盤である。

ジャケットのグラフィック・アートはデジタル・アート作家の楠田諭史氏が担当している。ジャケット・デザインは今まで通りHONDALADAYのDie氏。衣装はMIYANISHIYAMA氏、メンバーが頭に被っている動物のデザインは吉田孝弥氏がそれぞれ担当している。

*楠田諭史(くすださとし):日本のデジタル・アート作家、グラフィック・デザイナー。熊本県出身。ジグソー・パズルの制作やHKT48のライヴ・ツアー・ポスターのデザインなども担当している。

楠田諭史氏がデザインしたHKT48のライヴ・ツアー・ポスター。

*MIYANISHIYAMA(みやにしやま):福岡県出身のフリーのアート・ディレクター。雑誌のエディトリアル・デザインから空間デザインまで幅広く手がけている。

MIYANISHIYAMA氏がデザインした衣装に身を包むようなぴ。

*吉田孝弥(よしだたかや):彫刻家。粘土などを用いてヴィヴィッドな配色の作品を制作している。

先日「夏休モ!~ゆるめるモ!#平成最後の夏 関東ツアー~」新横浜NEW SIDE BEACH!! 公演に行って参りました。この公演の衣装はYOUTOPIAの時のものだったのですが、会場にいた方はあのちゃんのお面が違うことに気づいたでしょうか? そうです。今回、新規造形でパンダを作らせていただきました?!(2018年8月24日:吉田孝弥氏のTwitterより)。

このアルバムは、ゆるめるモ!結成5周年記念アルバムでもある。

2017年12月2日、Real Soundに掲載されたプロデューサー:田家氏への「5周年を振り返って」のインタビューより。

――ゆるめるモ!は2012年に結成してから5周年となりましたが、振り返ってみていかがでしたか?

田家大知(以下、田家):やっぱり濃かったなと思います。苦しいこともたくさんありましたけど、僕の言うセリフじゃないですね。運営として学びながらだったので「もっとできたのにな」っていうこともありますし。曲の出し方や見せ方、タイミング、順番も。メンバーに関しては、彼女たちを一番いい方法で輝かせて、今までなかったグループが世の中を動かせるようにひたすらがんばってきたんです。

――脱退するメンバーもいたことについてはどう考えていましたか?

田家:そうならないように考えてきましたけど、体調や進路のことは仕方ないんです。残ったみんなに「僕らでやろうよ、大丈夫だよ!」って言ってましたね。本当は大丈夫じゃないんですけど、仕方ないんですよ。

――脱退についてもメンバーの休みについても、縛りつけないのがゆるめるモ!ですよね。

田家:他のグループを見ると、うちは特殊なんだろうなと思います。だから僕ら運営にも、日本社会へのアンチテーゼがあるのかもしれないですね。毎回授業に出てがんばることが正しいわけではないし、ちゃんとやるべきことをやってればいいじゃないか、とか。「出席原理主義」みたいな人から見たら「やる気ないじゃないですか」と言われるかもしれないけど(笑)、その中で面白くできてるんじゃないかなと思いますね。

――私が初めて田家さんにお会いしたのが2012年で、ゆるめるモ!を始動した頃でした。「アジポタ」というアジアのポータルサイトがあって、そこで「自殺するぐらいなら逃げていい」というメッセージとともに結成されたのがゆるめるモ!でした。インドネシアのバンドとやったり、メンバーが生演奏をするライブをやったりしていた初期は、今振り返ってみていかがですか?

田家:僕、いい意味でも悪い意味でも足元が見えてない人で。「今日メンバーが休みます」とか言われても、僕は先のことばかり考えてるんで、重大なことに思えないんですよ(笑)。初期の頃はお客さんもいなかったけど、僕はその時点で5年後を考えていて、その日のライブのことを全然考えなかったんですね。次の作品のことや、次の展開のことばかり考えてるから、最近はメンバーがその合間を埋めてくれてるんです。

――その当初の展開は思い通りできましたか?

田家:思い通りにはいかなかったですね。もっと早く人気が出るかなと思ってたんですけど、簡単じゃなかったです。

――アジア進出は諦めてないと2014年に話していましたが、今もそれは変わってないですか?

田家:この間、台湾に行って8回目の海外公演だったんですよ。ベトナム、バンコク、上海2回、香港、台湾、韓国、台湾2回。僕の野望にメンバーも乗っかってきてくれて、海外とつながることの素晴らしさをメンバーも理解してくれてますね。

出典: realsound.jp

――2013年に新メンバー5人が加入して、そのうち3人(ようなぴ、しふぉん、あの)が今も残っていますね。あのとき8人体制になって、その後6人体制になっていく痛みもあったんじゃないでしょうか?

田家:「去る者追わず」だけど、別れなんですごく悲しいですよ。だからといって、ゆるめるモ!がガクッとなることはまったくなくて、今まで通りがんばっていくしかないんです。この大きな船は進んでいくものだし、「悲しいけどまた会おう!」という気持ちなんです。船の舵から手を離すことはなくて「ガンガン行くぜ!」っていうのは変わらないですね。いい送り出し方をして「また遊びに来てよー!」っていう感じというか。僕がすごく悩んでダメージを受けすぎて、船を進めることができない、なんてことはないですし。

――なんで田家さんはそんなにバイタリティーがあるんですかね?

田家:それは自分でも思います。マグマみたいな熱が冷めることもなく、日々のことに揺れることもなく、ただ進んでいくみたいな。ゆるめるモ!で世の中を動かしたいという気持ちがすごくあるんですよ。熱意と言うと軽いんですけど、やらなくちゃいけないことだと思います。

――使命感とも言えますかね?

田家:使命感ですね。音楽があることによって、楽になったり勇気が出たりするようにしたいんです。音楽でいろんなものを破壊すると、楽になる人がいるはずなんですよ。僕にとっては「世の中をゆるめる」っていうのは「世の中をぶっ壊す」と同じ意味なんです。変なルールとか壁があるから窮屈な思いをしてる人がいっぱいいるじゃないですか? それをぶち壊していく存在がいれば、世界が広くなるだろうなと思うんです。

――田家さんがゆるめるモ!を結成したのは30代後半じゃないですか。なぜその年代で情熱が爆発したんでしょう?

田家:ゆるめるモ!はきっかけに過ぎないんだろうなと思います。世の中に対する違和感はずっとあって、でも手段と方法がわからなくて、バンドをやったりライターをやったりしたりして。あと、僕が極端なんですよね。「海外に行ってみよう!」と思って、10代の時に最初に行ったのがアフリカのチュニジアなんです(笑)。

――「最初はアジア」とかじゃないんですね(笑)。

田家:いろいろすっ飛ばしたくなるんです(笑)。海外旅行の2、3回目で世界一周をしたんですよ。でも、猿岩石と同じ時期に同じルートを行っていて、僕はテレビを見てないし猿岩石のことも知らないので「猿岩石と同じルートだね」って言われてすごく悔しくて(笑)。そのときに、世界一周することで地球の大きさを把握して、世界は一周できるんだと確認できたのはすごく良かったですね。

出典: realsound.jp

――そして、最終的にフィットしたのがアイドルのプロデュースだったんですかね?

田家:まだ結果を出せてないので「フィットしてる」とは言えないんですけど、今の自分ができる最良最善のことがアイドルプロデューサーだとして、やりたいことはいっぱいあるし、モチベーションが落ちることはまったくないんです。

――メンバーのケアも大変だったんじゃないですか?

田家:それも大事なことなんです。やっぱり励ますのはすごく重要なんだな、って思いますね。たまにアホなことを言ったり、「できるできる!」とか「イェーイ!」とかいっぱい言ったりすることで気持ちが外に向くかなと思って、意識してましたね。

――それもメンバーが8人とか6人とかいた時代は大変だったんじゃないですか?

田家:今と比べたら大変でした(笑)。目が行き届かなかったな、って。4人だとすぐ全員に話せるけど、人数が多いと集めるのも大変だし、こっちがまとめようとしても限界があるし。4人になってからは自発的に話し合ってくれてますね。

――どこのグループでもメンバーのトラブルは起きるじゃないですか。そういうときはどう対応していたんですか?

田家:僕はなるべくそこに引きずられすぎないようにしたんです。もちろん一生懸命に向き合いますけど、見解の違いや相性の問題もあって僕らが全部コントロールできるわけでもないので。「いろいろあるみたいだけど、こんなかっこいい曲できたよー!」って(笑)。繊細な人だったら頭抱えて「ああ、なんて大変なことがいっぱいなんだ! やめます!」ってなると思うんですけど、僕は「ズンズン前に行こうね」って話してましたね。

――結果的にはそれが良かったんでしょうね。

田家:そうなんですよ。いろんな日々の悩みがあっても、僕がどんどん先のことを提示することで、前に行こうとしてくれたのが良かったなと思いますね。「この人は悩みを聞いてるけど先のことしか考えてない」とわかってると思うし、視線を上げる形になってきたのかなって思いますね。

出典: realsound.jp

――2014年にはLIQUIDROOM、2015年には赤坂BLITZ、2016年にはZepp DiverCity (TOKYO)でワンマンライブを開催しました。しかし、Zepp DiverCity (TOKYO)以降は、それを超える規模の会場でワンマンライブをできていないことはどう考えていますか?

田家:『YOU ARE THE WORLD』(2015年の2ndアルバム)で攻めすぎたなと思いました。ぶっ倒れるんじゃないかってぐらい詰めこんで作った作品なんですよ。いろんな人に届くだろうと思ったんですけど、届かなかった。僕ら運営チームに宣伝力がなかったり、メディアにリーチさせる方法をまったく知らなかったりして。ゆるめるモ!はより影響力を持った存在になりたいと思ってきたので、このやり方だけではお茶の間に広がってはいかないな、って感じたんです。

――でも、NEU!のオマージュを「SWEET ESCAPE」(2013年の『New Escape Underground!』収録)でした衝撃は忘れられません。

田家:あの時期はどうやっても話題にもならなかったですし、もし普通に良い曲を出していたとしても届きようがないじゃないですか(笑)。あの頃はオマージュという手法をとらせていただいて、わかりやすく記号化したんです。ESG(2014年の『Electric Sukiyaki Girls』)とかSuicide(2014年の『SUImin CIty DEstroyer』)のようにオマージュをすれば、「ゆるめるモ!はなんでもありだよね」って思われて、カテゴライズされないかなと考えて。

――2016年7月10日の新木場Studio Coast公演をもって2人が脱退して、以降は現在の4人になりました。あの時期に囁かれていたメジャーデビューの話はどうなったんですか?

田家:あれはいろいろあって……(笑)。

――今のゆるめるモ!は、テレビには出ているのにインディーズのままで、不思議な存在ですよね。

田家:メジャーで宣伝費をどんどんかけてほしいし、僕らが知らないタイアップのルートも知りたいんですけど、今はインディーズでのやり方を少しずつ知ってきているので、いい話があればメジャーで出したいですね。でも、メジャーでうまく行っていなそうなグループも見ているので、慎重に、今はちょっと自分たちで頑張れることをやりたいかな。

――現在の4人に対して成長したなと思うところはありますか?

田家:大雑把な言い方になるんですけど、全員意識が高い。4人になってから、自分なりに考えて動くことができるようになりました。意志を持つ「個」として動いてくれるので、すごく頼もしいですね。逆に、そうじゃないと今のスピード感ある状況と体制にはついてこられないと思うんです。4人の思いの強さは同じなんで。

出典: realsound.jp

――なぜ5年間ゆるめるモ!を続けられたと思いますか?

田家:「音楽的に遊びたい」っていう僕の思いがすごく強いんですよ。アイデアが尽きたこともないし、頭の中にあるものを早く全部やらないといけないと思ってるし、客観的に見てもそれらのアイデアが形になったら面白いことも見えてるので、勝手に「死んじゃだめだな」と思っていたり。

――だからどんな困難な状況になっても、ゆるめるモ!を続けていけるんですね?

田家:そうですね。そこだけは自信とプライドがあって揺るがないんですよね。負けず嫌いだし、他のグループに絶対負けない自信があるから飄々とやってきて、5年経っても炎が消えることもなくひたすらやっている感じです。

――『YOUTOPIA』の前に、今年はPrimal Screamの『Screamadelica』をオマージュした『ディスコサイケデリカ』と、Talking Headsの『Remain in Light』をオマージュした『TALKING HITS EP』がリリースされたじゃないですか。ああいうのはどの程度反響があるものなんですか?

田家:ないんですよ(笑)。でも、「このグループはそういう方向性の音楽をやりたいんだな」という意志を提示できるのでわかりやすいじゃないですか?

――『TALKING HITS EP』の「NEW WAVE STAR」を聴いて、Talking Headsの「Life During Wartime」だと感じたんですよ。そういう指摘はありましたか?

田家:Twitterとかで見かけたのは10人ぐらいですかね(笑)。でも、それでもいいかな。Talking Headsをリスペクトしてるからメンバーにもそういう面白さを感じてほしいし、感じてると思うんですよ。Primal Screamも知らなかったけど、『Screamadelica』を中古で4枚買ってきて4人にあげたら、4人にとって遠い存在ではなくなったんです。あの子たちの世代では出会いもしないTalking Headsのオマージュをやることによって、自分たちの中へ飲みこむという作業をして、音楽的な深さ、人間的な深さ、歴史的な深さを彼女たちのものにできるんじゃないかなという小さな願いはありますね。

――それができても「NEW WAVE STAR」は『YOUTOPIA』に入ってないですよね(笑)。

田家:それは5周年シングルという意味を強めたかったのと、シングルのジャケットと曲の結びつきも強すぎたので(笑)。あえて入れませんでした。

出典: realsound.jp

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