ゆるめるモ!(You'll Melt More!)の徹底解説まとめ

ゆるめるも!(You'll Melt More!)とは、フリーライターの田家大知がももいろクローバーの「ピンキージョーンズ」に触発されて、「辛い時は逃げてもいいんだよ」をテーマとして自ら街頭でスカウトして集めてきたメンバーで結成された女性アイドル・グループ。名前の由来は「(窮屈な世の中を)ゆるめる」というメッセージと「You'll melt more!(あなたをもっとトロけさせたい)」という2つの意味が込められている。

7月9日:Unforgettable Final Odyssey

Unforgettable Final Odyssey
名義:ゆるめるモ!
参加メンバー:けちょん、ゆみこーん、もね、しふぉん、ようなぴ、ゆいざらす、あの、ちーぼう
発売日:2014年7月9日
レーベル:SPACE SHOWER MUSIC
規格:アルバム

収録曲
01. Majiwaranai CAts
02. ゆるめるモん
03. べぜ~る
04. 逃げろ!!
05. 生きろ!!
06. 場viewer
07. ぺけぺけ
08. 私の話、これでおしまい
09. スキヤキ
10. DO FUFU
11. なつ おん ぶる ー
12. 00 (ラブ)
13. たびのしたく

ゆるめるモ!初のフル・アルバム。

タイトルの「Unforgettable Final Odyssey」の邦題は「忘れがたき最期の旅路」で「宇宙旅行」をテーマにしている。

元々は「未知との遭遇」というタイトルが用意されていたが、ゆいざらすが卒業を発表したため、急きょアルバム・タイトルとジャケットが変更されている。

ゆいざらすが参加している唯一のアルバムであり、8人体制での最初で最後のアルバムでもある。

アルバムの帯、およびブックレット内の各メンバーのコミカルな紹介文は小林愛よるものである。

小林氏は全楽曲の作詞も手掛けている。

アルバム・リリースを記念して、タワーレコードのコラボレーションポスター企画「NO MUSIC, NO IDOL?」に初登場している。

コラボレーションポスター企画「NO MUSIC, NO IDOL?」2種。

裏ジャケットはディーヴォの「欲望心理学」のオマージュ。元々は表ジャケットになる予定であったが、ゆいざらす卒業発表を受けて変更されている。

「Unforgettable Final Odyssey」の裏ジャケット。
田家氏:裏ジャケットは自主規制にしてるんです。DEVOのうんこ帽(正式名称:エナジードーム)をかぶったんですけど、あれって登録商標をとられていて、無断で使うと賠償金をとられる可能性が髙いらしいんですよ。DEVOはあの形の帽子をビジネスにしているらしく、バレたらまずいと思って。でも写真とっちゃったから、その状況を自分たちで皮肉って、モザイクをかけて、自主規制って書こうと。そしたら、デザイナーのDieちゃんのアイデアで各国の言葉で入れてくれて、いい具合にニューウェーブっぽくなりましたね(笑)(OTOTOY:2014年7月9日)。

「欲望心理学」の表ジャケット。

*Devo(ディーヴォ):アメリカ、オハイオで1974年に結成されたニュー・ウェイヴ・バンド。
バンド名は「De-Evolution(退化)」から取られている。

2014年7月9日、本アルバムのリリース時に行われた「OTOTOY」に掲載されたインタビューより。

――今回のアルバムには明確なコンセプトはあったんでしょうか。

田家:まとめるときに、壮大な感じを出そうと思って「たびのしたく」の全体的なイメージをハシダさんに伝えました。ハシダさんと僕の共通言語が一緒なので、ツーカーでわかってくれるんですよね。ポップグループとかフォールズみたいな感じで、キレキレでノレるポスト・パンクなリズムのロックから、グチャグチャな展開だけど壮大なメロディになるアニマル・コレクティヴっぽい曲を作ってくださいって言って。そしたら、素晴らしい曲があがってきて。愛ちゃんにも、宇宙っぽい詞を書いてほしいと頼んだら素晴らしい歌詞をつけてくれて。この曲を中心に組んでいけば、初期ベストみたいになりつつ、早い曲もラップも入れてって感じでまとまるなと思ったんです。

――最後に、今回もジャケがDEVOのオマージュということで、インパクトありますね。

田家:裏ジャケットは自主規制にしてるんです。DEVOのうんこ帽(正式名称:エナジードーム)をかぶったんですけど、あれって登録商標をとられていて、無断で使うと賠償金をとられる可能性が髙いらしいんですよ。DEVOはあの形の帽子をビジネスにしているらしく、バレたらまずいと思って。でも写真とっちゃったから、その状況を自分たちで皮肉って、モザイクをかけて、自主規制って書こうと。そしたら、デザイナーのDieちゃんのアイデアで各国の言葉で入れてくれて、いい具合にニューウェーブっぽくなりましたね(笑)。

出典: ototoy.jp

2014年7月9日、本アルバムのリリース時に行われた「Real Sound」に掲載されたインタビューより。

――『Unforgettable Final Odyssey』に、ここまで話題にした「SWEET ESCAPE」や「あさだ」が入ってないのはなぜでしょう?

田家:あえて外してます。そこにスポットを当てすぎると、カルトアイドルになっちゃうし、そこで終わらせたくないんです。「Unforgettable Final Odyssey」は、SUPER☆GiRLSや乃木坂46のファンにもアピールするように作って、アイドルとして入り口を広げておいて、最後はドゥープな世界に展開させました。

――現在はDEVOなどをモチーフとした「ニューウェーヴアイドル」というキャッチコピーですが、当初の「逃げドル」とコンセプトは離れてませんか?

田家:ニューウェーヴは最初から頭にありました。でも最初から「ニューウェーヴアイドル」と音楽面のことを言うよりも「脱力支援アイドル」や「逃げドル」って言ったほうがわかりやすいかなと思って。DEVOに関しては、DEVOっぽい曲がなかったんですよ(笑)。だから裏ジャケでやっています。

――実際に「Unforgettable Final Odyssey」はどういう層にフックしてますか?

田家:狭いですね。BiSやBELLRING少女ハート、でんぱ組.inc界隈の方は聴いてくださるんですが、その外に出たいんです。ファンの方は「素晴らしい」って言ってくださるけど、甘えてはいけないし、アイドルを聴いたことのない人の感想を聞いてみたいんです。「あさだ」でみんなでカウベルを叩いて、よだれを垂らしながら恍惚の表情で宗教感を出すほどには至れていない。頭のおかしいことをしたいんです。アイドルは遊び放題で、すごい表現方法だと感じているし、面白がってくれる人もいっぱいいるし、ドラッギーな曲をどんどん出したいです。「アイドルだからこんなに面白いことができるんだよ」とメンバーにも伝えたいですね。

――田家さん自身が作曲した曲も多いですよね。

田家:自分の自己評価は低いですね。ヘンテコな曲担当ならいいんですけど。音楽的知識がまったくなくて、打ち込みもコードもわかってなくて専門的なことは人に投げてる。展開とか音色とか全体像とか、そういうことばかりは思いつくので、イメージ担当ですね。

――音楽ライターをされていた影響はあると思いますか?

田家:あると思います、ロック史を体系的に聴いてきたんで、音楽史が体の中にある。「ここをやったら、次はここをやったらいいかな」って。見出しになりやすい打ち出し方を、言葉ありきで考えてるところもあるかもしれませんね。

出典: realsound.jp

「Unforgettable Final Odyssey」全曲ダイジェスト。


楽曲概説

01. Majiwaranai CAts
作詞:小林愛
作曲:田家大知・ハシダカズマ
編曲:ハシダカズマ
Guitar&Bass&Programming&other instruments:ハシダカズマ

ビースティ・ボーイズの「Sabotage」をオマージュした楽曲で、タイトルの大文字部分を繋げると、小林氏が敬愛するビースティー・ボーイズのメンバー「MCA」の名前になる。

田家氏:ビースティ・ボーイズの「サボタージュ」ですね。誰にも負けないビースティ・ボーイズ愛があると示したかったんです。作詞をしている小林愛さんもビースティ・ボーイズが好きで、だから曲名の「MCA」の部分が大文字になってます(Real Sound:2014年8月6日)。

小林氏:ビースティボーイズオマージュということで、大好きMCAの名をもじったタイトルにした。韻の踏み方が結構謎ですが、素人ぽくもないのが私の持ち味だと思います。
メンバーのあのさんの語りが可愛すぎて目をつぶると現実を忘れるほど萌えしぬ!(ひどもやま日記:2015年12月3日)。

可愛らしさと勇ましさ、か弱さと力強さが絶妙に入り混じったパフォーマンス。
8人体制になって、脱力系ラップの彩りに幅が出てきて、ますます中毒性が増してきている。
いい感じに鳴り響くハシダカズマのギターと共に、面白い韻を踏む歌詞に耳が惹きつけられる。
初のフル・アルバム、ゆるめるモ!からの挨拶代わりの強烈な楽曲になっている。
可愛い、だけでなく、とても格好いい。

*Beastie Boys(ビースティ・ボーイズ):アメリカのロック・ユニット。白人ヒップ・ホップの草分け的存在で、当時としては珍しく Led Zeppelin をはじめとするロックの楽曲をサンプリングに使用した。元々はパンク・バンドであり、「Beastie Boys」という名前の由来も、彼らが敬愛するハードコア・パンク・バンド「Bad Brains」にあやかり、「Bで始まる単語2つを冠するバンド名にしよう」というところから付けられた。

Beastie Boys「Sabotage」。

02. ゆるめるモん
作詞:小林愛
作曲:田家大知
編曲:Tamptin
Guitar&Programming:Tamptin

ゆるめるモ!のデビュー・シングル「HELLO WORLD EP」に収録されていた楽曲だが、ここでは本作リリース時のメンバー8人で歌い直されている。また、「HELLO WORLD EP」ヴァージョンに比べ、イントロ部分が1秒程カットされている。

ゆるめるモ!のオリジナル楽曲第1号で、田家氏が以前組んでいたバンドの楽曲のリメイク。

小林氏:アイドルってこういう感じなんだろうか…と悩みながら書いた曲。いまだに、一番好きくらいの歌詞。
メンバーのけちょんさんが「メインが鰤ってどういう意味ですか?」と訊ねたエピソードが萌えしぬ!(ひどもやま日記:2015年12月3日)。

前の曲の強烈な挨拶に続いて、8人体制になったゆるめるモ!の自己紹介的楽曲。
かなりの情報量が含まれているのだが、忙しない印象がないのは、やはり脱力系だからだろうか。
これだけ聴かせるラップを披露出来るのは、只者ではない証拠。

03. べぜ~る
作詞:小林愛
作曲:大星徹
編曲:大星徹
Programming:大星徹

ベゼルとは、腕時計や液晶ディスプレイなどの表示部分を指示・保護する機能をもつ部分の名称。

ベゼル

以前よりライヴでは披露されていた楽曲。

2013年12月13日付の小林氏のブログ「ひどもやま日記」には、既にこの曲の歌詞が掲載されている。

小林氏:ゆるめるモ! さんというアイドルさんに書かせていただいた歌詞です。タイトルは、bezelからきています。ゆるめるモ!さんもうすぐ結成1年だそうで、おめでとうございます。これからもよろしくお願いいたします(ひどもやま日記:2016年12月13日)。
小林氏:ベゼルって時計の部品でしてダイバーズウォッチは、ベゼルを調整して自分が何分水中に居られるのかわかるのです。あと、指輪の台座部分とかの意味もある。恋愛時、男の人はすぐに「恥ずかしい」とか言うが、マジで冷めるので勘弁してほしい。
メンバーのもねさんは、この曲以外にもサビを担当しているが全部歌い方を変えているのがスゲェ萌えしぬ!(ひどもやま日記:2015年12月3日)。

アップ・テンポなノリの良いアイドル・ポップ。
彼女たちが決して「カルトなアイドル」ではないことを示してくれる好例。
聴けば聴くほどに良さが伝わってくる楽曲。

04. 逃げろ!!
作詞:小林愛
作曲:松坂康司
編曲:松坂康司
Programming:松坂康司

ゆるめるモ!のファースト・ミニアルバム「NEW ESCAPE UNDERGROUND」に収録されていた楽曲だが、「ゆるめるモん」同様、ここでは本作リリース時のメンバー8人で歌い直されている。

ゆるめるモ!の代表曲の一つで「自殺するという手段をとらざるを得なかったような人に、“逃げる”という手段を、可愛い女の子達の歌に乗せて広く届けたい」というコンセプトを元にしている。これはゆるめるモ!というグループ全体に対するコンセプトでもあり、田家氏も「ゆるめるモ! 全体をイメージ付ける楽曲にしたい」と語っている。

タイトルはももいろクローバーの「走れ!」のオマージュであり、楽曲発注時にも「『走れ!』のような楽曲を」という注文があった。実際に楽曲の構成やアレンジ、雰囲気、歌割などかなり「走れ!」を意識して作られている。

松坂氏に楽曲の発注をした際、10日間でデモ音源が出来上がり、約1ヶ月で楽曲が完成した。

田家氏に作詞を依頼された時に小林氏は「基本的に逃げちゃダメだと思う人間で、テーマとの兼ね合いが難しかった」と語っている。

小林氏:私の中の真骨頂は『ゆるめるモん』のような歌詞です。うまいこといったなあ、と思っています(ゆるめるモ!オフィシャル・サイト:2014年3月8日)。

小林氏:煮えたぎる釜の中でも、ぬるま湯の中でも気持ちは地獄みたいだ!無理矢理気持ちを収めると涙が出そうだ!という乙女心をつづった歌詞です!
書くの大変でした!メンバーのちーぼうさんは、レコーディングの時サムライみたいでかっこいい。萌えしぬ(ひどもやま日記:2015年12月3日)。

8人体制で歌い直されているゆるめるモ!の代表曲のひとつ。

05. 生きろ!!
作詞:小林愛
作曲:松坂康司
編曲:松坂康司
Programming:松坂康司
Guitar:藤井健太郎

本作の約2ヶ月前にリリースされたミニアルバム「Electric Sukiyaki Girls」に収録されていた楽曲。

「逃げろ!!」の続編的な楽曲で、作詞・作曲・編曲も「逃げろ!!」と同じ面子で制作されている。

小林氏:『逃げろ!』は、メンバーたちがパフォーマンスをしてくれて一番ハマったと思います。私はこの曲はあまり得意なジャンルじゃなかったから、書くのがすごく大変でした。でもライブを観たら、曲と歌詞とパフォーマンスが一番よく形になっていて、そこにお客さんの盛り上がりも乗っかって、感動的になってた。ちなみに私自身、「地獄みたい」って口癖なんですよ。すぐ、「こんな辛いの地獄みたいだ」って思う。だからすごく自然な、素直な言葉ですね(笑)(ゆるめるモ!オフィシャル・サイト:2014年3月8日)。

小林氏:逃げろの次は生きろですか!!なんだか恥ずかしいけれどいいですね!同じ意味ですもんね!!人間に景色が話しかけるという壮大な歌詞だよ。メンバーのしふぉんさんの歌いあげる感じがかなりぐっときて萌えしぬ!(ひどもやま日記:2015年12月3日)。

こうして「逃げろ!!」と続けて聴くと、相乗効果が生まれてくる。
「ゆるい」けれども、決して後ろ向きではなく、きちんと前を向いた「ゆるさ」であることが実感できる。

06. 場viewer
作詞:小林愛
作曲:田家大知・松坂康司
編曲:松坂康司
Programming:松坂康司

The Death Setを意識したエレクトロヒップホップパンク。

「場viewer」は「ばびゅーあ」と読む。

ギターを箱庭の室内楽のハシダカズマが担当しているが、彼が自身の楽曲以外でレコーディングに参加した唯一の作品。

田家氏:「場viewer」は、曲を揃えてみたときに「BPM早いのないな」って思って、デス・セットっぽいエレクトロヒップホップパンクを作りました。彼らもビースティ・チルドレンだから共感できるんです(Real Sound:2014年8月6日)。

小林氏:アルバム書き下ろし。宇宙がテーマということで、次元を意識してみました。点が一次元、線が2次元、私が三次元、そして、時間みたいな。メンバーのようなぴさんのサビがコミカルかわいいくて萌えしぬ!(ひどもやま日記:2015年12月3日)。

特筆すべきは6曲目の『場viewer』。ユルいラップ調のAメロから、メロディアスで疾走感溢れるサビへと展開されていき、思わず鳥肌が立つ。また、目まぐるしく起きる3連符や倍速などリズムチェンジも気持ちよく、あぶらだこのアイドル進化ともいえる(ブッチニュース:2014年7月10日)。

*上記のニュース記事に対する松坂康司氏のリツィート。
これは嬉しい!
「あぶらだこのアイドル進化」…ありがたい褒め言葉ありがとうございます!
ちなみに、この曲『場viewer』は、〈ばびゅーあ〉と読みます!フガジみたいにジャギジャギでエモかっこいいギターは、箱庭ハシダさんに弾いていただいております!(ゆるめるモ!オフィシャル・ツィート:2014年7月10日)。

例えば、ももいろクローバーZがこの曲を歌ったら、もう少し忙しない印象を与えるように思える。
ゆるめるモ!にそんな「忙しなさ」が感じられないのは、彼女たちの大きな武器である「声」にも要因があるが、アレンジや音色、音のバランスなども含めた全体のプロダクションが大きく働いているから。そしてそれはゆるめるモ!の魅力の大きな一つになっている。

*あぶらだこ:1983年に結成された日本のロック・バンド。
ノイジーなハード・コア・パンクの中に、摩訶不思議なユーモアと変拍子を多用した実験的な要素を組み入れた、独特な音楽を形成している。その独特なリズムとスタイルはキャプテン・ビーフハートを思い起こさせる瞬間もある。

あぶらだこ「冬枯れ花火」。

*The Death Set(ザ・デス・セット)
ジョニー・シエラとボウ・ヴェラスコの二人によって、2005年にオーストラリアのシドニーで結成されたバンド。半年後にアメリカの東海岸(ボルティモア、フィラディルフィア、ブリックリン等)に移動。そこで活動を開始している。ジャンルとしてはアート・パンク、エレックトリック・パンク、ダンス・パンクなどと呼ばれている。
2009年9月27日、ボウ・ヴェラスコがドラッグのオーヴァードースで死亡。バンドはその後もセカンド・アルバムをリリースするなど活動を継続中。

The Death Set「They Come to Get Us」。

07. ぺけぺけ
作詞:小林愛
作曲:田家大知
編曲:Tamptin
Guitar&Programming:Tamptin

以前よりライブでは披露されていた楽曲だが、本作収録ヴァージョンとはアレンジが異なっている。

田家氏はこの楽曲を収録するべきか迷ったという。

2013年7月30日付の小林氏のブログ「ひどもやま日記」には、既にこの曲の歌詞が掲載されている。

小林氏:ラップの部分を超がんばりましたっ(ひどもやま日記:2013年7月30日)。
小林氏:長い曲は、歌詞も大変でした。私らしいくどい歌詞になってしまいましたが「ゆるさ」もあってGOODGOOD!!(ひどもやま日記:2015年12月3日)。

ちょっとスカっぽいアレンジの楽曲。
畳み掛けるようなラップに続いて登場する「傷を背負って道無き道をゆく」というフレーズがとても耳に残る。

08. 私の話、これでおしまい
作詞:小林愛
作曲:マル(HONDALADY)
編曲:マル(HONDALADY)
Programming:マル(HONDALADY)

本作の約2ヶ月前にリリースされたミニアルバム「Electric Sukiyaki Girls」に収録されていた楽曲。

日本のテクノ・ユニット「HONDALADY」の「愚仮面」に小林氏の歌詞を新たに付けた楽曲。よって、曲名と歌詞は異なるが楽曲は同じである。
*「愚仮面」はけちょんともねが参加したアルバム「LOOPER LOOPER」に収録されている。

小林氏:ゆるめるモ!さんというアイドルに歌詞を書かせていただいているのですがその中の1曲で「私の話、これでおしまい」という作品があります(ひどもやま日記:2014年6月2日)。
この曲はHONDALADYさんの「愚仮面」という曲のアレンジ、歌詞違いとなっております。ということで、曲と歌詞がある状態から歌詞を書くという異例の作品作りでした。きっと両方の曲を聞く人もいるだろうし、何か仕掛けがあると楽しいかな?と思いまして一番最後の「傷ついてる」は一緒にさせていただいて、そこから物語を考えました。この世の中には、たくさんの人の色んな種類の「傷ついてる」があることだし。
あと、主語を自由に設定出来る文章を入れてみましたので今は今の気分で聞いていただいて10年後くらいに聞き直していただきましたらきっとまた違う意味になると思います。
あなたが後退したり成長したりするのであれば、私の歌詞も一緒にお供いたしたいなと思って歌詞書きました。
小林氏:卒業する時、学んだノートと涙を吹いたハンカチが必ずあるな?って思って書きました。誰かのため、何て言うのかな?「誰かのためなんて」言うのかな?(ひどもやま日記:2015年12月3日)。

こうしてフル・アルバムに収められると、ミニアルバム「Electric Sukiyaki Girls」に収録されていた時には感じられなかった、一服の清涼飲料水的な風景が浮かび上がってきて、新たな魅力が加わったように思える。

09. スキヤキ
作詞:小林愛
作曲:田家大知・松坂康司
編曲:松坂康司
Programming:松坂康司

本作の約2ヶ月前にリリースされたミニアルバム「Electric Sukiyaki Girls」に収録されていた楽曲。

「ミニマルに踊らせたい」という趣旨のもとに製作されている。

小林氏:子供の頃から謎多き食べ物「スキヤキ」。材料を少しづつ投入するのも地獄ぽくて怖い。
スキヤキ→坂本九→上を向いて歩こう(スキヤキ)→永六輔→あさだ飴→あさだ+アーメン(ひどもやま日記:2015年12月3日)。

アイドル的な楽曲が続いた後に、いきなり飛び込んでくるミニマル・ダンス曲。
いきなり飛び込んでくる割には異物感が全くないのは、主役はあくまでも彼女たちの歌声だからだろう。

10. DO FUFU
作詞:小林愛
作曲:田家大知
編曲:Tamptin
Guitar&Programming:Tamptin

田家氏が以前組んでいたバンドの楽曲のリメイク。

以前よりライヴでは披露されていた楽曲だが、本作収録ヴァージョンとはアレンジが異なっている。

2013年3月22日付の小林氏のブログ「ひどもやま日記」には、既にこの曲の歌詞が掲載されている。

田家氏:「DO FUFU」は、実は「ゆるめるモん」「なつ おん ぶる ー」(『HELLO WORLD EP』収録)と同じく僕のバンドの曲をリアレンジして、ストロークスをイメージして作り、そこに女の子のわちゃわちゃ感と裏打ちを混ぜました(Real Sound:2014年8月6日)。

小林氏:ゆるめるモ!ちゃんの新曲の歌詞。ちょっと違ってるかもです。パートの割り振りはわからんくてさーせん(ひどもやま日記:2013年3月22日)。
小林氏:出会い=楽しい 別れ=悲しい、嫌
ではなくて 別れ=ありがとうございました
フーフーするを出来るかな?(ひどもやま日記:2015年12月3日)。

ミニマル・ダンス曲から今度は勢いよくご機嫌なロック・ナンバーが飛び込んでくる。
内向きなリズムから外向きなリズムへの変化は、カタルシスすら感じてしまう。

*The Strokes(ザ・ストロークス):1999年にアメリカ、ニュー・ヨークで結成されたロック・バンド。
ヒップホップやR&Bといった黒人音楽やヘヴィー・メタルが主流を収めていた当時の音楽シーンにあって、ロックン・ロール・リヴァイヴァルの騎手として評されることが多かった。

The Strokes「Reptilia」。

11. なつ おん ぶる ー
作詞:小林愛
作曲:Tamptin
編曲:Tamptin
Guitar&Programming:Tamptin

ゆるめるモ!のデビュー・シングル「HELLO WORLD EP」に収録されていた楽曲だが、ここでは本作リリース時のメンバー8人で歌い直されている。

田家氏が以前組んでいたバンドの楽曲のリメイク。

正しい表記は「なつ おん ぶる ー」であり、「ぶる」と「-」の間にもスペースが入る。

田家氏によると「四つ打ちで明るい曲だから、盛り上がるだろう」とのことで、この楽曲をリメイクしているが、ライヴで披露することで本来のアイドルの楽曲作成とは異なることに気が付いたという。その後、アイドルの楽曲を研究した結果、作られた楽曲がゆるめるモ!の代表曲の一つである「逃げろ!!」であった。

田家氏はこの「なつ おん ぶる ー」と「逃げろ!!」を使い分けるセット・リストを組んでいたという。「なつ おん ぶる ー」はバンドが中心のライヴでの受けが良かったため、バンドよりのライヴに出演する際にはこの「なつ おん ぶる ー」を、それ以外は「逃げろ!!」をセット・リストに入れていたとのこと。

小林氏:冬に生まれた夏の歌です(ひどもやま日記:2015年12月3日)。

これまた8人体制で録り直された楽曲。
最後の「海、行きたいなぁ」セリフが殆ど聞き取れなくなってしまっているのは少し残念。

12. 00(ラブ)
作詞:小林愛
作曲:Tamptin
編曲:Tamptin
Guitar&Programming:Tamptin

「00」は「オーオー」と読む。

ライヴで披露される際に、日の丸をあしらった扇子を使ってパフォーマンスをするが、これは振付を担当したもねのアイディアであり、「O」と日の丸の形をかけたもので、「日本を背負う」という意味も込められている。

途中に挟まれる語りは、夏目漱石の「草枕」をモチーフにしている。

小林氏:なんもないなって歌です。語りの部分は、夏目漱石の草枕なんですけど、草枕が大好きな小説なのと、草枕って「旅」の枕詞なので、このアルバムのコンセプトにあっているかな?と思って使いました(ひどもやま日記:2015年12月3日)。

ケチャっぽく細かく刻んだパーカッシブな音と、それに相反するようなバクパイプ的な伸びやかな音が入り混じり、雄大な景色を想起させる。
バグパイプを模したシンセの音は後の楽曲「must 正」を予感させられる(こちらはエレクトリック・バグパイプが使用されていたが)。
少しU2っぽい印象があるのだが、ゆるめるモ!の声が登場した途端に、彼女たちの唯一無二の世界が目の前に広がってくる。
素晴らしい楽曲。

ゆるめるモ!「00(ラブ)」。

8gfujiteru_1015
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仙石昴(せんごく すばる)とは、『TIGER & BUNNY 2』の登場人物で、売り出し中の新人ヒーロー。ヒーロー名はMr. ブラック。 実直で熱血気質の少年。超常的な能力を持つ新人類「NEXT」の1人。若くしてヒーローとして活躍し、その実績と実力を評価され、スカウトされる形でシュテルンビルドにやってくる。同じく新人ヒーローのトーマス・トーラスとコンビを組まされ、有能ではあるが高圧的で単独行動を好む彼と幾度も衝突する。失敗を繰り返しながらも成長し、市民の平和のために力を振るった。

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バーナビー・ブルックスJr.(TIGER & BUNNY)の徹底解説・考察まとめ

バーナビー・ブルックスJr.(TIGER & BUNNY)の徹底解説・考察まとめ

バーナビー・ブルックスJr.とは、『TIGER & BUNNY』及び『TIGER & BUNNY 2』の登場人物で、新進気鋭のプロヒーロー。ヒーロー名は本名をそのまま使用している。 幼い頃に“絡みつく蛇”のタトゥーをした人物に両親が殺されるところを目撃し、これを追うためにヒーローを志す。スポンサーの意向で、人々の注目を集めるためにベテランヒーローの鏑木・T・虎徹とコンビを組むこととなり、当初は彼を軽んじていた。しかし次第に互いのことを認め合い、息の合ったコンビとして数々の事件を解決していく。

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【あのちゃん】ano率いるパンクバンドI’s(アイズ)の魅力を徹底解説

【あのちゃん】ano率いるパンクバンドI’s(アイズ)の魅力を徹底解説

パンクバンドI’s(アイズ)をご存じだろうか。2021年に結成し猫猫レコーズよりメジャーデビューを決めた当バンドを率いるのは、ボーカルとギターを担当するano(年齢非公表)。彼女の描き出す唯一無二の世界観、そして陰と陽をあわせ持つ独特の歌声と歌詞は、時には優しくやわらかく、また時には鋭く切り込むように響き、聴く人一人一人の心を深く捉えて止まない。その魅力の秘密はいったいどこにあるのだろうか。本記事ではanoの音楽性について追求するとともに、バンドI’sの魅力を深くひも解いていく。

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