鏑木・T・虎徹／ワイルドタイガー（TIGER & BUNNY）とは【徹底解説・考察まとめ】

鏑木・T・虎徹／ワイルドタイガーの概要

鏑木・T・虎徹（かぶらぎ ティー こてつ / Kotetsu T. Kaburagi）とは、『TIGER & BUNNY』及び『TIGER & BUNNY 2』の登場人物で、落ち目ながらも奮闘するベテランヒーロー。ヒーローとしての名前はワイルドタイガー（Wild Tiger）で、「ワイルドに吼えるぜ！」が決めセリフ。
「NEXT」（ネクスト）と呼ばれる超常的な能力を持つ新人類の1人で、職業としてのヒーローが存在するシュテルンビルドで活躍するプロヒーロー。幼い頃に伝説のヒーローMr. レジェンド（ミスターレジェンド）に助けられたことがあり、これがヒーローを志した動機となっている。妻とは死に別れ、娘の鏑木楓（かぶらぎ かえで）を溺愛している。

長年ヒーローとして働くも、犯人確保の際に被害を拡大させることが多く、人気が低迷。その対策を兼ねてスポンサーの意向で新人ヒーローのバーナビー・ブルックスJr.と組まされることとなり、当初は「生意気な新人」と彼を毛嫌いしていた。しかしバーナビーが両親を殺害した犯人を見付けるためにヒーローになったことを知って徐々に態度を改め、合わせて彼からも尊敬されるようになり、デコボコな名コンビとなっていく。
『TIGER & BUNNY』の物語終盤で、少しずつNEXTとしての能力が衰えていく「減退」という症状に悩まされるようになり、バーナビーの復讐劇に一定の決着が着いたこともあってプロヒーローを引退。しかしそれでもなお「困っている人を助けたい」との想いを捨てられず、下部リーグからの再出発を図る。同じくいったんプロヒーローとしての活動から離れていたバーナビーと再びコンビを組み、シュテルンビルドに迫る新たな危機に立ち向かっていった。

鏑木・T・虎徹／ワイルドタイガーのプロフィール・人物像

CV：平田広明、田村睦心（幼少期）

デビューして10年以上になるベテランヒーロー。犯人逮捕や市民の安全のためなら周囲の被害や後先のことを考えずに動く癖があり、“正義の壊し屋”という異名を持つ。困っている人を放っておけない優しく真っ直ぐな心を持ち、頑固で一本気で1人で問題を背負い込みがちなところがある。
物語開始時点では人気が低迷していたが、バーナビーとのコンビが成熟していくに従って実績も右肩上がりに回復し、再注目されていく。減退症状に苦しんでいることを公表してなおヒーロー活動を再開した際は多くの人々から応援されており、熱狂的な人気はなくともシュテルンビルドの住人たちから愛され、応援されている。

バーナビーに対しては、当初は「生意気な新人」だと毛嫌いしていたが、その素質と過去を知って見直すようになり、やがて年齢を超えた親友にして相棒となっていった。娘の楓に対しては普段離れて暮らしていることもあってかなり過保護で、彼女がプロヒーローを目指していることを知った時は「危険だ、憧れだけでできる仕事じゃない」と慌てて諭している。
6年前に亡くした妻の鏑木友恵（かぶらぎ ともえ）とは学生の頃からの仲で、今でも彼女を深く愛している。プロヒーローとしての同僚であるカリーナ・ライル／ブルーローズからはほのかな恋心を抱かれているが、妻一筋の虎徹はまったく気付いていない。

鏑木・T・虎徹／ワイルドタイガーのNEXT能力

ハンドレッドパワー → ハンドレッドパワーワンミニッツ

5分間だけ通常の100倍の力を発揮する、シンプルな強化能力。1度能力を使用すると、1時間のインターバルが必要となる。筋力だけではなく、聴力や回復力も強化される。
物語の途中で減退の症状に苦しんだ末、発動可能な時間が1分間に短縮された状態で能力が安定。虎徹はこれに「ハンドレッドパワーワンミニッツ」と名付けて、再びヒーロー活動に邁進していった。

鏑木・T・虎徹／ワイルドタイガーの来歴・活躍

『TIGER & BUNNY』

伝説との出会いと妻との別れ

NEXTと呼ばれる、超常的な能力を持つ新人類として生まれる。子供の頃は「みんなと違う」としてこの能力と自分自身を嫌っていたが、ある時銀行で強盗の襲撃に巻き込まれ、伝説のヒーローMr. レジェンドによって救われる。自分と同じNEXT能力者ながら、その力を誰かを助けるために行使するヒーローの姿に憧れるようになった。
学生時代、天宮友恵（あまみや ともえ）とアントニオ・ロペスに出会い、交友を深めていく。友恵とは恋仲となり、彼女がヒーローオタクだったこともあって、プロヒーローとして働くことを本格的に目指していった。

やがて友恵と結婚し、前後してシュテルンビルドで「ワイルドタイガー」の名でプロヒーローとしてのデビューを果たす。親友のアントニオも「ロック・バイソン」という名でプロヒーローとなり、同僚として長く付き合っていくこととなる。
家庭人としては楓（かえで）という娘に恵まれるのの、友恵とは物語開始の6年前に死別。その後も彼女を深く敬愛し、新しい恋人や妻を作る気はまったくない。普段は家を離れてシュテルンビルドで暮らしているが、楓にはたびたび連絡し、たまに会える機会を楽しみにしている。

デコボココンビの結成

プロヒーローとしてベテランと呼ばれるほどの年齢まで活躍するが、犯人逮捕や人々の避難を優先してそれ以外の被害を顧みない姿勢が災いし、人気が低迷。これを憂慮したスポンサーから、今後売り出す予定のバーナビー・ブルックスJr. という新人ヒーローとコンビを組まされることとなる。
当初は「生意気な新人だ」と彼を毛嫌いしていたが、彼のヒーローとしての資質や両親の仇討ちのためにヒーローを志したという過去を知ると気に掛けるようになり、次第に関係が改善。バーナビーの側も「ロートルのおじさん」と軽んじていた虎徹のヒーローに懸ける想いやベテランとしての経験を見直し始め、2人は無二の相棒となっていく。

なお、人気こそ低迷していたが、人助けを優先して行動する虎徹はシュテルンビルドの人々から愛されており、数々の支援を受け取っている。アントニオを中心に同僚のヒーローたちとの仲も良好で、「役に立つかどうかはともかく、虎徹は頼めば力になってくれる」と信頼される。10代にしてプロヒーローとして活動するカリーナ・ライル／ブルーローズには、だらしないように見えて高潔なその姿勢に敬意と好意を寄せられるようになるが、ひたすら妻一筋の虎徹は彼女の想いにはまったく気付かなかった。

減退と引退と復帰

バーナビーとのコンビがプロヒーローの中でも特に注目されるようになった頃、突如自身の能力が急激に増したり使えなくなったりする症状に悩まされる。これはNEXTに特有の症状である「減退」の初期症状で、いずれは固有の能力が大きく弱体化し、あるいは完全に使えなくなるという。これを知って「せっかくバーナビーとのコンビもうまくいっているのに、アイツの復讐心を暴走させないよう見届けることもできないままヒーローを辞めなければならないのか」と苦悩する。
この頃、バーナビーは両親がウロボロスと呼ばれる犯罪組織によって殺されたこと、その黒幕がシュテルンビルドのメディア王アルバート・マーベリックであることを突き止めていた。これを察知したマーベリックは、記憶を操る自身のNEXT能力でバーナビーやヒーローたちの記憶を書き換え、自身の傀儡としてしまう。

虎徹はNEXTとしての能力に覚醒した楓と共にこれに立ち向かい、仲間たちの記憶を蘇らせて、マーベリックの野望にも終止符を打つ。しかし無理をしたツケで減退の症状が進み、これまで5分間発揮できていた能力が1分間しか発動できなくなり、「これ以上無理はできない」として引退を表明する。
しかしそれでもなお「困っている人を助けたい」との想いを捨てられず、再びプロヒーローを志す。減退の症状が出ていることを公にした上で「ワイルドタイガーワンミニッツ」との名で下部リーグに正式デビューを果たした頃、両親の仇討ちに一応の決着をつけてヒーロー活動から離れていたバーナビーも復帰。彼と再びコンビを組むこととなった。

『TIGER & BUNNY 2』

パートナー制度とウロボロスの再来

バーナビーとのコンビで実績を重ね、虎徹は再び一部リーグに復帰する。この頃、シュテルンビルドでは犯罪の複雑化が進んでおり、これに対応すると共にヒーロー人気の起爆剤として2人1組で行動させるパートナー制度が導入される。虎徹はバーナビーとのコンビを継続し、慣れないコンビ活動に苦労する同僚のヒーローたちに助言する立場となる。
マーベリックはウロボロスの幹部ではあったがトップではなく、その実態は相変わらず不明瞭なままだった。その正体も目的も分からないまま彼らは新たな計画を発動し、「強力なNEXTによるヒーロー狩り」を開始。世界各地のプロヒーローが襲われていく。

やがてその魔の手はシュテルンビルドにまで及び、虎徹の同僚たちも多くが負傷。正義と治安の象徴たるヒーローたちが次々に倒されたことで市民は動揺し、NEXT排斥の動きまでもが加速する。
虎徹とバーナビーは、まだ襲われていない新人ヒーローたちと協力してウロボロスのNEXTを迎え撃ち、戦いながら彼らの能力の秘密を分析してこれを打ち破る。シュテルンビルドを覆っていた暗雲をどうにか払い除けた虎徹たちだったが、この計画の中でウロボロスは「NEXTの能力を強化する薬品」を完成させており、これがグレゴリーという犯罪者によって流出する事態となる。

伝説との対峙と2度目の引退

グレゴリーはウロボロスに正式に雇われ、「NEXTを暴走させる」という自身のNEXT能力と盗み出した薬品で様々な事件を起こしていく。これによりNEXTとそれ以外の人々との間に決定的な溝を作り、延々と争いの続く世界を生み出すことが今回のウロボロスの目的だった。
「NEXTへの反感をこれ以上抑えられない」と判断したシュテルンビルドは、この地でもっとも知名度の高いNEXTであるヒーローたちの活動を停止する法を可決。先手を打たれた虎徹たちだったが、ウロボロスの最終目標が「世界的に高名なNEXT指導者であるリトルアウロラをNEXTではない者の手で暗殺する」ことだと気付き、それが違法行為であることを承知で再びヒーローとして立ち上がる。

この時、バーナビーは足に深刻な負傷を抱えており、これ以上戦えば歩けなくなることさえありうる状態だった。虎徹は「今回だけは諦めてくれ」と懇願するも、バーナビーは「これがあなたと共にヒーローとして戦う最後の機会になるかもしれない」と譲らず、結局は彼と共にウロボロスの陰謀を止めるために出撃する。
ヒーローたちがそれぞれに暗殺の阻止のために尽力する中、虎徹たちはグレゴリーを追い詰める。しかしグレゴリーはMr. レジェンドのライバルだったL.L.オードゥンという男を用心棒につけており、バーナビーはヒーロースーツを破壊されるほどのダメージを負う。さらにグレゴリーは虎徹を暴走させてバーナビーを襲わせるも、むりやり暴走させられたことで減退していた彼の能力は完全に枯渇。NEXTではなくなった虎徹は暴走状態を脱し、自分のヒーロースーツをバーナビーに譲渡。虎徹の想いと志を受け取ったバーナビーによってオードゥンは撃破され、グレゴリーも確保されたことでシュテルンビルドの人々は再びヒーローとNEXTたちを受け入れる。

完全にNEXT能力を失った虎徹は、正式に引退を表明。今後は普通の人間として街の平和に貢献していく道を選ぶ。この戦いで引退することも覚悟していたバーナビーは、自分が虎徹の代わりにヒーローを続けてその志を継いでいくと宣言。2人は拳を重ね、違う場所で活動することとなっても自分たちはずっと相棒だと誓い合う。

鏑木・T・虎徹／ワイルドタイガーの関連人物・キャラクター

バーナビー・ブルックスJr.（Barnaby Brooks Jr.）

NEXT能力：ハンドレッドパワー（5分の間だけ通常の100倍の力を発揮する）
CV：森田成一

新進気鋭のヒーロー。それまでのシュテルンビルドのヒーローの慣例を破り、素顔を公表している上にヒーロー名も本名をそのまま使用している。
幼い頃にウロボロスという謎の犯罪組織に両親を殺され、その仇討ちのためにヒーローを志す。対外的には完全無欠の好青年を演じているが、実際はかなり遠慮のない性格で、虎徹と組まされることになった時も「なんで僕がこんなオジサンと一緒に仕事しなきゃいけないんだ」と不平を隠さなかった。
しかし名声や犯罪者への憎悪のためではなく、ただ人々のためにヒーローたらんとする虎徹のスタンスに次第に感化され、彼に深い敬意と信頼を抱いていく。