ヨル・フォージャー／いばら姫（SPY×FAMILY）の徹底解説・考察まとめ

ヨル・フォージャー（いばら姫）の概要

性別：女性
年齢：27歳
出身：ニールバーグ地方東部

ヨル・フォージャー（旧姓：ブライア）とは『SPY×FAMILY』（スパイファミリー）の登場人物。表向きはバーリント市役所に努める女性事務員だが、裏では〈いばら姫〉というコードネームで東国に害を及ぼす売国奴を始末する暗殺者として活動している。
整った容姿の美人だがかなりの天然で、異性とは縁のない人生を送ってきた。しかし同僚から「30手前の独人女性は当局に目を付けられやすい」と言われたのをきっかけに恋人役を探すようになる。
たまたま仕立て屋で出会った精神科医ロイド・フォージャーも娘・アーニャのイーデン校入学試験のために妻役の女性を探しており、利害の一致から2人は偽装結婚をすることになった。
実はロイドは〈黄昏〉というコードネームの西国のスパイであり、アーニャをイーデン校に入れるのも任務のためなのだが、ヨルはその事実を知らない。唯一、人の心を読む超能力者のアーニャだけがロイドとヨルの裏の顔を知っている。
幼少期から暗殺術を叩き込まれ、その仕事で唯一の家族である弟ユーリ・ブライアを育ててきた。その戦闘能力は凄腕スパイである〈黄昏〉をも上回る。
ヨルが所属していると思われる組織「ガーデン」は、古くから東国に存在し影の政府の命令で国賊を次々と粛清しているとされるが、西国諜報組織WISEですらその全容を掴めておらず詳細は不明。ヨル自身は「店長」と呼ばれる人物から仕事を請け負っている。
幼少期から血なまぐさい世界に身を置いていたためか浮世離れしており、市役所の同僚の女性職員からは頻繁に嫌味を言われている。また、物事を暴力で解決しようとする思考に陥りがちで、拷問器具やナイフなど物騒なものを好む傾向がある。
元々かなりの怪力で、思い切りハグして弟の肋骨を2本折ったことがあった。暗殺の後始末に慣れているため掃除は得意だが、その他の家事は不得手で特に料理は壊滅的。そのためフォージャー家の料理は基本的にロイドが担当している。
非常に酒癖が悪く、少し飲んだだけでも前後不覚になって力の加減ができなくなる。

ヨル・フォージャー（いばら姫）の来歴・活躍

両親を失い、女手一つで弟を育てる

幼い頃に両親を失ったヨルは、弟のユーリを養うために暗殺の仕事に手を染める。幼少期から殺人術を叩き込まれて育った彼女は、いつしか〈いばら姫〉という名の凄腕の暗殺者になっていた。
表向きはバーリント市役所の事務員として働くヨル。しかし天然な性格が災いして同僚からは浮いた存在であった。

ロイドとの偽装結婚

ユーリから電話で「誰かいい人いないの？」と尋ねられたヨルは、とっさに「パートナーと一緒に週末のパーティーに行く」と嘘をついてしまう。弟を安心させるためパーティーの恋人役を探すことにしたものの、なかなかいい相手が見つからず困り果てていた。
そんな時、暗殺の仕事で破れたドレスを直しに行った仕立て屋で、偶然精神科医ロイド・フォージャーとその娘のアーニャと遭遇する。
ロイドの正体は〈黄昏〉と呼ばれる西国の凄腕スパイで、娘を名門イーデン校に入学させ東国の大物政治家に接触するという任務・オペレーション〈梟（ストリクス）〉のためにアーニャの母親役となってくれる女性を探していた。
そしてアーニャはとある組織の人体実験によって他人の心を読むことのできる超能力者で、ロイドとヨルの正体に気づいていた。スパイと殺し屋が自分の両親になったら嬉しいと考えたアーニャは、ロイドとヨルを引き合わせる。
ヨルはロイドの正体がスパイだと知らないまま、パーティーの恋人役との交換条件でロイドの妻役を演じることを了承するのだった。

しかし週末のパーティー当日、ロイドに追加の任務が入ってしまう。時間になっても待ち合わせ場所に来ないロイドに見切りをつけて一人でパーティーに向かったヨル。案の定同僚たちに馬鹿にされ、早々に帰ろうとしたところに、血まみれのロイドが現れる。
ロイドはもうろうとする意識の中「ヨルの夫」と自己紹介する。ヨルにスマートでハンサムな夫がいることに嫉妬した同僚のカミラはヨルを貶めようと「役所に来る前はいかがわしい仕事をしていた」などと中傷するが、ロイドは相手にせず「誰かのために何かのために過酷な仕事に耐え続けることは普通の覚悟では務まりません 誇るべきことです」とヨルを褒めた。
パーティーの帰路、2人はロイドに敵対する密輸組織の襲撃を受ける。ヨルは「患者のヒステリーを殴打療法で治療する」というロイドの嘘を真に受け、襲ってくる組織の構成員たちを打ちのめす。
そして戦闘途中、ヨルはロイドにこの偽装夫婦を今後も続けていかないかと提案する。独身女性は密告を受けやすいと以前同僚に言われたことがあり、暗殺の仕事を続けていくためにも既婚者という隠れ蓑があった方がいいと考えたのだった。
そしてロイド・ヨル・アーニャの3人はそれぞれの目的のために家族を偽装することになった。

イーデン校入試

そしてアーニャのイーデン校面接試験が始まった。教員たちの厳しいチェックや動物が逃げ出してくるというハプニングを乗り越え無事面接会場についたフォージャー家。しかし面接官の1人が仲睦まじいヨルとロイドに嫉妬し、「今のママと前のママどっちが高得点だ？」と意地悪な質問をする。
アーニャの実母でないことや家事が苦手なことを指摘されても堪えてきたヨルだが、これには我慢ができず武力行使に出ようとする。しかしその前にロイドが感情のまま机を殴りつけ、「子どもの気持ちを軽んじるのが貴校の教育理念なのでしたら選ぶ学校を間違えました」と面接会場を後にした。

試験の結果は当然不合格。しかしロイドに一目置く教師ヘンダーソンが手を回したおかげで、なんとか補欠合格の末入学が決定したのだった。

アーニャとヨル

イーデン校の制服を仕立てに行った帰り、ヨルが目を離したすきにアーニャがチンピラたちに誘拐されそうになる。慌ててヨルがチンピラを撃退したおかげで事なきを得たが、自分はアーニャに母親らしいことをしてあげられないダメ母親だと自己嫌悪に陥る。そんなヨルにアーニャは「つよくてかっこいいははすき！」と言って、母のように強くなるために特訓を始めるのだった。
しかしアーニャはヨルに鍛えてもらった拳で同級生のダミアン・デズモンドを殴り飛ばしてしまい、入学初日から罰点「雷（トニト）」を1つ受けてしまう。雷が8つ溜まれば問答無用で退学、しかも相手のダミアンはロイドのターゲットとなる大物政治家の息子だったため、初日からロイドの任務遂行に暗雲が立ち込めるのだった。

秘密警察ユーリ登場

ヨルの弟ユーリは、ヨルの同僚の恋人づてに姉が結婚していたことを聞かされる。しかも偽装のために入籍の日を1年前ということにしていたため、1年もの間ヨルの結婚を知らされていなかったということになる。
ユーリはロイドがどんな男か確かめるため、フォージャー家を訪問することになった。
実はユーリは西側のスパイを尋問する国家保安局員・通称秘密警察の所属なのだが、ヨルはそのことを知らない。
ヨルとロイドは自分達が偽装夫婦であることをユーリに気づかれないよう、ラブラブな夫婦を演じることに。重度のシスコンであるユーリはロイドへの敵意をむき出しにするが、ロイドの完璧な夫ぶりに何も言えなくなってしまい、苦し紛れにこの場でキスするよう2人に迫る。
酒の勢いでロイドにキスしようとするヨル。しかし愛する姉のキスシーンを見ることに耐え切れなかったユーリが土壇場で間に割って入り、ヨルの平手打ちをもろに食らってしまう。実はヨルは恥ずかしさのあまりにロイドを殴り飛ばそうとしたのだが、ユーリはそれを「2人のキスを止めようとした自分を拒絶した」と勘違いし、2人が本当に愛し合っていることを確信する。
こうして偽装夫婦はバレずに済み、さらにユーリの正体が秘密警察だと見抜いたロイドは強力な情報源を手に入れたのだった。

しかし弟が秘密警察だったことから、ロイドはヨルを疑い始める。ヨルに盗聴器を仕掛けただけでなく、秘密警察に変装してヨルを探るロイドだったが、結局疑いは杞憂であった。

ボンドがフォージャー家の一員に

アーニャが人命救助の功績で「星（ステラ）」を獲得したご褒美に、フォージャー家で犬を飼うことになった。しかしそこでロイドにブランツ外相の暗殺計画を阻止するという任務が舞い込む。
東西開戦をもくろむ学生テログループは、訓練した犬に爆弾を括り付けて外相を爆殺しようとしていた。街中でたまたまその中の1匹の犬の心を読んだアーニャは、犬を追いかけてテロリストのアジトへ入り込む。犬が未来を予知できることに気づいたアーニャは犬と共にテログループのアジトを脱出しようとするが追い詰められる。そこにヨルが現れ、テロリストたちを打ちのめしアーニャを救い出した。
しかしヨルが警察に通報している隙に、アーニャは犬の心を読んでロイドが危機に陥ることを知りまたどこかへ行ってしまう。アーニャを追いかけていたヨルはたまたまテロリストの乗る車を発見し、蹴りで車ごと弾き飛ばした。
アーニャとヨルの活躍もあってテロリストグループは確保され両国の平和は保たれた。そして未来予知犬はフォージャー家にペットとして迎えられ、アーニャの好きなアニメから「ボンド」という名が付けられる。

〈夜帷〉襲来

料理の練習をするなど、立派な妻や母となる努力を続けていたヨル。しかしその前に強力なライバルが現れる。それはロイドの同僚で女諜報員であるフィオナ・フロスト、コードネーム〈夜帷〉だった。フィオナはロイドに強烈な恋愛感情を抱いており、ロイドの妻の座を得るためにヨルを追い出そうと狙っていた。
フィオナはヨルにテニス勝負を挑むものの、ヨルの圧倒的な身体能力の前にラケットをへし折られ、完膚なきまでに敗北してしまう。プライドをへし折られたフィオナは去っていったが、ヨルの懸念は晴れなかった。
もしもロイドがフィオナと懇意なのだとしたら、自分は潔く身を引くべきなのではないかと思いつつも、今の生活を失うことを恐れるヨル。
ロイドはそんなヨルをバーに誘い、フィオナとの関係は誤解だと弁明しようとするが、酒に酔ったヨルに詰め寄られて彼女が自分に恋愛感情を抱いていると勘違いしてしまう。
ヨルの感情を利用しようと甘い言葉をささやくロイド。しかし恥ずかしさが頂点に達したヨルに蹴り飛ばされ、その考えがうぬぼれであったことに気づく。
そんなドタバタがありつつも最終的にヨルの誤解は解け、ロイドはヨルにこれからもアーニャの母親を続けてほしいと改めて頼むのだった。

船上での護衛任務

平穏な生活を送るヨルのもとに、「店長」から新たな指令が入ってくる。それはマフィア・グレッチャーファミリーの生き残りであるオルカ・グレッチャーとその息子の護衛。
ヨルの任務はオルカの命を狙う殺し屋たちからオルカを守り切り、安全な第三国に亡命させること。そしてその舞台となった豪華客船に、福引でチケットを当てたアーニャとロイドも乗り込むこととなった。
久しぶりの仕事を目前にして、ヨルは自分が殺しの仕事を続けることに意味があるのかと悩み始める。元々弟を養うための仕事だったが、ユーリはすでに立派に成人しており、自分の助けはもはや必要ないと。

悩みを抱えたまま、市役所の仕事という名目で船に乗り込んだヨル。しかし次から次へとオルカの命を狙う殺し屋たちが襲ってくる。なんとか殺し屋たちを撃退していくヨルだが、同船している家族が気になって任務に集中しきれずにいた。
そしてクルーズ最終日の夜、打ち上がる花火と共に殺し屋たちが一斉に襲いかかってくる。
ほとんどの殺し屋を殲滅したものの、最後の殺し屋のレベルは格段に高く、心に迷いを抱えたヨルは追い詰められてしまう。
殺し屋に刃を突きつけられながら、ヨルは自分が殺し屋の仕事を始めた理由が、ユーリの他愛ない暮らしを守るためだったと思い出す。そして世の中から理不尽な犠牲を減らすためなら、自分が死のうとフォージャー家を離れることになろうと戦い続けると決意を新たにする。
そして激闘の末殺し屋を倒したヨル。殺し屋によって船に仕掛けられた爆弾もロイドの活躍で解除され、オルカ達は無事に第三国の船に乗り移ることができたのだった。

愛国婦人会