ウェカピポ（スティール・ボール・ラン）の徹底解説・考察まとめ

ウェカピポのプロフィール・人物像

CV：成田剣（ゲーム『ジョジョの奇妙な冒険 オールスターバトル』）

ウェカピポとは、漫画『ジョジョの奇妙な冒険』の第7部『スティール・ボール・ラン』の登場人物で、「マジェント・マジェント」とコンビを組んで登場した大統領の刺客。アメリカでの市民権を得るため「ファニー・ヴァレンタイン大統領」の部下となり、マジェント・マジェントと共に「ジャイロ・ツェペリ」と「ジョニィ・ジョースター」の抹殺を図る。
ネアポリス王国の王族護衛官であったが、妹に暴行を働いていた夫を「決闘」で倒したことで、国外追放された。裕福な家との結婚が妹の幸せのためになると思い、結婚を勧めたが、それが全ての悲劇の始まりとなってしまう。妹は夫の暴行により、左目を失明していた。ウェカピポはその行為を許すことが出来ず、妹の夫に離婚を懇願するが、夫の逆鱗に触れてしまい決闘をすることとなった。
正式な決闘を行い、ウェカピポの勝利で幕を閉じたかに思えたが、妹の夫の父親はネアポリス王国の重鎮であったため、逆にウェカピポが処罰を下されることになる。本来は処刑の対象であったが「ジャイロ・ツェペリ」の父がウェカピポを死んだということにして、国外追放となった。
王族護衛のための鉄球「レッキングボール」を使い、左半身失調などツェペリ家の鉄球とは違う技術で、ジャイロ達を苦しめたが敗北する。ジャイロ達との戦闘後、死んだと思っていた妹が生きていることをジャイロに聞かされ、ジャイロ達と協力関係を築いた。

ウェカピポはジャイロ達から依頼を受けることとなる。それはSBRレースの主催者「スティーブン・スティール」の妻「ルーシー・スティール」の護衛である。ルーシーの居場所を確認するためスティーブンの元を訪れたウェカピポであったが、死んだと思われていたマジェントに襲われる。マジェントはジャイロ達との戦い後、重傷を負ったまま雪山に置いていかれ、ウェカピポに裏切られたと復讐心を燃やしていた。「Dio」に助けられたマジェントはウェカピポに復讐するため、スティーブンの元に来ていたのである。
ウェカピポはマジェントのスタンド「20th センチュリー・ボーイ」の絶対防御を前に苦戦する。マジェントはダイナマイトを使い、ウェカピポは重傷を負う。しかし、マジェントがウェカピポにトドメを刺さず怒りを露わにしている隙に、ウェカピポはマジェントにワイヤーと重りを巻き付け、川底へ沈めて勝利した。

マジェントとの戦闘中に、マジェントの衣服から恐竜が飛び出たのを見たウェカピポは、ルーシーが大統領夫人に変装しているという事実をDioに聞かれたことを確信する。ウェカピポはDioを追うため、フィラデルフィアへやってきた。ウェカピポはDioを見つけ、ジャイロ達につくべきかDioと協力するべきか悩み始めていた。勝者につきたいウェカピポは、現状ジャイロ達が厳しい状況にあると感じており、Dioが最も大統領を倒せる可能性を秘めていた。
そのためDioを尾行していたウェカピポであったが、ヴァレンタイン大統領のスタンド「D4C」の攻撃を受けることとなる。Dioもヴァレンタイン大統領の攻撃を受け、ウェカピポとDioは図らずも共闘することになった。D4Cのひとつの場所に別の世界を同時に存在させることができる強力な能力に苦戦する。D4Cは無数の世界から別のヴァレンタインを連れてくることが可能であり、連れてきたヴァレンタインは基準世界の記憶を引き継ぐ。さらに、ヴァレンタインのみ隣の世界へ自由に移動し、許可を与えることで他人も移動させることができる。ただし、大統領以外の人間が隣の世界の自分と出会ってしまうと、お互いが引き寄せ合い、融合して細切れになりながら消滅する。
Dioは隣の世界に引き込まれ細切れにされそうになる。しかし、大統領との戦闘で世界を行き来する方法が「何かに挟まること」だと理解したDioは隣の世界のウェカピポを呼ぶ。隣の世界のウェカピポを強引に引き寄せて、間に挟まることに成功したDioは元の世界へ戻ることができた。
しかし、それは同時に隣の世界のウェカピポが元の世界にやってきてしまうということであり、その近くに元の世界のウェカピポがいたため隣の世界のウェカピポと融合し消滅した。

ウェカピポの来歴・活躍

ウェカピポの過去 妹の夫との決闘

ウェカピポはネアポリス王国の王族護衛官だった。7歳下の妹がいたウェカピポは、裕福な家との結婚が妹の幸せのためになると思い、妹に結婚を勧めた。しかし、その決断は間違いであったことに半年で気づくことになる。ある日妹の家に行くと、暗い部屋の中で一人妹は泣いていた。泣いている妹の顔を見ると、暴行を受けた跡があった。夫の機嫌を損ねた自分が悪いと言う妹であったが、妹が左手にある花瓶を落とす姿を見て、目が見えていないことを知ったウェカピポは激昂する。
ウェカピポは夫への怒りと、裕福な家との結婚が妹の幸せだと思い込んでいた自分への嫌悪感で押し潰されそうになった。ウェカピポは結婚を勧めた自分にも責任があると感じ、夫へ離婚するよう求める。しかしその行為が、プライドの高い夫の逆鱗に触れてしまう。その結果ウェカピポと妹の夫で命をかけた「決闘」を行うことが決まった。
決闘当日、心配する妹を宥め、ウェカピポは命懸けの決闘に臨んだ。決闘は剣ではなく祖先から受け継がれる鉄球で行われ、両者同時に鉄球を投げた。ウェカピポの鉄球は妹の夫の頭に直撃し、妹の夫は絶命した。ウェカピポが正式な決闘に勝利し、一件落着かと思えた。しかし妹の夫の父親が、ネアポリス王国の重鎮であったため、決闘には勝利したが国外追放を言い渡される。
その結果を言い渡した人物こそジャイロの父であった。ウェカピポに対して最大限の譲歩をした結果であった。ジャイロの父はウェカピポを処刑するよう言われていたが、死んだことにして国外へ逃がすことを選択した。しかしそれでも、ウェカピポがいなければ目の見えない妹が生活できない。ウェカピポは「呪われろ犬どもがァァァ」と激昂し、国を追われた。

ウェカピポとマジェント・マジェントの共闘

国外追放となったウェカピポはアメリカに来ていた。アメリカで生きていくために必要な物が市民権であった。ウェカピポは市民権を得るため、ファニー・ヴァレンタイン大統領の刺客になった。ジャイロとジョニィを殺害し、遺体を奪うことが市民権を得る条件であったため、ジャイロ達の前に刺客として現れることとなる。
その際にマジェント・マジェントとコンビを組むことになった。マジェントはウェカピポと仲良くなろうとギャグを言ったり、気さくに話しかけてきたが、状況が複雑なウェカピポは全く相手にしていなかった。ただ仕事を一緒にこなす間柄として、「ツェペリ家の鉄球に敬意を払え」と警告した。
そして極寒地帯で、ジャイロ達との戦闘が始まった。ジャイロ達に向かってウェカピポは鉄球を投擲。この鉄球を見たジャイロは敵がネアポリス王国の人間であり、王族護衛の人物であることを悟った。ウェカピポが扱う鉄球は「レッキングボール」といい、王族護衛の者のみが扱う鉄球と技術であった。
レッキングボールには「衛星」と呼ばれる小さい球が埋め込まれており、鉄球本体とは別に外れて飛んでいく無数の衛星が敵を苦しめる武器であった。さらにこの技術には「左半身失調」という効果があり、鉄球に当たらずとも鉄球の衝撃波で、左半身の感覚がなくなってしまう。
左半身の感覚がなくなり焦るジョニィであったが、鉄球の性質を熟知しているジャイロは冷静に状況判断をしていた。ウェカピポの鉄球による直接攻撃と左半身失調による攻撃に加え、マジェントのスタンド「20th センチュリー・ボーイ」の絶対防御で攻撃を防ぐという、攻防一体の戦術にジャイロ達は苦戦を強いられる。
左半身失調中は左側の視界もなくなるため、マジェエントは防御をしながら、左側へと回り込み拳銃で仕留めようとしていた。しかしジャイロはそれを見破り、感覚がない状態でマジェントに鉄球攻撃を成功させる。鉄球を当てられ怒るマジェントは再び攻撃を開始するが、打った拳銃の弾を鉄球の代わりにジャイロが投げた。
ギリギリのところで弾を防いだマジェントは、能力を解いてジャイロ達と会話を始める。それを見たウェカピポは会話を止めトドメを指すように指示する。ウェカピポの言う通りようやくトドメを刺そうとした瞬間、マジェントは上空から顔面を貫かれた。マジェントの顔を貫いたのは防いだ弾丸であった。回転を加えられた弾丸はガードされ上空に弾かれたが、時間差で落下しマジェントを戦闘不能にしたのである。ウェカピポが戦闘前に話していた「敬意」を忘れてしまったマジェントの油断が招いた結果であった。

ウェカピポとジャイロ・ツェペリの鉄球対決

ウェカピポは一人で戦闘を続けることになる。ウェカピポのレッキングボールが炸裂し、ジャイロとジョニィは窮地に立たされる。ツェペリ家の回転は自然の中にある黄金長方形をもとに回転させた時、最大の力を発揮するのだが、氷に覆われた雪原では黄金長方形が見当たらなかった。ウェカピポが鉄球を放ち敗北を覚悟したジャイロであったが、目の前に突然雪が降ってきた。
戦闘で巻き上げられた水が、極寒地帯の寒さで雪に変わり、ジャイロとウェカピポの周りのみに降ってきた。黄金長方形である自然物の雪は、ジャイロの回転を黄金の回転に昇華させた。ウェカピポのレッキングボールは黄金の回転の圧倒的なパワーで砕かれ、ウェカピポ自身にも風穴が空いた。
ジャイロに敗北し自害しようとするウェカピポだったが、それをジャイロが止め、ウェカピポの妹が今も生きていることを知らせた。自分がいなくなったことで、妹は殺されたか死んだと思い込んでいたウェカピポはその事実に驚く。
ジャイロは過去にウェカピポの妹の目を治療しようとしたが、失敗して盲目にしてしまっていた。しかし盲目が故に、夫の父親から殺されず生き残ることが出来ていたのだ。それを聞いたウェカピポは「奇跡だ」と正気を取り戻した。そしてジャイロの敵ではなくなったウェカピポに、ルーシーの護衛を依頼することになった。

マジェント・マジェントとの再会

ウェカピポはジャイロ達との戦闘後、ルーシーの護衛を引き受けた。ルーシーは死んだと報道されていたが、発見されたルーシーの遺体は死亡した大統領夫人をルーシーに変装させた偽物であった。それがルーシーの協力者の「ホット・パンツ」のスタンド「クリーム・スターター」の能力であり、ルーシーは必ず生きて大統領の側にいると、ジャイロ達はウェカピポに護衛を依頼した。
実はジャイロ達もルーシーが生きていて、ホットパンツの能力で大統領に接近していることはわかっていたが、大統領夫人に変装していることは知らなかった。そのためウェカピポはルーシーの情報を得るため、夫なら所在を知っているかもしれないとスティーブンの元を訪れた。
スティーブンが乗っている馬車に近づくと、馬車内には銃撃されたスティーブンが乗っていた。かろうじて息はあるが危ない状況のスティーブンを助けようとした時、馬車の上に人がいることに影で気づいた。銃撃した犯人だと即座に判断したウェカピポは、すぐさま攻撃を開始する。
攻撃した相手は意外な人物であった。極寒地帯で死んだと思われていたマジェントだったのだ。マジェントはかろうじて生き残っており、ジャイロやウェカピポが去った二週間後「Dio」が極寒地帯からマジェントを救い出していた。
命は助かったマジェントであったが、弾丸が顔面を貫き、長時間治療ができなかった後遺症で、偏頭痛や鼻水やヨダレが止まらなくなっていた。マジェントは自分を置いていったウェカピポへの怒りと、裏切り行為をしているウェカピポへ復讐するため、スティーブンの元へ先回りし銃撃していた。
ウェカピポはマジェントが生きていたことと、「下っ端のクズ」だと思っていた男がスティーブンを銃撃していたことに驚愕した。自分への復讐と金が動機だと確信したウェカピポは、全力でマジェントを排除することにした。

ウェカピポへの復讐

ウェカピポがマジェントの状況を整理していると、マジェントの服から何かが飛び出した。同時に体から煙が出てきたことに疑問を感じたウェカピポは、マジェントの服を捲った。するとマジェントには大量のダイナマイトが巻き付けてあり、すでにダイナマイトは着火してあった。ウェカピポはスティーブンを守るため、馬車を転倒させ、ダイナマイトからの被害を最小限に抑えた。ウェカピポとマジェントは、爆破の衝撃で川へ転落し、ウェカピポは馬車の木片で重傷を負ってしまう。
マジェントはスタンド能力を解き、ウェカピポに銃を突きつけた。最後の一発を放とうとしたその時、馬車の車軸のワイヤーがマジェントの体に巻きつき、マジェントは川底へ沈んでいった。ウェカピポは川に転落する時、マジェントを川底へ沈めるため鉄球を投げ、ワイヤーが絡まるように準備していたのだ。
マジェントは水面に上がるまで息が続かないと判断、20th センチュリー・ボーイを発動する。スタンド能力を発動したことにより、溺死を免れることは出来たが、スタンド能力を解くと溺死してしまうという状況に陥った。スタンド発動中は一切の身動きができないため、過去に助けてくれたDioを思い出し、救出されることを待った。しかし、いつまで経っても助けには現れず、マジェントは待つことと考えることをやめた。
戦いに勝利したウェカピポは、マジェントの服から出てきた何かを思い出す。そしてマジェントの服から出てきた物は、Dioの恐竜であったことに気づいた。Dioにルーシーが大統領夫人に変装していることが露見したことを危惧したウェカピポは、DIoの元へと向かうことになる。

ファニー・ヴァレンタイン大統領との戦い

Dioを追っていたウェカピポは、フィラデルフィアに到着した。フィラデルフィアでDioを見つけたと同時に、ジャイロとジョニィの姿も確認したウェカピポは戦況を分析する。この街で大統領と決着をつけようとしているジャイロとジョニィを見て、無理だと感じたウェカピポは、最も勝利の可能性が高いDioとチームを組むことを考えた。
Dioと協力するためDioを追っていたウェカピポは、突然何者かに襲撃された。咄嗟にウェカピポはその人物に拳銃で4発弾丸を放った。その弾丸を受けた襲撃者はジョニィであり、ジョニィが自分を襲う理由がわからず動揺するウェカピポ。そんなウェカピポにDioが近づいてきた。するとDioは「今ジョニィを撃ったところを見たか？」と質問してきた。不可解な状況に理解が追いつかないウェカピポだったが、Dioはそれこそが大統領の能力だと分析していた。
すぐ近くに大統領がいることを臭いでわかっているDioは、恐竜を数匹放った。しかしその恐竜は瞬く間に殺され、頭上からヴァレンタイン大統領が奇襲を仕掛けてきた。Dioとウェカピポは咄嗟に応戦するが、ヴァレンタイン大統領の未知数で強力な能力に苦戦を強いられる。
ウェカピポとの連携で、Dioは何度も致命傷を与えるが、その度に姿を消すヴァレンタイン大統領。アメリカ国旗の下にヴァレンタイン大統領の残り香があることに気づいたDioは、国旗を捲った。すると国旗の裏側に平面になった大統領がおり、Dioは国旗の中へ連れ込まれてしまう。
ヴァレンタイン大統領のスタンド「D4C」の能力は、物と物で挟み込んだものを隣の世界に移動することができ、自分だけは自由に無数の世界を移動できるというものであった。例え今の自分が絶命してしまっても、隣の世界から自分を連れてくることが出来れば、記憶を引き継いで同一人物として復活するという恐ろしい能力を持っていたのである。

ウェカピポの最期