ガンバの冒険(アニメ)のネタバレ解説・考察まとめ

『ガンバの冒険』とは、1975年放送のテレビアニメ。斎藤惇夫の児童文学『冒険者たち ガンバと15ひきの仲間』が原作だが、仲間のネズミを7匹に絞っており、ガンバと仲間たちによる白イタチのノロイを倒す大冒険を描いている。1984年には総集編映画『冒険者たち ガンバと7匹のなかま』が、1991年には新作映画『ガンバとカワウソの冒険』が公開された。後者ではシジンの婚約者ナギサの捜索中に遭ったカワウソの親子と楽園を目指し、野犬の群れと抗争を繰り広げる。自然破壊と生態系への影響をテーマした作品である。

目次 - Contents

『ガンバの冒険』の概要

『ガンバの冒険』(ガンバのぼうけん)とは、1975年4月7日から同年9月29日まで日本テレビ系で全26話が放送された、東京ムービー製作のテレビアニメである。斎藤惇夫の児童小説『冒険者たち ガンバと15ひきの仲間』を原作としており、当時の日本のテレビアニメとしては珍しく日本の創作児童文学をアニメ化した作品として大きな注目を集めた。本放送時の視聴率は9%前後にとどまり26話で終了したものの、放送終了後も多くのファンに語り継がれる名作となった。
当初は東映動画での制作が予定され、原作者やシナリオライターの辻真先らによる顔合わせも済んでいたが、出版社が映像化権を原作者に無断で東京ムービーに売却していたことが判明したため急遽中止となり、東京ムービーでの制作に変更された経緯を持つ。プロデューサーの楠部三吉郎が自身の甥から原作を勧められたことが企画のきっかけであり、ドブネズミの視点から人間を描く面白さに着目して立ち上げられた。原作ではガンバと行動を共にする仲間は15匹だったが、アニメ化にあたってキャラクター数が多すぎるという判断から7匹に減らされてる。そのため複数の役柄が統合され、個性豊かなネズミたちの特徴が1匹1匹に割り振られた。また、漫画原作ではない作品の魅力をテレビ局へ伝えるための工夫として、出崎統、椛島義夫、芝山努らメインスタッフが26コマの双六を作成し、それを企画書として提出する試みも行われた。
ストーリーは、港で開かれているネズミたちのパーティに、傷だらけの小ネズミ、忠太が転がり込んでくるところから展開する。残忍な暴力と恐怖で故郷の島を支配している巨大な白イタチ、ノロイを倒す力を貸して欲しい、という忠太の言葉に、ネズミたちは冷たかった。しかし、ガンバを始めとする勇敢な7匹の仲間が集まり、冒険の海へと船出する。

テレビシリーズの終了後には、派生作品として2本の劇場版が公開されている。1984年3月4日には、全26話からなるテレビシリーズの総集編となる劇場版第1作『冒険者たち ガンバと7匹のなかま』が共同映画系で公開された。ガンバ、ヨイショ、ガクシャ、シジン、イカサマ、ボーボ、忠太の7匹が、白イタチのノロイを倒し、島のネズミたちを救うために旅立つ。本作はテレビシリーズから設定の一部が若干変更されたほか、当時の声優陣による新規アフレコが行われ、セリフの一部も改変されている。また、東京ムービーおよびテレコム・アニメーションフィルムの創設者である藤岡豊が製作を担当した唯一の劇場作品でもある。
1991年7月20日には、劇場版第2作『ガンバとカワウソの冒険』が公開された。本作は監督をはじめとするスタッフを一新して制作され、斎藤惇夫の同名小説を原作としているが、実質的にはテレビシリーズおよび前作の劇場版の続編として構成されている。そのため、忠太が前作でノロイ島に残ったために登場しないなど、一部の主要キャラクターが原作とは異なっている。メインキャラクターの声優陣はテレビシリーズから続投し、音楽スタッフも共通しているが劇中で歌は使用されていない。前作のスタッフは参加していないものの、白く波立つ海の描写など前作へのオマージュが数多く見られる。さらに、前作で強大な敵だったイタチの群れを今回の敵である野犬がズタズタに引き裂く演出を施すことで、イタチ以上の脅威となる野犬のイメージを確立させた。野犬グループのリーダーであるブラックは、前作の宿敵ノロイの全身が白に統一されていたことに対比して黒に統一されており、ノロイ役の大塚周夫の実子である大塚明夫がブラックを演じたことで、親子2代にわたってガンバの宿敵を演じるキャスティングが実現した。作品のテーマは人間による自然破壊と生態系への影響であり、カワウソの絶滅危機に警鐘を鳴らす原作者の意図に沿った演出がなされている。劇中では冒険の合間に多くの問題提起が描かれ、終演時にはカワウソが昭和54年以降発見されておらず滅んだことが示唆されるテロップが流れた。
なお、弱っているカワウソ親子の弟であるカモクを背負って介抱した謎の影の正体は、河童の一種である猿猴(エンコウ)として描かれている。
ストーリーは、シジンが医師を始めたという港町でガンバとボーボがイカサマと再会し、バスを間違えて海へやってきたヨイショやガクシャとも合流するところから始まる。仲間が揃ったところで、シジンから南の島へ渡ったきり帰ってこない婚約者ナギサの捜索を頼まれ一同は再び旅立つが、その途中で出会ったカワウソの親子が楽園を目指す手助けをすることになり、野犬の群れとの激しい抗争へと巻き込まれていく。

『ガンバの冒険』のあらすじ・ストーリー

テレビシリーズ『ガンバの冒険』と総集編映画『冒険者たち ガンバと7匹のなかま』は、おおむね同様のストーリーとなっている。設定については一部変更されている。

冒険の始まり

町ネズミのガンバは、相棒のボーボとともに海を一目見ようと港町へとやってくる。夜の港の倉庫で開かれていたネズミたちのパーティーに参加して大騒ぎをしていたところへ、全身ボロボロに傷ついた小ネズミの忠太(ちゅうた)が転がり込んでくる。
忠太は、自身の故郷の島が残忍な暴力と恐怖で支配されており、巨大な白イタチのノロイを倒すために力を貸してほしいと涙ながらに訴える。集まっていたネズミたちはその恐ろしさから冷たい態度をとるが、ガンバは忠太とともにノロイ島へ向かう船の船倉へ乗り込むことを決意する。そこへ、ノロイと戦う覚悟を決めた力自慢のヨイショ、博学のガクシャ、医者のシジン、そして相棒のボーボが合流し、ネズミたちの過酷な航海が幕を開ける。

荒波の航海

初めての航海でひどい船酔いに苦しむガンバ。さらに一行は様々なトラブルに見舞われる。
寄港した港町は偶然にも仲間であるイカサマの生まれ故郷だったが、彼がいかさまバクチで地元のネズミに追われたことをきっかけに、忠太の薬を調達しようとしていたガンバとボーボも巻き込まれて大乱闘へと発展する。さらに航海を続けるなかで突然の激しい大嵐に見舞われ、乗っていた船が沈没する。かろうじて海へ飛び込んだもののボーボが行方不明となり、懸命な捜索の末にリンゴ箱の中で無事に発見された。
その後は即席のリンゴ箱の船で進み、座礁した軍艦へ乗り込んで巨大な魚の脅威に晒されながらも水没した缶詰を確保したり、縦に浮かぶ風変わりな潜水艦の足こぎスクリューで前進したりと、波乱に満ちた漂流を続ける。

キツネのザクリが支配する島

順調に進んでいた潜水艦だったが、途中で巨大なクジラにはじき飛ばされ、満ち潮とともに水面へ沈んでしまう運命の小さな島に打ち上げられる。命からがら全員で隣の豊かな島へとたどり着くが、そこは妙に静まり返っており、不気味な黒い獣たちの襲撃を受ける。その島は、ザクリと呼ばれ恐れられている狂暴なキツネが支配する絶望の地だった。
島に住むリスのクリークからは巻き込みを恐れて早く立ち去るよう警告されるが、放っておけないガンバたちの勝手な行動により、逆にリスの仲間が犠牲になる事態を招いてしまう。一行はザクリに捕らえられたイエナを救出するため、ボーボの優れた嗅覚を頼りに敵のねぐらを突き止める。ガクシャの発案によるねぐらへの水攻め作戦が見事に成功し、強敵ザクリを撃破して島に平和を取り戻す。

陸路への到達と迫られるカラス岳越え

ザクリを倒して島を出発したものの、海は大凪となりイカダは一向に進まなくなる。さらに巨大な船の波を受けてガンバが海へ放り出され、絶体絶命の危機に陥るが、現れたイルカの助けによって命を救われた。
イカダはようやく陸地へと到着し、ここからカラス岳という険しい山を越えれば、対岸に目的地のノロイ島が見えるはずの地点へ到達する。馬車にもぐり込んでのどかな村を進むなかでトラゴローという旅のネズミに出会って騙されたり、立ち寄った神社のおみこしが祭りの真っ最中で大騒動に巻き込まれたりしながらも先を急ぐ。しかし、一刻も早く故郷へ戻りたい忠太の焦りと、強引に先頭を走るガンバのリードに対し、ガクシャをはじめとする仲間たちとの間で次第に不満と意見の対立が表面化していく。

仲間との衝突と試練

広大な砂地に出たところでガンバとガクシャの対立は決定的となり、7匹の仲間は砂地を直進する組と森を大きく迂回する組の2つに別れて別行動をとることになる。砂地を進むガンバたちは、途中で出会った迷子の子ウサギを送り届ける最中に獰猛な猟犬たちに襲撃され、決死の覚悟で牙を逃れる。一方のガクシャたちは、離ればなれになったガンバたちの身を案じて捜索を続けていた。
そうとは知らずに絶壁をよじ登り、眠っている間に獰猛なタカにさらわれてしまうなど災難に見舞われながらも山頂を目指すガンバだったが、山の北壁を登る途中で大雪崩に巻き込まれたガクシャたちを発見する。雪の中から仲間たちを必死に掘り起こしたガンバの奮闘によって再会を果たし、深く絆を結び直したネズミたちは、互いにリーダーの座を譲り合い、全員が順番に交代でリーダーを務めながら残りの山道を下っていく。
そしてふもとの町ではノロイのトラウマから蔵に閉じこもるネズミたちと出会い、葛藤を抱えながらもついに海峡へと到達する。当初はオオミズナギ鳥のリーダーであるツブリからノロイの仲間と誤解されて襲撃を受けるものの、誤解が解けた後は強力な協力関係を築き、海峡を渡るための光明を見出したのだった。

ノロイ島上陸

ついに目的のノロイ島へと上陸したガンバ一行だったが、待ち受けていたのはノロイ率いるイタチ一族による容赦のない襲撃ともてあそぶかのような心理戦だった。
忠太の仲間たちの穴はすでにもぬけの殻となっていたが、海へ飛び込んで難を逃れた先で忠太の姉である潮路と出会い、火山の火口にある隠れ家へと案内される。島中のネズミたちが集結した火口の砦は一時の活気を見せるものの、それはイタチ一族によって追い詰められた結果に過ぎなかった。ツブリや高蔵のネズミたちの救援によって食料が運ばれるもののノロイの襲撃は止まず、多くの仲間が命を落としていく。圧倒的な不利を悟ったガンバたちは砦を捨てて海岸の岩穴へと退却するが、食料が尽きかけたところへノロイが「共存」を謳う狡猾な罠を仕掛けてくる。飢餓に耐えかねて罠に嵌りそうになるネズミたちを守るため、夜を徹したイタチの総攻撃のなかで長老が犠牲となり、戦況は最終局面へと突入するのだった。

最後の戦いと大渦巻の結末

窮地に立たされたネズミたちだったが、潮路が歌った島に伝わる「早瀬川の歌」の歌詞から、ガクシャは年に一度だけ今夜早瀬川の渦が消えるという秘密を解き明かす。ネズミたちは最後の望みをかけて川を渡り、イタチ一族を大渦巻へと誘い込む作戦を決行する。もしタイミングを誤れば、自分たちもノロイもろとも大渦に巻き込まれて命を落とすという危険極まりない賭けだった。
激しい死闘が繰り広げられるなか、ガンバたち7匹の仲間は持てる全ての力を尽くして戦い、ついに宿敵である白イタチのノロイ一族を大渦巻へと巻き込んで壊滅させることに成功する。こうして長きにわたる恐怖の支配は終わりを告げ、島には本物の平和が戻った。
大団円のハッピーエンドを迎えた後、命を救われた忠太たちに見送られながら、ガンバと勇敢な仲間たちは絆を胸に、晴れやかな笑顔で次なる新たな冒険の海へと再び旅立っていった。

『ガンバとカワウソの冒険』のあらすじ・ストーリー

『ガンバとカワウソの冒険』は1991年7月20日公開の劇場版第2作。テレビ版、および前作『冒険者たち ガンバと7匹のなかま』の続編である。

懐かしい仲間との再会と新たなる南の島への旅立ち

前作の激闘を終えて冒険を続けていた町ネズミのガンバは、相棒のボーボとともに再び港町へと戻ってくる。2匹は猫に追われて逃げ込んだドブ川で、段ボールに入って旅を続けていたイカサマとも再会を果たした。
一方、松茸狩りのために山へ行くはずが、乗るバスを間違えて海へやってきてしまっていたヨイショとガクシャの2匹は、偶然見かけたシジンの後を追って彼の病院へとたどり着く。こうして久しぶりに懐かしい仲間たちが一堂に会した。
医師として本格的に活動を始めていたシジンは、戻ってきた仲間たちに重大な相談を持ちかける。彼の婚約者であるナギサが、先祖の墓参りをするために南の島へ渡ったきり1か月も帰ってこないというのだ。ナギサから届いた最後の手紙には「私のことは忘れてください」という不穏な言葉が残されていた。ガンバたちはシジンのためにナギサを捜索することを決意し、再び船に乗り込んで南の島を目指し出発する。

危険な大川とナギサが抱える秘密

南の島に到着した一行は、島の老女ネズミから有力な情報を得る。ナギサは先祖の墓がある川の上流へと向かったが、その「大川」と呼ばれる場所は極めて危険であり、先日も野良犬に襲われたメスのカワウソが流れてきたのだという。綺麗な水質でしか生きられないカワウソが今も生息しているのなら、上流にはさらに美しい場所があるかもしれないと考えた一行は川をさかのぼる。途中、野良犬に荒らされた凄惨なネズミの墓地を発見しながらもさらに上流へと突き進み、ついに目的地でナギサとの再会を果たす。
シジンとの結婚をご先祖に報告しにきたナギサが隠れ家に付き添っていたのは、沖の小島に住むカワウソの生き残り一家だった。一家は野良犬の襲撃によって母親を亡くしていた。さらに父親のカゲロウは足に深い傷を負い、姉のカワモ、そしてショックで声を失ってしまった弟のカモクという満身創痍の状態だった。彼らを放っておけなくなったナギサは、帰るに帰れなくなっていたのである。

keeper
keeper
@keeper

目次 - Contents