ベルサイユのばら(ベルばら)のネタバレ解説・考察まとめ

『ベルサイユのばら』とは、池田理代子原作の漫画作品である。通称「ベルばら」。1972年から1973年にかけて、『週刊マーガレット』(集英社)で連載された。フランス王妃マリー・アントワネット、男装の麗人オスカル、スウェーデンの貴族フェルゼンの三人を中心に、ルイ15世末期からアントワネット処刑の頃までを描いている。1974年に宝塚歌劇団でミュージカル版が上映されると、続々とテレビアニメ化・劇場版アニメ化され、爆発的な人気となった。発行部数2,000万部を突破し、今もなお愛され続ける作品である。

『ベルサイユのばら』の概要

『ベルサイユのばら』は、漫画家・池田理代子による少女漫画である。フランス革命の史実をもとに、マリー・アントワネットと「男装の麗人」オスカルの生涯を描いた作品となっている。
1972年21号から、1973年52号まで週刊マーガレットにて連作。1972年10月コミックス第一巻を発売し、最終巻である10巻は1974年4月に発売された。同年8月には、宝塚歌劇団月組が『宝塚グランドロマン・ベルサイユのばら』を上演し、人気に拍車をかける。また1975年、ニッポン放送にて連続ラジオ劇「ベルサイユのばら」の放送が開始される。宝塚歌劇団でも続々と舞台公演が行われ、世間は空前の「ベルばらブーム」となった。ジャニーズや大手デパートとのコラボ商品も多数発売され、1977年には、集英社から漫画文庫版の刊行がスタート。これまでに2,000万部を超える発行部数を記録している。1978年、映画『ベルサイユのばら/LADY OSCAR』の製作発表が行われ、1979年に公開された。同年10月からは、アニメ『ベルサイユのばら』が放送開始。ビデオ版も発売された。
さらに1986年より続編的要素を持つ『栄光のナポレオン-エロイカ』の連載が、女性誌・婦人公論にて開始。この作品は1986年5月号から連載を開始し、1995年1月号にて最終回を迎えた。なお連載当時の名前は『エロイカ』だった。単行本・文庫版の収録が行われる際に『栄光のナポレオン-エロイカ』に改題された。なお、本作にはマリー・アントワネットやルイ16世、フェルゼンなど、実在するキャラクターがいる一方、主人公のオスカルやその幼馴染・アンドレなどオリジナルキャラクターも多く登場している。

物語の始まりは1755年。その年、3人の貴族の子供が誕生する。それが、マリー・アントワネットとオスカルとフェルゼンの3人だ。その後マリー・アントワネットは、フランスとオーストリアとの同盟のため政略結婚をさせられ、オスカルは男装の麗人として近衛士官となり、彼女の護衛に当たる。だがオスカルは、パリの仮面舞踏会にて出会ったマリー・アントワネットの想い人・フェルゼンに恋に落ちてしまう。これを機に、3人の想いは複雑に交差し始める。一方その頃、民衆の間ではぜいたく好きのマリー・アントワネットと、彼女を咎めない国王陛下に対する不満が溜まりつつあった。不満はやがて抱えきれない程に大きくなり、フランス革命に発展する事になる。

『ベルサイユのばら』のあらすじ・ストーリー

小さな王太子妃編

フランスへ向かうマリー・アントワネットが乗る馬車を護衛する14歳のオスカル

1755年、フランス、スウェーデン、オーストリアで後のフランス革命に大きく関わることになる3人が誕生した。代々軍人として王家に仕えるジャルジェ家の6女であり、男として育てられたオスカル、スウェーデンの名門貴族の長男であるハンス・アクセル・フォン・フェルゼン、そして、オーストリア・ハプスブルグ家の女帝マリア・テレジアの末娘で、見る人を虜にせずにはいられない魅力の持ち主であるマリー・アントワネットである。マリア・テレジアはヨーロッパの覇権をめぐって長年争ってきたフランスとの関係を憂慮し、マリー・アントワネットをフランスの王太子(後のフランス国王ルイ16世)と政略結婚させることを決める。

マリー・アントワネットが14歳を迎えた1769年、ついにフランスから正式に結婚の申込みが届く。歴史的な婚姻にヨーロッパ中がお祭りムードに包まれた。呑気に準備を進めるマリー・アントワネットの姿を見たマリア・テレジアは、フランス王妃という地位がマリー・アントワネットに不幸をもたらすのではないかと不吉な予感を抱く。翌年4月、マリー・アントワネットとフランス王太子の結婚を祝い、何日にも渡る豪華なパーティーが開催。故郷を離れる寂しさにマリー・アントワネットは涙を流し、フランスへ向かう馬車へ乗り込んだ。

ベルサイユに到着し、小さな王太子妃の新たな生活が始まった。オーストリアで自由に暮らしていたマリー・アントワネットは、ベルサイユの厳しいしきたりに辟易する。しかしベルサイユでは、身分の低い女性から身分の高い女性へ話しかけることはしきたり違反になる。すでに王妃が亡くなっているフランス王室で、王太子妃である自分が最も位が高く、皆が自分に声をかけられるのを待っているという現状に胸を高鳴らせた。
初めてベルサイユのパーティへお目見えする日、マリー・アントワネットは前から気になっていたオスカルに一番に声をかけた。オスカルは、普段パーティに顔を出すことは少ないが、この日は幼馴染のアンドレと共に参列していた。すると、遠くから自分を見つめる女性の鋭い視線に気づく。その女性は国王ルイ15世の妾、デュ・バリー伯爵夫人である。デュ・バリー伯爵夫人は娼婦をしていたが、貴族と偽装結婚をして国王に近づき寵愛を受けており、自分の地位を脅かすマリー・アントワネットを目の敵にしていた。一方のマリー・アントワネットも、デュ・バリー伯爵夫人のことを卑しい身分と軽蔑して避け続ける。2人の対立は日に日に顕著になり、ベルサイユの中にはどちらが先に折れるか賭ける貴族さえいた。
ちょうどその頃、マリア・テレジアの使いでメルシー伯爵がフランスを訪れていた。国王が後ろ盾についているデュ・バリー伯爵夫人に歯向かえば、オーストリアとフランスの関係が悪化するのではないかと懸念する。次第に国同士の関係が悪化し、愛する故郷を守るためと決心したマリー・アントワネットは、ついにデュ・バリー伯爵夫人へ声をかけ、2年間にもわたる確執に終止符を打った。

ベルサイユでの決まり切った日課に辟易したマリー・アントワネットは、毎晩遊び歩いていた。ある夜、マリー・アントワネットはオスカルを護衛に連れて、パリの仮面舞踏会へお忍びで遊びに行く。初めての仮面舞踏会で大はしゃぎのマリー・アントワネットを、ある男性が見つめていた。スウェーデンから留学中のフェルゼンである。フェルゼンは無理やりマリー・アントワネットの仮面を剥ぎ、その美貌に目を奪われた。歴史的な大恋愛の幕開けである。
1774年4月末、国王ルイ15世が天然痘に倒れる。当時は有効な治療法がなく、ただ死を待つことしかできない病だった。デュ・バリー伯爵夫人の必死の看病もむなしく、5月10日、ルイ15世が逝去。マリー・アントワネットは18歳にしてフランス王妃となった。

ポリニャック伯爵夫人編

王妃になり、大きな権限を得たマリー・アントワネット。まず初めにお気に入りであるオスカルを昇格させたり、毎日のように遊び歩いたり、贅沢三昧の毎日を過ごしていた。そんな中、ポリニャック伯爵夫人が幼き王妃のお気に入りとして頭角を現す。ポリニャック伯爵夫人は、自身の血縁を重役につけてもらうよう王妃に口ぎきしてもらったり、賭博などの危険な遊びを教えたり。マリー・アントワネットもあからさまにポリニャック伯爵夫人を贔屓し、ポリニャック伯爵夫人は次第にベルサイユでの影響力を強くしていった。

税金を自由気ままに使うマリー・アントワネットの様子を見たオスカルは、フランスの財政逼迫を懸念していた。その予想通り、市民の生活は困窮する。母親を看病しながらパリの下町で暮らすロザリーは、未成年ながら身売りを決意するほど生活に困っていた。そんな中、やっと王妃御用達の仕立て屋ローズ・ベルタンの店で職が見つかり、早く母に知らせたいと軽い足取りで家へ向かう。しかし家の前にいたのは、ポリニャック伯爵夫人の馬車とその下敷きに血を流して倒れる母の姿だった。ポリニャック伯爵夫人は「文句があったらベルサイユへいらっしゃい」と吐き捨て逃走。ロザリーは「本当の母親はマルティーヌ・ガブリエルという貴族」であるという母の最期の言葉を胸に刻み、母の仇を必ず討つと心に誓った。

馬車に乗っていたポリニャック伯爵夫人のドレスを目印に、ベルサイユと思しき大きな屋敷へ忍び込んだロザリー。似たようなドレスを着た女性が馬車から降りるのを見て、ロザリーは短剣を握りしめて突撃した。それに気づいて短剣をはたいたのはオスカル。ロザリーがベルサイユだと思っていたのは、オスカルの住むジャルジェ家の屋敷。ポリニャック伯爵夫人だと思っていたのは、オスカルの母だった。オスカルはロザリーに、自分の元で剣の腕を磨きながらベルサイユに出入りして、母の仇を探すことを提案。期せずしてロザリーは貴族の生活を送ることになった。

その頃、マリー・アントワネットとの恋仲を噂されることを恐れてフランスを離れていたフェルゼンが、結婚相手を探すため4年ぶりにフランスへ戻ってきた。オスカルの期待通り、マリー・アントワネットはすっぱりとポリニャック伯爵夫人への優遇をやめる。このことに危機感を抱いたポリニャック伯爵夫人は、自分の邪魔をするオスカルを排除しようと企てる。夜遅くに王妃の名をかたってオスカルを呼び出し襲撃。オスカルは左肩を刺され、しばらくベルサイユへ出てこられなくなった。
その間にポリニャック伯爵夫人は、娘のシャルロットと有力貴族の公爵を結婚させる話を進める。しかしシャルロットはまだ11歳。さらにオスカルへ淡い恋心を抱いていたシャルロットに、はるかに年上の公爵との結婚は耐え難く、自ら命を絶ってしまう。同じ頃、ロザリーの生みの母である「マルティーヌ・ガブリエル」が、ポリニャック伯爵夫人の名前であることが判明。自分の母をひき殺し、妹にあたるシャルロットの命も奪ったポリニャック伯爵夫人のことが、生みの母といえどロザリーは許せずにいた。

シャルロットの死を機に、ポリニャック伯爵夫人のベルサイユでの権力は次第に衰えていった。一方、マリー・アントワネットの好意がフェルゼンに向けられていることに、二人の良くない噂が再びベルサイユ中で広まる。その冷ややかな空気には、オスカルだけでなく当事者であるマリー・アントワネットとフェルゼンも察知。なるべく人目につかない場所で会うなどしていたが、それでも好きな人に堂々と愛を伝えられない苦しさを抱えていた。

首飾り事件編

ロザリーには、かつてパリの下町で共に暮らしていたジャンヌという姉がいた。貴族の生活を夢見てチャンスを狙い、孤児を装ってブーレンビリエ侯爵夫人のもとで貴族としての生活を手に入れる。しかし、ブーレンビリエ侯爵夫人がベルサイユに出入りできるほどの貴族ではないとわかると、殺害して全財産を相続。自分を慕うニコラスという男に無断で伯爵を名乗らせ、ベルサイユでの生活を夢見て野心を燃やしていた。
とある有力貴族の屋敷で開かれた舞踏会で、オスカルに連れられたロザリーと対峙したジャンヌは、自分より華やかなドレスを着たロザリーに嫉妬。ブーレンビリエ侯爵夫人の葬式で出会ったローアン大司教から、財産をだまし取る計画を進める。王妃に敬遠されているローアンに、「自分は王妃と一番の仲良し」だと嘘をつき、王妃への贈り物を取り次ぐ名目で財産を横領。王妃そっくりの娼婦オリバを雇って、ローアンと相引させるなどして、ローアンの信頼を得ていた。
ある日、ベルメールという宝石商がマリー・アントワネットを訪ねてきた。前国王がデュ・バリー伯爵夫人のために注文したダイヤの首飾りを、マリー・アントワネットに購入してほしいという。その首飾りはあまりにも高額で、マリー・アントワネットも手を出すことができず断った。しかしどうしてもマリー・アントワネットに首飾りを買ってほしいベルメールは、王妃と親しいと噂のジャンヌを訪ね、ジャンヌから首飾りを王妃に勧めてもらえないかと持ちかける。ジャンヌは、これまでとは桁違いの豪華な首飾りをなんとしても手に入れようと画策する。ローアンに保証人になってもらい、王妃の名を語って首飾りを購入。すぐに首飾りを分解してニコラスに持たせ、イギリスでダイヤを売り払った。これが今もフランス史に残る「首飾り事件」である。
ベルメールが王妃に首飾りの代金を支払うよう請求してきたことで事件が発覚。オスカル達近衛兵がただちに事件関係者を逮捕し、裁判が始まった。出頭したジャンヌは一貫して無罪を主張。堂々と嘘の供述を繰り返し、有罪になったものの国民の中にはジャンヌをかばう者も多かった。投獄されたジャンヌだったが、ある日脱走。遠く離れたサベルヌという町で身を潜めていたところ、オスカル率いる近衛兵によって征伐された。
ジャンヌの死亡により一件落着した「首飾り事件」。しかし、ジャンヌの味方が想像以上に多く、マリー・アントワネットは自分が国民に嫌われていることを痛感した出来事となった。この頃から、マリー・アントワネットは今までのような豪遊を控えるようになる。

黒い騎士編

フェルゼンへの気持ちを膨らませるオスカルは、生まれて初めてのドレスを身にまとい、フェルゼンも参加するという舞踏会に赴いた。これまで男性として生きてきたオスカル。女性としてフェルゼンとダンスをすることは、まさに夢にまで見たことだった。しかし身元がバレそうになると、フェルゼンの腕を振り切って走り去る。「これで諦められる」と夜風にあたっていると、突如黒い影がオスカルを羽交い絞めにした。オスカルはドレス姿のまま黒い影を追いかけるが、そのまま逃走。その黒い影は、貴族ばかりを狙う盗賊「黒い騎士」だった。

翌日からオスカルは、黒い騎士を捕まえるため毎晩舞踏会に参加。現れた黒い騎士を追いかけるが、黒い騎士が国王のいとこオルレアン公の居城パレ・ロワイヤルに逃げ込んだところで見失ってしまう。背後から殴られて意識がもうろうとするオスカルは、何者かに腕を引かれてそのまま意識を失った。
オスカルが目を覚ますと、そこにはポリニャック伯爵家からいなくなったロザリーがいた。パリの下町で庶民の暮らしを目の当たりにしたオスカル。自分とは全く違う生活に驚き、何も考えたことがなかった自分を恥じる。回復したオスカルは、ロザリーをジャルジェ家へ再び連れて帰った。

黒い騎士のことが気になるオスカルは、こっそりと捕まえて話をしたいと考える。より確実に捕まえるため、幼馴染のアンドレを黒い騎士に扮装させて貴族の館を襲わせた。オスカルの予感は的中。現れた本物の黒い騎士はアンドレとオスカルに追いつめられる中、とっさにアンドレの片目に鞭をふるう。黒い騎士はジャルジェ家へ逃げ込み、ロザリーを人質に逃走。オスカルの計画は失敗に終わった。アンドレの片目は重傷。「これがお前の目でなくてよかった」というアンドレに、オスカルは深く後悔するのだった。

やはり黒い騎士とパレ・ロワイヤルの関係が怪しいとにらんだオスカル。一人でパレ・ロワイヤルを正式訪問し、オルレアン公に迎え入れられる。そこでは身分を問わず、さまざまな若者たちが討論を繰り広げるサロンが開かれていた。オスカルも議論に花を咲かせるが、連れ去られたロザリーや黒い騎士の情報は何も得られない。肩を落として屋舗を出ると、地下へ続く階段の扉にロザリーの服の切れ端が挟まっているのを発見。罠だと思いつつ地下へ降りていくと、男たちに捕らえられてしまう。地下牢に入れられると、そこにはロザリーがいた。

オスカルが一人でパレ・ロワイヤルへ行ったことを知ったアンドレは、絶対安静の身でありながら、黒い騎士に扮して飛び出す。アンドレは疑われることなく地下牢の二人を連れ出したが、すぐに本物の黒い騎士に見つかり、オスカルと取っ組み合いになる。男性の腕力に劣勢のオスカルを守るため、ロザリーはオスカルの落とした銃を拾い上げ、黒い騎士に向けて発砲。黒い騎士は倒れ、ジャルジェ家へ連れ込まれた。

黒い騎士の正体は、パリの新聞記者ベルナール・シャトレ。以前オスカルと酒場で会ったことがあり、近衛兵のオスカルに向かって「王妃の犬」と暴言を吐いたことを、オスカルは覚えていた。
ベルナールは貴族の男性と平民の女性との間に生まれた。男性には妻子がおり、ベルナールが5歳のときに屋舗を追い出されてしまう。母はベルナールを抱えて冬のセーヌ川へ身を投げ、そのまま亡くなった。そのため、貴族に激しい憎悪を抱いていた。
優しく看病してくれるロザリーとは、同じように貴族に母を殺された者同士、次第に惹かれ合うようになる。そんな二人を見たオスカルは、ベルナールに盗賊を辞めてもらうことを条件に、ロザリーを嫁に出そうと提案。人目につかないある夜、二人は幸せそうにジャルジェ家を後にした。

ベルナールと話し、次第に貴族の社会に疑問を持ち始めたオスカル。ある日マリー・アントワネットに謁見し、「近衛隊を辞めさせてほしい」と願い出る。マリー・アントワネットは、現時点で役職が空いているフランス衛兵隊にオスカルを任命。しかし、代々王室に仕えている家柄であるオスカルからの思わぬ言葉に、マリー・アントワネットは動揺を隠せなかった。

フランス衛兵隊編

オスカルは父・ジャルジェ将軍の反対を押し切り、平民出身者の多いフランス衛兵隊に部隊長として入隊。アンドレも用心棒として、オスカルとともにフランス衛兵隊に入隊した。フランス衛兵隊での初日、集会のため練兵場へ向かったが、そこに兵士の姿はない。兵営で酒を片手にたむろする兵士たちのもとへオスカルが向かうと、兵士たちは「女の命令なんか聞けない」と反発。そんな兵士たちのリーダー格として慕われるのが、貴族出身のアラン・ド・ソワソンだった。
そんな中迎えた訓練初日、「になえ銃」の命令で兵士たちが銃口を向けたのは、空ではなくオスカルだった。他の分隊長たちはクーデターだと大騒ぎするが、オスカルは冷静に兵士たちへ話し合いに応じるよう求める。「女の下では働けない」と言う兵士たちに、オスカルは剣の腕で自分に敵うものはいるのかと挑発。アランが名乗り出て、剣の手合わせが始まった。

初手はオスカルが優勢だったが、次第にアランの実力の高さに気づき、オスカルの顔色が変わる。オスカルは身軽さを活かしてなんとかとどめを刺したが、オスカルの胸は感動でいっぱいだった。これほどの剣の腕を持つ人は、アランが初めてだったのだ。しかしオスカルの思いとは裏腹に、兵士たちの不満は募る。隊長であるオスカルを脅したり監禁したり嫌がらせをするが、オスカルは兵士たちを処分をすることはなかった。
ある日の訓練、一人の兵士が栄養失調で倒れた。充分な食事が与えられているにもかかわらず、栄養失調の兵士が他にも複数いることを不審に思ったオスカル。以前兵士たちの面会日に、アランの妹ディアンヌが大きな風呂敷包みを持っていることを怪しいと睨む。実は兵士たちは、貧しい家族のために食料を分け、支給された剣を売った金を送っていた。オスカルは平民の暮らしがそこまで困窮していることに衝撃を受ける。
兵士との関係ができない中、フランス衛兵隊でのオスカルの上司にあたるブイエ将軍を迎えて閲兵式を挙行。兵士たちは命令を聞かず、アランはわざと銃をブイエ将軍の前に落とし、落馬させてしまう。激怒したブイエ将軍はアラン達兵士の謹慎処分を命じ、そのまま去っていった。オスカルは将軍を見送ると振り返り、アラン達を平手打ちにする。心を服従させることはできないからこれまで処分をしなかったのに、その思いが伝わらない悔しさをぶつけた。この一件を機に、次第にオスカルと兵士たちの間に絆が芽生える。

オスカルとアンドレ編

アンドレにとってはずっと待ち続けていたオスカルの言葉

8歳の時に母を亡くし、祖母につれられてジャルジェ家へやってきたアンドレ。遊び相手としてオスカルと常に一緒に行動し、次第にオスカルへ恋心を抱くようになった。しかし平民出身のアンドレは、どんなに願っても貴族のオスカルと結ばれることはできない。近くにいるのに手が届かない思いに苦しんでいた。
オスカルとフランス衛兵隊に入隊してしばらく経った頃、オスカルに結婚の話が持ち上がる。その相手は近衛兵時代のオスカルの部下であるジェローデル。オスカルは今さら女に戻れないと結婚を拒むが、父であるジャルジェ将軍は聞く耳を持たない。ジェローデルだけでなく多くの若者を集めて、オスカルの結婚相手探しのパーティを開くと言い出した。
パーティ当日、会場にはオスカルに求婚する多くの貴公子と、それを阻止するオスカルのファンの貴婦人が集まった。しかしそこへ現れたのは、ドレスではなく煌びやかな礼服姿のオスカル。極めつけにフランス衛兵隊の兵士たちも乱入し、会場は大混乱に陥った。
喧騒から逃れてバルコニーで涼むオスカルを、ジェローデルが追いかけてくる。女性としての幸せを拒み続けるオスカルに、優しく語り掛けるジェローデル。慣れない男性からの優しさに惑わされるまま、オスカルはジェローデルとゆっくり唇を重ねる。しかし唇が触れた瞬間、オスカルはジェローデルを突き飛ばして走り去った。不意に脳裏をよぎったアンドレの存在に、オスカルは胸の鼓動を抑えられなかった。
一方のアンドレは、オスカルの結婚話が出てから思いつめるようになる。ある夜アンドレは身だしなみを整え、オスカルの部屋へワインを持って訪れた。毒入りワインで無理心中を図ろうとしていたのである。しかしオスカルと昔話をするうちにふと我に返り、ワインに口をつけかけたオスカルを突き飛ばす。身勝手にオスカルの命を奪おうとしたことを悔み、自分の命が尽きるまでオスカルを守り抜くと固く決意した。

自分のことを愛してくれているアンドレという存在の大切さに、オスカルもまた気づいていた。ある夜オスカルはジェローデルを呼び出し、「アンドレが不幸になれば自分も不幸になる」と求婚を断る。ジェローデルも「あなた(オスカル)が不幸になれば自分も不幸になる」と身を引いた。そして、昨今の不穏な世の中から娘を守りたい一心で結婚話を進めていた父に対しては、生涯武官として生きると宣言。アンドレのために、誰とも結婚しない道を選んだ。

三部会編

マリー・アントワネットの贅沢により、フランス王室の赤字は手も付けられないほど大きく膨れ上がっていた。この財政危機を乗り越えるため開かれた御前会議で、王室と高等法院が対立。高等法院は国王側が増税を強行するのであれば、三部会を開くよう要求する。三部会とは、第一身分(僧侶)、第二身分(貴族)、第三身分(平民)それぞれの代表議員で構成される。平民だけでなく、反国王派の貴族たちも国王の権力を弱めるべく三部会開催を求める。もはや貴族といっても味方にならない現実に、マリー・アントワネットは頭を抱えた。
翌年、国王は三部会召集を布告。開会式には、それぞれの身分の議員たちが列を連ねる。平民代表議員の中には、貴族でありながら平民に味方する者もいた。開会式会場に国王が入場すると「国王万歳」の声が上がったが、マリー・アントワネットには貴族議員からすら喝采がない。マリー・アントワネットは、全国民が憎んでいたのは王室ではなく、ただ自分一人だけだったことを思い知った。
三部会真っただ中の6月、難病脊椎カリエスで闘病していた第一王子ルイ・ジョゼフが危篤に陥る。マリー・アントワネットの必死の看病むなしく、わずか7歳の王子は静かに息を引き取った。しかしその頃の王室には、王子の葬式を挙げる金すら残っていなかった。
開会から三部会は貴族・僧侶と平民の激論となっていた。膠着した状況を打破するべく、平民議員は貴族や僧侶と手を組み、国民議会を開く。事態を重くとらえた国王側は、三部会を解散させるため軍隊の整備を進め、オスカルたちも警備強化にあたった。
しかし国民議会を解散せよとの国王命令にも従わず、平民議員たちは居座る。武力をもって平民議員を追い払うようブイエ将軍に命じられたオスカルは、「軍隊は国民に銃を向けるためのものではない」と命令を拒否。怒ったブイエ将軍はオスカルを司令官室に監禁し、アラン達兵士を牢獄に入れて銃殺にすると言い出した。牢獄へ連れていかれる兵士たちの姿を見たオスカルは、部屋の外で待つアンドレに扉を開けてもらい逃走。フランス衛兵隊の代わりに出動した近衛兵の足を止め、身を挺して平民議員を守った。

ジャルジェ家へ帰ると、ジャルジェ将軍が「謀反人を排除する」とオスカルへ剣を向ける。その手を背後からアンドレが掴み、短剣を突きつけた。自分の命を引き換えにしてでもオスカルを守ろうとするアンドレに、ジャルジェ将軍は剣を下ろし立ち去る。自分を守ってくれたアンドレにオスカルは、静かに「愛している」と伝えた。ずっと待ち続けたオスカルからの告白に、アンドレは言葉を失う。長年の思いが報われた瞬間だった。

フランス革命編

牢獄に入れられた兵士たちは、パリで集会を開いているベルナールの働きかけによって無条件に解放。しかしそれは、いつ起きてもおかしくない民衆の暴動に備えるためだった。直後、オスカルたちフランス衛兵隊にも、事実上の進撃命令である出頭命令が下される。出頭の前夜、オスカルとアンドレは結ばれた。
7月12日、オスカル率いるフランス衛兵隊は出動。テュイルリー宮殿広場で暴動が起きると、オスカルは貴族としての地位を捨て、民衆の援護に向かう。激しい戦闘の中、ほとんど目が見えなくなっていたアンドレの体を銃弾が貫いた。最愛の人を失ったオスカルは、心臓の半分をもぎ取られたような悲しみに、涙が止まらなかった。

しかし容赦なく戦闘は続く。7月14日、武器を持ってバスティーユ牢獄に押し寄せた民衆に対し、国王の兵が発砲。歴史に残る「バスティーユ牢獄襲撃事件」である。オスカルは涙をぬぐってバスティーユ牢獄へ向かい、市民とともに戦う。オスカルの指揮が肝だと判断した国王軍は、オスカルに向けて大砲を放った。砲弾はオスカルの右肩と腹部に命中。アランやけが人救護にあたるロザリーの介抱も拒み、オスカルはアンドレを追うように息を引き取った。

フランスで起こった暴動はもはや革命となり、ヨーロッパ中の関心事となった。国王派貴族すら身の危険を感じて外国へ逃げる中、フェルゼンだけがスウェーデンから国王夫妻のもとへ駆けつけた。フェルゼンは自分の身も顧みず、国王一家をオーストリアへ逃がす計画を打ち進める。1791年6月20日の深夜、変装したフェルゼンの引く馬車に国王一家を乗せ出発。フェルゼンは国境で国王夫妻を引き渡すまで付き添うつもりでいたが、国王がそれに反対。自分たちと行動することで、フェルゼンにも危険が及ぶことを危惧しての判断だった。フェルゼンは後ろ髪を引かれながらベルギーへ亡命。国王一家は計画通り、オーストリア国境を目指した。
国王一家の逃亡は夜明けとともに判明し、ただちに国王一家の逮捕状が発令。国境沿いに警備が敷かれた。その頃、国王一家は群がる民衆に馬車を足止めされていた。民衆は馬車に乗る人物が国王一家であることに気づかなかったが、その中にいた一人の熱烈な革命家が見抜く。先回りしたヴァレンヌで国王一家は捕まり、テュイルリー宮殿へ強制的に送還された。この「ヴァレンヌ逃亡事件」を契機として、フランス革命は急速に国王排除へ舵を切る。

革命終結編

最期の瞬間までフランス王妃としてのプライドを捨てなかった

1792年8月、国王一家は全ての権利を剝奪される。1か月後には、国王ルイ16世の処刑が決定した。翌年1月12日、民衆たちの見守る中、国王ルイ16世は自分の死がフランスの発展に寄与することを願って断頭台に登る。享年38歳。
国王の処刑直後、議会はマリー・アントワネットから第二王子ルイ・シャルルを引き離すことを決める。8歳の幼い王子は、自分の身分も父や母のことも忘れ、兵士と一緒に革命家を歌うようになった。その後、娘のマリー・テレーズとも引き離されたマリー・アントワネットは、裁判のためコンシェルジュリー牢獄へ移される。そこでマリー・アントワネットの世話役を任されたのはロザリーだった。
マリー・アントワネットの裁判が開廷すると、数日間にわたってこれまでの浪費や首飾り事件、ヴァレンヌ逃亡事件に関する尋問が続く。10月15日、ついにマリー・アントワネットに死刑判決が下され、マリー・アントワネットは「やっと終わった」と涙をこぼした。
1793年10月16日午前10時30分、マリー・アントワネットは処刑場に向かう。断頭台の上で民衆から罵声を浴びせられる中、フランス王妃としての誇りを最期まで捨てなかったマリー・アントワネットはこの世を去った。14歳でフランス王太子妃として嫁いできた女性の、37年の人生だった。
ヴァレンヌ逃亡事件以後、何度もフランスへ入ってマリー・アントワネットを救おうと動いていたフェルゼン。マリー・アントワネットの死後はスウェーデンに帰国したが、一生涯結婚することなくマリー・アントワネットを思い続けた。愛する人を奪った民衆を憎むあまり冷酷な権力者となり、1810年6月20日、フェルゼンを憎む民衆によって虐殺。奇しくもフェルゼンが呪い続けた、ヴァレンヌ逃亡事件と同じ日だった。

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