ベルサイユのばら(ベルばら)の名言・名セリフ/名シーン・名場面まとめ

『ベルサイユのばら』とは、池田理代子が描いた少女漫画で、1770年から17789年頃のフランスを舞台とした物語である。週刊マーガレットで連載以来、少女たちを中心に人気に火が付き、アニメ化や宝塚化などを果たした。
ロマンチックな恋のセリフや、時代の波に飲まれながらも必死に生き抜こうとする格好良いセリフの数々は、読者に長年愛され続けている。

『ベルサイユのばら』の概要

『ベルサイユのばら』とは、池田理代子が描いた少女漫画であり、1972年から1973年まで週刊マーガレットで連載されていた。のちにアニメ化や宝塚化など、多数のメディアミックス展開がなされた。特に、宝塚での『ベルサイユのばら』での初公演が大成功となったため人気がさらに爆発し、『ベルばらブーム』を引き起こした。近年では、お菓子や化粧品のパッケージとしても採用されており、その人気の根強さがうかがえる。

宝塚劇団『月組』による『ベルサイユのばら』で、こちらの写真は、2013年に公開されたものだ。

『ベルサイユのばら』ブランドの美容マスクだ。美容マスクの他にもアイライナーやマスカラ、目元マスクなど様々な化粧品が販売されている。

あらすじ

この作品はフランスを舞台に、オーストラリア皇女のマリー・アントワネットがフランスに嫁いでから、フランス革命が起きてアントワネットが処刑されるまでを描いた物語である。主人公はフランスの王室を守る事を仕事とする近衛兵に所属する男装の麗人、オスカル・フランソワ・ジャルジェだ。

1755年、オーストリアにマリー・アントワネットが、スウェーデンにフェルゼンが、そしてフランスにオスカルが生まれた。この三人はのちに運命的な出会いを果たす事になる。
1770年の春、オーストリアの皇女であるマリー・アントワネットは政略結婚としてフランスに嫁ぐことになった。アントワネットと同い年のオスカルは、フランス王家を守る近衛隊に所属し、アントワネットの護衛をする。オスカルは女性だが、男性の軍人として育てられていた。
ある日、アントワネットはオスカルを連れてオペラ座で行われた仮面舞踏会に出席する。アントワネットはそこでスウェーデンから留学してきたフェルゼンと出会い、二人は恋に落ちることととなる。

現国王のルイ15世が亡くなり、アントワネットの夫であるルイ16世が国王として即位した。フランス王妃となったマリー・アントワネットは、元々の遊び好きな性格が祟り、物凄い勢いでお金を浪費させてしまう。ベルサイユ宮殿にいた貴族たちは華やかな生活をしていたが、パリに住む民衆たちは国からの重税と貧困に苦しんでいた。そんな中で入ってくるアントワネットのお金の無駄遣いの噂は、国民たちをひどく怒らせた。国民達の不満は日々募っていき、次第には国内のあちこちで暴動や反乱が起きるようになる。そして、国民達の怒りはついに『フランス革命』という形で現れる。『フランス革命』とは、市民たちと国王や貴族たちが対立した争いのことで、最終的には市民側が勝利した。オスカルは、今まで貴族として生活してきたが、パリの貧しさやそれでも力強く生きる民衆たちの姿を見て、市民側に味方することに決める。市民を助けるために衛兵隊という軍隊を率いて貴族の軍隊と戦うが、1789年に戦死した。
一方、アントワネットたち国王一家は、国民達から目の敵にされ、裁判の末に最終的には処刑されることに決定した。アントワネットを愛するフェルゼンは、アントワネット達を助けるために奮闘するが、結局は上手くはいかずにアントワネットは断頭台で処刑されることとなってしまった。

オスカル・フランソワ・ジャルジェの名言・名セリフ

もしも⋯もしもどうしてもアンドレをお咎めになるならば⋯ジャルジェ家の名において正当な裁判を要求いたします!さもなくば⋯アンドレの責任は主人であるわたくしの責任⋯まずここでこのオスカル・フランソワの命をたってからにされるがよい!

集英社文庫『ベルサイユのばら』1巻 219ページより

オスカルがフランス国王ルイ15世や、その他の貴族達に言ったセリフである。オスカルは女性だが、男性の軍人として育てられた。オスカルの一族であるジャルジェ家は男の子が一向に産まれず、後継ぎに困っていた。しかし、産まれてきた赤ちゃんが男勝りの元気な泣き声をしていたため、オスカルの父、ジャルジェ将軍はオスカルをジャルジェ家の後継ぎとして育てることに決めた。子供の頃からの幼なじみであるアンドレは平民だがジャルジェ家の家来となっているため、オスカルとともにベルサイユへ出入りできる。アンドレの祖母のマロン・グラッセ・モンブランは、オスカルたちから「ばあや」と呼ばれ、ジャルジェ家で身の回りの世話をしてくれる家政婦だ。
ある日、フランスの王太子妃であるマリー・アントワネットは「馬に乗ってみたい」と、オスカルに相談した。オスカルはフランスの近衛兵に所属しているため、アントワネットを守る義務がある。アントワネットの願いを了承したオスカルはアンドレに馬を持って来させるが、アントワネットが馬に乗った途端に馬が暴走し、アントワネットを危険な目にあわせてしまった。アントワネットの不注意だったとはいえ、彼女に怪我をさせてしまったアンドレは、フランス国王のルイ15世から死罪を言い渡される。
その時、オスカルは異議を唱えた。この台詞はこの時に言ったもので、アンドレに対する絆や正義感が込められた格好いい名言だ。

やーれやれ!また随分とかわいらしい売春婦もいたものだな。娘!名はなんという?なぜこんな馬鹿な真似をしたのだ?

集英社文庫『ベルサイユのばら』1巻 274ページより

オスカルがロザリーに言ったセリフである。オスカルはアンドレを引き連れて、パリの街を見物しに来た。そこで、とある少女に「あ⋯あの、旦那様⋯。あの⋯あ⋯あたしを⋯あたしを一晩⋯買ってください⋯」と、声をかけられた。少女はガチガチに震えていた。その様子を見たオスカルは、「これでも私はれっきとした女だ!たとえただでもお前を買うことはできんよ」と、笑い飛ばした。そして、オスカルは少女に素性を訪ねる。この台詞はこの時に言ったものである。少女の名はロザリーといい、「かあさんが病気で⋯⋯。どこもあたしを雇ってくれるところがなくて⋯あんまりにも毎日ひもじいのでつい⋯」と、答えた。オスカルは、ロザリーを通して現在の極端に景気が悪いパリの様子を知る。それは、自分たちが過ごすベルサイユとは程遠い環境だった。そして、オスカルはロザリーに1リーブル金貨(約1万2千円)を渡してロザリーの元から去っていった。
これはオスカルとロザリーが初めて交わした会話でもあり、オスカルは震えながら自分の元に話しかけるロザリーに毒気を抜かれた。

まだものの善意も分からぬ子供を背中からピストルでだまし討ちにするような男が公爵だなどとは、こちらも片腹いたいわ!

オスカルがド・ゲメネ公爵に対して言ったセリフだ。オスカルはパリを視察した際、ゲメネが子供を銃殺するのを発見する。パリは経済難に陥っていて、その子供は二日間何も食べていなかった。そのため、ゲメネの馬車からお金を盗み出したのである。子供の母親が必死に謝罪するが、ゲメネは許したふりをして子供を背中から撃ち殺した。憤るオスカルだが、ゲメネは公爵家でフランス国王ですらも手出しは出来ない男だとアンドレが諭し、一旦はその場を後にする。
その後、ベルサイユ宮殿でオスカルはド・ゲメネと再開する。フランス王妃のマリー・アントワネットにアドバイスをするオスカルの様子をみたゲメネは、「いくら将軍殿の令嬢か何か知らんが⋯女の分際で連隊長などとかたはらいたいわ!」とバカにした。それに対し、オスカルはこの台詞を言い返した。女だからといってバカにされた事を怒るのではなく、ゲメネに殺された子供のために怒るオスカルの正義感が非常にカッコいい名台詞である。

美しくなった⋯まるで生まれた時からの貴婦人と変わらない⋯⋯。

オスカルがロザリーに対していった褒め言葉だ。ロザリーは、自分の母親を殺した貴婦人に復讐するためにベルサイユに行くことを目指していた。ロザリーの健気な様子を見たオスカルは、ロザリーにベルサイユへ出入りできるだけの教養を身につけさせる。努力家で飲み込みの早いロザリーは、歴史や文学、作法など一通りの教養を身につけた。この台詞は、そんなロザリーに対していった言葉で、自分を磨き上げ、女性としてより一層美しくなったロザリーを褒め称えている。

覚えておかれよ!彼女はあなたをさがしだして母の仇をとりたいと⋯ただそれだけのために死ぬ覚悟でここまで来たのだ!

オスカルがポリニャック伯夫人に言ったセリフである。ポリニャックはフランス王妃のマリー・アントワネットのお気に入りの貴族で、ポリニャックはアントワネットとの友情を利用してお金や地位を強請っていた人物だ。
ある日、オスカルは自分の母親の仇である貴婦人を探す目的を持つロザリーを連れて、パーティに出席する。そこで、ロザリーはポリニャック伯夫人と再会するが、二人は衝撃を受ける。なんと、ロザリーの母親の仇はポリニャック伯夫人だったのだ。ロザリーはポリニャック伯夫人に対して掴みかかろうとするが、オスカルが止める。ポリニャックの方もロザリーに対して「この娘は貴族なんかではございませんわ!この娘はわたしがパリで⋯」と騒ぎ立てるが、オスカルが「パリで⋯どうなさったというのだ?パリで彼女の罪もない母親を車輪にかけて轢き殺したと、ここで⋯王后陛下の御前で白状なさるか!?え!?」と話を制止させた。この台詞は、ポリニャックを黙らせた後にオスカルがロザリーに変わって彼女の壮絶な覚悟を代弁したものである。オスカルは、ロザリーがベルサイユ宮殿に出入りできるだけの教養や剣の使い方などを指南した。オスカルは、ロザリーが学問も剣術も必死で頑張って会得した姿を見ているため、ポリニャックのロザリーを見下した態度が余計許せなかったのだ。

仇をとって⋯そしてどうする?間違えなくお前も死刑になるぞ。むなしくはないか!?ポリニャック伯夫人を殺したって死んだものは帰ってこないんだ!なぜ自分の人生をもっと大切にしようと考えない!?死ぬなロザリー!おまえはもうジャルジェ家の一員だ!おまえを死なせたくない⋯!

オスカルがロザリーにいったセリフである。ベルサイユ宮殿のパーティにオスカルに連れられて参加したロザリーは、ロザリーの母親の仇でもあるポリニャック伯夫人と再会する。ロザリーは死を覚悟でポリニャック伯夫人を襲おうとするが、オスカルによって未然に防がれてしまった。ロザリーは、「もうちょっとだったのに⋯。もうちょっとでかあさんの仇が取れたのに⋯。今日までなんのために剣の稽古を⋯?」と嘆くが、オスカルはこの台詞をロザリーに伝えた。オスカルはロザリーに貴婦人としての嗜みや剣の使い方を教える内に、ロザリーを自身の妹のように可愛がるになった。ロザリーの事を大切な家族だと思っているからこそ、オスカルは「復讐は止めて幸せに生きて欲しい」と伝えたのだ。オスカルのロザリーに対する強い気持ちが表れた名台詞だ。オスカルは以前、ロザリーの本当の母親が『マルティーヌ・ガブリエル』という名前の貴族だということをロザリー本人から聞かされていた。そのため、オスカルはロザリーに「どんなことをしてもマルティーヌ・ガブリエルという婦人を探し出してやろう。だから、明日のことだけを考えろ、ロザリー!」と激励した。

もしわたしが本当の男性だったら⋯まちがえなくおまえを妻にするよ⋯⋯ほんとだ。

集英社文庫『ベルサイユのばら』2巻 200~201ページより

オスカルがロザリーに言ったセリフである。オスカルは酒場にいた客と喧嘩をし、殴り合いにまで発展する大乱闘を起こしてしまう。オスカルはフランス王家を守る近衛兵の連隊長を務めるほどには腕が立つため酒場にいた荒くれ者では相手にならないが、今回は人数が多かったので全員倒した後にオスカルも気絶してしまった。
オスカルは気絶した後、アンドレによってオスカルの実家であるジャルジェ家に運ばれた。オスカルが気絶している間、ロザリーがずっと看病してくれたようだった。ジャルジェ家の女中のマロン・グラッセはロザリーを指して「ごらんくださいまし。あの子はゆうべ一晩一睡もせずにオスカル様をまっていたんですからね!」と、言った。マロン・グラッセ自身もオスカルを実の娘のようにかわいがっていたため、オスカルが傷だらけで帰ってきて大層心配したのだ。
オスカルは心を尽くして自分を介抱してくれたロザリーに対して「こっちへ⋯⋯おいでロザリー!」と声をかけ、ロザリーを抱き寄せながら「一晩中起きていたのか⋯⋯?すまなかった、心配かけて⋯⋯。」と、感謝の気持ちを言葉にした。この台詞はこの場面で言ったもので、ロザリーの優しさや温かさに心から感激している。それと同時に、現在オスカルはフェルゼンへの片思いの気持ちで悩んでいた。フェルゼンはスウェーデン人の貴族で、フランス王妃のマリー・アントワネットとは両思いの関係だ。オスカルは「いっそ本当の男性だったら⋯どれほど楽だったことか⋯!」と、自分のドロドロとした恋心に苦しむ。この台詞は、ロザリーへの感謝や友愛の気持ちと、自身の恋心に悩まされる両方の気持ちが込められている名セリフだ。

Komiyama1202
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@Komiyama1202

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