東郷一二三(ペルソナ5)の徹底解説・考察まとめ

東郷一二三(とうごう ひふみ)とは、株式会社アトラスのジュブナイルRPGシリーズ『ペルソナ』の5作目に登場するキャラクターである。P5主人公の仲間であるペルソナ使い・喜多川祐介(きたがわ ゆうすけ)と同じ高校に通う、女子高生棋士。『ペルソナ5』のサブ要素・コープの「星」枠を担当している。棋士の腕前と美麗な容姿が認められ、「美しすぎる棋士」として人々の注目を集めている。そんな一二三の棋士としての戦術の腕前に興味を持ったP5主人公が、彼女に声をかけた事から2人の交流が始まるようになる。

P5主人公が一二三の棋士としての技量に目をつける

教会で戦術を考えていた一二三に、将棋を教えてほしいと頼み込むP5主人公(メガネの少年)。

美しすぎる女流棋士として、母の為、将棋界の為と奮闘を続ける一二三。しかしそうして頑張れば頑張る程、周囲から向けられる目が歪んでいく。結果、マスコミやネットメディア等であらぬ噂までたてられるようになった一二三は、将棋界でも煙たがられる存在となってしまい、高校生になった頃には、一緒に対局をしてくれる相手すらいなくなってしまう。仕方なく1人静かに落ち着いて新たな戦術を考案する為、神田にある教会の神父に頼み、教会内に場所を借りる形で1人将棋と向き合う時間を過ごすようになる。そんなある日、彼女の前に本作の主人公であるP5主人公が現れる。
その頃P5主人公は、「ペルソナ使い」としての力に目覚めていた。傷害事件の犯人という濡れ衣を着せられていたP5主人公は、その冤罪が原因で地元に居る事ができなくなり、両親の知り合いを頼る形で都会に避難してきていた。だがその先で「認知世界」という異世界と彼は出会う事になる。そうして認知世界を通して、ペルソナ使いとしての力を覚醒。ペルソナ使いとは、心の底に潜む「もう1人の自分」が実体化した存在「ペルソナ」を使役する者の事をさす。ペルソナは「困難に立ち向かうための人格の鎧」、この力を手にする事で認知世界に蔓延る異形の怪物・シャドウと戦う事ができるようになる。また認知世界には、現実世界の人々の「歪んだ欲望」が形となったダンジョン「パレス」が存在しており、このパレスの中にあるお宝を奪う事でパレスの主を改心させる事ができるようになっていた。P5主人公は、自分と同じようにペルソナ使いに覚醒した仲間達と「怪盗団」を結成し、彼らと共に歪んだ欲望を持つ「悪人」の改心を行っていく事を決める。そして怪盗団のメンバーの1人である喜多川祐介を通して、一二三の存在を知ったP5主人公は、彼女の棋士としての戦いを見極める目に惹かれる。シャドウと戦う時に役立つ力を身につけられるのではないかと考えた彼は、神田の教会にいる彼女のもとへ通い始める。突如現れたP5主人公に一二三は戸惑うが、2度3度と、日をまたいで何度も話しかけられた為に、彼の存在を気にするようになる。そこで一二三は自分からP5主人公に「一体なんの用があるのか」と訊ねる。訊ねられたP5主人公は、戦い方、つまりは将棋を教えてほしいと一二三に頭を下げる。最初はP5主人公の頼みを断る一二三だったが、彼が何度も頭を下げる為、一度P5主人公と将棋をさす事にする。結果、P5主人公は惨敗。だが、その勝負を通してP5主人公の中にあった勝負師としての力を感じ取った一二三は、彼の頼みを受け入れる。そして同時に、頼みを受け入れる代わりに自分の新たな戦術を編み出す研究に付き合って欲しいと取引をする。P5主人公は一二三の頼みを了承。2人はお互いの利益の為、手を取り、交流を図るようになる。

P5主人公との交流の中で自分の将棋への想いに気づく

一二三に厳しくあたる一二三の母(青いドレスの女性)と、それを目にしたP5主人公。

互いの利益の為に交流を図り始めた一二三とP5主人公。最初はただの利害関係にあった2人だったが、P5主人公はこの交流を通して彼女が抱えている悩みに気付いていく事になる。一二三の方もP5主人公が、今まで自分を追いかけてきたどの人間とも違う事に気づき始めてか、次第に心を開いていくようになる。そうしてP5主人公に自分の心の内に抱えているものを吐き出していくようになる。実はその頃一二三は、今の自分の状態に不安を持ち始めていた。どんどんと歪んでいく周囲からの評判に、自分のやり方が間違っているのではないか、もう将棋は辞めて家の助けになる事をした方が良いのではないか、そんな風に考えるようになっていたのである。だがP5主人公に励まされた事により、自分がやはり将棋が好きで、将棋をやっていきたいと思っている事に気づく。そして、もうアイドル扱いは嫌だと、とP5主人公に宣言。世間に棋士としての実力を見せつける為、母が用意したプロの棋士とのエキシビジョンマッチに本気で挑む事にする。だがそんな一二三の決意を潰すかのように、母が「エキシビジョンマッチでは負けるように」と一二三に言ってくる。母曰く、今の一二三は、グラビア雑誌等のおかげで男性人気は高いが女性人気は低い。だから女性人気を獲得する為、プロに負ける事で女性の同情を買い、女性からの支持も手に入れようというのである。その後、どん底から這い上がれば、さらに話題の棋士として人々の目を惹きつける事は確実だとのこと。流石の一二三もそれはおかしいと母に訴えるも、母は聞く耳を持たず、2人は喧嘩をしてしまう。さらにその際、「将棋はそこまで頑張らなくていい」「ルックスだけで充分」という母の本音を聞かされてしまい、一二三は母もまた、世間と同じように自分を棋士として認めてくれていなかったのだという事実を知る事になる。ショックを受け、落ち込む一二三。そんな彼女の姿を見たP5主人公は、「怪盗団」として彼女の母親を「改心」する事を決心する。

怪盗団として一二三の母の改心を試みるP5主人公

怪盗団として仲間達と共に一二三の母の改心を行おうとしているP5主人公(画面真ん中、黒いコートの男性)と、一二三の母の歪んだ欲望が具現化した敵「シャドウ東郷」(画面奥、青いドレスの女性)。

怪盗団として暗躍する事を決めたP5主人公は、仲間達に協力して貰い、一二三の母を改心する為にダンジョン「メメントス」へ向かう。メメントスはパレスとは別に存在している、『ペルソナ5』のサブダンジョンである。実はパレスは、よほどの歪んだ欲望を持つものしか出現させる事が出来ない。それ以外の人々の歪んだ欲望は、全てメメントスに集約されており、P5主人公達はパレスを出現させるような大物な悪人の改心を行う傍らで、メメントスに出現する人々の改心も行っていた。一二三の母はメメントス内に出現するタイプの人物であった為、P5主人公達怪盗団はメメントス内にいる彼女の歪んだ欲望を具現化した存在「シャドウ東郷」を探す。そうして見つけ出した時、P5主人公はそこで、実は一二三の母が一二三を勝たせる為に様々な八百長をしていた事を知る。シャドウ東郷曰く現実世界の彼女は、一二三のライバルになりそうな相手を見つけると金を渡して負けるように言いつけたり、夜の店で働いている事をいいことに、そこで知り合った裏社会の人に頼んで相手を潰すように頼んだりとしていたのである。週刊誌にも自分の家の事をネタとして売りつけたりと、一二三を使って自分を勝ち組の人間にしようと目論んでいたのだ。P5主人公達は、シャドウ東郷との戦闘を開始。激闘の末、彼女に勝利し、「改心」は成功に終わる。P5主人公達に負けたシャドウ東郷は、自分が一二三に強いてきた酷い行いに気づき、反省。P5主人公達の前から消えていった。

「本当の実力」で挑んだエキシビジョンマッチ

怪盗団の「改心」によって心変わりした母の事を、P5主人公に告げる一二三。

後日、P5主人公のもとに一二三から「信じられない事が起きた」と連絡が入る。その後、教会で一二三と落ち合ったP5主人公は、そこで彼女から「母から今まで八百長をしていた事を告白された」と告げられる。自分を金づるとして利用していた事を告げてきた母に、ショックを受けるが正直に話してもらえた事は嬉しかったという一二三。そして、エキシビジョンを受ける前に、母がしてきた事を全て世間に公表しようと決意した事をP5主人公に宣言する。
後日、エキシビジョンマッチ当日。P5主人公が一二三に話しかけると、母の事を公表した結果、色んな人から散々こき下ろされてしまった事を彼女から教えられる。だが、エキシビジョンに本気で挑むという一二三の気持ちは変わっておらず、これが本当の自分の実力での戦いだ、とP5主人公の前で意気込みながら試合会場へと向かっていく。P5主人公も会場の外で、テレビ中継されている試合をスマホ越しに見る。押される一方の一二三の様子だが、意外にもいい手を打つ一二三の姿に周囲の雑誌記者達は「意外と本物かもしれない」とざわつく。だが、結局一二三が負けてしまった為、そのざわつきも収束する事になる。
そんな会場外の反応など知らない一二三は、落ち込みながらP5主人公のもとへやってくる。人生初めての投了と、自分の実力が思っていたのものではなかったという事実にショックを受ける一二三だったが、同時に憑き物が落ちたような晴れ晴れとした心地よさも彼女は感じていた。しかし指南をしていたP5主人公の前で負けてしまった事は、ショックだったらしい。さらに現状の一二三に対する世間のあたりの強さもあり、これ以上自分と居るとP5主人公までは嫌な思いをするのではないかと考え、一二三は彼に「今日限りで指南をやめないか」という事を告げる。だがP5主人公はそれを拒む。もっと彼女の傍で強さを学びたいという気持ちを彼女に訴える。そんなP5主人公の訴えが一二三の心に届いた結果、指南という形ではなく今度はプライベートな関係で2人は交流を図っていく事になる(なお、この時の「プライベートな関係」は、P5主人公の選択肢によって生まれる関係性が変わってくる。「友達」としての友好関係を築くか、「恋人」という特別な関係を築くかは、プレイヤー次第である)。

P5主人公の正体に気付いた一二三

アマチュアからやり直す決意をした事をP5主人公に告げる一二三。

エキシビジョンマッチ後、一二三はもう一度アマチュアからやり直す事を決意する。そうしてその事を、今までずっと自分の傍に居てくれたP5主人公に伝えに行く。その事を聞いたP5主人公は一二三を応援する旨を伝える。そして同時に、一連の出来事が自分自身を見つめ直すきっかけになった事をP5主人公に伝える。ずっとアイドルのように扱われるのが嫌だった一二三。だが、それも自分が棋士としての実力があるからだと驕っていたからのものだった。今回の事件を通して、自分に実力はない事を知った彼女は、きちんと自分の実力で這い上がれる人間になれるように努力をする事を決心したのである。
さらに一二三は、一連の出来事、特に母が急に心を入れ替えた件を通して、P5主人公が怪盗団の一員である事実に気づいていた。彼女に正体がバレていた事に驚くP5主人公。そんなP5主人公に一二三は「貴方の成すべき事を応援している」と告げ、P5主人公の正体を知る数少ない怪盗団の支援者になったのだった。

東郷一二三の関連人物・キャラクター

P5主人公/ジョーカー

本作の主人公。プレイヤーの分身でもある。他のペルソナ使いには存在しない、複数のペルソナを使いこなせる「トリックスター/ワイルド」と呼ばれる能力を持っており、「心の怪盗団」のリーダー兼切り札として活躍している。ゲーム内での決まった名前は存在しない。ただしコミカライズ版では来栖暁(くるす あきら)、アニメ版では雨宮蓮(あまみや れん)という名が与えられている。怪盗団内でのコードネームは「ジョーカー/JOKER」。傷害の濡れ衣を着せられてしまった事で「保護観察処分」となる。通っていた高校からも退学処分を受けてしまい、故郷にも居づらくなった事から、ほとぼりが冷めるまでと都会に住む両親の知り合いに預けられる事になる。
一二三とは、怪盗団として活動している最中に知り合う。一二三の持つ、棋士としての腕前が敵・シャドウと戦う時に役に立つのではないかと思い、彼女から「戦術」を学ぶ為に交流を図っていくようになる。コープシナリオの後半に出る選択肢によっては、一二三と恋人になる事も可能。

一二三の母

画面右、青色のドレスを着た女性が一二三の母。

一二三の母。穏やかな性格の一二三とは反対に、攻撃的で傲慢な態度の女性となっている。
昔はテレビアナウンサーだったが、一二三にとっては父にあたる自分の旦那が病気で倒れ、プロ棋士として仕事ができなくなってからはアナウンサーをやめて、「夜の店」で働くようになる。そのような経緯からか、自分の事を「負け組」と認識している。結果「勝ち組」になる為、容姿のいい一二三を利用し、彼女を有名にさせようと躍起になってしまう。働いている店で知り合った裏稼業の人々やお金を使って、一二三のライバルを潰していき、一二三の知らないところで勝手に八百長を繰り返していくにようになる。
後に、そんな一二三の母の様子を目にしたP5主人公と、その仲間達・怪盗団の手によって「改心」される。なお、「改心」される際に、彼女の歪んだ欲望が具現化した存在「シャドウ東郷」が語った話によると、最初は単純に一二三が将棋で勝てていた事が嬉しかっただけとのこと。周囲から「天才少女」ともてはやされた事で鼻が高くなり、次第に図に乗り始めてしまったのだという。

東郷一二三の名言・名セリフ/名シーン・名場面

「蒼穹を統べる龍は我が手に堕ちました。この盤上の戦争、どう生き残るつもりです?」

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