ドラゴンボールが人気の理由を考察!ハマる理由は計算されたキャラクターの位置!

ここでは『ドラゴンボール』が多くの人から支持されている理由について考察していく。登場人物・キャラクターやストーリーに魅力があるのはもちろんだが、実は「キャラクターの位置」に気を配っているからこそ絶大な人気を獲得しているのである。

出典: ニカイドウレンジ公式ブログ
http://nikaidorenji.blogspot.jp/2014/03/blog-post.html?m=1

■キャラ位置が頻繁に入れ替わるのに読みやすい

まずはこの画像を見ていただきたい。

出典: getnews.jp

2コマ目と3コマ目で両者の位置関係が逆転していて、一見混乱しそう。

でも実際に読むとこの構図が一番読みやすい。
ドラゴンボールは、このように前後のコマでキャラの向きが逆転することが、
非常に多い。
でも読みやすい。

それは何故か?

出典: getnews.jp

左が未来で右が過去

視線の流れを図にしてみた。

漫画を読むとき、視線をこのように「逆Z」に動かすのが普通だ。
この場合(1)から(6)の順に見ていくことになる。
つまりこの番号は、読者に与える情報の順番であり、
さらに言えば物語の時間軸であると言える。

【2コマ目】
読者は「(2)悟空の足払い」と「(3)チャパ王が体勢を崩す」のどちらを先に見るか?
目線の流れを考えれば右側にいる(2)の悟空を先に見るだろう。
悟空が足払いをした結果チャパ王が体勢を崩すわけで、
時間軸として考えたら逆はあり得ない。だから悟空が右にいる。

もし両者の配置が逆だったらどうか。「体勢を崩す→足払い」という流れになったら、
読者は一瞬戸惑ってしまうのではないか。
先に「体勢を崩す」を目にしたその時点では、何が起こったのか理解出来ないはずだ。

もちろん他のメディアでも時間軸逆転の演出はあるし、
ドラゴンボールでもそれをやる場面はある。
だけどむやみに使うのは読みづらくなるだけ。
時間軸逆転を不要な場面でやらない。

だから読みやすい。

【3コマ目】
では次のコマはどうか。
両者の位置が逆転しているから倒置法ではないのか。
いや、これも時間軸だ。

「(4)チャパ王が倒れる」が先で「(5)悟空が立ち上がる」が後。
少なくとも作者はそう意図している。
悟空が立ち上がるのが遅いのは余裕の表れだと自分は感じた。
このときの悟空はまだ本気を出していない。

さらに言えば(6)のセリフが左端に配置されているのも
「悟空が立ち上がった後に言った」という意図によるものだろう。

だから、このシーンでキャラの左右位置が逆転しているのは、
高度な演出でもなんでもなく、単に「時間軸で並べた」だけなのだ。

出典: getnews.jp

これを切り返しせずに位置守って、
かつ順序立てて描くとどうなるか。

コマを分割せざるをえず、
向かい合ってる同士が背中合わせでいまいちテンポが悪い。

出典: getnews.jp

比較のために、位置を守って1コマにしてみると、
「チャパ王倒れる→悟空着地」だった元コンテに対し、
こちらは「悟空着地→チャパ王倒れる」の順番に読めてしまい、立ち回りの意味が若干変化してしまいます。

一瞬の攻防を描くアクションでこれは困る。

悟空を右側に配置した場合、チャパ王が倒れる前に悟空が立ち上がっているように感じられる。悟空が超スピードで動いてる感じは出るかもしれないが、
立ち上がる所でそれを表現しても効果的ではない。

このように、ドラゴンボールは視線の流れを意識して描かれており、
「不要な場面での時間軸逆転をやらない」を徹底している。
だからひっかかることなくスイスイと読んでいけるのだ。

時間の流れに逆らわない自然体だから、ドラゴンボールは読みやすい。
他のシーンも貼っておこう。

出典: getnews.jp

ここも左右位置が入れ替わってるけど、
時間軸的には「攻撃」が先で「防御」が後。
だから攻撃側が右側に配置されている。

出典: getnews.jp

これは「クリリンのパンチを避けて」からの「反撃の手刀」だから、悟空が左で時間軸的には正しい。

■左が前で右が後ろ、とも言える

次は移動方向の話。
前に進むキャラクターは左右どちらに進むべきか。

出典: getnews.jp

そもそも、人が何か行動をする際は必ず「時間の経過」も伴う。
歩く前と歩いた後では当然後者が未来の出来事だ。
だから「キャラクターは未来に向かって進んでいる」と考えられる。

前の節で説明した通り漫画における未来は左側。
だから未来に進むキャラクターは左側に進むのが正しい。

もちろんドラゴンボールでも、キャラクターが前進する場合は基本的に左方向へ進む。

出典: getnews.jp

例によって視線の流れを可視化してみた。
視線の方向(=時間の流れ)とベジータの移動方向が一致している。

(1)のフキダシを右端に配置してるのも、
視線の初期位置を固定するための意図的なレイアウトだろう。

(2)のベジータが左端にいるのも「未来にいる=速い」という印象を与えるためかもしれない。

出典: getnews.jp

相対していた敵が飛び去り、
それをクリリンが追いかける場面。

敵は左方向に進む。
クリリンは今まで飛んでいた方向から反転して戻る場面なので、2コマ目ではクリリンは右方向へ進む。

ここでも左右逆転しているが、「戻る」ことを絵で伝えるためにあえて右方向へ進ませているのだと思われる。

なお、この2コマだけだとクリリンが敵の真逆に飛んでいるように見えるかもしれないが、普通に読んでいたときはなんの違和感も感じなかった。

不思議だ。

出典: getnews.jp

方向転換の場面。

最初は左に進んでいるが、方向転換する際に向きが変わる。この場面では横に曲がった印象を出すために、左と右の中間である下方向へ進む。

3コマ目でカメラを傾けているのは単なるカメラワークの変化だけなく、移動方向を分かりやすくするための工夫でもあるのだろう。

■右向きの力と目線の衝突

攻撃を受け止める、なにかにぶつかる、といった、
「勢いが殺される」場面は必ず右向きに描かれている。

出典: getnews.jp

読者の目が右から左へ流れる。
それだけで「漫画のコマには左向きの流れが発生している」状態となる。

なので「右方向へのキャラクターの力」は「左方向の目線の流れ」とぶつかりあうことになる。

出典: getnews.jp

このシーンは、ピッコロの攻撃を右向きに描くことで勢いが打ち消されている感覚を、間違いなく意図的に出している。

出典: getnews.jp

天津飯によって悟空が壁に叩きつけられる場面。

天津飯の右向きの力と、目線の左向きの力で悟空が挟まれている感覚はないだろうか。

ここでもやはり二人の位置が左右逆転しているが、それによって1コマ目の移動感と、2コマ目の挟まれている感じが両立できるのだ。

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