孫悟空（ドラゴンボール）の徹底解説・考察まとめ

孫悟空の概要

孫悟空とは、『ドラゴンボール』シリーズの漫画・アニメで主役を務める人物である。惑星ベジータという星で、宇宙最強の戦闘民族サイヤ人として生を受ける。サイヤ人としての本名は「カカロット」。生後すぐに地球侵略の命令を施された状態でひとり地球へと送られてきた。地球に到着後は武術に秀でた孫悟飯（そんごはん）という名の老人に拾われ、養育されることになる。しかし、当時の悟空は手がつけられないほどの荒々しい赤ん坊であった。これには悟空がサイヤ人であることが関係している。サイヤ人は戦闘民族であり、生まれながらにして残忍で凶暴な性格を持つ者が多いのだ。ところが孫悟飯に拾われて後、ある日あやまって悟空は谷底に落ちて頭を強打してしまう。これによって悟空に施されていた地球侵略に関する命令が記憶から消去され、これ以降その荒々しさはなりを潜め、無邪気で朗らかな性格となった。ただし、戦闘民族サイヤ人としての本能である戦い好きな性格はそのまま残り、強い相手と戦うことを生きがいとしている。育ての親である孫悟飯のことは「じっちゃん」と呼んで慕う。他にも、「武天老師」（むてんろうし）と称される武術の達人である亀仙人（かめせんにん）との出会いや、「武術の神」である仙猫カリン（カリン様）、北の宇宙の銀河を見守る神である界王との出会いを通し、修行に励む中で力をつけていった。なお、亀仙人は悟空を養育した孫悟飯の武術の師匠でもある。

幼少の頃から戦いを重ね、その中で仲間になる者やライバル関係となる者など人間関係も徐々に広げていき、やがて地球の平和を脅かす強敵にも戦いを挑んでいくことになる。その強敵の中の1人、フリーザとの戦いにおいて、悟空は超サイヤ人へと覚醒する。フリーザとは「宇宙の帝王」と恐れられていた最強の宇宙人である。悟空の親友であり戦友でもあるクリリンがフリーザによって殺された際、悟空の激しい怒りが爆発したことで髪が黒髪から逆立った金髪へと変化し、全身から金色のオーラを放つ超サイヤ人へと覚醒。大幅に戦闘力を上げて、それまで戦いを優位に進めていたフリーザを戦慄させた。なお、悟空の普段の一人称は「オラ」、二人称は「おめえ」だが、超サイヤ人へと覚醒した悟空は一人称が「オレ」、二人称が「きさま」になるなど平静を失い、普段の朗らかな悟空からは考えられないような荒い言葉遣いと性格に変化している。この点については、後に「精神と時の部屋」という場所で修行を積んだことで超サイヤ人状態でも平常心を保っていられるようになり、一人称も「オラ」のままである。話し方については、原作では一人称・二人称以外はほぼ標準語、アニメでは東北訛りに似た言葉で会話をしている。

純粋なサイヤ人の証である黒髪で黒い瞳をもつ。髪型も非常に特徴的であり、左右非対称のハネがある。純粋なサイヤ人は生まれた時から髪型が変わることがないのが特徴で、悟空も赤ん坊の頃から一貫して同じヘアスタイルである。他、同じくサイヤ人の特徴として尻から猿の尻尾が生えており、これを握られると力が抜けてしまう。満月を見ると大猿化して理性を失うが、月が見えなくなるか尻尾を切り落とすことで元の姿に戻る。この大猿化はサイヤ人のもつ特有の変身形態であり、この姿になることで戦闘力が通常時の10倍に跳ね上がる。切られた尻尾はしばらくすると再生するが、悟空の場合は大猿化を危惧した神様によって取り除かれており、以後は大猿化していない（ただし、本編からは完全独立した物語である『ドラゴンボールGT』では再び尻尾を生やし、大猿化している）。

服装は上下揃いの山吹色の道着に紺色の帯で締めるのが基本スタイル。紺色のインナー、紺色のブーツ、同じく紺色のリストバンドは途中から着用するようになる。この山吹色の道着は亀仙人が開祖である武術流派「亀仙流」の道着であり、胸と背中の白○の中に「亀」という文字が書かれている。この文字は物語が進むにつれて変化する。銀河を見守る存在である界王と修行した後には胸の「亀」の文字はそのままに背中の文字が「界王」に、フリーザとの戦闘では胸と背中ともに文字が「悟」に変わっている。その後の戦いにおいては胸と背中のマークはなくなり、山吹色の胴着と紺色のアンダーシャツというスタイルになっている。悟空はこの道着を愛用しているが、漫画の表紙絵やアニメオリジナルエピソードでは洋服を着用している姿も見られる。
悟空のサイヤ人としての家族構成は4人家族。父はバーダック、母はギネという名であり、両親ともにサイヤ人であることから、悟空自身も純血のサイヤ人である。バーダックは外見も声も悟空と瓜二つだが、性格は真逆であり非常にクール。一方のギネは、サイヤ人としては非常に珍しい穏やかな性格に生まれており、この性格は悟空にそのまま受け継がれている。バーダックとギネとの間にはもう1人、悟空の実兄であるラディッツという名の息子がおり、後に悟空と対峙することになる。地球で成人した悟空は妻チチとの間に2人の息子をもうけており、長男を悟飯（ごはん）、次男を悟天（ごてん）と名付けた。ただし、息子たちの教育はすべてチチ任せであり、定職にも就いていないことから、チチからはたびたび小言を食らっている。一般的に考えれば父親失格ではあるものの、悟空自身はそれを意識しているわけでもなく、生来の大らかな性格で息子たちからは慕われている。
大食漢であり、何十人前もの料理もあっという間に平らげてしまう。箸を使うこともあるが、両手に食べ物を直接手に持って食べたり皿から口に流し込むこともあり、食事のマナーは決して良いとはいえない。口に食べ物を入れたまま会話しようとし、仲間から注意される場面もあった。

孫悟空のプロフィール・人物像

誕生年：エイジ737年
身長：145cm（15歳時）→175cm（成人時）
体重：40kg（15歳時）→62kg（成人時）

戦闘民族サイヤ人の生まれでありながら元気で朗らかな性格であり、物事にこだわらないタイプ。加えて、驚くほど純粋で無邪気なため、心が清らかでないと乗れないといわれる雲でできた乗り物・筋斗雲（きんとうん）にも乗ることが可能である。その純粋さゆえに相手の単純な策に引っかかることも多く、だまされやすい。また、戦い好きではあるが相手にとどめを刺すことにまではこだわっておらず、たとえ戦闘相手が地球を脅かすような悪であったとしても、あえて命を救おうとする場面も見られるほどのお人好しである。その甘さがかえって自身を窮地に追いやることもあり、一番の弱点だと仲間からも忠告されている。当初は息子にも甘く、修行をつけようにもその甘さから師匠には向かないことを指摘されていた。しかし、物語が進むにつれて悟空自身も成長し、父として、また師匠としての威厳を身に付けたことで、後に息子たちの指導もしている。
人里離れた山奥で生活していたため、地球人としての社会的常識は欠如している。幼少時は「男女」の違いさえも理解しておらず、股間を軽く叩くことで相手の性別を判断していた。戦いや修行に明け暮れてきたため、恋愛や女性に対しては興味がない。チチと結婚したものの、当初は結婚という言葉の意味もよくわかっておらず、食べ物のことだと思っていた。また、幼少時から敬語が苦手である。成人後もそれが変わることはなく、基本的には誰に対してもなれなれしい口調で会話する。悟空の朗らかさに影響されてか、礼儀知らずな悟空にも好意的に接してくれる者も多いが、中にはそれを快く思っていない者もいる。世間知らずではあるが決して頭が悪いというわけではなく、戦闘時にはその時点での最善策を分析するなどの冷静さも併せ持っている。

孫悟空の能力

サイヤ人の能力と大猿化

戦闘民族サイヤ人には階級が存在し、悟空はその中でも下級戦士としての生まれである。父バーダックが、生まれたばかりの悟空の戦闘力をスカウターで計測すると2しかなかったことに失望を見せたことからも、悟空のサイヤ人としての能力はもともとそれほど高くはなかったことがうかがわれる。スカウターとはサイヤ人が身に付けているメカのことで、これを装着することで相手の戦闘力を数値化して測ることが可能。戦闘力2が示す通り、幼少時の悟空は戦いにおいて苦戦を強いられる場面も多かった。サイヤ人の特徴として満月を見ると大猿化し、理性を失って無差別殺戮を繰り返す。これが原因で育ての親である孫悟飯を踏み殺してしまうことになるが、本人がそのことに気付くのはずっと後の話である。

超サイヤ人

フリーザ戦においてクリリンが殺され、悟空の怒りが爆発したことで超サイヤ人へと覚醒。当時宇宙最強といわれていた宇宙人であるフリーザは、平時の悟空に対し実力の半分も出さないまま攻撃を繰り出し、悟空を圧倒していた。しかし、悟空の超サイヤ人への覚醒によって形成は逆転。フリーザが全力を出して戦ってもまったく敵わない実力差となり、フリーザを驚愕させた。超サイヤ人として覚醒した悟空は非常に好戦的な性格へと変わっており、一人称が「オラ」から「オレ」に、二人称が「おめえ」から「きさま」に変わるなど、言葉遣いもかなり荒っぽくなっている。また、超サイヤ人に覚醒した直後の悟空は自分でもどこまでその力を制御できるのか把握できておらず、悟空の変身を目にして立ちすくんでいた悟飯に対しても、その場から逃げるよう強い口調で告げている。

超サイヤ人2

超サイヤ人のさらに上をいく状態で、見た目は通常の超サイヤ人と大差はないものの、より髪が逆立ち、金色のオーラに青白いスパークが走るのが特徴。パワー、スピード、どれにおいても超サイヤ人を遥かに超える。本編においては長男の悟飯のほうが先に超サイヤ人2へと覚醒しているが、後に悟空もこの形態を獲得している。

超サイヤ人3

原作における超サイヤ人の最終形態で、魔人ブウ編において悟空が初めてその姿をさらした。魔人ブウとは原作後半で登場するキャラクターで、人間離れした外見と戦闘力を持つ恐ろしい存在。超サイヤ人3になると、金色のオーラはそのままに見た目が大きく変化し、金髪が腰の辺りまで伸び、眉が消失する。戦闘力が倍増するものの体力の消耗が激しく、この姿のままでいられるのは短時間のみという弱点がある。もともとは悟空が「あの世」限定で開発した形態であり、先に述べたような弱点があることから、悟空の「この世」での行動時間は大幅に減少されてしまう。

超サイヤ人4

アニメオリジナルの超サイヤ人の変身形態で、『ドラゴンボールGT』において悟空が初めて変身した。これまでの超サイヤ人とは違って見た目が大きく異なる。金髪に変化することはなく黒髪のままであり、髪が長く伸びる。またサイヤ人が大猿に変身できるという体質を受け継ぎ、全身が赤い体毛に覆われているのが特徴。サイヤ人が大猿化した際の強大なパワーに加えて、大猿にはないスピードが加わることで最強の戦士となっている。

超サイヤ人ゴッド

劇場版『ドラゴンボールZ 神と神』、アニメでは『ドラゴンボール超』にて初披露された変身形態。変身すると赤い髪と赤い瞳になり、全身から放つオーラも炎のような赤いものになるが、髪が逆立つことはない。超サイヤ人ゴッドは「伝説の中の伝説」であり、正義の心を持つ者のみが変身できるといわれていた。これまでの超サイヤ人とはまったく次元の違う強さを誇り、神の領域に至っていない者にはその気を感じ取ることすらできない。悟空はこの形態で戦うことで超サイヤ人ゴッドの力を自分のものとしたが、もともと身体に負荷がかかりすぎる変身のため、解除後の疲労も激しい。また、変身可能時間は短く、変身が解けると同時にゴッドとしての力も解除されるという弱点がある。

超サイヤ人ブルー