神龍（ドラゴンボール）の徹底解説・考察まとめ

神龍の概要

神龍（シェンロン）とは、鳥山明の漫画及びそれを原作とするメディアミックス作品『ドラゴンボール』に登場するキャラクターで、文字通り「神の龍」である。
世界中に散らばる7つのドラゴンボールを集め、「いでよ、神龍。そして願いを叶えたまえ」と声を掛けると現れる。
作中で主に「神龍」と呼ばれるのは地球のドラゴンボールによって召喚されるもので、緑色の鱗に覆われた体に枝分かれした頭部の角といったように古代中国の龍の姿がモチーフとなっている。呼び出されると「さあ、願いを言え。どんな願いでも1つだけ叶えてやろう」と言う。創造主である神様（地球の神）の力を超える願いは叶えられないが、それでも死者の蘇生など超常的な事象は起こせる。

神龍のプロフィール・人物像

CV：内海賢二（TVアニメ『ドラゴンボール』／TVアニメ『ドラゴンボールZ』第100話／TVアニメ『ドラゴンボール改』／劇場版『ドラゴンボールZ 神と神』）、佐藤正治（TVアニメ『ドラゴンボールZ』第192話、193話）、青森伸（劇場版『龍拳爆発！！悟空がやらねば誰がやる』）、郷里大輔（TVアニメ『ドラゴンボールGT』）、大友龍三郎（TVアニメ『ドラゴンボール改』第97話以降）

神龍は常に威厳のある口調で話すが、劇場版『ドラゴンボールZ 神と神』では破壊を司る神ビルスに怯え、腰の低い態度で接していた。劇場版『ドラゴンボールZ 神と神』の世界観を受け継ぐTVアニメ『ドラゴンボール超』でもビルスに対する低姿勢は変わっておらず、「ビルス様がいる」と脅され帰るに帰れない状況が続くなどコミカルな描写が増えた。

その他、地球の神の故郷であるナメック星の神龍（通称ポルンガ）の他、全てのドラゴンボールの元となった超（スーパー）ドラゴンボールから出現する超神龍（スーパーシェンロン）なども登場する。
原作終了後に放送されたTVアニメ『ドラゴンボールGT』では、ドラゴンボールの乱用で生まれた邪悪龍（じゃあくりゅう）と呼ばれる存在が登場。主人公孫悟空（そん ごくう）の前に敵として立ちふさがった。

神龍の来歴・活躍

『ドラゴンボール』

ピラフ編

育ての祖父に先立たれた少年孫悟空（そん ごくう）は、発明家の少女ブルマと出会い、祖父の形見がドラゴンボールと呼ばれるアイテムの1つだと知る。ブルマから「ちょっと（悟空の持つボールを）貸してほしい」と言われた悟空は、彼女と共に残りのボールを探す旅に出る。
豚人間のウーロン、砂漠の強盗を自称するヤムチャを仲間に加えた悟空たちは、世界征服を目論むピラフ大王の一味に捕らえられ、ドラゴンボールを全て奪われてしまう。
世界征服の野望を叶えるべく神龍を呼び出したピラフだが、ウーロンに願いを横取りされた。
願いを叶え終わった神龍は消え、ドラゴンボールはただの石ころとなって世界に散らばる。悟空は祖父の形見の四星球（スーシンチュウ）を探すべく旅に出る。ブルマとの旅の最中で出会った武術の神の異名を持つ亀仙人（かめせんにん）に弟子入りをした悟空は、共に弟子入りをした武道家のクリリン共々天下一武道会と呼ばれる武術大会に出場。更なる猛者の存在に世界の広さを感じ、より強くなることを求めるようになる。

レッドリボン軍編

ドラゴンボール探しの中、悟空は悪の組織レッドリボン軍と戦うことになる。同じくドラゴンボールを狙うレッドリボン軍は子供ながら侮れない強さの悟空に対抗すべく殺し屋桃白白（タオパイパイ）を雇った。聖地カリンと呼ばれる場所の住民ボラとその息子ウパに出会った悟空は、桃白白の攻撃を受け気絶。ボラは殺されてしまう。四星球を胸に入れていたた為助かった悟空は、父を失ったウパにドラゴンボールでボラを生き返らせると約束する。
攻防の末に桃白白を撃破し、レッドリボン軍を壊滅に追い込んだ悟空は、約束通りボラを生き返らせるのだった。

ピッコロ大魔王編

第22回天下一武道会の後、悟空の荷物を取りに行ったクリリンが何者かに殺された。相手は出場者の名簿とドラゴンボールを奪って逃げたと聞き、悟空は亀仙人の制止を振り切り追いかける。クリリンを殺したのは、タンバリンという魔族だった。かつて世界を恐怖に陥れたピッコロ大魔王がピラフたちにより復活し、ドラゴンボールを集めていた。
ピッコロ大魔王の目的は全盛期の頃まで若返ることで、過去に自分を封印した武泰斗（むたいと）のような武道家は邪魔になると考え部下たちに殺させていた。亀仙人は師・武泰斗同様自身の命と引き換えにピッコロ大魔王を封印しようとしたが失敗し、死亡する。ドラゴンボールで神龍を呼び出したピッコロ大魔王は全盛期まで若返ると、自分を脅かす者が出ないよう神龍を殺してしまう。
悟空は武術の神と呼ばれた仙人カリンの力添えもあってパワーアップをし、死闘の末ピッコロ大魔王を撃破する。死に際、ピッコロ大魔王は卵を吐き出し、我が子に野望を託した。

神龍がいない今、ピッコロ大魔王に殺された者たちを生き返らせることはできないと思われたが、カリンがドラゴンボールを作った神様に会いに行けと悟空に言う。
神様は元々天才的な武道家で、神の座に就く為に悪の心を切り離した過去があった。その悪の心が地上に降り立ち、ピッコロ大魔王として人々を苦しめたのだった。神様がピッコロ大魔王を倒さなかったのは、元々同一人物であり、共倒れで死んでしまう為であった。
ピッコロ大魔王を生み出した贖罪と、倒してくれた礼の意味もあって、神様は神龍を復活させる。神龍はピッコロ大魔王に倒された者をすべて生き返らせた。
ピッコロ大魔王が生んだ分身が3年後の天下一武道会に現れると聞いた悟空は、神殿で修業を行う。

3年後、ピッコロ大魔王の分身はマジュニアの名で第23回天下一武道会に出場する。マジュニアことピッコロは悟空との激闘の末に敗北。悟空はピッコロを倒すと神様も死んでしまうことを知っており、仙豆（せんず）という回復アイテムをピッコロに渡す。「宿敵がいなくなるのは寂しい」との意味もあった。
この大会には、悟空と幼い頃に出会い、彼の妻になることを夢見ていたチチも参加していた。神様から自分の後任となり、神殿に住むよう頼まれた悟空だが、「あんな退屈な所はゴメン」だと言い、チチと共に去って行った。

『ドラゴンボールZ』

サイヤ人編

ピッコロ大魔王との戦いから5年後。地球に戦闘民族サイヤ人という異星人が現れる。初めに現れたラディッツが言うには悟空もまたサイヤ人で、地球の住民を抹殺するのが役目であったらしい。息子の悟飯（ごはん）を人質に取られた悟空は、既にラディッツとの戦力差を実感していたピッコロと共闘。ラディッツもろともピッコロの攻撃を受けた悟空は死亡した。ラディッツは、自分たちのやり取りは全て他の星にいる2人のサイヤ人に伝わったと言い残し息絶える。ドラゴンボールのことも知られ、1年後にはラディッツ以上の力を持ったサイヤ人がやってくることとなった。
悟空は神様によって肉体のある状態で界王（かいおう）と呼ばれる神の下で修業をすることとなる。ピッコロは悟飯を鍛え、他の仲間たちもそれぞれ修行をしてサイヤ人との戦いに備える。

1年後、現れたサイヤ人のベジータ、ナッパは尋常ではない強さで悟空側の仲間たちを次々と倒していった。
神龍によって生き返った悟空はナッパを圧倒。ベジータはナッパに見切りをつけ、殺害する。サイヤ人とは、本来残忍な種族であった。悟空は戦うことは好きだが相手の命までは奪わない性質で、それは地球に来た時に頭を打ち、性格が反転したことが原因であった。
サイヤ人の王子であるベジータは凄まじい力を持っていた。それでも皆との連携、悟飯の大猿化（満月を見ると巨大な猿になるサイヤ人の特性）により、悟空らはベジータを瀕死の状態に追い込むことに成功。悟空は、ベジータと万全な状態で戦いたいと彼を逃がす。

ナメック星編

ベジータ、ナッパとの戦いの中で、ピッコロがナメック星人と呼ばれる異星人であること、ナメック星にもドラゴンボールがあることが分かった。ピッコロの死に伴い神様も死んだ為地球のドラゴンボールは使えなくなり、悟空たちはナメック星に向かうことになる。
地球の技術では到底ナメック星まで行けないが、神様が昔地球にやってきた時に乗っていた宇宙船、ラディッツの乗っていた宇宙船の分析や改造によりナメック星へ向かうことができた。

ところが、ナメック星にはベジータでも適わないフリーザと呼ばれる宇宙人も来ていた。ベジータたちの会話を傍受していたフリーザは、部下を引き連れてナメック星人の村を襲撃。仲間を殺すと脅してボールを奪っていた。
フリーザたちの横暴に怒った悟飯はナメック星人の子デンデを助け、逃走。不老不死になってフリーザを倒したいベジータ、同じく不老不死になりたいフリーザとのドラゴンボールの奪い合いという構図になる。ベジータは、フリーザが呼んだ精鋭部隊であるギニュー特戦隊との戦闘でやむを得ずクリリンたちと手を組む。仙豆が実るのが遅れたため、ベジータとの戦闘の傷がなかなか癒えなかった悟空は、悟飯らに少し遅れる形でナメック星に到着し、ベジータでも苦戦したギニュー特戦隊を圧倒する。
他者と肉体を取り換える能力を持ったギニューは、一度自身の肉体を傷つけた上で悟空と体を入れ替える。後に悟空の機転でギニューは悟空と再び入れ替わった上、カエルと入れ替えられ闘不能になった。悟空は、フリーザが不在の宇宙船に遭ったメディカルマシンで治療を受ける。ベジータが眠っている間、クリリンたちは地面に埋まっていたドラゴンボールを全て掘り返し、デンデによってナメック星の神龍「ポルンガ」を呼び出した。
地球のドラゴンボールとは違い、3つの願いを叶えられるが、1度の願いで生き返れるのは1人だけだった。界王の下で修業をし、ナメック星の様子を聞いていたピッコロは悟飯の心に語り掛け、1つ目の願いで自分を生き返らせ、2つ目の願いでナメック星に呼ぶように言う。ピッコロの思惑通り、彼の復活によって神様も生き返り、地球のドラゴンボールも復活した。
最後の願いを言う前に、ドラゴンボールの管理者である最長老がフリーザに殺され命を落とした。フリーザは願いが使われたことを知って怒る。フリーザの強さはまさに圧倒的なもので、ベジータはあまりの力の差に恐怖し、涙を流す。

治療が終わった悟空は、死にゆくベジータからサイヤ人のかたき討ちを託されフリーザと戦闘。この戦いの中、クリリンを殺された怒りで、悟空は大猿よりも強い戦闘力を持った形態超（スーパー）サイヤ人に覚醒した。フリーザは悟空たちをナメック星もろとも消し飛ばそうとする。ナメック星爆発の時間が迫る中、地球のドラゴンボールが集められ、神龍が呼び出される。願いは「フリーザ一味に殺されたものをすべて生き返らせる」だった。
ナメック星と地球の隔たりはあったが願いは叶えられ、ナメック星人たち、ベジータは終焉を迎えつつある星で生き返る。最長老の復活に伴い再び姿を現したポルンガは、「悟空とフリーザ以外を地球に移動させる」との願いを叶えた。
悟空はフリーザを倒すが、止めを刺しきれていなかった。

人造人間編

改造手術を受け生き延びたフリーザは、父のコルド大王や部下を引き連れ地球に訪れる。悟空不在の中戦おうとした戦士たちだが、フリーザたちは未来からやって来たトランクスという戦士によりあっという間に倒された。トランクスのいる未来世界は、人造人間と呼ばれる脅威により荒廃していた。その未来で悟空はウイルス性の心臓病に掛かって死んでおり、他の戦士もいなかった。トランクスは、フリーザ一味が倒されてから地球に帰還した悟空に自分の出自（ブルマとベジータの息子）と人造人間が現れる日時、場所を話し、心臓病の薬を渡して一時未来に帰る。
現れた人造人間は、未来のトランクスも知らないものだった。やがて、未来世界で暴れる人造人間17号と18号の他、ロボットタイプの16号、そして究極の人造人間セルの存在が明らかになる。17号と18号を吸収し、完全体となって何者も敵わぬ力を手に入れたセルは、強者と戦う為のセルゲームの開催を宣言する。
地球の神はピッコロと再融合を果たしたため、ドラゴンボールは石ころになっていた。ドラゴンボールが必要になってくると感じた悟空は、地球に戻る前に覚えた技「瞬間移動」で新たなナメック星に向かい、新しい神様としてデンデを連れてくる。

既に地球にあるドラゴンボールを強化したことで、神龍が叶えられる願い事が1つから3つになった。セルとの戦いが終わった後、神龍は「悪人以外でセルに殺されたものを生き返らせる」との願いを叶える。大人数を生き返らせた為、残る願は1つとなった。
18号に好意を抱いていたクリリンは、17号と18号を元の人間に戻せないかと神龍に尋ねる。人造人間を生み出したドクター・ゲロの科学力は人知を超えており神龍の能力では対応しきれない為、その願いは叶えられないと神龍は答えた。クリリンはせめて2人の体内にある爆弾を取り除いてやってほしいと願う。神龍の力が及ぶ願いである為、そちらの願いは叶えられた。

魔人ブウ編

太古の昔、魔導士ビビディがブウという魔人を作った。界王神と呼ばれる神々は総出で魔人ブウを封印に持ち込む。
時が流れ、ビビディの息子のバビディがブウ復活を画策する。界王神たちの中で生き残った東の界王神は、天下一武道会に「シン」という名で参加し悟空たちと接触。驚異的な戦闘力を持った彼らに、ブウの復活阻止の協力を要請した。
しかしブウは復活してしまい、世界中で殺戮と破壊を繰り返す。とはいえ、殺しや破壊を「遊び」と教えられていただけで、ブウ自身は無邪気な性質と気に入った相手を殺さず家来にしたり、可愛がったりする感性も持ち合わせていた。サタン（セルゲームの際、セルを倒すと期待されていた格闘チャンピオン）の説得で破壊や殺戮をやめたブウだが、拾った子犬やサタンを悪者に撃たれた怒りが元で純粋悪のブウと分離し、吸収されてしまう。
悟空たちは死闘の果てに悪のブウを倒した。この戦闘の中、無邪気なブウは悪のブウから吐き出され、サタンを守る為に戦う。これにより無邪気なブウはサタンの家で保護されるようになる。神龍は、関係者以外の地球人の記憶からブウのことを消した。

『ドラゴンボールGT』