アウルハウス（ディズニー・チャンネル）のネタバレ解説・考察まとめ

『アウルハウス』の概要

『アウルハウス』とは、ディズニーチャンネルで放送されたアニメーション番組である。アメリカでは2020年1月10日、日本では2020年7月23日から放送されている。また2022年からはDisney+でも配信されている。
本作は主人公の人間・ルースが魔界へと続く扉をくぐり、ボイリング島で魔女・イーダと妖魔・キングに出会うところから物語が始まる。最初は見たこともない世界に戸惑うルースだったが、人間界で「変わり者」として扱われていたルースは、イーダとキングが同じように「変わり者」として扱われていても自分を曲げずに楽しく生きていることに感銘を受ける。そして魔界でなら自分のやりたいことができるかもしれないと考え、人間界に戻らずに魔女になるための修行を始めることを決意する。イーダたちとの日常の中で繰り広げられるドタバタ劇や、ルースの魔女へと成長していく姿、心の葛藤、魔界の仲間たちとの友情、LGBTQをテーマにしたストーリーなど、見どころ溢れる作品となっている。

『アウルハウス』のあらすじ・ストーリー

シーズン1

魔界に迷い込んだルース

空想が大好きな人間の少女・ルースは、誰も思いつかないような発想でいつも周りを驚かせていた。変わり者として扱われ、同年代の子たちに馴染めずにいたルースを心配し、母親のカミラは3か月間サマーキャンプに行くように伝え、ルースは愛読書『よい魔女 アズーラ』をカミラの前でゴミ箱に捨て安心させようとする。
そこへ1羽のフクロウが現れ、ルースの本を持ち去ってしまう。フクロウを追いかけてドアを通り抜けたルースは魔界へとたどり着いてしまい、そこで人間のガラクタを売っていた魔女のイーダと出会う。イーダが指名手配犯として追われる身であったことから、その場から逃げるためにルースはイーダと共に「アウルハウス」と呼ばれるイーダの自宅へと向かうこととなった。

アウルハウスに着くと、そこにはキングという妖魔がいた。彼は自分のことを魔界の王と呼び、王冠を取られてパワーが出ないと話す。この王冠は現在牢獄にあり、人間だけが取りに行くことができると話すイーダ。ルースは王冠奪還の手伝いをすることを決め、牢獄で番人たちとの戦いを繰り広げる。

無事アウルハウスに戻ったルースは、イーダやキングが自分らしく生きている姿に感銘し、魔界に残って魔女の修行をすることを決意。人間は魔法を使えないとされていたが、イーダはルースを弟子として迎え入れ、アウルハウスでの共同生活が始まるのだった。

ヘキサイド魔法魔術学校とイーダの呪い

イーダが真面目に魔法を教えてくれず、手伝いばかりの日々に不満を抱いていたルースは、ある日、ウィローという学生に出会う。彼女はヘキサイド魔法魔術学校に通う生徒だったが、アボミネーションという泥人形を作り出すことが苦手で半人前の魔女と呼ばれていた。ルースは自分がアボミネーションになって試験の手伝いをする代わりに学校の中に潜入できることになり、ウィローの友人・オーガストや成績優秀な生徒・アミティなどに出会う。
アミティはすぐにウィローとルースの異変に気付き、秘密を暴こうとするが失敗し、バンプ校長に全てを話してしまう。ルースは校長の提案で解体されそうになるが、ウィローが得意な植物魔法を使ってルースを逃がすことに成功し、事なきを得るのだった。しかしルースは学校への出入りを禁止される。

その後、なかなか魔法を使うことができないルースは焦りを覚え始め、イーダにもっと魔法を教えてほしいと頼み込んでいた。しかしイーダは疲れて眠ってしまう。キングはイーダがいつも飲んでいる薬が魔法の源であると考え、イーダの部屋からこっそりと薬を盗みルースに届ける。しかしルースは薬瓶を落としてしまい、薬は全て台無しになる。

するとアウルハウスに一匹の妖魔が襲い掛かる。キングは雨の日に現れるスナグルバックだと話し、ルースは急いでイーダの部屋に向かうがイーダはどこにもいなかった。そして妖魔の正体がアウルモンスターに変身したイーダであることが判明する。イーダは毎日薬を服用しないとアウルモンスターに変身してしまう呪いにかかっていたのだ。キングと共に家の中を逃げ回るルースだったが、その中で魔法の取得方法に気づき、紙に魔方陣のようなマークを書いてみると光の魔法を作り出すことに成功。その後ルースは巨大な光を作り、光に弱いアウルモンスターからイーダに戻すと、イーダはルースとキングに若い頃に呪いにかかってしまったことを話し、それが「アウルレディ」と呼ばれる所以だと説明するのだった。

エンペラーズカブン

ルースは魔法団（カブン）の大会があることを聞き、イーダとキングを連れて会場に向かう。イーダはカブンのことを「所属先以外の魔法が封印される」と説明し、自分はどこのカブンにも属していないため指名手配されていると話す。
舞台上でエリートしか入団することができない「エンペラーズカブン」が紹介されると、そのリーダーを務めていたのはイーダの姉・リリスであることが判明する。イーダは複雑な表情を浮かべながら会場を後にしたが、リリスと遭遇してしまう。
一方、ルースはアミティと遭遇し、自分とキングのことをバカにされてケンカになっていた。ルースはキングのことをバカにされたことをひどく怒り、愛読書『よい魔女 アズール』に登場する言葉「もう許さん！いざ魔女の決闘をせん！」とアミティに申し込んでしまう。アミティは負けたらルースは魔女になることを諦めるという魔法の誓いを立てさせ、決闘を受け入れるのだった。

アミティはリリスの1番弟子だったため、2人の決闘は師匠同士の決闘でもあった。しかしルースはイーダが仕込んだいかさまで戦い、アミティもリリスから魔力が増幅されるシンボルシールを貼られていたことが発覚する。アミティはそのことを知らなったため、ショックを受けてその場から逃げ出してしまう。ルースはアミティを追いかけていき、決闘はイーダとリリスが続行することに。しかしリリスの魔法に押されてしまったイーダが自身の呪いについて話して隙を作り、勝手に引き分けにしてその場を立ち去るのだった。
一方、ルースはアミティから自分の頑張りを邪魔するなと怒られていた。アミティはトップの魔女になるために日々努力を重ねていたのだ。ルースは自分もできることから頑張っていると伝え、やっと習得した光の魔法を披露する。それを見たアミティは結んだ誓いを取り消し、ルースに対して考えを改めるようになる。

グロムパーティー

イーダのおかげでヘキサイド魔法魔術学校への入学を許可されたルースは、学校に忍び込んだバジリスクを倒したことでバンプ校長から学科の掛け持ちをすることも許可される。

その後、ルースは初めての学校行事であるグロムパーティーに参加することとなる。このパーティーでは毎年グロム・クイーンが選ばれるのだが、今年のクイーンはアミティに決定する。クイーンになると恐怖を操るモンスター・グロメシアス（グロム）を倒さなくてはならず、アミティは自分の恐怖がみんなに知られることを恥ずかしいと感じていた。ルースはそんなアミティの代わりにクイーンになると決め、グロムパーティーに臨む。

ついに本番を迎えると、グロムはルースが苦手なものに変身して攻撃を開始する。ルースはそんなグロムにどうにか対抗していくが、グロムはルースの母親に変身しルースはひどく動揺してしまう。会場にいたイーダはルースを追いかけて助けようとするが、そこに颯爽と現れたのはアミティだった。アミティがグロムの前に立ちはだかると、グロムはアミティの恐怖を読み取り、アミティのポケットに入っていた手紙をビリビリに破いてしまう。それはアミティがルースをグロムパーティーに誘おうとして書いた手紙であり、アミティは誘いを断られることを恐れていたのだ。相手が誰だか知らないルースは、自分で良ければ一緒にパーティーに参加すると伝え、それを聞いたアミティはホッとした表情でルースをダンスに誘う。2人は踊りながら魔法でグリムに攻撃し倒すことに成功。ルースとアミティの頭にはクイーンの象徴である王冠が現れるのだった。そしてアミティは更にルースへの気持ちを募らせ、2人の距離は縮まっていく。

皇帝ベロスの真の目的

イーダは呪いがどんどん進行し、薬が効きにくい体になっていた。
そんな時、ルースは遠足でベロスの城に行くことになり、「ヒーリング・ハット」という不治の病や呪いを解くことができる魔法具が見れることを知ると、イーダのために盗むもうと決心する。
その後、ルースがヒーリング・ハットを盗もうとしていた現場に居合わせたリリスは、ルースを人質にイーダに魔女の決闘を申し込む。イーダはすぐにリリスの元へと向かうが、ルースを盾にされ自由に動けず、魔力だけが消耗していく。そしてついに魔力が底をつくとアウルモンスターになってしまい、リリスに捕獲されてベロスの元へと連れていかれるのだった。

ベロスにイーダを差し出したリリスは呪いを解くようにお願いするがベロスはその願いを叶えず、イーダは凶悪犯が受ける石化の刑に処されることとなる。ベロスの真の目的はイーダが持っている人間界と行き来ができるポータルと鍵を手に入れることだったのだ。

一方ルースはキングと共にイーダ救出へと向かう。イーダの元までたどり着いたルースだったが、ルースの魔法では鎖を解くことができず、イーダはポータルと鍵をルースに託し人間界から鍵をかけるように指示し、石化の刑へと連れていかれてしまう。するとそこにリリスが現れ、エンペラーズカブンの入団テストを受ける際に負けたくないという理由でイーダに呪いをかけてしまったことを話し、ベロスに呪いを解いてもらう約束をしていたことを告白する。そしてイーダの杖をルースに渡し、イーダの救出に協力してほしいと頼むのだった。
ルースは疑いながらも協力することを決めるが、リリスとキングはすぐベロスに捕まってしまい、ルースは1人でベロスに立ち向かうこととなる。ベロスの魔法に全く歯が立たないルースは、イーダの石化を止めるためにポータルを差し出すことに。しかしポータルにはグリフ魔法が施されており、ベロスの手に渡ると火魔法で全て焼き尽くされてしまう。
処刑場にたどり着いたルースは石化を止めることに成功し、無事アウルハウスへと逃げ切る。そしてイーダはリリスの痛みを分け合う魔法によって呪いを分け合い、何とか元の姿に戻ることができたのだった。

シーズン2

新たな生活がスタート

ポータルが無くなったため、ルースは人間界に戻ることができなくなっていた。しかし鍵だけは持っており、いつか戻る方法を見つけると決心する。そしてベロスを裏切ったリリスも一緒に暮らすようになり、魔力を失ったイーダたちはグリフ魔法を練習しながら新たな生活をスタートする。

そんなある日、イーダとルースはエンペラーズカブンの新たなリーダーであるゴールデンガードに遭遇する。彼はベロスの命令でルースたちに接触してきたのだ。キングを人質にセルキドムスというモンスターを仕留めてくるよう命令されたルースは、イーダにグリフ魔法を教えながら戦いに挑む。なんとかセルキドムスを仕留め、キングを解放することに成功すると、ゴールデンガードはその場を立ち去っていった。

人間界と繋がったルース

昔、魔界にフィリップという人間がいたことを知ったルースは、彼が残した日記を調べながらポータルを作ることに成功する。
試作品で人間界に向かおうとしたルースだが、そこは鏡の世界に繋がっており、ルースは鏡越しにドッペルゲンガーの自分がいることを知る。彼女はヴィーという大昔に絶滅したバジリスクで、魔法を吸い取る術を調べるためにベロスによって復活させられた存在だった。ベロスの元から逃げ出して居場所を探していたヴィーはルースの家に居座っていたのだ。

その後、人間界にも魔法使いや妖魔のことを調べている人物がおり、ヴィーはその男に捕まってしまう。ルースは母親・カミラのスマホに自分を映し出し、カミラにこれまでのこととヴィーのことを全て説明する。カミラはルースの遊びだと思い込みながらヴィーのことを迎えに行くが、そこで本物のバジリスクを見ることになりルースの話が本当であることを知る。なんとかヴィーを救い出したカミラは自宅にヴィーを住まわせることを決め、ルースの現状を全て受け入れる。しかしルースが自ら魔界にいることを選んだと知り、ひどくショックを受けることとなった。

人間だった皇帝ベロス

ルースはフィリップに会うため、過去に遡ることができるタイムプールをリリスと見つけ出し、調査に向かう。デッドワード朝時代の魔界にたどり着くと、そこには魔界の住人たちから虐げられているフィリップがいた。ルースは彼を助け、フィリップの手伝いのために行動を共にする。フィリップはポータルを完成させるためにコレクターという人物を探していたのだ。
しかしフィリップはコレクターが眠る円盤の側で冬眠をしていたモンスター・ストーンスリーパーへの囮としてルースたちを利用し、円盤を手に入れると1人その場を去ってしまう。モンスターを手懐けることに成功したルースはフィリップを追いかけポータルの作り方を聞き出そうとするが、フィリップは今後も囮になるという交換条件を出す。それに怒ったリリスは彼の顔面を殴り、ルースと2人で現代へと帰るのだった。

その後、ベロスが邪悪だという証拠を掴むため、ルースはハンターとの接触を試みる。しかしハンターはワイルド魔法でベロスの頭の中に侵入しようとしている者たちを追っている最中であったため、2人はタイミング悪くその魔法に巻き込まれてしまう。
ベロスの頭の中に入ってしまった2人は仮面を被った少年と目玉だらけのモンスターに遭遇し、モンスターに追われ始めた2人は少年の導きによって本当の過去を見ることとなる。ベロスの正体はフィリップであり、歴代のゴールデンガードを使ってワイルド魔法による被害が本当かのように見せていた。そしてタイタンの声が聞こえると嘘をつき、島民たちを支配して魔法使い狩りを進めていたのだ。更にハンターを始めとするゴールデンガードたちはフィリップが作り出したものであり、作戦が失敗する度に壊される存在であることが判明する。
そんな中、モンスターの正体が魔除けたちで少年がフィリップであることが分かり、ルースは徐々に追い込まれていく。ハンターの助けでなんとか危機を乗り切ったルースは、イーダによって救出されアウルハウスに戻ることに成功する。

キングはタイタン

キング宛に戦士の一族という人物から手紙が届いていたことが発覚し、ルースとキング、フーティーはタイタントラッパー島へと出発する。そこでタイタントラッパーという島民たちに出会い、キングは自分の仲間がいたことに喜ぶ。しかし実はコレクターを神だと崇めている種族で、骸骨の被り物を被ってタイタンに成りすましているだけだった。そして対敵であるタイタンをコレクターの生贄にしようとしていたのだ。キングが本物のタイタンだと分かると捕えようとする島民たちだったが、ルースたちは協力して脱出することに成功する。

ボイリング島に戻ると自分たちが指名手配されていることが分かり、イーダとリリスもアウルハウスを離れて身を潜めていた。イーダたちに合流することができたルースはキングがタイタンであったことを伝える。