ポルノグラファー/インディゴの気分/續・ポルノグラファー プレイバックのネタバレ解説・考察まとめ

『ポルノグラファー』『インディゴの気分』『續・ポルノグラファー プレイバック』とは、丸木戸マキによるボーイズラブ漫画、およびそれを原作としたメディアミックス作品群。シリーズを通して少ない話数で構成されているが、余韻に重きを置いた繊細で耽美な世界が多くの支持を集める。それぞれの作品が実写ドラマ化・実写映画化され、原作コミックと実写版双方に熱烈なファンを産み出した。初心な男子大学生と官能小説家の純愛を通し、作家としての創造性と挫折を表現した物語としても非常に高い評価を獲得している。

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『ポルノグラファー』『インディゴの気分』『續・ポルノグラファー プレイバック』の概要

『ポルノグラファー』『インディゴの気分』『續・ポルノグラファー プレイバック』とは、丸木戸マキによるボーイズラブ漫画、およびそれを原作としたメディアミックス作品群。
2015年から2016年にかけて、シリーズ第一作となる『ポルノグラファー』が連載された。全7話と少ない話数ながら、余韻に重きを置いた繊細で耽美な世界観が大いに支持され、第8回 BLアワード 2017において「次に来るBL作品ランキング」2位に選ばれるほどの人気となる。2016年からは『ポルノグラファー』の続編として『インディゴの気分』の連載を開始。ボーイズラブの定石とは異なり、ほろ苦い過去の恋愛をストーリーテリングの巧みさで読ませることで「筆舌に尽くしがたい余韻を残すラスト」を実現し、熱心な支持を得る。
2019年2月から『on BLUE』誌上で『續・ポルノグラファー プレイバック』の連載を再開。2018年10月に番外編として発表された『続・春的生活』と合わせる形で、2019年10月25日に単行本が発売された。
2018年にはFODで実写ドラマ『ポルノグラファー』、2019年には『ポルノグラファー』『インディゴの気分』の2作をまとめた実写ドラマ版として、『ポルノグラファー~インディゴの気分~』の配信がそれぞれスタート。このほか、2021年にキャストとスタッフがドラマ版から続投する形で制作された、『劇場版ポルノグラファー〜プレイバック〜』が公開となった。

初心で純粋な男子大学生と、嘘つきな官能小説家との純愛を描くと同時に、作家の創造と挫折を余すことなく表現した物語でもある。2人で共同作業として行う口述筆記に始まり、妄想や現実、創作の原動力としての性愛など、活字をめぐって展開される衝動やエロスが美しい筆致で描かれている。

『ポルノグラファー』のあらすじ・ストーリー

大学生と官能小説家の出会い

大学生の久住春彦は自転車で走行中、小説家である木島理生と追突事故を起こし、全治1カ月半の怪我をさせてしまう。月に三本の〆切を抱える人気作家の木島は、久住に小説の口述筆記をする仕事を依頼し、その代わりに事故の治療費は免除するという形で示談を持ちかけた。
これを受け入れた久住は、実際に木島の小説の口述筆記をするようになって初めて、木島が官能小説家だと知る。
木島が小説を朗読するのを聞くうちに体が反応してしまった久住は、彼の存在をどう考えればいいのか、少しずつ戸惑いを覚えるようになった。
そんなある日、木島の家に担当編集者の城戸が訊ねてくる。久住は木島と城戸が古くからの付き合いがあり、親しい間柄であることに気がついた。
その夜は城戸も含めた3人で酒を飲み、木島が酔い潰れてしまう。泥酔した木島を、城戸と久住は協力してベッドへ運んで寝かしつけた。しかしその後、久住は木島に誘われるままに共にベッドに入り、勢いのまま抱き合ってキスをしてしまう。その後、久住は口述筆記のときに、自分と木島との性行為を妄想するようになっていった。

結ばれた2人

口述筆記を始めて1ヶ月が過ぎ、木島の右手のギプスが外れたころ。自分の仕事が終わりに近いことに気づいた久住は、引き続きアシスタントとして雇ってほしいと申し出たものの、木島はもう口述筆記は終わりすると、その申し出を断った。久住はもっと自分の時間を大切にするべきだというのが理由のようだ。
やがて、久住は自分が口述筆記している小説が、木島が過去に出版した作品と同じ文章だと気がつく。そのことを久住に指摘された木島は「月に3本の仕事が入っているというのも嘘で、一年以上仕事がない状態だ」と暴露した。本気で彼を心配し、手伝っているつもりだった久住は、嘘をつかれていたことへの怒りと、突き放された悲しさで木島を殴りつけた。
そして久住は「木島の作品も、木島自身のことも好きなのだ」と伝える。
それを聞いた木島は「自分と寝たいのか」と久住に迫る。そんな彼の態度に傷ついた久住は二度と会わないと決意し、木島の家を去るのであった。
それからしばらくして、久住のところに、木島の状態を案じた城戸から電話がかかってくる。
城戸からの話で、木島が約1年前もの間、スランプで小説が書けない状態にあったことを知った久住は、城戸が持っていた合鍵を譲ってもらい、木島の家へ向かうことにした。
その道中、木島から今生の別れを告げるようなメールを受け取った久住は、彼が自殺するのではないかと案じて慌てる。しかし木島は、小説家の道を諦めて実家に帰るつもりでいた様子だった。
久住は「最後に自分のために小説を書いて欲しい」と木島に懇願する。これに対して木島は「書きたい気持ちがあるのに書けない」という苦しみを久住に打ち明けた。
心を通わせたふたりは身体を重ねる。翌朝、久住が目を覚ましたとき、木島は既に立ち去っていた。
それからしばらくして、木島の新作小説が刊行された。久住はそれを手に取り、自分と木島の間に起こった出来事に、どこか燻る気持ちを抱えながら想いを馳せるのであった。

『インディゴの気分』のあらすじ・ストーリー

木島と城戸の親交の始まり

出版社で官能小説を担当している城戸士郎は、大学時代の同級生で、自身が担当する小説家でもある木島理生から、「久住とつきあうことになった」という報告を受けた。
素直に2人の幸せを喜び、久住を大事にしてやるように伝える城戸だが、彼の脳裏には過去の出来事が去来していた。

大学時代の恩師の訃報が届き、葬儀に参列した城戸は、学生時代の友人で文学青年だった木島と再会した。かつて自身も作家を目指す文学青年だった城戸は、木島の著作「インディゴの気分」を読み、打ちのめされた時のほろ苦い気持ちを思い出しながら彼に声をかける。
自分のことをすっかり忘れた様子の木島に城戸は落胆したが、帰りの電車賃がなく歩いている木島を見つけ、送っていくことになった。そして反対に、木島は当時付き合っていた彼女に家を追い出された城戸を、自身の家に泊めてくれることになった。
しかし、木島の家のシャワーは壊れてお湯が出ず、お世辞にも暮らしぶりがいいとはいえない彼を城戸は心配する。木島は純文学作家を志していたものの、芽が出ず、生活にも困っている状態のようだった。
城戸はそんな木島に、あくまでも「生活のための仕事」として、自身が編集を務める官能小説のレーベルで執筆してみることを提案する。
木島は「官能小説は文学じゃない」と激昂し、プライドを傷つけられた様子を見せたが、城戸は、自身が作家の道を諦めるきっかけになった「天才」の木島に、作家を諦めてほしくないという思いで説得にあたる。
城戸は「給湯器も自分が買ってやる、名前も変えて構わない」と木島を説き伏せた。結局、背に腹は代えられぬ状態にあった木島は、生きていくためにその仕事を引き受ける。

発展する関係性

木島は不慣れながら、少しずつ作品の執筆を始めた。参考として城戸が貸し出した官能小説もしっかりと目を通した木島は、蒲生田郁夫という作家の本が気に入ったという。
城戸が「その作家は官能小説界の大御所だ」と木島に教えてやると、彼は官能小説をこき下ろすような発言をした自分を省みているそぶりを見せた。
そんなある日、城戸の元に、その蒲生田郁夫から担当に指名されるというチャンスが訪れた。
蒲生田は病気で余命わずかで、次の作品が自分の遺作だと考えているという。
この作品の担当を務め、成功させれば自身の編集者としての評価は一気に上がると考えた城戸は、早速蒲生田の元を訪ねた。しかし、蒲生田から「城戸が来る少し前に、大手の出版社も営業に来ていた」と聞かされてしまう。翌日、出社した城戸は「蒲生田が大手出版社に依頼するという断りの連絡を入れてきた」という知らせを受け取った。
焦る城戸の目に、デスクに置きっぱなしにしていた「インディゴの気分」の表紙が飛び込んでくる。城戸はそれを見て、何かひらめいた様子を見せるのであった。
城戸は、木島を蒲生田のもとへ弟子として送り込み、修行させるという形で遺作プロジェクトに関わらせることを、木島に無断で決めてきた。とりあえず蒲生田を訪ねた城戸と木島は、無茶ぶりに答えたことをきっかけにして肉体関係を持ってしまう。
こうして、蒲生田のもとで修行を始めることになった木島は、指導を受けるうちに欲望や感情を言葉にする才能を徐々に開花させていく。

蒲生田の入院と城戸の秘密

城戸はある日、蒲生田の家に招かれた。その席には木島も同席しており、彼が仕上げた官能小説の原稿を手渡される。城戸はその原稿の完成度の高さに驚き、その席は徐々にお祝いムードになっていった。謙遜する木島に対し、蒲生田は上機嫌で作品を絶賛。木島の本の帯を書くと張り切っている。
木島は苦笑いしながら、蒲生田の病人用の食事を用意するために席を離れていった。蒲生田は木島をすっかり気に入ったようで、女性であれば自分のものにしたかった、とまで言い放つ。それを聞いている城戸は、徐々に複雑な気持ちを抱く自分に気が付いてしまう。
和やかに宴席は続いたが、病状が悪化した蒲生田が突然倒れる。木島は蒲生田を支え、休ませるために家の奥へ連れていった。その顔にはハッキリと心配の色が滲んでいた。
蒲生田を寝かせた木島が部屋を出ると、そこには城戸が待ち構えていた。城戸は木島を空き部屋に連れ込んだ。
しかし事の最中、蒲生田の病状が急変。家政婦の悲鳴が聞こえるや否や、木島は慌てて服を着て部屋を飛び出していき、蒲生田は病院へ運ばれることになった。
入院中の蒲生田は、病室でも精力的に作品の執筆を続けていた。木島は蒲生田の世話を焼いたが、蒲生田は彼の将来を案じている様子を見せる。
そんな中、木島の元に処女作を単行本化する話が舞い込んだ。木島は照れながら城戸の働く出版社を訪れ、打ち合わせでペンネームの相談をする。
するとそこへ出版社の社長である水谷が挨拶に訪れた。水谷は話の流れで、「城戸が蒲生田と木島を大手出版社への転職の踏み台にした」という事実を暴露していった。
木島はこれにショックを受け、城戸を強い言葉で非難する。

忘れられない思い出へ

城戸と木島の亀裂が決定的なものになって数日、蒲生田の病状は日ごとに悪くなった。付き添う木島は心身ともに限界の様子を見せている。自身の遺稿が完成次第、城戸が転職することを聞かされていた蒲生田は、木島を守ってほしいと城戸に頼み込む。
そして、「自分は心残りなく死ぬつもりだったのに、城戸が軽はずみな思い付きで木島を連れてきたせいだ」と涙ながらに城戸を糾弾するのであった。城戸は「手を尽くす」と約束して会社へ戻ると、転職を取り消してもらうように水谷に願い出た。
容態が悪化した蒲生田が昏睡状態に陥り、二日目。城戸が病院に駆けつけると、憔悴しきった木島が彼に寄り添っていた。城戸は木島に自身の行いを心から謝罪し、木島も城戸がこの場に来てくれたことに感謝を告げる。
木島は、蒲生田のような父親が欲しかったことや、聡明だった彼の言葉が徐々に支離滅裂になっていくのが悲しかったこと、原稿は既に完成していることなどを少しずつ語り、城戸は黙ってそれを聞いてやる。こうして寄り添う2人に見守られ、蒲生田は静かに息を引き取った。
蒲生田には、身寄りが遠方に住む妹しかいなかったため、木島が葬儀などをほぼすべて一人で執り行った。
葬儀を終えると、木島は城戸に蒲生田の原稿を引き渡した。病状が悪い中、蒲生田が作品を仕上げたことに驚く城戸。しかし木島は「8割は蒲生田が書き、残り2割は自身が書き足した」と城戸に伝える。
城戸は転職を取りやめたことを木島に告げた。そして、蒲生田が生前残したジョークの通り、2人は彼の遺影の前で激しく体を重ねるのであった。

出版された蒲生田の遺作は高く評価され、官能小説というジャンルでありながら大ヒットとなった。その後、結局「普通の人生」を選び取った城戸は、彼女と結婚して一児をもうける。
しかし、木島から久住と交際を始めたと告げられた日、城戸は胸に燻る木島への気持ちを自覚する。そして木島もまた、久住を想う気持ちとはまた違う形で、城戸との思い出を愛しいものとして感じているのであった。

『續・ポルノグラファー プレイバック』のあらすじ・ストーリー

すれ違う交際関係

木島が実家に帰って2年半後、木島と久住は再会を果たした。2人は恋人となり、久住が木島のところに通う遠距離恋愛のような状態を続けている。
あるとき、久住の持ち物からセクシーキャバクラの名刺を見つけた木島は、「久住がどこに行こうと、誰と何して遊ぼうと我慢させるつもりはない」と突き放した言い方をしてしまい、口論のような状態に発展してしまう。
その後、しばらく久住からの連絡が来ない状態が続いた。木島は、久住からの連絡がなくなれば、自分たちの関係は終わるかもしれないと考えて強い不安に駆られる。
自暴自棄になった木島は、妹の菜月の娘の七五三のお祝いに加わる予定だったところを逃げ出し、それ以来、ラブホテルに滞在していた。すると、隣室から男女の争う声が聞こえてくる。
様子を見ようと部屋から出た木島は、争いに巻きこまれた拍子に階段から落ち、左手に全治2週間の怪我を負ってしまった。揉めていた女こと明実春子は、スナックを経営するシングルマザーだった。彼女は店の2階で、息子の静雄と2人で暮らしているという。木島が左利きで、職業は作家だと打ち明けたところ、春子は木島の怪我が治るまで、自分たち母子と共に暮らすことを提案する。

一方、久住は木島からの連絡をひたすら待っていた。自分ばかりが木島を好きなのではないかという不安を抱いていた久住は、木島の反応を見ようと、あえて自分からの連絡を控えていたのだ。
結局連絡がないことを心配した久住は彼の実家に電話し、妹の菜月から、木島が一週間以上実家に帰っていないことを聞かされる。さらに、久住は菜月の夫である洋次から「木島がスナックの2階で、店のママと同棲している」と聞いてしまい、いてもたってもいられずに様子を見に行くことにした。そしてたどり着いたスナックの2階で、木島が静雄に官能小説の口述筆記をさせているのを目撃してしまう。
その様子を見た久住は怒り、木島との言い争いの末に部屋を飛び出した。しかし階段から足を踏み外して転げ落ち、気を失ってしまうのであった。

共に歩み出す2人

木島と久住の関係に気がついた春子と静雄は、彼らに話し合うよう促し、しばらく2人だけにしてくれた。
久住は木島が連絡を絶っていたことを責め、木島は「自分が若い久住の相手として相応しいのか、自信がなかった」と本心を打ち明ける。互いに本心をぶつけ合った2人だが、その時突然、春子が腸閉塞で倒れてしまう。
春子は入院することになり、久住は木島に東京の自宅に帰ろうと促した。しかし、木島は「母親が入院して、不安そうな静雄を放っておけない」と言い、二人は再び言い争いになってしまう。
多忙な中で無理矢理休みを取ってきていた久住は、翌朝、木島が目を覚ますころには東京に帰ってしまっていた。気落ちする木島に対して春子は「昔、好きだった相手に駆け落ちしようと言われて駅で待っていたが、相手はその場に来なかった」という過去の体験談を木島に話し、「大切な人がいるならタフになるべきだ」と彼を励ます。
木島は久住のいる東京へ帰ろうと決意した。木島は久住に電話するが、その頃、東京へ帰ったはずの久住は木島の実家に赴いていた。
木島は実家に戻ろうとするが電車代がなく、城戸に連絡して金を貸してほしいと頼む。それと同時に、城戸と木島は過去のことを話し合い、互いに謝罪して和解するのであった。
木島は無事に実家に帰り、久住や自分の家族との穏やかな時間を過ごす。
春子は仲直りした木島と久住に、「実は癌があり、手術のために入院していた」と打ち明ける。その後、木島の元には、宝くじを当てた春子が店を閉めてインドへ旅立ち、息子の静雄は好きな人と駆け落ちしたという知らせが舞い込んだ。閉店した春子の店を見た木島は、東京へ戻って、久住を信じて一緒に生きていこうという決意を固める。
一方、仕事が忙しくなりそうな久住は広い部屋を借り、木島に渡す合鍵を用意して彼の帰りを待つのであった。

『ポルノグラファー』『インディゴの気分』『續・ポルノグラファー プレイバック』の登場人物・キャラクター

主要人物

木島 理生(きじま りお)

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