フリクリ(FLCL)のネタバレ解説・考察まとめ

『フリクリ(FLCL)』とは2000年から2001年にかけて展開された日本のOVA作品。小学6年生の主人公ナオ太が謎の「ベスパ女」ハル子との出会いをきっかけに、奇想天外な出来事に巻き込まれていくSF青春ドラマである。個性的な登場人物たちの掛け合いと実験的な演出が盛り込まれた作風は、ハイテンポでカオスな魅力に溢れている。多くの謎を持つ独創的な世界観は、海外を中心に高く支持を受け根強いファンを獲得した。

空を見上げるナオ太にシャッターを切るマミ美

ハル子に続いて、ナオ太のもとを去ったマミ美の言葉、「さよなら ナオ太くん」。(シーンはなくナオ太のモノローグでマミ美がいったと語られる)それまでタスクの代わりとしてマミ実は、タスクの弟であるナオ太を「タッくん」と呼んでいたことに対する決別の言葉となっている。

自身を置いていったタスクは、野球のために街を出ていった。その仕打ちを受けたマミ美は、前を見て先へと進んでいく人々を恐れるようになっていく。そんな時、日常に冷め切り消極的なナオ太は、彼女にとって都合のいい人物。マミ美は何もしない「タッくん」をそばに置いていることに安堵を感じていた。
しかしナオ太も、ハル子との出会いをきっかけに変わっていく。ハル子に置いていかれ空を見上げるナオ太を見たマミ美は、持っていたカメラのシャッターを切った。何もしない誰かに依存し立ち止まっていたマミ美は、「タッくん」ではなくナオ太を見て変わる。

そんな彼女がナオ太に告げた最後の言葉が、「タッくん」でなくナオ太だった。ハル子の別れ際のセリフでは、ナオ太は「タッくん」と呼ばれており、対照的になってもいる。マミ美が彼を一人前だと認め、彼のようにガムシャラに生きたいと思っていることを感じさせる言葉と言える。

『フリクリ(FLCL)』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

『フリクリ(FLCL)』に似せた4文字の各話サブタイトル

作品タイトルである『フリクリ(FLCL)』に似せた4文字の副題がかかっている本作。各話タイトルの意味はそれぞれ以下の通りとなっている。

第1話「フリクリ」:第6話のラストシーンで描かれるマミ美の写真タイトル「FooIy Coolly」より。1996年発売のMAGICというバンドの同名アルバムが由来ともされている。
第2話「ファイスタ」:マミ美が劇中でプレイしているゲームタイトル『ファイヤー・スターター』の略。
第3話「マルラバ」:本話に登場する学園祭劇が『長靴を履いた猫』。ニナモリ演じるカラバ公爵をフランス語にすると「マルキドカラバ」となりその略。
第4話「フリキリ」:野球回となっているため、そのまま「振り切り」。
第5話「ブラブレ」:脆い弾丸を意味する、「brittle bullet」を略した言い方。
第6話「フリクラ」:「フリクリクライマックス」の略とされている。

フラタニティは『トップをねらえ2!』にも登場

ハル子が所属していた組織、フラタニティ。
この組織は、本作の監督である鶴巻和哉が手がけた『トップをねらえ2!』にも登場する。

『フリクリ(FLCL)』においてはフラタニティの存在は名前こそ明かされたものの詳細な描写がなく、『トップをねらえ2!』に登場する組織とは同名なだけのつながりとなっている。

庵野秀明も作品に参加

監督、脚本、キャラクターデザインに『新世紀エヴァンゲリオン』の制作陣が名を連ねる本作だが、実は同作で監督を務めた庵野秀明も本作に参加している。

その役所は、ナンダバ家の猫ミユミユの声優。ハル子がフラタニティの上司との連絡ツールとして利用していた猫を庵野秀明が演じている。
また、作画にも参加しているようで第2話の最後の爆破シーンと、第5話の爆破シーンワンカットを担当した。超人気テレビアニメ作品を制作した人たちが役所は違えど、奇しくも揃い踏みとなった作品となっている。

大人気漫画『チェンソーマン』に影響を与えた作品

少年ジャンプで連載され、アニメ化にもなった人気漫画作品『チェンソーマン』。作者の藤本タツキは、「邪悪なフリクリ」を目指していると公言しており、『フリクリ(FLCL)』から影響を受けている。

『フリクリ(FLCL)』の作中では、マミ美の吸うタバコに「NEVER KNOWS BEST」と手書きで書かれているシーンがあるが、『チェンソーマン』でも同様にタバコに手書き文字のあるシーンが描かれ、オマージュであることが分かる。その他にも、あるキャラクターの自家用車が登場するたびに破壊されるといった描写も両作品共通している部分があり、のちに生まれた『チェンソーマン』は、本作の影響を受けていると言える。

『フリクリ(FLCL)』の主題歌・挿入歌

ED(エンディング):the pillows『Ride On Shooting Star』

本作のED(エンディング)曲。特徴的なギターリフと、ハル子の乗るベスパの映像の融合が印象的な楽曲となっている。アニメとしては珍しく、サビで実写パートが挿入されることも特徴。『フリクリ(FLCL)』の代名詞として海外でも人気を誇る楽曲である。

『フリクリ(FLCL』の主題歌・挿入歌は全編にわたり、日本のスリーピースロックバンドthe pillowsの楽曲が使用されている。EDや何度も使用される『LITTLE BUSTERS』を筆頭に、作中のハイテンポなアクション、緩やかに感情を動かす詩的な描写など、シーンに添った楽曲が作品を彩る。(本作OPはなし)

挿入歌

作中エピローグ:the pillows『LITTLE BUSTERS』

各話の終盤、エピローグのような形で使用される挿入歌。本来歌詞の付いている楽曲だが、作中では歌詞のないインスト曲として使われることも。
この曲と同様、『フリクリ(FLCL)』では、本来歌詞のあるthe pillowsの楽曲がインストバージョンとして流れることも多い。

EDの『Ride On Shooting Star』と並んで、本作を代表する曲の1つ。

予告挿入歌・第6話:the pillows『LAST DINOSAUR』

次回予告で流れるアップテンポなロックナンバー。本作の次回予告は、ハル子の早口で彼女らしい意味があるのかないのかわからない一人語りと共に映像が送られる。予告映像も、サブリミナルな演出やループする演出が見られ特徴的になっている。

また、最終回である第6話でも挿入歌として流れた。文字通り「クライマックスだ!」と宣言したハル子に呼応するかのように流れる粋な演出となっている。

第1話・第6話:the pillows『ONE LIFE』

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