フリクリ(FLCL)のネタバレ解説・考察まとめ

『フリクリ(FLCL)』とは2000年から2001年にかけて展開された日本のOVA作品。小学6年生の主人公ナオ太が謎の「ベスパ女」ハル子との出会いをきっかけに、奇想天外な出来事に巻き込まれていくSF青春ドラマである。個性的な登場人物たちの掛け合いと実験的な演出が盛り込まれた作風は、ハイテンポでカオスな魅力に溢れている。多くの謎を持つ独創的な世界観は、海外を中心に高く支持を受け根強いファンを獲得した。

キツルバミ

CV:千葉千恵巳

アマラオの部下。そばかすに褐色の肌、金髪が特徴のキャラクターである。アマラオの無理難題とセクハラを受ける不遇な一面が目立つ、補佐。

『フリクリ(FLCL)』の用語

メディカルメカニカ

画像左上メディカルメカニカのプラント

医療機器メーカーとして表向きは認知されているメディカルメカニカ。しかしその正体は、宇宙中の星を真っ平にすることを目的とする組織である。

第5話と最終回に登場した巨大な手型のメディカルメカニカロボット。メディカルメカニカのアイロン型プラントをこの手が握り、プラントを動かすことで全てを真っ平にする条件が揃う。その他にもメディカルメカニカは開発実験を繰り返し、カンチやナオ太たちが戦ったロボを製作している。

フラタニティ

光域宇宙警察フラタニティ。宇宙で活動する組織であり、ハル子はこの組織に属する捜査官である。敵対するメディカルメカニカの野望を阻止するために動く組織。あくまで彼らの野望阻止が優先されるため、一概に地球の味方側とは言えない。

第4話でハル子は、わざと爆弾衛星がマバセ市に落ちるように仕組んでいた。マバセを巻き込んでもメディカルメカニカを破壊しようと企ていたため、フラタニティとメディカルメカニカの攻防は、地球の民を優先するよりも大きい規模で行われている。

N.O(エヌ.オー)

N.O能力によって角が生えたナオ太

ナオ太やアトムスク、アマラオが発動させていた物体をワープさせる能力。アマラオ曰く、「人間の右脳と左脳の思考ディファレンスを使って、超空間チャンネルを開き、物質を引き寄せるのさ。」とのこと。

誰にでも発現する能力ではなく、実際にナオ太と同様の仕打ちを受けた父カモンがN.Oを発動することはなかった。また、発現したとしてもワープできる物質の総量は個人の素質によって異なる。
ワープを自由に引き出せないナオ太は、自身の感情の高まりがN.O完全発動の条件となっていた。

アトムスク

アトムスク

桁違いのN.Oを持つ鳥の姿をした存在。ナオ太と比較にならないほどのN.Oは、星々をも飲み込んでしまうと言われている。

宇宙における2大勢力、フラタニティとメディカルメカニカのどちらにも属せず、自身の能力を用いて海賊行為を行なっていた。フラタニティのハル子が1度彼を捕らえるが、メディカルメカニカの策略で奪われてしまう。この時に残ったものが作中でハル子が身につけている手錠であり、アトムスクを探す手がかりとして地球へとやってきた。
メディカルメカニカに囚われてからは、カンチの中に封じられることとなり、N.O能力を持つナオ太をカンチが取り込むことで一時的にカンチにアトムスク由来の力が引き出されることとなった。

『フリクリ(FLCL)』の名言・名セリフ/名シーン・名場面

ナンダバ・ナオ太「すごいことなんてない ただ当たり前のことしか起こらない」

作中で何度も語られるナオ太のモノローグ、「すごいことなんてない ただ当たり前のことしか起こらない」。第1話の冒頭で初出するこの言葉は、日常を冷ややかな目で見るナオ太の心情を語っているが、以降で登場するモノローグでは徐々に意味合いを変える形になっていく。

特に印象的なのは、第5話でマミ美との会話するときに登場する「たいしたことない」という意味合い。何事にも消極的だったナオ太が、街を救った後に発するこの言葉は、それまでなかった自信に芽生え始め過剰になり始めていることを表現している。

物語の最後でも語られるこの言葉は、マミ美やハル子との出会いと別れを通じて、日常の中で起こる当たり前の中にも感情が揺れ動くことを感じさせるナオ太の成長と、まだ大人への道半ばで中途半端を受け入れる清々しいラストとなった。

ハルハラ・ハル子「空に向かって打ち返してみ 真のスラッガーは現実のボールを打つ前に まず心の中でアーチを放っているのさ」

ホームランを打つハル子

第4話にてナオ太にバッティングコーチをするハル子のセリフ、「空に向かって打ち返してみ 真のスラッガーは現実のボールを打つ前に まず心の中でアーチを放っているのさ」。ナオ太の成長の1歩を描く重要回では、野球でバットを振ることを、行動に起こすことの難しさの例えとして反芻される。「所詮本番でバットを振れるやつはそうはいない」、「そんなガキじゃ無理だろう」とアマラオは強者であるハル子に対して信頼を寄せる反面、その取り巻きであるナオ太を過小評価するようなセリフが目立つ。

これまで消極的で試合でもボールを見送っていたナオ太が、ハル子の無茶振りであったもののバットを振ったことは、不恰好でも行動を起こすことが重要であることを物語っている。1人で打ち返すまではいかずとも、ナオ太が行動を起こしたことによって、結果的にハル子は加勢する気になった。何かの行動を起こす前に、思い出したい名言である。

ハルハラ・ハル子「タッくんはさ まだ子供だから」

アトムスクが去り空を見上げるハル子

最終回終盤、ナオ太の前を去るハル子が発したセリフが「タッくんはさ まだ子供だから」。最終回序盤にてナオ太の前に久々にハル子が現れ、「寂しかった」とこぼした彼にも、ハル子は同様のセリフを発していた。序盤での意味合いは、涙を流しながら素直な感情を伝えるナオ太へ寄り添う姿勢をみせる言葉となっている。

しかし別れ際に放ったこのセリフには、アトムスクを追って地球を離れるハル子が、ナオ太の告白に対しての断りを意味する言葉となった。何事も冷めた視点を持ち、大人ぶっていたナオ太がハル子との出会いをきっかけに、異性への意識や自ら行動を起こすことに目覚めていく『フリクリ(FLCL)』という物語。子供と大人の狭間を揺れ動くナオ太だったがハル子にとっては、彼はまだ子供に過ぎなかった。それを突きつけたこの言葉には、不条理ながらも普遍的な作品のメッセージともとらえることができる。

サメジマ・マミ美「さよなら ナオ太くん」

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