Kanon(カノン)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『Kanon』(カノン)とは、1999年にKeyから発売された恋愛アドベンチャーゲーム。感動的なストーリーを特徴とした「泣きゲー」の代表格として名高く、小説、マンガ、アニメと様々なメディアミックスを果たしている。
高校生の相沢祐一は、7年ぶりに従姉妹の水瀬名雪が暮らす北国の街を訪れる。子供の頃は毎年のように遊びに来ていたこの街での記憶をなぜか忘れていた祐一は、月宮あゆを始めとする同年代の少女たちと出会い、やがて恋仲となっていく。そんな彼らを待ち受けていたのは、残酷な運命と天使が呼ぶ奇跡だった。

倉田佐祐理(くらた さゆり)

CV:川上とも子 / 真田アサミ(かぎなど)

祐一の1学年上の少女で、舞の親友。有力者の娘で、後輩の祐一に対しても敬語で接する。自分のことを名前の“佐祐理”で呼び、口癖は「あははー」。
弟を失った過去を持ち、自分を名前で呼ぶのもその際のトラウマが原因。料理上手で天然気質だが、明後日の方向にツッコミを入れることがある。

天野美汐(あまの みしお)

CV:坂本真綾

祐一が通う学校の1年生。語り口調が陰気な上に不愛想で、祐一からは「おばさん臭い」と辛辣な評価を与えられている。
過去に化け狐と交流し、衰弱死させてしまったことがあるらしく、真琴との絆を強くしていく祐一を見て「自分と同じ悲しみを背負う」と案ずるようになる。せめて祐一たちにはもっと幸せな別れ方ができるよう配慮し、彼らをサポートしていく。

『Kanon』の名言・名セリフ/名シーン・名場面

名雪「ふぁいとっ、だよ」

ここ一番という時、名雪はたびたび「ふぁいとっ、だよ」と口にしている。愛らしく、純粋に応援されていることがよく分かる言葉で、こんなことを言われたらぜひともがんばりたくなってしまう。
名雪というキャラクターの魅力が詰まっている言葉である。

秋子「了承」

迷い猫の保護を認めたり、真琴の居候を許したりする際、秋子はほとんど悩むこともなくただ笑顔で「了承」と告げる。彼女の謎めいた存在感に強い印象を受けた者は少なくなく、メインヒロインたちに匹敵する人気キャラクターへと成長していった。

栞「起きないから、奇跡って言うんですよ」

自分が死病に侵されていることを祐一に明かした栞。戸惑う祐一に、栞は「奇跡でも起きればなんとかなる」と軽い口調で語る。しかし直後、「起きないから、奇跡って言うんですよ」と言葉を続け、自分の死がもはや覆せない事実であることを祐一に突きつける。
迫り寄る死と共に生きる栞だからこそ言える、残酷で容赦のない、彼女にとっての現実を表す言葉である。

あゆ「…ボクのこと忘れてください…」

祐一に正体を知られたあゆは、「自分では祐一と共に歩むことができない、彼を幸せにしてあげられない」との想いから、涙と共に「…ボクのこと忘れてください…」との言葉を残して去っていく。7年間、ただ祐一との再会だけを夢見て彼との思い出の人形を探し続けたあゆの辿り着いた、あまりにも悲しく優しい別れの言葉である。
あゆの想いを受け取った祐一は、それでも彼女との再会を信じて奔走する。『Kanon』という作品を代表する、印象的なシーンだ。

『Kanon』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

ファンの間で語り継がれてきた「Kanon問題」

「祐一が選んだヒロインが、ルートのラストで自身の命や人生そのものに関わる危機に見舞われ、登場人物たちの努力によって奇跡が起きて幸せな結末を迎える」というのが、『Kanon』の基本的なストーリーである。
ここで発揮される奇跡とは、あゆが探していた「祐一から送られた天使の人形」が持つ力だとされており、あゆ以外のルートでは「天使の人形を独力で見つけたあゆが、祐一と彼が選んだヒロインのために奇跡の力を使う」、あゆのルートでは「自分の前から姿を消したあゆともう1度出会うため、祐一が天使の人形を見つけて奇跡の力を使う」形となっている。

発売当時からたびたび議論されてきたのが、「『Kanon』の物語が奇跡によって悲劇が回避されるものだとすれば、祐一が選ばなかったヒロインは死ぬか破滅することになるのでは」という問題である。特に物語開始時点で死病に侵され、次の誕生日を迎えることも難しいとされる栞は、それこそ奇跡でも起きないと生き延びることができないように思われる。「5人の人間を救うために1人の人間を殺すことは是か非か」を問うトロッコ問題になぞらえて、ファンの間ではこれを「Kanon問題」と呼んでいる。
作中ではこれに対し明確なアンサーは用意されていないが、以下のような考察が立てられている。

1.ヒロインたちの内、奇跡の力で助けられるのは祐一が選んだ1人だけである。
2.奇跡の力は実在するがそこまで万能なものではなく、祐一が選ばなかったヒロインたちも家族や友人の助けを得てなんとか幸せになる。
3.奇跡の力なんて最初から無く、祐一が選んだヒロインは彼との絆を力にして困難を乗り越えただけで、他の4人も家族や友人の力でそれぞれに幸せになる。

そもそも天使の人形が本当に奇跡の力を持つのかどうかも明確にされておらず、どの考察が正しいとしても物語は成立する。ノベル版では2もしくは3の説を裏設定として採用している節があり、天使の人形よりもヒロインたちとの絆こそが奇跡を生み出す原動力であるように描写されている。

2024年エイプリルフールでの再登場

エイプリルフールネタとしてKeyのホームページ上で紹介された、『Kanon 16bit Edition』のイベント画像。

『Kanon』の発売から25年が経過した2024年4月1日、Keyのホームページ上で『Kanon 16bit Edition』のリリースが発表された。これはいわゆるエイプリルフールネタだが、往年の名作が予想もしない形で取り上げられたことに、ファンを中心に「まさかまた『Kanon』の名前を見るとは」、「むしろやってみたい」との声が相次いだ。

『Kanon』の主題歌・挿入歌

ゲーム版

OP(オープニング):彩菜「Last regrets」

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