マーリン(七つの大罪)の徹底解説・考察まとめ

マーリンとは漫画『七つの大罪』に登場する「暴食の大罪(ボア・シン)」を背負う妖艶な女性で、主人公メリオダス率いる最強の騎士団「七つの大罪」の一員。強力な魔力と知識を有しているが、異常なまでの知識欲に囚われている。この世を創り出した「混沌」というエネルギー体の存在を知り、強い興味を抱く。そして七つの大罪を密かに利用し、混沌を復活させようとした。最終的に七つの大罪を裏切ったが、後に和解する。そして混沌に選ばれた王子アーサーを仲間達と協力して覚醒させた。そして彼を育てる為、共に旅立つ。

マーリン達七つの大罪は、死闘の末に魔神王を撃ち倒す。だがエスカノールの肉体は太陽(サンシャイン)の力に耐え切れず、崩壊を始めた。死期を悟った彼は、マーリンへ長年秘めていた想いを打ち明ける。初めて人から愛され、あれ程まだに渇望していた愛を手に入れたマーリン。だが、暴食と化した知的好奇心は、もはや彼女自身にも止められなかった。また既に魔神王は討伐され、混沌が復活しつつあった。
「もう何もかもが手遅れだ…引き返す事はできん」
マーリンは湧き起こる切なさに、身体を震わせながら呟いた。

この後に発覚するマーリンの裏切りの伏線的な発言となっている。

エスカノールにキスをするシーン

死にゆくエスカノールに想いを打ち明けられたマーリン。だが全ては遅すぎた。彼女の暴食と化した知的好奇心は止められず、混沌は復活を始めつつある。最早エスカノールの愛では、彼女の心は満たされなくなっていた。だが、彼女は自分の事を愛してくれた唯一の男を忘れない為に、身体が燃えて崩れていくエスカノールへキスをする。エスカノールの炎はマーリンの顔を焼き、彼女はその身に彼の事を刻み付けた。

マーリンの魔法であれば、この時の火傷は瞬時に回復出来る。だがこの出来事以降、彼女は敢えてこの傷を治さないでいた。マーリンの覚悟と悲哀を象徴する名シーン。

「アーサーお前こそが混沌を統べブリタニアを新世界へ導く王なのだ」

マーリンは魔法の湖にて、アーサーを蘇生させる。そしてその身に混沌を宿らせるのであった。
「アーサーお前こそが混沌を統べブリタニアを新世界へ導く王なのだ」
蘇生し、異様な混沌の力に戸惑うアーサーへ、マーリンはそう語りかけた。

物語は続編の『黙示録の四騎士』へと向かって加速していく。

マーリン(七つの大罪)の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

マーリンの元ネタは魔術師マーリン

魔術師マーリン(画像左の人物)

マーリンには元ネタとなる人物が存在する。それは『アーサー王物語』に登場する魔術師マーリンである。

『アーサー王物語』は、元々今のイギリス辺りに古来から伝わる民間伝承である。15世紀には文献に纏められ、文学作品として現代に伝わっている。主人公アーサー・ペンドラゴンがブリタニア大陸(現在のイギリス近辺)を舞台に、王として活躍する物語である。本作『七つの大罪』の世界観はアーサー王物語を色濃く反映しており、至る所に名前や概念が登場している。

魔術師マーリンは『アーサー王物語』の主人公アーサーの補佐役として登場する。魔術師マーリンは悪魔(一説に依るとケルトの神)の父と人間の間に生まれた。原典では男性であり、未来予知や卓越した魔術を操る。また豊富な知識を有しており、賢者的な側面も持つ。『七つの大罪』では、予知能力はリオネス国王バルトラに、卓越した魔術と豊富な知識を有している点はマーリンの設定に反映されている。また「アーサーを補佐し、導く」という点も原典と共通している。

マーリンは指導下手

膨大な知識を有し、驚異的な魔力を使うマーリン。だが彼女は指導下手という欠点がある。弟子のビビアンには心底嫌われた挙句、不在時にマジックアイテムや研究室を勝手に使われていた。またマーリンが手塩にかけて育てていたアーサーであるが、続編の『黙示録の四騎士』にて彼はブリタニア大陸を恐怖に貶める混沌の王に成り果てていた。マーリンとは離別しており、彼の傍にはマーリンの代わりの人形が置かれている。

キリスト教が魔術師マーリンの登場する『アーサー王物語』に与えた影響

マーリンの元ネタとなった魔術師マーリンが登場する『アーサー王物語』。この物語はブリタニア大陸(現在のイギリス周辺)で展開される。原典の舞台から分かる通り、この物語はイギリスに古来から伝わる伝承・民話である。中世に入り、各地に伝わっていた物語や伝説を編纂して書籍化された。一般的にはアーサー王はイギリスにかつて存在した伝説の王というイメージがある。だが、元々この物語はケルト人(ウェールズ人)の物語であり、現在のゲルマン系の血を引く大半のイギリス人とはルーツの異なる民族の物語であった。西暦500年代、この地に入って来たゲルマン系民族の人々はこの物語に感銘を受け、ケルト人達と混じり合う中で『アーサー王物語』を自分達の物語にしていったのである。その過程でキリスト教の影響や西洋文化に染まっていき、物語の流れや設定が変わっていった。聖騎士達の不倫や聖杯を探す旅等はこういった背景から生まれている。

魔術師マーリンの父親は前述の通り、悪魔とされている。一方で、学説によってはケルトの神であるともされている。これにはヨーロッパへのキリスト教の浸透が影響している。

唯一神を信仰するキリスト教は異教の神の存在を許さない。その為、各地で信仰されていた土着の神々は、キリスト教の布教に伴い悪魔とされたのである。マーリンの父親もこの影響を受け、元々はケルトの神であったが、キリスト教の浸透により悪魔にされてしまったのである。

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