魔法科高校の劣等生の十師族まとめ

『魔法科高校の劣等生』の概要

『魔法科高校の劣等生』とは2011年から電撃文庫で出版されている佐島勤によるライトノベル。略称は『魔法科』。イラスト担当は石田可奈であり、メカニックデザインをジミー・ストーン、カラーコーディネートを末永康子が担当している。『このライトノベルがすごい！2020』で「2010年代総合ランキング」の第8位にランクインする人気作であり、小説完結後は『続・魔法科高校の劣等生 メイジアン・カンパニー』という続編が刊行されている。また『魔法科高校の劣等生 司波達也暗殺計画』『新・魔法科高校の劣等生 キグナスの乙女たち』といったスピンオフ作品も刊行されている。2014年4月から9月にはアニメの第1期が放送。2020年10月から12月には第2期が放送された。

「超能力」と呼ばれていた先天的に備わる能力が「魔法」という名前で体系化された時代。魔法技能師養成のための国策高等学校の一つ、国立魔法大学付属第一高校を舞台に、劣等生の兄・司波達也と優等生の妹・司波深雪の活躍を描く。

十師族（じゅっしぞく）とは

十師族は日本で最強の魔法師集団である。魔法師の実験開発を目的に設けた研究機関「魔法技能師開発研究所」で生まれた二十八家の中から、「その時代に強力な（優秀な、ではない）魔法師を数多く輩出している」10の家系が十師族に選ばれる。選ばれなかった残りは師補十八家として十師族を補佐する。選定は「師族会議」で行われる。十師族に選ばれるのは、その時代に「強力な」魔法師を数多く輩出している家であり、魔法力だけでなく国家に貢献する能力も問われる。この十師族という序列は、九島烈によって確立された。
十師族は表立った権力を放棄する代わりに、国家の裏で不可侵に等しい権力を手にしており、魔法師のコミュニティに大きな影響を与えている。また十師族は相互監視の不文律を自分たちに課しており、互いに牽制し合うことで魔法師の暴走を予防している。
基本的には魔法師の権利・利益を守るために活動しており、国家権力の横暴に対する反抗や、国防にあたっている。そのため十師族の各家は、北海道・沖縄・小笠原方面を除く地域を分担して監視・守護している。これは国の防衛が十師族という私的な枠組みに強く依存しているという一面があることを示しており、それに対して反感を覚える国防軍の将官も少なくない。
当初の十師族は一条・二木・三矢・四葉・五輪・六塚・七草・八代・九島・十文字だった。一から十までの数字が並んでいるのは、十師族という枠組みが結成されて初めてで、かつては一から十の数字に欠番および重複が存在した。その後、不祥事の責任を取る形で九島が退き、七宝が加入した。

師補十八家（しほじゅうはっけ）

師補十八家（しほじゅうはっけ）は十師族の各家を補佐する家系である。十師族に選ばれる資格を持っている二十八家のうち、十師族に選ばれなかった残の家系のことを指す。十師族と同じく、魔法技能師開発研究所を出自としている。
同じように数字を苗字に関する家々として、百家（ひゃっけ）があるが、これは魔法技能師開発研究所を出自とするわけではない。ただ単に二十八家に次ぐ力を有しているとされる家のこと。

数字落ち（エクストラ・ナンバーズ）

十師族や師補十八家と同じく魔法技能師開発研究所を出自とする家々として、数字落ち（エクストラ・ナンバーズ）というものがある。これは「数字」を剥奪された魔法師の一族のこと。反逆の罪を犯したり、重大な任務に失敗したり、「無能」と判断されたりした場合に数字が剥奪される。例として一花（いちはな）家は人体を操る（人体の動きを操作する）種類の人体直接干渉魔法の使用を禁する取り決めを破ったために、数字を剥奪されて市原家に改名を余儀なくされた。
数字落ちは少数であり、かつては差別と忌避の対象とされていた。そのため数字落ちは自分が数字落ちであるとバレないように、世間の片隅で息を潜めているしか選択肢が無かった。2070年代ごろ以降は数字落ちに対する差別意識は薄れているが、完全になくなったわけではなく、数字落ちの得意魔法は魔法界に受け入れられてない。十師族が数字落ちを生み出したのではなく、あくまで数字を剥奪したのは国であるが、十師族にとっては同族を見捨てた罪の証である。魔法技能師開発研究所の非人道性の生きた証拠でもあることから、数字落ちは日本の魔法師にとってある種のタブーになっている。

『魔法科高校の劣等生』の十師族

一条（いちじょう）家

旧石川県・金沢市を拠点とする十師族。邸宅は平均的な一戸建て住宅のおよそ10倍の規模を持っているが、住み込みの召使いや使用人はいない。また東京にも別宅を持っているが、ほぼ使われていない。
京都の一部、北陸・山陰地方を監視・守護している。日本海沿岸防衛におけるプレゼンスが非常に高く、日本の国防体制の一翼を担っており、九州・沖縄と北海道に戦力を集中せざるを得ない国防軍を補完している。実際に2092年に起きた佐渡侵攻事件の際には剛毅が中心となって義勇兵を組織し、新ソ連侵攻軍を撃退した。
主な事業・収入源は海底資源採掘会社の経営。
「対人戦闘を想定した生体に直接干渉する魔法の開発・研究」を行っていた魔法技能師開発第一研究所から生まれた家系であり、生体中の体液に干渉する魔法を得意としている。特に有名なのは対象物内部の液体を強制的に気化させてその体積変化を攻撃力として利用する魔法の「爆裂」で、これがそのまま異名となっている。得意とする戦闘スタイルは、中長距離からの先制飽和砲撃。
当主は一条剛毅で次期当主は息子の一条将輝。ただ将輝が他の家に婿に行けば、長女の茜がつく可能性もある。
一条家は北陸および東北地方西半分の魔法師を掌握しており、動員できる男性魔法師は100名を超える。剛毅や将輝は配下の魔法師について、「家族に準じる存在であり、一条家が守らなければならない仲間である」と考えている。

一条剛毅（いちじょうごうき）

一条家の当主で将輝の父。短く刈り込んだ髪、筋肉質で日に焼けた肌で、精悍な顔立ちをしている。国立魔法大学付属第三高校の卒業生。
海底資源採掘会社の社長を務める。2092年における新ソ連の佐渡侵攻作戦で激戦を繰り広げた経験を持つ。得意魔法は爆裂。

一条美登里（いちじょうみさと）

剛毅の妻。一条家の屋敷はメイドや使用人を雇わない方針なので、専業主婦をしている。出身は同じ第一研出身である一色家の傍系。しかし一色家の切り札である神経攪乱（しんけいこうらん）は扱えない。

一条将輝（いちじょうまさき）

一条家の長男。第三高校の2095年度入学生であり、司波達也と同い年。若武者風の美男子で、顔立ちは凛々しく、多くの女子から想いを寄せられているが、当人は深雪に恋心を抱いている。
佐渡侵攻事件の際には当時弱冠13歳で義勇兵として戦列に参加。多くの敵を葬り、「クリムゾン・プリンス」の名で知られることになった。しかし将輝はこの二つ名を仰々しいとして嫌っている。
「爆裂」の魔法が得意であり、戦略級魔法「海爆（オーシャン・ブラスト）」を身につけてからは国家公認戦略級魔法師となった。

一条茜（いちじょうあかね）

将輝の妹で2097年7月6日時点で14歳。将輝の友人の吉祥寺真紅郎に想いを寄せている。一色家の固有魔法である神経撹乱の適正を受け継いでおり、その縁で大亜連合の戦略級魔法師、劉麗蕾（リウ リーレイ）と親しくなる。
長男の将輝が他家に婿入りした場合、彼女か彼女の婿が一条家の当主になる。将輝は茜のことをメンタリティは普通の少女だと思っていたが、劉麗蕾が大亜連合から亡命してきた際には、十師族に相応しい覚悟を見せた。

一条瑠璃（いちじょうるり）