ヴァン・ヘルシング(映画)のネタバレ解説・考察まとめ

『ヴァン・ヘルシング』とは2004年に公開されたアクション・ファンタジー映画。監督は『ハムナプトラ』シリーズで知られるスティーブン・ソマーズ、主演はヒュー・ジャックマンが務めた。ドラキュラ、フランケンシュタイン、ウルフマンを一堂に会した事が話題となり、当時のユニバーサル映画史上最高記録を更新した。聖騎士団に所属するモンスターハンター、ヴァン・ヘルシングは不死身の吸血鬼ドラキュラの討伐を命じられる。トランシルバニアへ赴きヴァレリアス家最後の一人アナ王女と共に最恐の敵に挑む。

『ヴァン・ヘルシング』の名言・名セリフ/名シーン・名場面

フランケンシュタイン博士「生きているぞ!」

人造人間の創造成功に歓喜するフランケンシュタイン博士

オープニングでの人造人間誕生の際、ヴィクトール・フランケンシュタイン博士が歓喜の声として放ったセリフが「生きているぞ!」である。これはオリジナル版の映画『フランケンシュタイン』と同じセリフであり、古典ユニバーサル映画へのリスペクトとオマージュを垣間見ることができる。

森と崖で繰り広げられる争奪戦シーン

襲いかかるウルフマンとなったヴェルカン

フランケンシュタインを匿うためバチカンに馬車を走らせるヴァン・ヘルシング一行。ブタペスト周辺の鬱蒼とした森や断崖絶壁を、追っ手であるドラキュラの花嫁やウルフマンと繰り広げるスリリングなアクションシーンだ。道を踏み外せばすぐ崖下に真っ逆さまの状況で、空と陸から襲いかかる怪物たちを相手に絶望的な戦いを強いられる様は、観ている側も手に汗握る緊張感に満ちている。

アナ「殺すときは無駄口を叩かない」

アナを執拗に狙うドラキュラの花嫁たち

氷の要塞でのアナとアリーラとの戦いで、油断したアリーラに致命的一撃を喰らわせたアナは「殺すときは無駄口を叩かない」と言い放つ。アナは終始、ドラキュラの花嫁たちに翻弄され続け何度も危ない場面に陥ってきた。しかし誇り高き一族の末裔として、命の限り決して諦めない心が一瞬の隙を逃さず、怪物相手に勝ち星をあげることが出来たのだ。彼女の気高さと戦いへの気概が分かるセリフである。

怪物同士の戦いシーン

怪物の姿で最後の戦いをするヴァン・ヘルシング(右)とドラキュラ(左)

ドラキュラは吸血鬼の始祖として弱点らしいものがなく、唯一の対抗手段はウルフマンの牙のみである。そして限られた条件と時間の中、ウルフマンとなったヴァン・ヘルシングがドラキュラと最後の戦いに挑むのであった。モンスターハンターである男が怪物となり、更にドラキュラも翼の生えた怪物となって迎え撃つこのシーンは、宿命の対決に相応しい迫力に満ちている。モンスター同士の荒々しい肉弾戦は本作最大のハイライトと言っても過言ではない。

『ヴァン・ヘルシング』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

原作では初老のヴァン・ヘルシング

オリジナル版に登場するヴァン・ヘルシング教授

ヴァン・ヘルシングは元々ブラム・ストーカー作『吸血鬼ドラキュラ』に登場するキャラクターであり、劇中登場する若い男性でなく初老の大学教授として描かれている。本作を制作するにあたり大幅な設定の変更が為され、演じるヒュー・ジャックマンの当時の年齢も併せて30代前後の「凄腕のモンスターハンター」像で確立された。本作以降より後のヴァン・ヘルシング関連の作品に少なからず影響を与え、従来の初老のイメージを払拭させたのだった。

聖ニコラス教会で撮られた仮面舞踏会シーン

舞踏会で踊るドラキュラ(左)とアナ(右)

本作では18世紀後半の荘厳かつミステリアスなヨーロッパを舞台にしており、その当時の背景や建築物など細かい部分も描かれている。ブタペストの仮面舞踏会シーンではプラハ市内にある聖ニコラス教会で撮影が行われた。外気温-5℃に対し石造りの聖堂内は-20℃という厳しい環境の中、ドラキュラの吐く息が白くなってしまったため後から編集で消す必要があったという。聖ニコラス教会内のルールによって持ち込みが禁止であるため、綱渡りや火吹き芸人はすべて合成。演出はシルク・ド・ソレイユが担当している。

影響を与えた日本の有名ライトノベル

世界観の礎となった『吸血鬼ハンター"D"』

ヴァン・ヘルシングの出立ちや世界観ついて参考にされたのが菊地秀行による日本のライトノベル『吸血鬼ハンター"D"』である。監督インタビューによると制作初期ではシルエットで誰だか分かるデザインを目指しロングコートやハットなどある程度確立されていたが、スタッフの勧めで『吸血鬼ハンター"D"』のアニメを観たことでキャラクターの出立ちから武器、ダークな世界観などにより深いインスピレーションを貰ったという。

『ヴァン・ヘルシング』の主題歌・挿入歌

2hmiya18
2hmiya18
@2hmiya18

Related Articles関連記事

ハムナプトラ2/黄金のピラミッド(映画)のネタバレ解説・考察まとめ

ハムナプトラ2/黄金のピラミッド(映画)のネタバレ解説・考察まとめ

『ハムナプトラ2/黄金のピラミッド』とは、スティーヴン・ソマーズが監督の『ハムナプトラ/失われた砂漠の都』の続編にあたる実写映画。 前作の主人公リックとエヴリンは結婚し、二人の息子のアレックスが新たな登場人物として活躍する。 リックとエヴリンは、アヌビス神と契約をしたスコーピオン・キングと再び甦ったイムホテップにさらわれた息子を取り戻すべく立ち向かう。 前作から2年後に公開された本作だが、前作以上に当時のVFXによる映像技術が採用されており、ミイラやアヌビスの軍勢がリアルに表現されている。

Read Article

グレイテスト・ショーマン(映画)のネタバレ解説・考察まとめ

グレイテスト・ショーマン(映画)のネタバレ解説・考察まとめ

『グレイテスト・ショーマン』とは2017年に公開された、アメリカで19世紀に活躍した興行師「P.T.バーナム」をモデルとしたミュージカル映画である。奇抜なアイデア故に奇人扱いされていた「P.T.バーナム」は、ピンチをチャンスに変えて「史上最大のショー(The Greatest Show)」を作りあげていく。主演は『レ・ミゼラブル』でも活躍したヒュージャックマンが務め、音楽は『ラ・ラ・ランド』も担当したベンジ・パセック&ジャスティン・ポールのコンビである。

Read Article

レ・ミゼラブル(レミゼ)のネタバレ解説・考察まとめ

レ・ミゼラブル(レミゼ)のネタバレ解説・考察まとめ

2012年に公開されたミュージカル映画。主役のジャンバルジャンが牢獄から仮釈放されるシーンから始まる。ジャンバルジャンを追いかけるジャベール警部、ジャンバルジャンに自分の子供を託すファンティーヌなどの登場人物たちにより彼の人生は激動の時代を駆け抜けることとなる。そしてフランス革命が起き、それぞれの人生が変わるのであった。一人の男の一生を描いた超大作である。

Read Article

リアル・スティール(映画)のネタバレ解説・考察まとめ

リアル・スティール(映画)のネタバレ解説・考察まとめ

『リアル・スティール』とは、2011年制作のアメリカ映画。人間の代わりに高性能ロボットたちが激しい戦いを繰り広げる“ロボット格闘技”が人気を博す、近未来を舞台にした痛快SFアクションムービー。落ちぶれた元プロボクサーの男と、彼の前に突然現れた11歳の息子が、スクラップ置き場で見つけた旧式ロボットATOMに希望を託し、親子の絆を深めながらロボット格闘技の王者を目指す姿を描く。アメリカ劇場初登場1位のヒットを放った。

Read Article

チャッピー(CHAPPiE)のネタバレ解説・考察まとめ

チャッピー(CHAPPiE)のネタバレ解説・考察まとめ

“感情”や“意識”を持った人工知能内臓の学習型ロボット“チャッピー”を巡り、そのロボットの設計者、ロボットを強奪したギャング・グループ、設計者を妬む同僚などが入り乱れて、ユーモアを交えながら壮絶なアクションとサスペンスが展開する、2015年公開の近未来SF映画。監督は、独創的なSF映画「第9地区」(09)でデビューした南アフリカ出身のニール・ブロムカンプ。

Read Article

ハムナプトラ/失われた砂漠の都(映画)のネタバレ解説・考察まとめ

ハムナプトラ/失われた砂漠の都(映画)のネタバレ解説・考察まとめ

『ハムナプトラ/失われた砂漠の都』とは1999年に公開されたアメリカのアクション・アドベンチャー映画。監督はスティーブン・ソマーズ、主演はブレンダン・フレイザー、レイチェル・ワイズ。『インディ・ジョーンズ』を彷彿とさせる胸躍る冒険活劇に当時のVFXによる迫力ある映像技術が話題となった。エジプトを舞台に3000年の封印から目覚めた邪悪な高僧イムホテップに、勇敢な傭兵リックと女性考古学者エブリンが立ち向かう。

Read Article

ボディガード(1992年の映画)のネタバレ解説・考察まとめ

ボディガード(1992年の映画)のネタバレ解説・考察まとめ

『ボディガード』とは、1992年にアメリカ合衆国で制作されたラブサスペンス映画である。脅迫状を送りつけられたスーパースターのレイチェル・マロンと彼女を命懸けで守る元シークレットサービスでプロのボディガードであるフランク・ファーマーとの甘くて切なく、ほろ苦い恋が描かれていく。主演は『ダンス・ウィズ・ウルブズ』でオスカーを獲得したケビン・コスナー、共演は本作が女優デビューとなった歌手ホイットニー・ヒューストンが務めた。監督は『ボルケーノ』、『理由なき発砲』などで知られるミック・ジャクソンが務めた。

Read Article

フォレスト・ガンプ/一期一会(小説・映画)のネタバレ解説・考察まとめ

フォレスト・ガンプ/一期一会(小説・映画)のネタバレ解説・考察まとめ

『フォレスト・ガンプ/一期一会』とは、1985年に発売されたウィンストン・グルームの『フォレスト・ガンプ』を原作とした、1994年公開のアメリカ映画である。監督はロバート・ゼメキス、脚本はエリック・ロス、主演はトム・ハンクス。第67回アカデミー賞作品賞、第52回ゴールデングローブ賞ドラマ部門作品賞などを受賞した。人より知能指数は低いが心優しい主人公フォレスト・ガンプは、持ち前の純粋さと才能を活かし様々な記録を作る。そして一途に1人の女性を愛し起こした行動が、人々に幸福をもたらす物語。

Read Article

キャスト・アウェイ(映画)のネタバレ解説・考察まとめ

キャスト・アウェイ(映画)のネタバレ解説・考察まとめ

『キャスト・アウェイ』とは、2000年に公開されたアメリカのサバイバル映画である。トム・ハンクスが主演を務め、ロバート・ゼメキスが監督を務めた。ストーリーは、国際貨物便フェデックスのシステムエンジニアであるチャック・ノーランドが、飛行中に航空事故に遭い、無人島に漂着してしまうというもの。無人島での生活に適応し、生き延びるために様々な方法を見つけていく。

Read Article

M-1グランプリのネタバレ解説・考察まとめ

M-1グランプリのネタバレ解説・考察まとめ

『M-1グランプリ』とは、漫才師の日本一を決める大会のことを指す。2001年から2010年までは出場資格としてコンビ歴10年以下であったが、復活した2015年からはコンビ歴15年まで引き上げられた。歴代優勝者に中川家、ますだおかだ、フットボールアワー、アンタッチャブル、ブラックマヨネーズ、チュートリアル、サンドウィッチマン、NONSTYLE、パンクブーブー、笑い飯、トレンディエンジェル、銀シャリ、とろサーモン、霜降り明星、ミルクボーイ、マジカルラブリー、錦鯉、ウエストランド、令和ロマンがいる。

Read Article

ザ・クラウン(ドラマ)のネタバレ解説・考察まとめ

ザ・クラウン(ドラマ)のネタバレ解説・考察まとめ

『ザ・クラウン』とは、イギリス女王エリザベス2世の治世を描く、アメリカ合衆国とイギリス合作のテレビドラマシリーズ。Left Bank Picturesおよびソニー・ピクチャーズ テレビジョンが製作。2016年11月より配信開始となり最終シーズンは2023年12月に配信され、全6シーズン、各10エピソードの合計60話構成。2シーズンごとに主要キャストが入れ替わる。当時の美術・衣装などが忠実に再現されており、各界から高い評価を得ている。

Read Article

プレステージ(映画)のネタバレ解説・考察まとめ

プレステージ(映画)のネタバレ解説・考察まとめ

『プレステージ』とは2006年に公開されたアメリカの映画である。監督はクリストファー・ノーラン。主演をヒュー・ジャックマンとクリスチャン・ベールが務める。第79回アカデミー賞において撮影賞と美術賞にノミネートされた。1995年に発売されたクリストファー・プリースト作の小説『奇術師』が原作となっており、2人の奇術師による因縁の戦いが描かれている。彼らのショーの舞台裏で起きていることを観客は知らない。映画には様々な仕掛けが施されており、人知を超えた世界へと誘われていく。

Read Article

M-1グランプリ2003年 ~フットボールアワー3度目の出場にて悲願のM-1王者へ…~

M-1グランプリ2003年 ~フットボールアワー3度目の出場にて悲願のM-1王者へ…~

2003年のM-1グランプリで3度目の悲願のM-1王者になったフットボールアワー。 丁度この年は、笑い飯、敗者復活枠から決勝進出を獲得したアンタッチャブルの三つ巴の戦いとなった年でもある。 今回はM-1グランプリ王者になったフットボールアワーを中心に、戦いの模様を解説していきます。お楽しみに…。

Read Article

【レ・ミゼラブル】ヘレナ・ボナム=カーターの七変化まとめ!ジョニー・デップに負けてない!【ハリー・ポッターシリーズ】

【レ・ミゼラブル】ヘレナ・ボナム=カーターの七変化まとめ!ジョニー・デップに負けてない!【ハリー・ポッターシリーズ】

ヘレナ・ボナム=カーターといえば、『レ・ミゼラブル』のテナルディエ夫人役や『ハリー・ポッター』シリーズのベラトリックス・レストレンジ役が有名ですよね。なんとなく想像される通り、どこかぶっ飛んでいる役が多いのが彼女の特徴です。他にどんなのを演じているか、この記事でまとめました。ジョニー・デップも良い意味で変な役が多いけど、ヘレナだってそれに負けてないですよ!

Read Article

CMにサッカーの試合に使われまくる名曲「民衆の歌」の動画まとめ

CMにサッカーの試合に使われまくる名曲「民衆の歌」の動画まとめ

「民衆の歌」はヴィクトル・ユーゴー原作のミュージカル『レ・ミゼラブル』の劇中歌として作られた曲で、ミュージカル映画でもエンディングテーマとして使われ、世界中に感動をもたらした。「民衆の歌」は『レ・ミゼラブル』に留まらず、テレビCMやフィギュアスケートの曲、サッカーの試合など様々な場所で使われている。

Read Article

目次 - Contents