ドラゴンクエストに登場する不幸な人生を送ったキャラクターたち

アモスは以前に町を恐怖に陥れたモンスターを退治しており、英雄と呼ばれていた。しかしその時にモンスターに噛まれたことが原因で、その時から夜になるとモンスターに変身してしまっていた。だが町の住民は英雄アモスに恩があるため、アモスにその事実を告げることなく隠していたのであった。

そして、ここから先の展開が問題である。件の真実をアモスに話すかどうかはプレイヤーに委ねられるのである。
真実を隠したまま、「りせいのタネ」という変身能力をコントロールする種をアモスに与えると、アモスは無事に事実を受け入れ、主人公の仲間になる。しかし、「りせいのタネ」を手に入れないまま真実を伝えてしまうと悲惨なことになる。真実を聞いたアモスは「またまたそんなじょうだんを！もうちょっとで信じてしまうところでしたよ。わっはっはっは。」と笑い飛ばす。明るく振る舞うアモスだったが、その翌日からアモスの姿は見当たらなくなってしまう。
アモスは自分がモンスターであり、町の住人に恐怖を与えていた張本人だと知り、その罪悪感から町を出て行方不明になってしまう。その後プレイヤーたちがアモスに会うことは二度とない。

違う意味で悲惨なテリー

ドラクエ6で最後に仲間となるテリー。テリーは同じく仲間の一人であるミレーユの弟である。
二人はガンディーノという国で育った。しかしガンディーノの王が悪政を行なっていたため国は荒れていた。そして、ある日ミレーユが王への献上品として盗賊団にさらわれてしまう。幼いテリーは必死に抵抗するが袋叩きにあい、ミレーユの誘拐を許してしまう。
それ以来、テリーはミレーユを探すため、そして取り戻すための力を得るための旅に出る。そして主人公たちと出会った時には敵であるデュランの手下として登場する。
それなりに不幸に思えるが、デュランは主人公たちによって倒され、無事にミレーユと再会することができるので何も問題はない。テリーの悲劇とはもっと別のところにある。

テリーはそのクールな見た目に加え、仲間になるまでも意味深に登場してプレイヤーに期待を持たせるのだが、驚くほどに弱い。
まず仲間に加入する時、普通で荒ればパーティのレベルは30を超えているのだが、テリーは23レベルと大きく下回ったレベルで加入する。
そして職業は上級職のバトルマスターに就いているが、なぜかその過程で極めなければならない武闘家を会得していない。それ故、有能な特技である「正拳突き」「回し蹴り」などを使うことができないのだ。
そしてレベルや会得している職業が少ないだけであれば努力でカバーできるのだが、このテリー、ポテンシャルの面でも弱い。どのくらい弱いかというと魔法使いキャラのチャモロの最終ステータスと比べても勝っているのは力が上回っているだけで、他のステータスはすべてチャモロが優っている。装備を加味したステータスでも主人公やハッサンなどのキャラクターのステータスには遠く及ばない。将来的に育ててもいいことはないのである。

そしてテリーの加入と同時に仲間にできる「ドランゴ」というバトルレックスのモンスターキャラが有能すぎるのも問題である。
このキャラクターはステータスも有能であり、何よりも初期からモンスター職業の「ドラゴン」に就いているため、手っ取り早く有能な特技である「しゃくねつ」「かがやくいき」を覚えることができる。
このドランゴのせいでテリーはファンたちから「ドランゴ引換券」という不名誉な称号をもらってしまうのであった。

リメイクされてテリーのステータスが修正されたが、なぜかドランゴも強化されており、「素早さ」「かっこよさ」という面でしか勝つことができなかった。
結局「ドランゴ引換券」という称号を取り消すことはできなかった。
「かしこさ」でもドランゴに負けたテリーの気持ちはどういう気持ちなのだろう。